VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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其れを手にした経緯




(おう)(おう)(おう)の饗宴 〜其の十一〜

 

 

時間は少し遡る…………──────

 

 

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「サンラク、一つ質問良いか?」

「ん?何だいきなり」

 

アトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角"の出産護衛の防衛線を維持する中、軽やかに水中を跳ねて泳ぐペッパーが周辺警戒を怠る事無く、同じく周辺警戒を続けるサンラクに話し掛ける。

 

「サンラクのステータス、筋力200以上かつ技量150以上有る?」

「まぁ其れくらいは有るが………どうした急に」

 

一体何故そんな質問をするのかと疑問を抱く中、目の前に現れるはシャンフロに置ける『アイテムの譲渡申請』のシステムウィンドウ、其処に示されたのは彼が今現在両脚に纏い、何時だったかビィラックに頼んで『万が一の事態に備えたい』との理由で拵えて貰った、甦機装(リ·レガシーウェポン):深厳戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)

 

三桁スキルで空中歩行を行うヘルメスブート、進化前の空中に踏み止まるフリットフロートと進化前の二段ジャンプ可能なスカイウォーカーを併せた挙動を、言霊か海中なら心で唱える事によって発動可能な、地上空中は愚か海中戦で水中機動持ちのプレイヤーや魚人族に匹敵するだけ機動力を得る其れは、スキル使用経験が有るサンラクをしても煌蠍の籠手(ギルタ・ブリル)に比肩する『遊べ得る玩具』な()を持つ、ビィラック謹製にして傑作の甦機装。

 

「シャンフロのシステム的観点からして、多分『出産見届けて終了』…………なんて、そうは問屋が下ろしちゃくれんだろうってのが『一つ』。後はそうだね…………俺一人で『大群相手に持ち堪えられない場面が来た時に、此のゲーム(シャンフロ)最速のプレイヤーに颯爽と駆け付けて欲しい』って思惑が有る」

 

ペッパーというプレイヤーを様々なゲームで見てきたサンラクをして、ネフホロや幕末でのタンク適性が非常に高く、持ち前の思考深度のイカれ具合からして時間を掛ければ掛ける程、攻略難易度が異常な勢いで跳ね上がる変態下ネタ変声機(ディープスローター)………今は亡き魔法創造の世界(スペル・クリエイション・オンライン)の地で男性の睾丸(ナッツクラッカー)を意味するプレイヤーが浮かぶ事が多い。

 

彼女の声帯変更(ボイスチェンジ)を始めとする異質極まる模倣技能は、彼が扱う見様見真似(なんちゃって)役割模倣(ロールプレイ)盗んだ(パクった)技術………即ち大元(オリジナル)がディープスローターの扱うモノで、其の技術にペッパーが研鑽し続けたヒット&アウェイ戦法を加えて血肉とし、今現在のスタイルに到った。

 

思考深度がイカれた頭がレトロゲーマーの彼がそうまで言うのは、プレイヤーの中でも最奥の深さまで潜った最大潜水(ダイブホルダー)のレコード所持者で有ると同時に、深海の領域が如何に恐ろしく油断も隙も許されない混沌かを知っているからで有り、其の危機的な状況(シチュエーション)に対処する為の戦力を、純粋に欲しているからだろう。

 

「…………其れ俺にリアルミーティアスを演じろと申して?」

「違う違う、俺にも出来る事と出来ない事くらいは有るよ。レコードホルダーでも万能じゃないのは、自分がよく解っている。だからこそ、最速のプレイヤーの力を貸して欲しいんだ」

「そんじゃ遠慮無く…………けど最大八分しか持たねぇぞ俺」

「あ、其処に関しては気にしなくて良い。コイツは………深厳戟響脚は『刻傷(こくしょう)でブッ壊れる程ヤワな性質した武器じゃ無い』からさ」

「───────は?……………えっ?いやオイ、其れ………マジ、か???」

「……………コクリ(ニッコリ)」

 

其の言葉を聞いてサンラクの脳内でシナプスが直結、迸る電流が連鎖反応からのビッグバンを引き起こし。

 

そしてクターニッドのパワードスーツで見えない筈のペッパーが、どうにもホッコリと微笑んだ事と頷いた事、申請を受理して受け取った深厳戟響脚のフレーバーテキストを見た事で、サンラクは漸く確信するに至ったのである………………。

 

尚、同時に武器狂い(SOHO-ZONE)とヒュクノティムが数割増しでハッスルし始め、面倒臭い状況にはなったが。

 

 

 

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「さぁて…………どうにも連中が溢れ返って面倒な状況ってのは、コレ見ただけでも判断出来らぁな…………」

「アスカロンが本格的に魚介系や海洋系モンスターに特攻持ちなのと、相手視点パーティー構築でガン刺さりレベルで重過ぎる存在なんだろう。取り出してる間、コーラルホエールが居ないと寄って集って襲って来るし」

「呪いの武器か何かかよソレ…………って、来たぞ!」

「おっととと!!」

 

