VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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戦いは続く




(おう)(おう)(おう)の饗宴 〜其の十〜

アトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角(プロモスピア)"二体にアトランティクス・レプノルカ"憑依一体(エピタフ)"、そして幾多の深海に潜む未だ見ぬ猛者達との戦闘から約二十分経過したが、正直に言って混乱と混沌がごった返しした様な世界を泳いでいる気分である。

 

ル・ゲネテレが振るい、魚人族(マーマーン)に伝わる英傑武器(グレイトフル)のアスカロン・リペアを持っているが故に、深海の猛者連中の死線(ヘイト)無作為(ランダム)に向けられ、我先にと襲い掛かり、邪魔する連中を喰らい合う蠱毒じみた光景の中、ビィラック製作の海中戦適応武器達を用いて振るい。

 

更には己がヴァイスアッシュの鎧の力を借りて作り上げ、自己変革と自己進化によって海中に適応した覇刀(はとう):龍神楽(ドラグマ)と共に死線を潜り抜け、地獄のモンスターパレードで踊り(戦い)続けた事により、最終撃破目標の憑依一体とアスカロン・リペアに関する幾つか情報を手に入れた。

 

先ずアスカロン・リペアは、取り出し装備している間は一定範囲内の海中モンスターが四方八方………もっと言えば全方位全角度から魚介系海洋系のモンスターが襲い掛かって来る。イメージとしてはロボゲーやロボット物アニメに見受けられる『全天周囲モニター』で機体を操る乗り手(パイロット)の気分に等しい。

 

其のアスカロン・リペアも自身に刻まれたリュカオーンの愛呪(あいじゅ)が放つレベル以下逃走&同レベル戦闘回避効果、更にはサンラクのリュカオーンの刻傷(こくしょう)の持つレベル以下逃走&レベル以上戦闘率先参加効果より、アスカロン・リペアの持つヘイト引き付け効果が『余程で無い限りは()()されている事』。

 

アスカロン・リペアをインベントリやインベントリアに仕舞っている間、モンスター達は愛呪によって目の前からの逃走や戦闘を躊躇する仕草を見せるが、剣を抜き放って蛸足に握っている間は()が変わったかの様に此方に襲来、同じく襲来するモンスター同士で喰い合いする等の踊り食いが始まるのだ。

 

其の基準として尤も目安に成ったのは、アスカロン・リペアが存在する戦闘領域内に『コーラルホエールが居るか否か』が大きく、海の冬将軍と呼ばれる一角白鯨が居るとヘイト引き付け効果に対してモンスターは『理性的』になって、戦闘に参加しなかったり逃げたりと身の安全を優先、しかし居ない場合は一部を除き『狂気か魅了に取り憑かれた様に』、アスカロン・リペアの持ち主たるペッパーへ襲い掛かる。

 

またアトランティクス・レプノルカ"憑依一体"、アトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角"と同じ不世出存在(エクゾーディナリーモンスター)ながら、覇頭衝角とは毛色が違う進化分岐を経ただろう深海の王たる其れは、アスカロン・リペアに引き寄せられた深海の猛者達が襲来、或いは倒される度に『身体から放った分体を用いて其の存在を操作する』という、恐るべき能力を持った怪物。

 

生者だろうが死者だろうが、生体だろうと死体だろうとも、其の身を乗っ取って操り、敵に差し向ける様たるや、昔に遊んだレトロゲームの『黒幕に使える最高位の死霊使い(ネクロマンサー)』に等しく、文字通り高レベルのモンスターを軍隊規模で数押しを相手側が行う上、本体も決して動かない訳で無く、通常種や覇頭衝角同様に広範囲雷撃に格闘戦、距離を離し過ぎれば大火力ビーム発射という厄介な特色を持つ。

 

しかし憑依一体に分体を入れられ操られたアルクトゥス・レガレクスやノコギリザメのモンスターを叩き、前者は大ダメージの後者は撃破という結果を出した瞬間、其の存在から分体が脱出して本体に戻って取り込まれ、同時に本体が僅かながらに『怯みモーションが発生したのだ』。

 

此の事からペッパーは『アトランティクス・レプノルカ"憑依一体"は海中に居るネクロマンサー能力持ちのモンスターを喰った事で産まれた、特殊な個体にして異質な存在ではないか?』との予想と同時に、此の怪物の倒し方は『分体が入ったモンスターに一定以上のダメージor一定回数の攻撃を加える事で、操作個体から分体が本体に戻って本体にダメージのフィードバックが反映される』との仮説を立て。

