海賊世界で百鬼夜行   作:風人雷震

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最初から??視点です。誰の視点かは読んだら分かりますよ。




百鬼夜行、妖怪達の悪戯

 

 

 

「……ー、タイ……、タイガー…、タイガー!!さっさと起きねぇか!!」ゴチンッ!

「イッ……?!」

「やっと起きたか。おら、さっさと顔洗ってこい。今日は魚人島に行くって言っただろ」

「ぜ、(ぜん)…?おれ、死んだんじゃ………」

「何寝ぼけた事言ってんだ?後で傀儡(かいる)の奴も起こさねぇと…」

「傀儡…?!傀儡は助かったのか!?」

「良いからさっさと顔洗って目ぇ覚ましてこい!!こんの寝坊助が!!!」

 

 

いつもの鴆だった。他の奴らも、何事も無かったように忙しなく動いている。あれは夢だったのだろうか?

 

 

「なぁ、鴆。おれが傀儡を起こしてくる」

「お?良いのか?」

「嗚呼」

「いやぁ…助かるぜ。アイツ、今日に限って熟睡してんだよ。ドア越しで怒鳴っても起きねぇんだ。じゃ、頼んだぜ」

「任せろ」

 

 

もしかしたら、これが夢なのかもしれない。鴆も皆んなも、いつも通りに過ごしてる。そして…おれも生きていて、傀儡も助かっている。

 

 

コンコン…「傀儡、入るぞ」

 

 

返事がない。鴆の言ったとおり、熟睡しているんだろう。このままでは埒が明かないので、部屋に入った。

 

 

「傀儡……!?」

 

 

そこには血まみれの傀儡が寝ていた。

 

 

「傀儡…?おい、傀儡!!」

 

 

瞳孔に光はなく、体も冷えていた。何で死んでいるんだ?!おれの夢なら生きてるはずなんだ!いや、夢じゃないのか…?おれが生きてるから傀儡は死んだのか?なら何で鴆達はいつも通りに過ごしてるんだ?おれに接してくれるんだ?おれの所為(せい)で傀儡が死んだのに!!何で………。

 

 

「傀儡……!」

『ウム、呼んだか?』

「…………………………?!!」

『ン、ン〜〜〜〜〜〜〜〜!!』ゴキゴキゴキッ

「傀儡……?」

『おはよう。タイガー』

「「「「「イェーーーーイ!!ドッキリ大成功〜〜〜〜!!」」」」」

「ド、ドッキリ?!」

「そうだ。お前が薬を飲んですぐに、傀儡が起きたからな。悪戯でもするかと考えに至った」

「何でだ」

「いや、俺ら妖怪だから」

 

 

それだけの理由で何故か納得してしまった。

 

 

『目覚めた時に四代目、大天狗様から全て聞いた。タイガー、お前が飲んだ薬は仮死状態になるものだ。我の人形神(ひんながみ)の力も仮死状態は死んだと同じだと思ったようだ。でなければ、我は死んでいる』

「いやぁ〜、仮死状態にする薬を偶然でも作れたのはヤバかったぜ。量産は難しいから厳重に保管だな」

「鴆さんのお手柄ですね〜!」

「リーダーが寝てる間、ずっと薬を作って落ち着こうとしてましたもんね」

『ホォ、随分と焦っていたのだな?』

「今まで倒れてこなかった奴が倒れたら焦るだろ?!」

「…………傀儡」

『なんだ?タイガー』

 

 

おれは傀儡の頰に触れる。ちゃんと暖かい。脈もある。

 

 

「夢じゃ、ないんだよな…?」

『夢ならばとっくに覚めておるだろ?我はここにいる。ちゃんと、生きてここに立っておる』

「ッ……!ああ!!」

 

 

おれは傀儡を抱きしめた。二度と…もう二度と、傀儡を失う思いをしたくない。おれは傀儡を守りたい。失いたくないから。

 

 

「傀儡…」

『ム?』

「好きだ」

「「「「「?!!」」」」」

「傀儡、お前の事が好きなんだ。おれが生きてる間、ずっとそばで守らせてくれ」

「「「「「きゃ〜〜〜〜〜♡」」」」」

『………ふ、我と共に生きる覚悟をしてから言え。青二才が』

「「「「「オォォォォォォォォォ!!」」」」」

 

 

そう言って傀儡は、部屋を出て行った。どうやら風呂に入るようだ。まぁ、あれだけ血まみれだとそうなるだろうな。それより、おれの告白は……

 

 

「「「「「タイガー!!」」」」」

「あれは…もしや、」

「「「「「そう!!」」」」」

「フラれたのか…」

「「「「「そっちじゃない!!!」」」」」

「あれは考えてやるって言ってんだよ。お前が心変わりしないと、傀儡に分からせれば傀儡と晴れて恋人だ」

「ってことは……」

ボーナス()チャンスって事だよ」

「マジか」

 

 

マジか……。簡単過ぎねぇか?傀儡以上に美味い飯作れて、賢くて、頼れる奴がいない限り心変わりなんてしそうに無いが?

 

 

「ま、お前なら大丈夫だろ」

「そうですよ!リーダーに惚れたヒトが他のヒトに惚れるなんて…天地が引っ繰り返らない限りあり得ないですって!!」

「人間でも偶にいますからね〜」

「ま、人間は長くても百年くらいで死ぬけどね」

「人間からしたら叶わぬ恋ですもの〜!!」

 

 

やっぱり、そうなのか……。だが、事実だな。何よりおれは……

 

 

「おれは海賊だ」

「「「「「…………」」」」」

「宝を前にして諦めるわけないだろ?」

「「「「「………なら、頑張れ!!」」」」」

「おう!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『タイガー、その踏み台を持ってきてくれ。あの本に届かぬのだ』

「おれがとる。コレか?」

『それだ。ありがとう』

「これぐらい楽勝だ」

 

『タイガー、大福を作ったのだが…食べるか?』

「おう。…………美味っ!」

『そうか、食後のデザートで出そう』

 

 

 

 

「なぁ、頑張れとは言ったけどよ…至れり尽くせりはやめろ」

「何でだ?」

「傀儡がダメになっちまうからだよ!!」

「可愛いだろ」

「お前、傀儡が倒れて以降、急にヤバくなったよな」

「傀儡を失いたくないからな」

「……お前、世間では死人扱いなんだぜ?」

「お前らの仲間入りだな!!」

「もうヤダ………コイツ…イカれてやがる」

「趣味の悪いドッキリ仕掛けたお前に言われたくないな」

「ぐうの音も出ねぇ…」

『タイガー、ここにいたのか』

「傀儡!どうしたんだ?」

『次の島では変装をして買い出しを手伝って欲しいのだ。良いか?』

「もちろんだ!」

 

 

「(あれは尽くしていると言うより、執着や依存だな。傀儡無しでは生きれない、傀儡以外の奴を恋愛的に愛せない。そして、傀儡に愛されたいが故に自分無しでは生きれないようにしたい、ってとこだな。無自覚なのか、自覚があるのか…解んねぇのが一番怖え。まったく…)厄介な奴によく好かれるなぁ、俺らのリーダーはよぉ」

 

 

 

 

『さて、次は何処を襲おうか?』

 

 

 

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