VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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其々の役目




(おう)(おう)(おう)の饗宴 〜其の五〜

「いや此処かなり熱くないですか!?皆さん大丈夫なんですか!?」

『随分(ぬく)いの。オマケにだいぶ熱された部分も有る……魚人族達はよくもまぁ、こんな環境で石ころ掘りをしたものじゃ』

「クーラーが一切効いてない密封空間ですよ〜………」

「控え目に言って地獄ッス」

「なのでエルドランザさんには外の海水を操り引っ張って貰って、海窟内の海水を循環させないと採掘は厳しいみたいで………」

 

マウアナ海窟に潜入した採掘組の一人が外で待機していたレーザーカジキとエルドランザを呼びに来て、突入した少年が青竜から分け与えられた素材で作った鎧の下で声を上げ、水の流れから海窟内部の状況を大まかに察知して把握した。

 

「……………エルドランザさん」

『皆まで言うな、レーザーカジキ。配下の願いに応えるもまた、力持つ妾の役目ぞ。何より此の程度の温水は、妾からすれば温い水じゃ………背に乗ったつもりで()れ』

 

当代の青竜エルドランザ、深海という環境に適応する為に巨体を幼竜程度に縮めては居るが、彼女の本領は『水中海中に在る水を自由自在に操り、其の身に蓄えたリソースを使って状況へ即応進化し、戦闘を優位にする』という戦略を主とする五色の竜が一柱。

 

此の世界を描いた神の物語では、竜災か或いは其れ以前に死して消える筈だった青い傲慢の運命は、海中の戦いで傷付き、逃れた先での青い魔術師との出会いを切っ掛けとして、定められた運命(其れ)とは別の道を辿り。

 

竜災大戦にて力を開拓者や亜人種の者達に示し、戦乱を生き残り、人との交流を通じて威容を称えられ、そうして今は深海へと其の歩を進め、魚人族の鍛冶を支える水熱源石(ブレイズストーン)確保を以って己が威光と威信を示さんと、彼女は其の力を振るう。

 

『ムムム………ッ!』

 

分厚い片刃の剣が鯨の鰭となった様な其れを一度振えば、外から新鮮な深海の極冷水が吹き込まれ、マウアナ海窟内にて停滞した水熱源石による熱水が混じり合い。

 

エルドランザが鰭の鋒をグルリと一掻き回せば、海水は回転し始め、回転による循環は発生から、籠もっていた海水は通され、海水温が採掘者達にとっての最適温へ変わった。

 

『ほれ、此れで涼しくなったろう』

「魔法使いみたいですね!」

「ありがとう、エルドランザさん!」

「よし、エルドランザさんが水温を和らげてくれた!俺達は当初の予定通り、水熱源石を迅速に掘り出して粗方確保したらアルトランティアに帰還する!」

『『『おー!!!』』』

 

エルドランザが自らの力を誇示し、マウアナ海窟の水熱源石採掘状況は一気に回り、動き出す。

 

そして同じ頃……………深海の果てを見し勇者と、其の仲間達もまた、深海という極限の死地にて戦いを続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海中にて蒼雷が迸り、数多の魚達が撃墜される。

 

魚達が泳ぎ(飛び)交い、紅いブレスが深き青を貫く。

 

今まさに此処は大戦場、そう言わんばかりの騒乱に揺れて。

 

 

豪武神の超技(マルス・スペリオール)───────蛇昂咆這撃(サルナール・エリナヴィス)!!!」

 

 

勇者に襲い掛かったコーラルホエール、暗く深い海の中で振るわれ這い寄り、海中の冷気に反作用して灼熱を帯びた紅蓮海の撃鞭(レガレクス・ウィスパー)の先端から飛び出した『龍蛇のオーラ』が、海の冬将軍の頭部を穿ちてブチ抜き風穴を開け。

 

「後詰だゴラァ!」

「ルスト、三秒後!」

「…………今、ショット」

 

其れでも神の名を冠する武神の業を受けても尚も倒れず、踏み止まるコーラルホエールの横から隙有りとばかりに飛んで来た、豪強靭包拳(スキュエルグローブ)による空圧を凝縮せし拳打と、針の如く細く鋭利を極めた魔力の弾丸二発が脳を更に叩いた事で、コーラルホエールを構築するポリゴンが崩壊。

 