 

そしてスレーギウン・キャリアングラーの不世出個体、寄生生物により乗っ取られて死に、そうして操られた『死せるが故に死なずの怪物』と成り果てし、スレーギウン・キャリアングラー"傀儡羅針(コンパペット)"を喰った影響で、奴はアトランティクス・レプノルカの攻撃力とスレーギウン・キャリアングラーの体力(スタミナ)耐久(タフネス)を持ち併せる、ギミックの解き明かしが出来ねば『文字通り不沈戦艦になっているモンスターと戦わねばならない』と、自分なりに結論を導くに至った。

 

(此の手のモンスターは蛸極王装で『分体が対象から出ない状態にして、其処に何百発の攻撃を重ねてフィードバックさせなきゃ』、正直何時までも倒せずにジリ貧でアウト。

後は頭数を揃える事だが、正直此の手は『相性が悪い可能性』の方が高い………何せ憑依一体が『生きてる奴にも分体取り憑き可能』で、其れが『プレイヤーのアバターの主導権を奪ったら』…………そりゃもう()()()()()()()だろう)

 

誰かの物語(ユニークシナリオ)最強種達(ユニークモンスター)物語(シナリオ)にバッドエンドは愚か、此の世界の物語(ワールドストーリー)其の物すらも最悪の終焉に追い込む事に躊躇無い辺り、ペッパーはシャンフロのシナリオライターやモンスターのデザインを考える奴等は『だいぶ頭がイカれている』と思いつつも、やはり警戒は緩めない。

 

「ドラグマ、イケるか!?」

『無論。既に奴等の粗方が持つ体皮の性質に、俺は適応している』

「ヨッシャ、やるぞ!」

 

敵モンスターの身体を利用した崖壁握蹴昇降進(ウォールフォー・エレベイツ)、海中で蛸足と武器による姿勢制御からインベントリアより武器を取り出し握って、同調連結スキル超跳躍(スーパージャンプ)で真上跳躍の回避と同時に、真上に向けて同調連結『穿と時と閃は流るふ(ティアライト・フィリィアス)』使用。

 

アスカロン・リペアと覇刀(はとう):龍神楽(ドラグマ)海喰の雑剣(バスタード・ブルー)海蝕晶剣(ヴォルブレアナイフ)の四つ振りから飛び出した刺突は上へと向かい、途中でマクセル・ドッジアーツに置ける多重的円周運動(オービット・ムーブメント)挙動を行えるギャラクシア・スピニング使用で横移動、からのヘイト付与の残像切り離しスキルたるコスモ・ネビュラで視線を上に向けさせつつ、此方はアトランティクス・レプノルカ達との距離感を維持。

 

真上に放った武器達が持つ武器の能力が付随した、刺突属性からなる運動エネルギーを乗せた殲撃の雨は海の底目掛けて降り注ぎ、ヘイト付与の残像を貫いて深海の猛者達に突き刺さって、其のどれもが此れもが『海洋系モンスターに対するダメージ補正やダメージ強化』、或いは『相手の体質に最も通る性質を宿す』が故に少なくないダメージが入り、一部は憑依一体が入っていた個体から分体が出て来て、本体に戻ってダメージによる怯みモーションが発生した。

 

(コレ、効いてるのかなぁ…………?!)

 

分体が本体に戻り、ダメージがフィードバックされているのは確定し、本体其の物の耐久が異常な相手なのも確定した。

 

アンデッド属性疑惑が有る敵に、海中で聖水やらをブッ掛けてやりたいと思うフラストレーションが高まる中、集中するペッパーの耳に『海中を跳ね蹴り近付く音』が聞こえ。

 

「ブッ飛ばすぜオルァ!!!」

 

海中に靡く赤い帯が閃を海を走り、ノコギリザメのモンスターの横っ面をブン殴って、海中でポポポン!と弾け跳ねる音を鳴らし、勇者の前に着地する。

 

「おうおう、随分派手に暴れ散らかしまくってるじゃねーの。ペッパー君よぉ〜?」

「…………其の様子じゃ、大方()()の操作感や扱いには慣れたみたいだね。サンラク」

 

マクティスシリーズの頭と腰装備、深層深海の超重水圧下で動く三種の神器、其の腕に紅蓮海の拳帯(レガレクス・セスタス)を其の脚に深厳戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)を纏ったサンラクが、此の混沌にやって来たのだ。

 

 






到来した者


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