今回は最初から鴆視点でのお話です。
酒が美味い。タイガーの話を聞いてからずっと酒が美味い。いやぁ…まさか本当にタイガーが
「こんなうまい話を肴にせずにはいられない!!!ダッハハハハハハハハハ!!!」
「「「「「うわぁ……」」」」」ドン引き
「最低」
「流石、妖怪一のクズ」
「なのにモテるんだよなぁ……」
「っるせぇぞ!!クズでも顔が良ければ良いんだよ!!」
「「「「「リーダーには効かないけどな」」」」」
「言うんじゃねぇ!!!」
俺は顔がいい。自称ではない、実際にモテてる。クズなのも認める。百鬼夜行に入る前までは、この顔を使ってヒモをやってた。その時が
百鬼夜行の頭が変わったと聞いた時、チャンスだと思った。上手くいけば優遇されるのでは?と。で、傀儡に会って他の女どもと同じように接した。だが…
『百鬼夜行に入りたいのか!構わん!!我は来る者拒まず、去る者追わずの精神だ!戦闘はできるか?治療は?料理は?』
今までの女とは全く別者だった。「何だコイツ」と実際に言った記憶もある。治療はできると言えば、戦闘には出されなかった。が、俺を襲おうとした奴を毒で攻撃した時の傀儡の顔は今でも思い出せる。俺はそれを見て気づいた。「ああ、俺はコイツに敵わねぇ」って。あの顔を見たら誰だって思う。あんな…
『ホォ…お前、毒を使えるのか』
獲物を見つけて嬉しそうに笑う血まみれのアイツを……。冷や汗が止まらなくて、自分の毒で自害しようかとも考えた。
『ム、すまん。返り血が付いていた。落とすから待ってろ』
だけど、そんな事を言うアイツに俺は思った。「コイツ馬鹿だ」と。
『よし!落ちた!』
「………落ちてねぇよ。ほら、反対にも付いてっぞ」
『ム』
「ほら」
『……礼を言うぞ!
今思うとアレが原因だな。まぁ、あんな事しなくても、あの渾名をつけるのは傀儡の中では決定してたんだろうな。俺より歳下の百鬼夜行の頭。自分に向けられた想いは気づいたとしても知らないふり。そんな女に…タイガーが惚れた。
「………」ゴッゴッゴッ
傀儡はタイガーを気に入っている。この百鬼夜行では周知の事実だ。
「あ"ぁ〜〜〜〜〜〜〜!!美味い!!」
俺らだってタイガーなら大歓迎だ。何なら恋人通り越して
「あ、傀儡に電伝虫の事言ってねぇ」
ジンベエから貰った電伝虫はまだ俺の手元にある。俺がかけると出るのは大体ジンベエ、稀にタイガー、激レアでアーロン。元々ジンベエから貰った
「………今日もかけるか」
「プルプルプル…プルプルプル…ガチャ」
《タコ》
「焼き。って、毎回これやってるけどよ…楽しいか?」
《おう!》
「そうか……。で、他の奴は?」
《皆んな寝てるぞー。アーロンさんも今日は寝てる》
「ふーん。お前は夜更かしか?ハチ」
《ニュ〜〜〜。目が覚めて、水飲みに行ったら鳴ってたから出ただけだ》
「そうか。………タイガーは元気か?」
《ニュ?この間もかけたんだろ?》
「まあ、そうなんだが……」
《タイガーさんもオレらも元気だぞ!鴆は心配性だな〜〜》
「………そうだな。心配なのかもな」
俺ら妖怪は人間との縄張り争いが当たり前だった。昨日会って話した奴が翌日には死んでいた事だってあった。そいつの声を残す方法など無かった。遠くにいる奴らとの連絡手段なんて手紙ぐらいだった。だから、なのだろう。電伝虫という便利なものが現れた時、いつの間にか失っていないかを確認していた。それが癖付いちまったんだろ。今は傀儡が全妖怪を百鬼夜行に入れたからすぐに確認できるから直ったと思ったんだが…直って無かったのか。
「なぁ、ハチ」
《何だ?》
「…………お前は変わるなよ」
《ニュ〜?》
「ハハハハハ。分からなくても構わねぇよ。いつか分かるさ。俺らも何百年も生きてやっと分かることもあるからな」
《そうか〜》
「いい夢見ろよ」
《お〜、おやすみ〜〜》ガチャ
「…………はぁ」
なぁんでハチと話すと弱音が出そうになるんだ?傀儡と話す時は自分から言うってのは無いけど、ハチと話すと自分から話しそうになる。何なんだ?
『…………鴆の奴、隣の事務室は壁が薄いということ忘れておるな。しかし、鴆がなぁ。ハチか。覚えておこう。鴆の婿候補だからな』
『さて、次は何処を襲おうか?』