とある龍の軌跡   作:紅のかっぱー

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見切り発車です。


この世界で私は

 私の最後の記憶は、高校の古典の授業をBGMに先生の目を盗み、教科書に挟んで側から見えないようにし、小説を読んでいたところ。

 不真面目かと思われるだろうが、私以外のクラスメイトはほとんどウトウトと夢の世界へ突入しようとしていたので、先生の話を一応聴いていた私はまだ真面目な部類だろう。

 

 最近読んだ本の中では特に面白く夢中で読んでいた。ミステリー小説で、犯人がわかるクライマックスの時に意識が途絶えたため続きが気になってしょうがない。

 この小説を書いた作者はいい意味で期待を裏切ってくれるので、犯人が気になっていたのだが…。それを確認する前に意識が暗転してしまったのだ。

 前世の一番の悔いは間違いなくそれだ。

 

 そして肝心の死んだ理由だが周囲の様子を全く見ていなかったのでわからない。

 突如痛みが襲い掛かってきたのだ。何といえば良いのだろう……、背骨がバラバラになっていくような体の中から引き裂かれるかのような激痛。打身や擦り傷、骨折等のものでは無い筈だ。

 そしてそのなんとも言えない痛みが来た瞬間「あ、死んだな」と思った。特に理由があるわけでは無い。が、何故だかはわからないがなんとなくそれが真実のような気がする。

 もしかしたら死んでおらず、病院で植物状態、私の妄想の中…………、ということも十分あり得る。あり得るが、可能性の話を広げていってもしょうがない。

 ただの直感だが、今はこの直感を信じるとしよう。

 

 …死ぬってあんな感覚なんだ。

 

 

 あぁ、そういえば。一緒に教室にいたクラスメートと先生はどうなったのだろうか。全員死んだ?もしくは私だけ?

 …分からないし、今この連絡手段も無い状況で助けを求めることも出来ないし、考えても仕方がない、か。

 クラスメート全員転生ということも視野に入れておこう。万が一の時は、探してみるのもありか。

 

 

 なぜ私が「転生」という、いかにもファンタジーで摩訶不思議なことを考えているかと言うと、

 今の私の状況である。

 赤ん坊の姿になっている。確かでに私は赤ん坊である。

 動かない口、聞こえにくい耳、目、そして、自分の小さな、そし筋力が少なく思うように動かない手を見てひっそりとため息をつく。自分の体では無い、何か別の物になった、なってしまった感覚。水の中にいるかのように酷くもどかしい。赤ん坊はこんなにも不便なのか。

 

 と、まぁこのような感じで幼児化したことは確かであるが、高校生の頃の竜田仁美は死んでると思われるし転生した、と考えておく。

 

 

 

 

 

 転生(仮)はここまでで一旦置いておこう。今の私の情報ではこれくらいしか考察できないからだ。これ以上考えても本当に意味がない。

 

 それより、転生した先が問題だ。

 多分、というか確実に異世界である。でなければ、こんな声が聞こえる筈がないのだから…。

 

 

 

 

《現在所持スキルポイントは95000です。

 スキル『鑑定LV1』をスキルポイント100使用して取得可能です。

 取得しますか?》

 

 

 

 突如頭の中に響いてきた女性の声に困惑する。

 赤ん坊はとにかく暇で暇で……、やることもない上、できないことばかり、知識は前世のものがそのままあるようなので考えることしか出来ないが、それにも限度がある。

 なのでなんか情報欲しいなー、なんでもいいから調べる能力ないかなー、こういう転生とかいうベタなファンタジーなことが起きているんだから鑑定とかいうスキルないかなー、とほぼ冗談で思ったらこれである。

 ラノベの知識があって不思議な声が聞けて良かったのか悪かったのか…。一応此処が地球ではないだろうということはわかったものの、また考えなくてはならないことが一つ増えてしまった。面倒くさい。

 確かに暇で仕方がなかったがこう言うことは望んでない。混乱することを寄越せとは言ってないのだ。

 

