呪術廻戦にTS転生した僕は死にたくない   作:なゆさん

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伏黒甚爾 その壱

 競馬場に着いた。原作通りならこの場には()()()がいる筈だ。耳を呪力で強化し、あの会話を探す。

 

「―――」

 

「――」

 

「―――」

 

「恵は元気か?」

 

「……誰だっけ」

 

見つけた。間違いなく伏黒パパだ。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 地下水道。

 

「人通りのない場所に来てやったぜ。さっさと出てこい」

 

伏黒パパが言う。

 

「ありがとうございます」

 

僕は物陰から姿を見せる。

 

「なんだ? ガキ?」

「はじめまして。上野愛里沙といいます。よろしくお願いします」

「それで? 競馬場から俺の後をつけて来た理由は?」

「星漿体って言えば分かりますよね?」

 

途端に、目つきが変わる伏黒パパ。

 

「…分からねえな。」

「隠す必要無いですよ?伏黒甚爾さん。」

 

僕は落ち着いて告げる。

 

「へっ。あいつの情報管理もザルになったもんだ。」

 

と言いながら呪霊から刀を取り出す伏黒パパ。

流石に子供相手に完全な武装はしないらしい。刀から感じられる呪力は精々1級レベルだ。

ただ、それでも伏黒パパはフィジカルの化け物だ。初手から思い切り行くべきだろう。道中内からの衝撃を吸収するように過剰に呪力を使って帳を降ろした。全力でやっても大丈夫な筈だ。

 

「【熱球】」

 

1メートルサイズの球体を生み出す。その熱さで、周りのコンクリートが溶け始める。

 

「な!?」

 

僕がいきなりこんな術を使うとは思っていなかったのか、驚く伏黒パパ。

容赦なく相手にめがけ放つ。スピードは光速ではないが常人では目で追えないレベル。それを、

 

「っと、危ねえ」

 

伏黒パパは余裕の表情で回避し、そのまま加速する。

 

「っ!! やっぱり速い!!」

 

めちゃくちゃ目を呪力強化して漸く追える程のスピード。オマケに呪力が無いから探知も意味なし。地下水道の壁を縦横無尽に動き回る伏黒パパ。

 

「突っ立ってんじゃ、ねえよ!!」

 

僕の死角に一瞬で回り込み、得物を突き立てようとしてきた。だが、

 

「【熱纏】」

 

僕の体に熱球と同じレベルの熱を纏わせる。1級呪具と思わしき刀は、溶けて使い物にならなくなる。

 

「チッ! 馬鹿みてぇな火力しやがって」

 

「そっちこそ! 呪力ない癖に生身で化物みたいな動きじゃないですか!!」

 

距離をとりながら互いに罵り合う。すぐさま伏黒パパは異常な形をした呪具を取り出す。感じる呪力もとんでもない。

 

「……なんですか? それ」

 

知っているが、敢えて聞く。

 

「教えると思うか?」

 

「情報開示すればもっとボクを圧倒できるんじゃないですか?」

 

「そんなことするまでもねぇ」

 

「そうですか」

 

そして構えをとる伏黒パパ。それに対して、僕は指先を伏黒パパへ向ける。

 

「?」

「【光線】」

 

伏黒パパに向かって不可避の光速ビームが放たれる。これを初見で避けるには光速以上で動かなければならない。つまり、必殺の初見殺しだ。――そのはずだった。

 

「ガハ!?」

「嘘でしょ!?」

 

何と、伏黒パパはビームが放たれる前に、射線上からズレる事で致命傷を避けたのだ。腹に拳一つ分程度の風穴が空いたものの内臓は貫かれていないようだ。その傷も天与呪縛、フィジカルギフテッドの回復力ならすぐに治るだろう。生命力もいっちょまえだし。相手はまだまだ戦えそうだ。

 

「クソッ。ガキだからって油断し過ぎたな。ちょっとナマッてるってのもあるが」

 

そうぼやきながら天逆鉾を構える伏黒パパ。このままじゃ殺られる。少し甘く見過ぎていた。だが、僕は()()()()があるからこの勝負に出たのだ。今こそ使ってやろう。

 

「ボクの術式は【光操呪法】。光を意のままに操る術式。そして光を生み出す副産物として熱を発生させる。でも、元ある光を操るならともかく、生み出した光は体から離れると直角にしか曲がれないし直線にしか進めない。それが弱点」

 

「情報開示か。」

 

「だから、弱点を克服するためにこんな使い方がある。【光纏】」

 

僕の体が光を放つ。いや、光に包まれる。

 

「何!? ――まさか!!」

 

何かを察し焦った表情をする伏黒パパ。――だが遅い。

 

 

 

次の瞬間、伏黒パパが立っていた場所には僕が立ち、伏黒パパは天井に穴を開けてぶっ飛んでいた。

そして―――

 

『ドガーン!!!』

 

轟音が鳴り響く。その衝撃で周囲はボロボロになり、地下水道は今にも崩れそうなほど荒れた。そして、

 

「……めちゃくちゃ痛いよぉー」

 

反動で、呪力強化したはずの移動した両足と殴った右腕があり得ない程ボロボロになっている。反転術式で治そうにも、光纏のせいで呪力切れだ。あれはまだ練習不足で無駄に呪力を喰う。多分、必要な呪力量の何倍もの呪力を使用しているのだ。いくら僕でも、帳とさっきの戦闘に加えてそんなもの使えば、呪力切れにもなる。ただでさえ光操呪法は燃費が悪い術式なのだから。

それに、光纏は身体への反動を考えて出力を制限している。光速どころか、亜音速以上が精々だろう。その程度の出力しかないのにこれだけ呪力を食うのだから、とてもじゃないが多用はできない。

 

 

 やがて、

 

『プルルルル。』

 

電話がかかってきた。

 

「はい、もしもし」

 

「オイ愛里沙。お前どこいんだよ?」

 

「〇〇のところの地下水道です」

 

「なんでそんなとこいんだよ。すぐ戻って来いよ? 護衛任務サボる気か?」

 

「すみませんが、今足が使い物になりません」

 

「は?」

 

「光纏を使いました。それ以外にも被害を抑える帳とか。ボロボロだし呪力切れだしで動けません」

 

「はあ!? お前が!?」

 

「できれば迎えに来てもらえません?」

 

「どうしたんだよ?」

 

「手練の呪詛師と殺り合いました。例の子狙いです」

 

「……分かった。迎えに行く」

 

その後、僕は迎えに来た五条さんに抱えられて、天内さんの待つ場所へと向かうのだった。

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