後日、救助されたイセリナは事情聴取を受けていた。
「何故君のような民間人がガウに乗っていたんだ?」
ブライトは三度にわたるトラブルに胃を痛めながらも表面上は何とか取り繕っていた。
「……ガルマ様を、ガルマ様を返して下さい!!」
「だから……何度も……クソッ、もういい。グリュック、後は任せた」
「……は、はい」
そう言って立ち去ったブライト。
「イセリナさん、何回も言っているじゃないですか、ガルマは生きてるって」
「だったら連れてきてください!! ここに!」
「そういう訳には……」
ふとグリュックの脳裏に考えがよぎる。どうせこの艦に正規軍人なんて数えるくらいしかいないのだから別にいいのではないかと。
「ガルマ様ぁ……どうして……」
「わかった、連れてくるから」
そう言ってガルマの独房へと向かい、彼を連れてきたグリュック。
「イセリナ……! どうして……!」
「だっても何もないでしょ!? あなたが心配で心配で……もう死んだのかと……だからジオンの人と一緒にガウに乗ったの……」
「何故そんな危険なことを……」
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そして案の定、未だガルマが戦死したと誤認しているジオンのドズル・ザビ中将はガルマの
「あれは……ザンジバル! ブライトさん! あれはザンジバルです!」
「何だと? なぜわかる!」
「あの大きさは絶対にそうですよ! 戦ったことがあるんです、フォックス隊にいたときに! あれは多分……ランバ・ラルのゲリラ部隊です!」
「……ッ、そうか。わかった、各員、第一戦闘配備! グリュック、空中戦は君が頼りだ、行けるか?」
「当然ですよ! ……それよりもアムロは、大丈夫でしょうか?」
「……グリュック、死なないでね」
「もちろん! ナナバさんも頼みます」
グリュックはコア・ファイターで先行し、敵のモビルスーツに向かう。
「あの青いの……やっぱりランバ・ラルだ……。しかし見覚えのないモビルスーツだな……あれはなんだ?」
そんなことを言っている余裕は無い、ジオンの新型MS『グフ』は右腕内部に備えられたヒートロッドをコア・ファイターの主翼に巻き付ける。
「う、うあああぁあぁあああっ!!!」
機体内部に電気が流し込まれた上、それはコクピット内にも伝わる。
「連邦の新型戦闘機とやらはこんなものか! 他愛ないな! コズン! 木馬はそちらに任せた!!」
グフのパイロット、ランバ・ラルはコクピットの中で叫ぶ。
「うああぁぁああ!! まだだ!!」
機体後部にあるミサイルハッチを開け、発射する。しかしそれはグフの左手の指のバルカンで迎撃される。
「機体はいただくぞ!!」
「クソぉぉおおおお!!」
その瞬間、2機の間に桃色の閃光が走る。
「このビームライフルの音は……ガンダム!?」
ホワイトベースから降りてきたのだ。更にカイのガンキャノン、リュウとハヤトのガンタンクも加わり、一斉射撃になる。
「チッ、アコーズ、コズン! 後退するぞ!」
ラルはザンジバルに後退し、追撃を防ぐためザンジバルは砲塔を一斉に放つ。そして彼らも撤退し、ホワイトベースの艦艇に戻る。
「……なんだなんだ?」
「ジオンの奴が、演説するんだってよ」
ジャンが答える。
「ジオンが当てつけに演説するようだ。アムロもよく見ておけ」
「我々は一人の英雄を失った。しかし、これは敗北を意味するのか? 否! 始まりなのだ。地球連邦に比べ、我がジオンの国力は30分の1以下である。にもかかわらず今日まで戦い抜いてこられたのは何故か? 諸君! 我がジオン公国の戦争目的が正義だからだ。これは諸君らが一番知っている」
「……コロニー落としておいてよく言うよ」
「……グリュック?」
拳を握りしめ、画面を睨みつけるグリュック。
「我々は地球を追われ、宇宙移民者にさせられた。
そして、一握りのエリートらが宇宙にまで膨れ上がった地球連邦を支配して50余年、宇宙に住む我々が自由を要求して何度踏みにじられたか。ジオン公国の掲げる人類一人一人の自由のための戦いを神が見捨てるはずはない」
ギレンは続ける。
「私の弟! 諸君らが愛してくれたガルマ・ザビは死んだ。何故だ!?」
「……死んでねぇよ」
「新しい時代の覇権を選ばれた国民が得るは、歴史の必然である。ならば、我らは襟を正し、この戦局を打開しなければならぬ。我々は過酷な宇宙空間を生活の場としながらも共に苦悩し、錬磨して今日の文化を築き上げてきた。かつて、ジオン・ダイクンは人類の革新は宇宙の民たる我々から始まると言った。しかしながら地球連邦のモグラ共は、自分たちが人類の支配権を有すると増長し我々に抗戦する。諸君の父も、子もその連邦の無思慮な抵抗の前に死んでいったのだ!」
「……お前らが、お前らがコロニーを……!」
「この悲しみも怒りも忘れてはならない! それを、ガルマは! 死をもって我々に示してくれた! 我々は今、この怒りを結集し、連邦軍に叩きつけて、初めて真の勝利を得ることができる。この勝利こそ、戦死者全てへの最大の慰めとなる。国民よ立て! 悲しみを怒りに変えて、立てよ! 国民よ! 我らジオン国国民こそ選ばれた民であることを忘れないでほしいのだ。優良種である我らこそ人類を救い得るのである。ジーク・ジオン!」
演説を聞いていたジオン国民は『ジークジオン』という掛け声を続け、徐々に大きくなり、増長していく。
「クソッタレがっ!!」
モニターに殴り掛かるグリュックを、ジャンが抑える。
「……俺達も……俺達も似たようなこと、してただろ?」
「……でも俺たちは虐殺なんて……」
その時、グリュックの脳裏にレベリオ襲撃の際の光景が思い起こされる。
「っ……そうだよな……」
「俺も同じ気持ちだったが……」
自分より経験のあるであろうグリュックが高ぶっているのを見て、自分の怒りが納まったブライト、そしてそんなやり取りをしている間も、『ジークジオン!!』の掛け声は続いているのであった……。