気を抜くなとばかりに深海の猛者達が来襲し、勇者と戦士が散開する。

 

以前までのサンラクならば女帝皮布の疑似鰭(キャリアングラー・フィン)は在れど海中機動には難が有り、魚人族(マーマーン)のNPCか魚人族に改宗(コンバージョン)済のプレイヤーの手を借りなくては、さっきの殺到で踊り食いされていただろうが、今は文字通り機動力が『根本的に違う』。

 

海水圧が現実と遜色無く、物理的エンジンが働くシャンフロの世界、其の環境で地上の状況と何ら変わらず動け、地上と同じ様に戦う事が出来る様になったのなら────────其れはシャンフロプレイヤー内で最速の存在が、己が持ち得る力を十全に発揮出来るという『敢然たる事実』に他ならない。

 

「フッ、フハハハ………ハハハハハハハハハァ!あー、ヤッベ、ちょーたーのし〜!!!」

 

海中を蹴り、走り、跳ね飛び、靡く拳帯が膨れ上り、隙間から漏れ出る銀の輝きと共に、エイ型のモンスターの横っ腹を殴り付け、三度の衝撃が其の身を貫き討ち果たす。

 

此方も負けじとサンラクの後隙を埋め、タンク装備の蛸極王装を纏う者としての役割を果たすべく武器を切り替え、スキルで補強し大海鐘(だいかいしょう)紅蓮海の撃鞭(レガレクス・ウィスパー)で敵を殴りて打って屠り。

 

残った蛸足で機動と素材回収しつつも、アスカロン・リペアを再生成(リバース)派生にするのに撃破必須のアトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角(プロモスピア)"、最終撃破目標のアトランティクス・レプノルカ"憑依一体(エピタフ)"に大火力ビームを撃たせぬ様、適切な位置取りをし続けて。

 

 

 

 

「モルド、其れから他、掴まってて。海王ブースト」

『ひ、ひゃい!』

「狙撃行くよ!」

「ざっつぅ!?ですが狙撃ならば問題無し………!」

「踊り食いですねぇ、ヒャッホウ!!!」

 

 

 

 

タイミングが良いのか悪いのか、天将王装を纏ったルストと其の背に魚人族鍛冶師謹製の装備で海中仕様にしたモルド・SOHO-ZONE・ヒュクノティムが掴まり、此の戦場に援軍として到来から海中仕様の狙撃銃でブチ抜き始めた。

 

「サンラク、ルスト、一回集合!憑依一体の特色を伝え───────!」

 

ゾワリ!と、深海の冷たさとはまた違った殺意が背中を走る。

 

真上へ移動した憑依一体、其の巨体から放たれたノイズとも言える『超音波』が響き渡れば、覇頭衝角の一体と周りに居たモンスター達から『憑依一体の分体達』が出て来て、其のまま憑依一体の口の中に取り込まれ。

 

刹那、其処から飛び出し飛来するは『人魂サイズまで縮小した憑依一体が六匹』、其れも魚雷か其れ以上の速度でプレイヤー達目掛けて襲来し。

 

「はっ!?」

「うぉっ?!」

「ッ!?」

「うわっ!?」

「ぐぬっ!!?」

「どわ!?」

 

防御姿勢を取ったペッパー、咄嗟に回避しても追い付かれたサンラク、何かヤバいと海中仕様狙撃銃から突発的に冥王の鏡盾(ディス・パテル)を持ち、持ち手を握って鏡面を開いたSOHO-ZONE、其の三人目掛けた憑依一体は()()()

 

逆に狙撃等で撃ち落とさんとしたモルド・ヒュクノティム、通海でカウンターを掛けたルストの身体には憑依一体が直撃、三人はダランと………まるで力を失った様に身動きを止めた。

 

「ソウちゃん!」

「ペッパー君!」

 

海中を跳ね泳ぎ蛸足を伸ばして武器狂いを回収し、サンラクも近くまで跳ね泳いで合流すれば、先の三人が静かに動き出す。

 

だが三人の身体の動きは何処か()()()()()

 

装備を纏うからこそ表情を伺えないが、其の身から放たれる気配は()()()()()()()()()()()()

 

「…………なぁ、ペッパー。俺、物凄く『嫌な予感』してるんだが…………?」

「奇遇ですね、サンラクさん。実は私も『ヤバい気配』を感じてますよ…………」

「うん、二人の予想は正しいよ。憑依一体………奴は『死者生者構わず自分の分霊体を憑依させ、肉体の主導権を奪って操る』…………そういう生態を持ったモンスターだ」

 

強大な敵を相手に複数人、或いはチームやパーティーを組んで戦うのは、狩りゲーやオンラインゲーでは『当たり前』として通じる要素(モノ)だ。

 

そしてアトランティクス・レプノルカ"憑依一体"は其の『当たり前』を否定し、プレイヤーアバターの主導権を強奪・数的優位をひっくり返すといった、恐るべき『怪物』と断じるに等しい存在なのである。

 

 

 

「さて、こっからが本当の正念場だ……………!」

 

 

 






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