VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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異種族コミュニケーション




(おう)(おう)(おう)の饗宴 〜其の七〜

「ペッパーさん達!?何でアトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角(プロモスピア)"を連れて来たんですか!?」

「ひえぇ…………」

「デッカ…………!」

「アバババババ…………!?」

 

アトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角"をマウアナ海窟から引き離し、水熱源石(ブレイズストーン)の熱が深海水温を高めた事でアスカロン・リペアのヘイト引き付けよりも優先された帝王…………もとい深海の女帝の掲げし覇槍と覇刀(はとう):龍神楽(ドラグマ)が打ち合い、アトランティクス・レプノルカのコミュニケーションに適応・自己進化と変革によって意思疎通を可能となった。

 

其れにより龍神楽を通じてアトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角"に此方側の事情や状況、何を求めてマウアナ海窟にやって来たのか等の説明を行い、そして深海の女帝側の事情も大方知った上でプレイヤー達に交渉を行う事となり、こうして戻って来たが魚人族に改宗したプレイヤーからすれば、引き剥がす為に生き餌を買って出た勇者が、まさか引き剥がし対象を引き連れ戻って来たのだから、混乱は加速する事は必然で。

 

「まぁ色々合って、龍神楽が覇頭衝角との『コミュニケーション』を取れた御陰で、事情を粗方聞き出せたのが大きいというか………」

「「『「「「「「「「コミュニケーション!?!?!」」」」」」」』」」

 

人は人、鯱は鯱。同族故に意思疎通は成立するが、異種族では意思疎通の方法が違えば、其れは不可能に近い。とすれば如何にしてペッパー達は、アトランティクスレプノルカの不世出個体との意思疎通を可能にしたのか?

 

其の答えを龍神楽は自らの口から言葉を発し、己の意志と声を以って証明する。

 

『奴と打ち合った際にマナを通じ、奴のコミュニケーションに適応してな。子を身籠った奴は、産んだ子が海水温で体温調整が出来ずに死なぬ様、産む場所として此のマウアナ海窟付近を選んだという』

「適、応…………???」

「おかあさんだったのか、頭角戦艦鯱…………」

「待ってドラグマさん、貴方アトランティクス・レプノルカの言葉が判るの!?」

 

魚人族改宗プレイヤーの質問に、龍神楽は『無論』と一言答え。プレイヤー達による質問攻めが始まり、アトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角"と言えば、会敵時と同じ海中をグルグルと回るルーティーンをし始めた。

 

と……………深海の女帝が苦しそうな気配を漏らし、胴体の腹部付近から『色が違う液体が噴出した』のを見た、魚人族(マーマーン)改宗(コンバージョン)済のSF-Zooクランメンバーが声を上げる。

 

「ヤバい、あの子『破水』したわ!赤ちゃんが産まれる!」

『「「「「「「「マジで!?」」」」」」」』

「マジよ!私、水族館でシャチの出産に立ち会った事が有って、アトランティクス・レプノルカがシャチの特徴持ってるなら、あの子の御産を助けてあげたい!」

 

シャンフロ動物園ことクラン:SF-Zooは、シャンフロに生息するモンスター達との触れ合いに重きつつも、目標とした存在に関して徹底的に調査を行い、普段の食生活や移動及び戦闘等に置ける行動パターンや思考ルーティーンを、白日の元に曝け出させる事を主とするクランだ。

 

ペッパー達は詳しく知らず、レーザーカジキは知っているが、厳島 光(レーザーカジキ)の姉の厳島 真里亜(Animalia)は物心付く前から『重度の動物アレルギー』を患っており、同じ部屋に子犬が居るだけでも咳き込んでしまい、ハムスターに触れるだけでも呼吸困難になる等で苦心し続け、其の反動からシャンフロというゲームで『タカが外れたハッスル具合』になっている。

 

