海賊世界で百鬼夜行   作:風人雷震

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百鬼夜行、人間に畏れられる

 

 

 

『我がなは傀儡(かいる)!!魑魅魍魎(ちみもうりょう)の主である!!』

「「「「「ウォォォォォォォォォォ!!」」」」」

今宵(こよい)は多くの人間どもを襲い、畏れられなければならん!!なぜか解るか?!』

「はい!リーダー!!」

『何だ。火車よ』

「我らが侍どもと勘違いされているからです!!」

『その通りだ!!憎き侍どもと勘違いされ、畏れとはかけ離れた感謝など……!!』

「リーダー…」

()いか?!まずは金目のものを持っていそうな奴を襲う!!そして!平和ボケしている人間どもを襲う!!そうすれば人間どもは我らを畏れる!!』

「「「「「おぉ…!!」」」」」

「流石、リーダー!頭良いぜ!!」

「リーダー、カッケェ!!」

「よ!魑魅魍魎の主!!」

『そんなに当たり前のことを褒めるでない…褒めても秘蔵の酒しか出ぬぞ!!』

「「「「「ウォォォォォォォォォォ!!」」」」」

「「「「「きゃ〜〜〜〜〜〜〜!!!」」」」」

『人間を多く襲ったものにこの酒を褒美として渡そう!!さぁ!!多くの人間どもを襲うのだ!!!』

「「「「「了解しました!!我らがリーダー、傀儡様!!!」」」」」

 

 

 

__魑魅魍魎の主になり数百年…昔は脅かすだけで畏れられていたのに……侍が力をつけてからというもの我らは与太話のものだと思われてしまった!!!そんな屈辱を晴らさねばならん!!!

 

 

 

傀儡、見た目は20歳ぐらいの人間の女性である。中身は500歳を超えてるババァであるが、化け物達の中では上から47番目であるから若い方なのだ。年長者は5,800歳の羽衣狐(はごろもぎつね)だ。

 

 

 

『行くぞ!百鬼夜行の始まりだ!!!』

「「「「「ウォォォォォォォォォォ!!!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【とある役者の話…】

 

 

あれはいつもの様におれが両親の舞台の宣伝をしている時だった。この日は遅くまで宣伝していた(ゆえ)、帰る時には月が夜空に浮かんでおった。

 

 

 

「「「「「ウォォォォォォォォォォ!!」」」」」

 

 

 

何処からか雄叫びが聞こえ、その方向へ進んだ。そこで見たのは、

 

 

 

『進め!我が同胞達よ!!脅かし、襲え!!恐怖を!!畏れを!!骨の髄まで叩き込め!!我らは百鬼夜行!!!人間どもを畏れで支配する者達だ!!!』

 

 

 

化け物どもに大声で呼びかける若い女。黒く、艶のある髪。白く、透き通る肌。猫の様に鋭い眼、まるで人形の様な女が化け物どもと共にいた。

 

 

 

「ヒッ…!やめ、やめてくれ!!!」

「来るな!来るなぁぁぁぁぁぁ!!!」

「誰か!!誰かたすけてくれぇぇぇぇぇ!!!」

『"やめてくれ"?"来るな"?"助けてくれ"?嬉しいことを言うではないか!!もっと我らを畏れよ!!!』

 

 

 

襲われていた3人の男は、金品を置いてって去っていった。おれもこの場を去ろうとしたが、女と目が合った。

 

 

 

『ム?なんだ貴様は?まだ餓鬼だな』

「は、離せ!」

『ウム…餓鬼の生肝は美味いと聞く』

「ッ…!!」

「リーダー!……ん?なんっスか?その人間の餓鬼」

『知らん。いつの間にかおった』

「どうするんっスか?」

『………よし、おい餓鬼』

「な、何だ!」

『何か芸を披露しろ』

「は?」

『その後に貴様をどうするかを決める!!我らはこの後、あの人間どもの金品を使い酒や食い物を持ってくる!!行くぞ!!』

「「「「「ウォォォォォォォォォォ!!!」」」」」

 

 

 

何故かおれも連れられた。女は人間に近い姿をした化け物(と、おれ)を連れて、魚屋や八百屋、酒屋に向かった。

 

 

 

『この(かんざし)とこの店の食い物を交換しろ。足りんと言うのならばこの水晶もつけよう』

「こちらの髪飾とそちらのお野菜を交換してくれませんかぁ?」

「この店の酒をコレと交換しろ」

 

 

 

女達はそう言って金品を見せつける。店主達は泣きながら礼を言い、大量の食い物と酒を渡した。おれは何故、礼を言ったのか聞いたら…

 

 

 

「先月、空き巣にあって簪と水晶を取られたんだ。あの人はそれを取り返して私に返してくださった。コレらは母の形見だったんだ…」

「この髪飾、夫が初めてくれた贈り物なの。盗まれた時はとても悲しかったわ。でも、返ってきて本当に良かった…!」

「これは只の硝子(がらす)玉じゃねぇんだ。娘がくれたもんなんだ。あれだけじゃお礼には足りないと思うがな…」

 

 

 

つまり、あの女達は盗まれた金品を取り返しただけだったのだ。口ではあの様に言っているが心優しい者たちなのやもしれん。

 

 

 

『さて、餓鬼よ。芸を披露しろ』

「リーダー、そんな餓鬼に芸なんてできるの?」

「犬の方がマシだと思うぜ」

『五月蝿いぞ!今宵は人間どもがあの3人しか出ていなかったのだ!!暇つぶし程度にはなるだろう?!』

「つまらなかったらどうするんで?」

『食い殺すか?』

「本当ですか?!」

『つまらなかったらだ!!見てから決める!!』

 

 

 

知らん間におれの未来が決まっていってる。つまらなければ死。おれ自身の生死をかけた芸を、舞台を見せなければ!!そう思い、必死に、愉快に、芸を披露した。気がつけば日が登ろうとしていた。

 

 

 

『ウム…もうその様な時間か。運が良いな餓鬼。我らは帰る。次会う時はもう少し上手くなっていることを祈ってるぞ』

 

 

 

女はそう言って森の方へ進んでいく。

 

 

 

「良かったじゃねぇか!死ななくてよ!!」

「運が良いなあ。本当によ」

「あら?わっちは好きよ?」

「マジかよ?!」

 

 

 

化け物どもも女に続いて去っていく。

 

 

 

「ま、待ってくれ!名は?!」

『………』

「おれは黒炭カン十郎という!!どうか!!名を教えてくれ!」

傀儡(かいる)。人間どもを恐怖で支配する者の名だ!!しかと覚えよ!!!カン十郎!!!』

 

 

 

その日からおれは、演技を磨き続けた。いつか、いつか認めてもらえる様に、気に入ってもらえる様に。あの、心の優しき人に「良い舞台だった」と言われる様に…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『宴じゃぁぁぁぁぁぁ!!!』

「「「「「ウォォォォォォォォォォ!!!」」」」」

『今宵は人間どもが3人という悲しき結果だったな…』

「ですが、ものすごく畏れてました!!」

『そうだな!!これを今、祝わずいつ祝う!?!!さぁ!!飲め!食え!歌え!!踊れ!!我らは百鬼夜行!!人間どもに畏れられる者なり!!!』

「ふふふふ…それにしても、金品を見せつけたら泣いたましたね〜」

「あの金品でこの量だと店が成り立たねぇからな!!」

「あの餓鬼も命拾いしたなぁ!!」

『芸はイマイチだったが、話は中々良かったな』

「「「「「ですねーー」」」」」

 

 

 

 

『さて、次は何処を襲おうか?』

 

 

 

 

 

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