「「「「「おお!!!」」」」」
『……綺麗だ』
「タイガーの故郷って凄く綺麗だな!」
「いや、おれは魚人街出身なんだ」
「「「「「魚人街??」」」」」
『あとで案内してくれぬか?観光したい』
「構わねぇが……」
『礼を言う。お前らも、タイガーの同胞達に顔を見せたら観光してこい』
「「「「「やったーーーー!!!」」」」」
【とある鋸鮫の話…】
大アニキが帰ってきたという知らせがあった。急いで大アニキがいる場所へ向かった。
「おお!アーロン、ジンベエ!久しぶりだな!!」
『タイガーの同胞か?』
「おう。帽子被ってる奴がアーロン。その横にいるのがジンベエだ」
『フム……』
大アニキの
「大アニキ…何で
「あ」
『貴様…今、何と言った?』
「
『タイガー、貴様は黙っていろ』
「アーロン…すまねえ…………!!」
『さて、貴様……我を人間と言ったな』
「人間だろ!見た目からして!!」
『違う!!我は妖怪!!百鬼夜行の頭である!!あの忌々しき奴らと一緒にするでない!!何より!貴様らより歳上だ!!』
「いくつなんだ?」
「タイのアニキ……女に年齢を聞くのは失礼じゃぞ」
「そうなのか?!」
『もうすぐ600になる』
「ろっ……!?!!」
「人間がそんなに生きれるわけねぇだろ!!」
『人間ではないと!!言っておる!!!』
「アーロン!もうやめろ!!傀儡は重傷のおれを助けてくれた恩人だ!!」
「ッ……!!」
大アニキの恩人…。この女が…!
『タイガーの同胞は気が荒いな。そこの奴は落ち着いておるが…』
「だが、かわいい弟分だ」
『成る程……タイガーは我と同じ立場の者か』
「おれは別に百鬼夜行のリーダーじゃないぞ?」
『お前は魚人街の同胞達をまとめ上げておるのだろう?我と同じではないか』
「………そうか?」
『そうだろう。あ、待ってろ。我の同胞達を呼んでくる』
「おう」
どうせ人間だろ。おれらを油断させて攫おうとしてるに決まってる。
『呼んできたぞ!』
「「はやっ?!!」
「おう。おれの弟分のアーロンとジンベエだ」
「俺は
「
『名乗るのが遅れた。我は傀儡。
そいつらの後ろには人間とは程遠い姿の化け物もいた。この化け物どものリーダーかこの女…。人間だと思っていた女は、本当に化け物だったらしい。
「おれは竜宮城に行ってくる。その間、観光しててくれ」
「「「「「リーダー」」」」」
『構わぬ。しかし、人間以外に迷惑をかけるでないぞ?』
「「「「「はい!!リーダー!!」」」」」
「んじゃ、俺は酒探してくる!!」
「私は宴の用意をしてきます」
『気をつけるのだぞー』
化け物どもが散り散りになった後、女はその場に座った。アニキは大アニキと一緒に竜宮城に行った。つまり、この女の近くにいるのはおれだけだ。
「お前は、行かねぇのかよ」
『タイガーに魚人街の案内を頼んでおるのだ。勝手に動いては失礼だろう』
「魚人街を?」
『タイガーの出身地なのだ。この目で見てみたいのだ』
「……魚人街は荒くれ者が集まる場所だ。元は孤児院だったらしいが、今ではスラム街になってる」
『貴様やジンベエもそこで育ったのか?』
「そうだ」
何でおれはコイツの質問に答えてんだ。何でコイツの話し相手になってんだ。
「………なんで、おれらを見て怖がらねぇんだ」
『恐怖に関しては我ら妖怪が上だからだ。貴様らよりも恐ろしい見た目の同胞を知っておるからな』
「そうかよ……。なぁ、お前も人間が嫌いなのか?」
『嫌いでない者はおらんと思うが?人間を好きな者もおれば嫌いな者だっておるのが世の理だろう。我は、我ら妖怪への畏れを忘れた人間が嫌いだ。我を生み出した欲深い人間が嫌いだ。我を式神から堕としたあの
「天竜人はどう思う…」
『下衆オブ下衆。殺したいランキング殿堂入りしておる』
