五条さんに担がれて高専に到着。硝子さんの反転術式で怪我を治して貰って、天内さんの待つ場所へ向かう。本人はさっき起きたばかりで、学校に行くと言って聞かないそうだ。僕が合流した後、夜蛾先生に判断を仰ぐとの事だ。
「早く妾を学校に行かせるのじゃ!!」
目的地の部屋から声が聞こえてくる。僕は扉を開けて、
「すみません。遅くなりました」
中に入ると、
「遅い!! 何時まで待たせ―――カワイイ!!」
いきなり抱き着いてくる護衛対象。
「わわ、いきなり何ですか!?」
「ねぇ君! 名前は何て言うの? 何歳? 外国人?」
めちゃくちゃ押しが強い。こんなキャラだっけ?口調も普通になってるし。
「ボクは上野愛里沙。5歳で、両親は共にアメリカ人です。」
「へえ、愛里沙ちゃんって言うんだ! それで私―――」
更に僕に何かを話そうとする天内理子。しかし、
「普通に喋ったな」
「そうだね。キャラ作り大変そうだなぁ」
デリカシーが元からない五条さんと時々なくなる夏油さんが、思いっきり天内さんの地雷を踏む。
「お、お嬢様…。」
顔が真っ赤になってプルプル震えている天内さんに、黒井さんが声をかけるが言葉が続かない。此処は彼女の為にも唯一彼女の失態を知らない事になっている僕が話を進める事にしよう。
「この女の人が護衛対象ですよね。今、どういう状況なんですか? 夜蛾先生に連絡したんですか?」
「ああ、そうだった。今する」
五条さんが夜蛾先生に連絡する。
程なくして、
「天内理子の要望には全て答えろってさ」
「そうかい。なら理子ちゃんの学校に行こうか」
「漸くか。そうと決まればさっさと向かうのじゃ!」
◇◆◇◆◇
そして、天内さんの学校に着いた。原作通り、外で待機する二人。だが、
「あのー…。」
「ん?何?」
「何でボクは学校に入っていいんですか?それと、周りから物凄く視線をかんじるんですけど。」
「それは君がカワイイからだよ。ね?カワイイよね?」
「そうだねー。君何歳?」
天内さんとその友達がそう言いながら僕の頬を指でつつく。
「あのー、くすぐったいんですけど……」
「我慢して? 私の要望には全て応えるんでしょ?」
「むー」
確かにそうだ。だが、コレは流石に元男子としても、普通の女の子としても、特級術師としてもちょっと不満だ。
結局その後は、何事もなかったが、僕は天内さんのクラスの皆からめちゃくちゃ触られたり質問されたりして、疲れたのだった。
◇◆◇◆◇
「は? 黒井が、攫われた?」
「あぁ。すまない、私の判断ミスだ」
「まぁミスって程のミスでもねぇだろ」
帰ろうとして二人と合流したら、黒井さんが攫われたと告げられた。原作通り、呪詛師の襲撃があったらしい。
――ということは、伏黒パパは生きている確率が高いということだ。死体を確認できてなかったけど、できればあれで死んで欲しかった。五条さんならあの事件が無くても後2,3年もすれば、反転術式覚えて最強に成れるだろうし、伏黒パパが死んでいれば天内さんの死もほぼ完全に防げたのだ。
何より僕の術式を知られてしまっているのが痛い。あの伏黒パパがどんな対策を積んで来るのか分かったものじゃない。光纏はまだ練習不足で発動するまでの隙がある。前回は情報開示で誤魔化したが、今度は無理だ。
そして夏油さんのように見逃す理由が、僕には無い。戦って負ければ100%殺される。普通に嫌だ。死ぬのは絶対に嫌だ。
「相手は十中八九天内との交換の取引をもちかける。とりあえず相手が取引の場を設けるまで待って、後は硝子あたりに影武者やらせて人質を確保し次第相手ボコれば解決だ」
「待て!! 取り引きには妾も行くぞ!!」
「この期に及んでまだ―――!」
「助けられたとしても、同化前に会えなかったら? まだ、お別れも言ってないのに…!?」
「……ここは天内さんも連れて行きましょう。」
「愛里沙!! ありがとう!!」
「オイオイ。大丈夫かよ?」
「ボク達は最強、でしょ?五条さん」
「……ハハッ。そーだな!」
そして、原作通りに話は進む。
◇◆◇◆◇
「「「「「めんそーれ!!!!」」」」」
沖縄に到着した。
「ボク、沖縄初めてなんですよ」
「妾もじゃ、お揃いじゃな愛里沙!」
「お揃いのニュアンスじゃない気がするけど」
「うるさい悟!!」
「お前、俺歳上だぞ!!」
「べー。身分は妾の方が上じゃ!」
「言いやがったなー!」
砂浜でじゃれ合う五条さんと天内さん。すごく平和な光景だ。原作ではここから……。必ずこれからの展開を変えなければならない。この楽しい思い出を、天内さんのこれからを、絶望で塗りつぶすなんて、あってはいけないんだ。次は絶対に伏黒パパに勝たないといけない。更に言えば勝たないと殺される。それは絶対に嫌だ。
「愛里沙」
夏油さんが話しかけてきた。
「何ですか?夏油さん」
「君にも聞いておこう。理子ちゃんが天元様との同化を拒んだ場合、どうする?」
あぁ! 原作の! そっか、今は僕も護衛の一員だしそりゃ聞かれるか。――まぁ、答えなんて決まってるけど。
「もちろんボクは天内さんの味方ですよ。」
「ハハ。やっぱり君も私達と同じ事を言うんだね。」
そうして、原作通り僕達は沖縄を満喫して高専に帰るのだった。