コーラルホエールの素材達(ドロップアイテム)が海中に散布されるが、横から割り込んだアルクトゥス・レガレクスやら深海の猛者達に掻っ攫われてしまい、僅かしか回収出来なかった。

 

「ペッパー!やっぱアスカロンにゃあ、魚系のモンスター引っ張るパッシブ効果有るんじゃねーの?!」

「樹液に寄る虫みたい」

「絶対何か有りそうだよ…………」

「其れは俺も思った………と、覇頭衝角(プロモスピア)が来るよ!」

 

紅蓮海の撃鞭をインベントリアに放り込み、サンラクの胴体に巨剛触手(きょごうしょくしゅ)の一本を巻き付けるや、本体両脚の深厳戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)の機能で海中を蹴って、自由自在に跳ね飛び泳ぎ走り、アスカロン・リペアと覇刀(はとう):龍神楽(ドラグマ)を持った蛸足で海中を振って、ウツロウミカガミを使用から離れ。

 

悠久を誓う天将王装(フォーエヴァー・ウェザリオ)を纏うルストが試作型戦術機獣(しさくがたせんじゅつきじゅう)海王(カイオウ)】との合体で、水海中戦闘制御の魚人形態(マーマーンモード)から水海中機動形態の人魚形態(マーメイドモード)に切り替え、背に掴まったモルドを乗せ続く中で、アトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角"がペッパーの残像(デコイ)に頭角の穂先を突き刺す光景が見えた。

 

と、深海の海中が突如として『暖かくなり』、其の温度も今迄が『極寒状態』だった物から『微温湯状態』にまで改善されたと同時に、アトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角"が『海中温度の変化に気付き』。

 

アスカロン・リペアのヘイト惹き付けにも目も昏れず、マウアナ海窟の方向に視線を移して『一心不乱』に泳がんとした所に、ペッパーとルスト其々におんぶされたサンラクとモルドが先回りから、豪強靭包拳より海喰の剣(ブループレデター)に切り替えたサンラクの発動したウツロウミカガミで足止めするも、残像が消えれば再び海窟の方に向かい始めたのだ。

 

「皆、何かあのレプノルカさ…………『怪しくない』?」

「えっ?」

「何が?」

「うーん…………『焦ってる風に見える』、というか………」

「焦っている…………」

 

モルドが感じた違和感、其の言葉を聞いたペッパーは清明界玉到観(クリスタル・アドバンテージ)界域を見定む眼(ターゲ・ザ・ワールド)のズッ友コンビスキルによる体内透視を行った事で、視界内に居る覇槍を掲げし深海の帝王が『何故マウアナ海窟近辺に居座る様になったのか』………()()()()を知ったのだ。

 

 

 

 

 

 

「アトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角"。お前……………『身籠ってるのか』?」

 

 

 






居座る真実




豪武神の超技(マルス・スペリオール)蛇昂咆這撃(サルナール・エリナヴィス)

鞭武器系の豪武神の超技であり、発動者の技量・器用の数値を参照しつつ、発動者が『シャングリラ・フロンティアにて出逢った蛇型モンスターの中で、最も記憶に残るイメージを具現化』。振るった鞭武器の先端から蛇型モンスターのイメージを保った状態で、攻撃エネルギーを飛ばして敵に突撃させ、直撃時には鞭武器としては珍しい『刺突属性によるダメージ判定を行う』という効果を持つ。

また技量と器用の数値が合計300以上の場合、飛翔する攻撃エネルギーには『ホーミング能力』が追加され、更に合計数値が高まると『数秒間は威力減少が起きなくなる効果が搭載された状態で飛んでいく』。

ペッパーが繰り出す蛇昂咆這撃のイメージは『無尽のゴルドゥニーネが従える四体の龍蛇の一匹・裂食の大蛇(ブラスティウム・スネーク)サウベルシア』であり、およそ『十秒程は威力減少が起きずに飛翔して攻撃出来る』上に威力も高く、彼をして『御気に入りの攻撃スキル』─────────なのだが、此れをアイトゥイルやディアレにノワがパーティに居る状態で使うと、二羽と一匹が『物凄く不機嫌な顔をする』為にあまり使えない。


スキルのイメージとしては、ONEPIECEの主人公『モンキー・D・ルフィ』の戦闘形態の一つ『ギア4:スネイクマン』の必殺技『ゴムゴムの王蛇(キング・コブラ)』。



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