「シャハハハハハ!!だが、実際に1人殺してんだろ?」
『……………?』
「忘れてんのかよ。10年ぐらい前だよ。お前の手配書が出た時だ」
『…………ああ、アイツか。青坊主を無理矢理我から奪おうとしたのだ。死んで当然だと思っておる』
「当たり前だ。天竜人は同胞達を奴隷にして殺してるんだ。死んで当然だ」
『お前……話がわかる奴だな。ところで、人魚とはマーメイドとマーマンのことか?』
「そうだ。知らなかったのか?」
『人面魚のことかとずっと思っておった……。そうか、マーフォークの事だったのか』
「随分と古い言い方をするんだな」
『我はそう習ったからな』
「誰にだ?」
『百鬼夜行の初代頭、八岐大蛇様だ。たった数ヶ月…短い時間で我にここまで知識を与えてくれたお方だ』
おれらは大アニキ達が戻ってくるまで話続けた。そして、お互いの名前を呼び合うぐらいにはなった。
「すまん。待たせたか?」
『構わん。アーロンの話は面白かったからな』
「おれも楽しかったぜ!」
「……いつの間に仲良くなったんだ?」
『ヒトの懐に入り込むのは先代の得意分野だが、我らができぬというわけではないよ。まぁ、先代とは月とスッポンだがな。我らは聞き上手、話し上手というだけだ』
「良い事だろ?」
『妖怪にあまり心を許さぬ方が良いぞ?百鬼夜行に入っておらん妖怪は無理難題を出す事もあるのだからな』
「どんなのだ?」
『骨や魂を欲しがる者がおる』
「マジか」
「対処法はないのか?」
『骨の場合は白くて硬い棒状の物を差し出しとけば良い。骨を欲しがる奴は結婚するから欲しがるのだ。白くて美しい骨、髪飾り辺りに使うのだろう。骨女から一本借りればいいものを……』
「魂の場合は?」
『我を呼べ』
「「「?」」」
『だから、我を呼べ。そういった輩は痛めつけんと意味がないのだ。我が潰す』
見た目と違って凶暴だな…傀儡の奴……。頼もしいけどよ。しかし、同胞でもあるのに潰すのか。
『力の差を見せつけんと良からぬ事をし続ける。我が上だと覚えさせ、従ってもらうのだ』
「それは……」
『妖怪の世界では常識だ。しかし……ここ150年間、そういった輩は現れておらん。頭の隅にでも入れておけ。お前らが相手をしても問題はないと思うぞ』
「じゃあ、なんでお前を呼ばなきゃダメなんだ?」
『念の為だ。タイガーは変なところでお人好しだからな』
「「ああ……」」
「何で納得するんだよ。お前ら」
『………ここが魚人街か』
「おう」
『ここでタイガー達は育ったのか』
「おう…」
『そうか。美しいな』
「お前だけだと思うぞ。そんな事言うの」
『思った事を言ったまでだ。シミ一つない白を美しいと言う者がいれば、
「お前は後者か?」
『違う』
「なら、前者か?」
『それも違う。我は両方美しいと思う。そして、曖昧なものも美しいと思っておる。この魚人街は白か黒ではなく、灰色なのだ』
「……何でだ?」
『
「…………ああ」
『なんとなくでも良い、些細なことでも良い、息抜きのために我らの下に来ても良い、人間を嫌っていても良い、恨んでいても良い……せめて少しでも、心の泥を吐かんと、お前が鬼になってしまう』
「鬼……か」
『我ら妖怪の中でも最強と言われておった種族だ。怨み、憎しみ、怒り等の感情により鬼へと死ぬ前に変わる者もいた。基本は死んでからだがな。我はお前を鬼にしたくないのだ。我は故郷で面白い人間に出会った。お前もきっと会える。我が保証しよう。それまでは死ぬでないぞ』
「嗚呼。お前らと同じなら……死んでもいいかもな」
『何か言ったか?』
「何も言ってねぇよ」
『そうか。よし、戻るか!女郎達が宴の用意をしてくれておる!!また会える日を楽しみにしておるぞ?タイガー、我の唯一無二の友よ!!』
「おう!」
『さて、次は何処を襲おうか?』