 しかも、この声は怪しい。とても怪しい。どう考えても怪しすぎる。

 鑑定、というスキルは私のラノベ知識と同等のものだとすると、正に私が欲しているものだが、少し出来過ぎではないか?と思う。気分的には彼氏に振られたときに急に通りすがりの占い師が恋愛成就の首飾りを勧めてきた感じである。そんな目にあったことはないけれども。

 しかも女性が話しているのは日本語。日本語、ということはここ日本?という呑気な考えが浮かんだが日本はこんな言葉は頭に響いてこないだろう。

 …もしかしたら日本の中でも脳内に直接語りかけるタイプの地域が存在するのかもしれない。そんな突拍子もない思考をしたが、私のベビーアイがそこそこ見えるようになってからその期待は打ち砕かれた。

 

 絶賛赤ん坊中の私を抱える綺麗な女性、多分私の母親なのだろうが、彼女の髪色がファンタジーの世界でしかいないような鮮やかな緑色。瞳の色も地球ではあり得ないようなピンク色。この綺麗で鮮やかな色彩はウィッグや染色などによるコスプレの類では無いだろう。

 考えている間じっと目を見ていると母だと思われる人物はこちらに笑いかけた。

 彼女の口が何か言ってるように動くが聴覚が発達してないのと、言語が多分地球のものじゃ無いとので全く理解が出来ない。

 しかし、笑顔の母は端正な顔立ちをしているため非常に綺麗で絵になる光景である。メラニン色素どうなっているんだよというツッコミはさておいて、…もうそんなこといちいち気にしていられない。

 

 …うん、少し落ち着こう。深呼吸だ。スー…ハー………、ハァ………。

 ちょっと落ち着いたところで改めて母(仮)を見る。この特徴的な色彩に加え、顔立ちも西洋人っぽいし、確実に日本人では無い。

 そして、彼女と私のいる部屋も現代社会ではあまり考えられない、言ってはなんだがとても汚く、古ぼけている。建築様式も中世ヨーロッパっぽい。

 

 

 

 私は確信した。

 此処は異世界であると。謎の女性の声は不思議パワーで日本語に翻訳してくれているか、そんなところだと思う。

 はぁー、

 

 

 

 

 

 

 ……さて、これからどうしたものかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから多分一年弱経ったくらいだと思う。あの後少しでも情報が欲しくて鑑定を取得した。最初は使い物にならないいゴミスキルで取ったことをちょっと後悔したのだが、スキルレベルを上げたらそれはもうとても便利だった。ありがとう謎の声。

 自分のステータス、スキル、称号がわかるようになったのだ。ますます異世界でしかもゲームっぽい。しかし半年経った今なお情報が少ないのでありがたい。

 ざっとこんな感じである。

 

 

竜人族 L V 1

名前

アテナ(竜田 仁美)

 

 HP:296/352(緑)

 MP:102/262(青)

 SP:183/183(黄)

   :43/193(赤)

 平均攻撃能力:53

 平均防御能力:898

 平均魔法能力:233

 平均抵抗能力:798

 平均速度能力:213

 

 スキル

「竜人族Lv1」「天鱗Lv1」「HP自動回復Lv5」「MP回復速度Lv7」「MP消費緩和Lv8」「SP回復速度Lv4」「SP消費緩和Lv5」「魔力操作Lv9」「気闘法Lv1」「魔闘法Lv6」「魔力付与Lv5」「神龍力Lv1」「神龍結界Lv1」「命中Lv5」「回避Lv5」「立体機動Lv7」「隠密Lv9」「集中Lv10」「思考加速Lv1」「予測Lv10」「予見Lv2」「並列思考Lv8」「高速演算Lv1」「鑑定Lv10」「探知Lv8」「飛翔Lv3」「過食Lv4」「水魔法Lv4」「風魔法Lv10」「暴風魔法Lv3」「土魔法Lv7」「治療魔法Lv10」「空間魔法Lv9」「破壊耐性Lv2」「打撃耐性Lv3」「衝撃耐性Lv1」「状態異常大耐性Lv1」「腐食耐性Lv3」「気絶耐性Lv4」「外道耐性Lv7」「睡眠耐性Lv9」「苦痛無効」「痛覚軽減Lv6」「暗視Lv10」「望遠Lv6」「知覚領域拡張Lv2」「五感強化Lv1」「生命Lv4」「魔量Lv9」「瞬発Lv5」「持久Lv6」「強力Lv3」「城塞Lv2」「術師Lv3」「天守Lv2」「縮地Lv1」「神性領域拡張Lv2」「n %I=W」

