海賊世界で百鬼夜行   作:風人雷震

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百鬼夜行、代償

 

 

 

「薬持ってこい!」

「どれですか?!」

「とりあえず全部!!四代目が来るまでに傀儡(かいる)の容態をなんとかしねぇと!!」

「タオル持ってきました!!」

(ぜん)さん!一反もめん達からの連絡がきました!!」

「タオルは傀儡の隣におけ!!で、連絡の方は?!!」

「はい、四代目と共にコチラへ向かっているそうです!!」

「「「「「!!」」」」」

「分かった。おい!誰か傀儡に輸血を頼む!」

「鴆さん、何処へ?!」

「タイガーのところだ。少し気になることがあるからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【とある毒鳥の話…】

 

 

傀儡がそう簡単に倒れるはずがねぇ。タイガーを庇ってあの傷ができたとしても、傀儡は海軍どもに何故移さなかった?いや、もしかしたら……

 

 

「移せなかった…?」

 

 

前にもそんな事があったはずだ。思い出せ!思い出せ!!

 

 

「ッ…クソッ!!」

「……鴆さん」

「…ジンベエか。なんだ?」

「傀儡さんの容態は…?」

「アレはもう死期を待っているような状態だ。だから、何でそんな状態になったのかを調べるためにタイガーに会いにきた」

「……そうか。分かった」

 

 

傀儡の方には電伝虫を置いてる。急に容態が変化する場合もあるからな。四代目、早く来てくれ…!

 

 

「ココじゃ」

「ありがとな、ジンベエ。おい、タイガー!!」

「………鴆か。なんだ?」

「傀儡のことについてだ」

「!……入れ」

「おう」

 

 

ジンベエには部屋の外で待っててもらう事にした。聞かれるとまずい事もあるしな。

 

 

「傀儡の容態は…」

「ジンベエにも言ったが、最悪だ。死期を待っているような状態」

「………」

「なぁ、タイガー。傀儡が倒れる前に何か言ってたか?」

「"傷を少しでも治したいか?"と……」

「それで?」

「"できる事なら治したい"と答えた…」

「なるほどなぁ…」

 

 

傀儡の…いや、人形神(ひんながみ)の力だな。来たばっかの時、小さい餓鬼どもの傷を治していたっけか?その傷だけは敵に移せなかった。

 

 

「プルプルプル…プルプルプル…ガチャッ」

「鴆だ」

《鴆さん!四代目がいらっしゃいました!!》

「分かった!すぐに戻る!!タイガー、お前も来い!」

《え?!タイガーも来るんですか!?》

「関係大有りだからな!!」

《四代目が殺しにかかりますよ?!》

「そうなりゃ、そん時だ!!とりあえず、切るぜ!」

「ガチャ…」

「………」

「行くぞタイガー。傀儡が助かるかもしれねぇんだ」

「ああ、分かった」

 

 

走って(タイガーは早足で)部屋に向かい、ドアを開ける。

 

 

「四代目!!」

「おお、鴆。久しぶりだな。そっちの奴は…」

「フィッシャー・タイガー。傀儡のダチだ」

「何と!!傀儡の?!それはそれは嬉しい事だ!!」

「それで、傀儡は…」

吾輩(わがはい)が来た時には輸血は終わっていたからな。この薬を飲めば一先ず大丈夫だ」

「………助かるとは言わねぇんだな」

「「「「「……」」」」」

「他の奴らは傀儡が助かる方法を聞いたんだろ?なら、俺にも教えろ。俺はこの宝船の、傀儡の医者だ!!」

「………………分かった。まずは原因を言う」

「ああ」

「傀儡は元々は人形神だ。願いを叶えることが役目。しかし、呪術の要とされた事で妖怪へと堕ちた。ココまでは良いな?」

「んな分かりきった事は良いんだよ」

「まったく…お前のそういうところは夜叉に似ておる」

「早く話せよジジイ」

「しばくぞ糞餓鬼。ン"ンッ…しかし、傀儡はまだ妖怪としては不完全だった。人形神の信仰があれば傀儡はその力を使う事ができる」

「知ってる。餓鬼どもに使ってるのを見た事がある」

「そうか。傀儡は傷を、痛みを他者へと移す事ができる。しかし、人形神の力を使い治した他者の傷は自身へ移される。その傷だけは移すことはできない」

「!」

 

 

タイガーは気づいたか。そうだ。傀儡がタイガーに聞いたあの質問は、タイガーがそれを願っていると錯覚させるような答えを聞き出すためのもの。本当にこういうところは頭が回るぜアイツ…。

 

 

「おれが…おれの所為で……傀儡が…?」

「傀儡がいなければお前は死んでいたかもしれねぇしな」

「それなのだ。鴆」

「あ?」

「傀儡が倒れた理由は」

「どういう事だ?」

「"傀儡がいなければタイガーは死んでいた"逆を言えば傀儡がいた故にタイガーは助かった。傀儡がタイガーの死を捻じ曲げたのだ。人形神の力を使って」

「それじゃあ…その代償とでも言うのか?」

「そうだ。人形神の力は万能ではない。誰かを蘇らせるには誰かの死が必要になるのと同意。死を捻じ曲げた傀儡は…死ぬ

 

 

…………ふざけんな。

 

 

「ふざけんなよ!!クソジジイ!!傀儡が死ぬだと!?アイツが、俺らの(かしら)がそう簡単に死ぬはずねぇだろ!!助けろよ!!助けてくれよ!!なんのためにアンタをココに呼んだと思ってんだよ!?!なぁ?!!」

「落ち着け、まだ話は終わっておらん」

「ア"ァ?!」

「今は傀儡がタイガーの死を肩代わりしておる状態だ。ならば、本来死ぬべき者が死ねば傀儡は助かる」

「………タイガーを殺せって事かよ…!」

「それしか道は無いのだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「…………」」」」」

「……タイガー、すまない」

「良いんだ。元々はおれが蒔いた種だしな…おれが死んで傀儡が助かるなら安いもんだ」

「薬、用意してやるよ……」

「ごめんなさい。タイガー…」

「悪りぃ…」

「もっと、もっど居だがっだー!!」

「………」

「四代目、」

「分かっておる。ちゃんと、タイガーの仲間には話した。アーロンとか言うノコギリザメは海軍の方へ飛んで行ったがな」

「そうですか…」

「慕われておるなぁ…まるで、初代のようだ」

「タイガー、薬だ。飲んだらすぐに死だ」

「……じゃあな。鴆」

「嗚呼、またな。タイガー」

 

 

ゴクンッ…

 

 

 

 

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