そんな彼女と同じ境遇、或いは同じ様に動物と触れ合う事を求めて集ったプレイヤー達だが、其のクランメンバーの中には現実世界(リアル)で獣医師免許を持った獣医師が居たり、水族館で現役バリバリの飼育員が居たりと、其の手の専門家達が調査に協力する為に意思統一が成された場合、クランの出力と強さは測り知れない。

 

「採掘組は水熱源石(ブレイズストーン)を掘り出し、エルドランザさんは水熱源石の採掘で出る温水を操って、此の付近の水温を維持!他の人は周りのモンスターを捌けさせて出産の安全を確保!モンスターの出産………其れも深海三強の不世出個体なんて、早々御目に掛かれないレア中のレア中のレア光景よ!はい、キビキビ動くッッッ!!!」

 

何時の間にか主導権(イニシアティブ)は掻っ攫われ、アスカロン・リペアを再生成(リバース)化討伐戦は其の対象の出産サポートに変わり、ペッパー達もまた否応無しに血走った目で指示を飛ばすSF-Zooのプレイヤーに従う事となったのだった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ペッパーさん、ペッパーさん。ペッパーさんってバックパッカーだったらしいですけど、どうしてバックパッカーを選んだんですか?」

 

アトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角"の出産サポートの為、近寄るモンスターをサンラクに刻まれるリュカオーンの刻傷、ペッパーに刻まれるリュカオーンの愛呪で深海のモンスターを追い返しつつ、ペッパーは万が一に備えてサンラクに『ある物の譲渡申請』を飛ばして受理され。

 

刻傷や愛呪が効かない大物相手の場合、ペッパーやサンラク達の力が必要と見た他プレイヤーが率先して戦闘に参加から、撃破したり撃破されたりの状況と共に実力者達の力を温存させる中で、スペリオルアビス所属の魚人族改宗プレイヤーが、天獄を構えて周辺警戒を続けるペッパーに素朴な問いを投げ掛ける。

 

「バックパッカーを選んだ理由、か…………。一言で言い表すなら、キャラメイクに選んだ『バックパッカーのフレーバーテキストに心を惹かれたから』かな」

 

 

 

武器や防具、消耗品等の物資を其の身一つで運び、時に他者との商いを、時に開拓者の困難を打開する者。其の背に背負うのは、誰かの希望である。

 

 

 

 

其れが今は懐かしき数ヶ月前、ゲーム開始前のキャラメイクで見掛けたバックパッカーのフレーバーテキストの全文であり、ペッパーは其のフレーバーテキストに心を惹かれてメイン職業(ジョブ)として活動を開始し。

 

当時は特殊クエストの、現在はユニーククエストと表記を改めた【インパクト・オブ・ザ・ワールド】の開放を切っ掛けに、様々なユニークシナリオの受注とクリアにワールドストーリーの進行、先んじて世界(シャンフロ)に踏み込んだ開拓者(プレイヤー)世界(シャンフロ)に生きる住人(NPC)との交流を通じ、今では『世界の深層と真実に深く踏み込んだプレイヤーの一人』として、其の名は知れ渡る程に成った。

 

尤もペッパー本人は其れを誰かに自慢する事は無く、唯々真剣にゲームを楽しんで居るだけに過ぎないのだが。

 

「ゲームの職業って、見た目とかフレーバーテキストで惹かれて選んだパターンとかもゲーマーあるあるだが、俺も其れだったりする…………!」

 

深海の暗闇、夜よりも尚深く目を凝らさなくては先を見透せない空間、気配感知を幕末仕様に変えているペッパーの首筋に電磁波が走り、敵の接近を感知し警告として報せて。

 

「全員敵が来た!!!警戒を厳にしてッ!!!」

 

ペッパーの声が深海を走り、プレイヤー達の視線が深海の暗闇を見つめ。そして見えて来たのは『三つの蒼炎』、闇の中でさえも青く、蒼く燃え上がりながら訪れ。

 

三つの蒼炎の内二つは炎の灯りでシルエットが明かされ、其の頭部に覇を唱えし者を象徴する頭角を掲げた、深海の帝王たる存在───────アトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角"が二匹…………なのだが、背中に蒼炎を燃やして暗闇を照らす其の様子は、何処か『死体の様な生気を感じない』。

