海賊世界で百鬼夜行   作:風人雷震

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百鬼夜行、河童を拾う

 

 

 

「リーダー!!」

『何だ?!河童よ!!』

「同族が死にかけてます!!」

『何!?おい、誰か(ぜん)を呼べ!!河童、案内しろ!!』

「はい!」

『他のものは留守番だ!!』

「「「「「了解しました!!我らがリーダー、傀儡(かいる)様!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【とある河童の話…】

 

 

あれは、母上と共に人間たちから逃げている時だった。母上が転んで、おれが駆け寄ったその時、あの人たちは来た。

 

 

 

『河童の同族よ!!無事か?!!』

「「えっ……?」」

『ム!酷い傷だ…鴆!!』

「とりあえず安全な場所に運べ!!糞餓鬼!!」

『餓鬼ではないと何度言えば分かるのだ!!おっさん!!!』

「俺はまだ600だ!!!」

『嘘つけ!!先月650になったことを知っておるぞ!!若作りジジイめが!!』

「とにかく運べ!!」

「はい!!」

『河童の同族よ。今助けてやるからな』

 

 

 

おれと母上を見て、気味悪がらずに助けてくれた女たち。それがとても、嬉しかった。

 

 

 

「栄養失調に化膿…どんなに頑張っても1ヶ月が限界だ」

『………そうか』

「ウッ…ウゥゥゥゥゥ…!!」

『泣くな、河童よ』

「ですが、リーダー!!」

『まだ死んではおらん。この女は生きておる』

「………あの!」

『ム?何だこの女の(ややこ)か?』

「は、母上は…助かるのですか……?」

『無理だ』

 

 

ゴンッ!!

 

 

「こんなちっこい餓鬼に事実を突きつけるな!!」

『お前がトドメをさしたぞ』

「あ…」

「…………うっ…ひっ」

「な、泣くんじゃねぇ!大丈夫だ!!おじさんが頑張るから!!な?」

 

 

 

今思えばアレは本当に酷かった。もう少し別の言い方は無かったのかと思うが…逆に、アレで良かったのやもしれん。あの人も言っていた。

 

 

 

態々(わざわざ)、遠回しに言って余計に辛くなるのはその子河童(こがっぱ)だろ?親しい者の死を知るのも生きていく中で必要なことだ。ましてや、親の死は特にな』

「「………」」

『我らも侍どもとの戦いで同胞達を失った。だからこそ、生きなければならん。その同胞達の分まで。何十年、何百年経っても我らは百鬼夜行を続けるのだ。例え、我1人となろうとも!』

「それは、何故?」

『百鬼夜行は同胞達を導くのだ!!我の背後(うしろ)には必ず同胞達がいる!!我1人で歩いても、同胞達は我の背後にいつでも戻ってくるのだ!!それは何故か?!決まっている!!我が同胞達を忘れておらんからだ!!!

「忘れてないから…?」

そうだ!!我が同胞達を忘れてしまったら百鬼夜行が成り立たん!!同胞達がいるから百鬼夜行が成り立つのだ!!我だけでの百鬼夜行なんてカッコ悪いしな!!

「ですが、先ほどと言ってることが…」

『違わん!!同胞達を全て覚えてる我と、同胞達を全て忘れた我が行う百鬼夜行は別物だ!!人間も、妖怪である我らも、忘れられたら死んでしまうのだ』

「忘れられたら、死ぬ…」

『そうだ。子河童よ、母の側にいてやれ。同族の河童もいる。人間に見つかったなら我らがどうにかしよう』

 

 

 

どうして、そこまで優しくしてくれるのか。どうして、助けてくれたのか。そんな考えで頭がいっぱいだった。

 

 

 

「………ぁ」

「お、起きたか!おい、糞餓鬼!!女が起きたぞ!!」

『糞餓鬼と言うなと何度も言ってるだろうジジイ!!』

「あの…貴女たちは……?」

『何だ、知らんのか。知らんならば教えてやろう!!!我が名は傀儡(かいる)魑魅魍魎(ちみもうりょう)の主である!!

「魑魅魍魎の……主?」

『そうだ。お前らさえ良ければ一時的だが百鬼夜行に入れてやる。うちの河童の同族だしな!!』

「いえ、私たちは河童ではなく……」

『河童じゃない……?お前の子は水掻きもあるのにか?』

「はい、河松は魚人で…」

『河松!河松と言うのか!!やはり、河童ではないか!!』

「で、お前は何の妖怪だ?」

「母上は人魚です!!」

『人魚だと?!人間そっくりに化けるとは…』

「リーダー!!やはり、百鬼夜行で保護を…」

「俺も賛成だ。此処で治療を続けるのは限度がある。何より、アジトの方が栄養のある食いもんと薬なんかも豊富だ」

『よし!!決まりだな!!』

 

 

 

人の話を聞かずに勝手に決めていくその人たちは、とても頼もしく見えた。あの人たちのおかげで母上は予定より長く生きることができた。自分が河童であると思うことができた。あの人は人間を恐怖で支配すると言っているが、きっと無理だ。あの人は…あの人たちは優しすぎるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『………河童、鴆』

「はい、リーダー」

「何だ…傀儡」

『河松は?』

「修行の旅に出るってよ」

「恩返しをしたいからと…」

『恩を返す必要などないと言うのに……全く、誰に似たんだか』

「河童だろ」「鴆殿では?」

『………成る程、お前ら全員か』

 

 

 

『さて、次は何処を襲おうか?』

 

 

 

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