海賊世界で百鬼夜行   作:風人雷震

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毒鳥の道その7

 

 

 

戦力が欲しい。俺の毒だけだと傀儡(かいる)に居場所がバレてしまう。他に人間を殺せる奴を、忌々しい太陽を殺せる奴を!もっと…もっと!!

 

 

 

「ゲホッ…!」

 

 

 

痛え…肺が、心臓が、骨が。乗った船が突き上げる海流(ノックアップストリーム)に捕まるなんて思いもしなかった。だが、空島に着いた。ここで休んで戦力を確保すれば良い。空島に人間が住んでることは知っている。

 

 

 

 

「ゲホッ、ゲホッ…!こりゃ…ヤベェかもしれねぇなぁ…」

 

 

 

 

骨は折れてると思ったが、肋が折れてる可能性が高いな。呼吸する度に痛くなる。呼吸は最低限にして、薬を飲まねぇと…。

 

 

 

 

「クソッ……身体が、うごか…ねぇ………!」

 

 

 

 

ハチ……会いてぇなぁ……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ……ぁ"?」

「あ、まだ起き上がったらダメだ!骨があちこち折れてたんだぞ?!」

「………鹿か」

「トナカイだ!!」

「トナカイだと?獣が医者の真似事か?」

「真似事じゃねぇ!俺は医者だ!!」

「………そうかよ」

 

 

 

 

獣が医者って……いや、化け物(ようかい)の俺が医者だからヒトの事言えねぇな。

 

 

 

 

「何で俺を助けた」

「怪我してたからだ」

「それだけの理由で俺を助けたのか?」

「怪我してるならほっとけねぇよ!」

「………俺が、敵だとしてもか?」

「え?!お前、敵なのか!?!!」

「クッ…クッハハハハハハ!!今は違ぇよ。船が欲しくてあっちこっち行ってたんだ。だが、運悪く突き上げる海流にやられちまって……この有様よ」

「災難だったな……」

「あ、俺の荷物は?」

「コレのことか?」

「おう。くれ」

「分かった」

 

 

 

 

えっと……薬、薬………あった!

 

 

 

 

「これだコレ」

「薬か?」

「おう。俺が作った(もん)だ」

「お前、医者なのか?!!」

「おう!と、言っても……リーダーに追い出されてな」ゴクッ

「そうなのか?!!」

「おう。………じゃ、いつか恩を返しにくるぜ」

「あ、まだ起き上がったら…!!」

「治ったから平気だよ。またな、小さい医者」

 

 

 

 

俺は翼を出し、空を飛んでその場から離れた。誰も触れることのない俺の羽は、一枚、また一枚と落ちていく。落ちた羽は古くなった物…しかし、毒が抜けているわけではない。誤って触れた奴は死んでしまうだろう。

 

 

 

 

「悪いな、小さい獣よ」

 

 

 

 

恩を仇で返す様な真似をしてしまったが、アイツの仲間であるなら仕方のない事だ。仕方のない……事なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、傀儡(リーダー)……早く、俺を助け(ころし)てくれッ……」

 

 

 

 

血塗れになった俺は、もう…お前の下へは(もど)れないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

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