 

対してもう一匹のアトランティクス・レプノルカは、背中から蒼炎を燃やす姿は一見すれば『通常種』に見えるが、よくよく観察すると『鰭が水晶では無くサイボーグ化した様な機械じみた形状』で、更に言えば胸鰭と尾鰭の間に『二つの鰭の中間程の大きさの鰭が生え』、頭部には『青い扇状のトサカ』が海中に靡いて揺れ動いている。

 

そして此の三体のアトランティクス・レプノルカの正体について、プレイヤー達の前にエンカウントを報せるシステム画面が表示された事で、此の場に集って護衛に就いていた者は否応無しに状況の理解を強いられたのだ。

 

「どうやらシャンフロ運営は、俺達がアトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角"の出産を見届けて、はい終了…………というだけで終わらせてくれないらしい……………!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『モンスター不世出の発見(ディスカバー·エクゾーディナリー)!』

『討伐対象:アトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角(プロモスピア)"』

『エクゾーディナリーモンスターとの戦闘が開始されます』

 

 

 

『モンスター不世出の発見(ディスカバー·エクゾーディナリー)!』

『討伐対象:アトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角(プロモスピア)"』

『エクゾーディナリーモンスターとの戦闘が開始されます』

 

 

 

『モンスター不世出の発見(ディスカバー·エクゾーディナリー)!』

『討伐対象:アトランティクス・レプノルカ"憑依一体(エピタフ)"』

『エクゾーディナリーモンスターとの戦闘が開始されます』

 

 

 

 

 

三体の不世出存在が降臨し、事態は此処に混沌の様相を呈す。

 

 

 






襲い掛かるは三つの不世出(厳密には一体)



アトランティクス・レプノルカ"憑依一体(エピタフ)"

アトランティクス・レプノルカの不世出存在(エクゾーディナリー)で、アトランティクス・レプノルカの喰纏種(キメラ)がスレーギヴン・キャリアングラー"傀儡羅針(コンパペット)" との戦いに勝利、其のスレーギヴン・キャリアングラーを喰らった事で、新たに『自身の生命力を分けた分体生成+憑依による生きている肉体や死体の操作能力を獲得した個体』で、『自身の生命力を分けた分体を他の死に掛けor死んだモンスターに憑依、分体の生命力を与えた状態で蘇生から自分の思う儘に操り振るう傀儡とする、擬似的な死霊使い(ネクロマンサー)能力を得た』、死と生に対する冒涜と其れを可能としたトンデモ個体。

アトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角(プロモスピア)"が『産まれてから頭蓋骨が異常発達した個体が頭角にマナを溜め込み、脳髄が焼き切れる事無く生き残ってきた不世出個体』に対し、コイツは『産まれながらの喰纏種(キメラ)にして、成長と闘争の先で別の不世出個体を喰らって不世出個体に成った』ヤベー奴、アトランティクス・レプノルカのキメラ個体は容易に生み出してはいけない(戒め)。

『神は筆を振るい、世界は色を変える』で創世ちゃんが書き換えたデータをシャンフロサーバーが読み取り、今回ペッパー達に差し向けてきたアトランティクス・レプノルカの不世出個体がコイツ。

無論シャンフロサーバーも今回の事を含めて憑依一体を『海中内でコイツは倒せる様に自己調整を施している』し、何なら憑依一体が『自身の生命力を操ってる奴に与えて()()()しているギミック持ち』というのが、コイツを攻略する上で一番の鍵を握ってる。何なら狙うのは『憑依一体本体』じゃなくて、コイツが『生命力を分け与えて従わせてる御付きの連中達』が攻略法。

アトランティクス・レプノルカ"憑依一体"の見た目は、『デュエル・マスターズ』のカードの一枚『R.S.S.(レクスターズ)アアルカイト』。






アスカロン・リペア『ワクワク』
覇刀:龍神楽『ウズウズ』


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