 

スキルポイント89000

 

 称号

竜人

神子

悪食

 

 

 

 

 いわゆる転生特典か何かはわからないが私は人間ではないということがわかった。

 

 なんとなく人と違う、とは思っていた。何となくこう思っただけの、ただの直感だけど、特にこの世界に来てから私の直感はよく当たる。まあそれはともかく。

 おかしいとは思っていたのだ。生まれたばかりの時はこめかみからツノらしきものが生えていたから。それでも本当に「なんか出っ張ってるね、怪我でもしたの?」くらいのものだったので、私は自分が人間ではないと言う確証は得られなかった。

 が、こうして現実を突きつけられると、……なんとも言えないな。正直言ってどうでもいい。

 別に人間であるということに拘りみたいなものはないし。感想を言うのならば「へー」くらいしか出てこない。感想文を書けと言われても半分も埋まらないだろう。元々感想文を書くのは苦手だ。おっと、話が逸れた。

 

  今ではツノらしきものは出し入れ自由になっているため見た目はただの赤ん坊だ。

 しかし、中身はかなり人間離れしている。寝返りが打てるようになってから歩くまで3日とかからなかった上、走り回ったりすることもできた。しかも、身体の耐久力が凄まじい。全力を越えても少しの時間なら我慢して動け、1時間休んだら体力も半分以上回復する。

 そのおかげで多少無茶な特訓が出来たし、スキルを取得したりステータスを大幅に伸ばすことができ、血反吐を吐くような怪我を耐えることができた。

 

 ここまで能力が高いと逆に少し不安が残る。例えば〝竜人族〟に弱点があるとか。

 例えば、吸血鬼はニンニク、日光、銀、十字架が弱点。龍人族がどんな生き物かはよく分からないが、吸血鬼でいう日光などが竜人族一つや二つあるのでは?という“不安”が少しある。

 あくまで憶測であり今のところ不便な点は無いので弱点は無いと思う。

 

 

 ちなみに鑑定というスキルは二重で出来るらしく、ちょっと前に竜人族を調べたことがあったのだが…。

 

『竜人族:人ならざるもの、竜ならざるもの。人以上の高い知能と竜並みの高い身体能力を持つ半魔半人。確認されたことのない生命体。』

 

 …意味が分からない。なんか適当に格好つけてはぐらかされた感じがする。まぁ、悪いところは無さそうだしいいだろう、と思っていたのだが。

 ………改めて見ると本当に意味が分からないな。居るかどうか知らないけどこの文を考えた人にどういうことだよこれ、と問い詰めたい。

 また、この世界には魔法がある。属性もあり、その属性に対して有効な属性、耐性などもあったり…。ステータスというものがあった時点で予想はしていたが、ここまでRPGゲームみたいな感じだと、この世界はゲームオタクによって作られたのでは?と思ってしまう。

 そして魔法は珍しくもない。成人した人だと魔法を使えない方が珍しいそうだ。しかも街中を歩けば盗賊に遭遇することも少なくなく、街の外に出れば魔物がウヨウヨ居る。ますますゲームらしい。

 何ともまあ、命の奪い合いが活発な世界だろうか。

 

 最初は魔法と聞いて心躍ったが、…これは思っていた以上に必死に、強くならないといけないかもしれない。

 

 

 

 …この世界で私はどうやって生きていくのだろうか。

 

 

 

 

 




基本は書籍版に沿って書いていくと思います。
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