「チッ、避けろぉぉおお!!」
左に旋回し、なんとか寸前で躱すグリュック。しかし後ろにいたセイバーフィッシュのエンジン部にザクIのマシンガンが直撃、徐々に高度を落とし地面に墜落、爆散した。
「バリスぅぅううう!!!」
「クソッタレ!! 退避だっ!!」
ジオンによって散布されたミノフスキー粒子のせいでレーダーや誘導兵器が機能しない今、戦闘機でモビルスーツに勝つのは難しい、しかし……。
「いくら人型だからってぇっ!!」
尾翼下部に取り付けられたミサイルを発射し空中で、放たれたザクのマシンガンと直撃させる。
「逃げるぞ!!」
爆風でこちらの姿が目視できない間に母艦へと帰投したフォックス隊。
「……こちらフォックス隊……帰投しました」
辛酸を飲んだダリア曹長は艦長であるリードに伝える。
「……そうか。全員生還とは……ならなかったか」
しかし、今回を含めた訓練の成果からグリュック・シュバインは二等兵としては異例の最新鋭戦艦『ホワイトベース』のクルーに任命された。
「俺が……じ、自分がですか!?」
「そうだ。今連邦軍はジオンのザクに対抗しうるモビルスーツを設計、開発している」
「そう……なんですか」
(また戦争が……起きるっていうのか……?)
一抹の不安を抱えたままホワイトベースへと向かうグリュック。
「グリュック・シュバイン曹長! ホワイトベースに着任いたしました!」
異動になり、その都合で階級が上がったグリュック。
「こちら艦長のパオロである。リード中尉のサラミス部隊より異動になったと聞いている。我らのモビルスーツ開発計画『V作戦』に関してはもう聞いているか?」
「はっ! 既知であります!」
自分より上の階級であるパオロに敬礼をし、新たな自分の搭乗機を見るためデッキへと向かう。
「これが……」
「TINコッドだ」
「え?」
白と紫に彩られた戦闘機を見上げていると、ノーマルスーツに身を包んだ技術士官が声をかけてきた。
「おっとすまない、この機体の開発者のテム・レイだ」
「テムさん……もう一度この機体の名前……言ってもらっていいですか?」
「
「……」
(何かおかしいと思わないのかな……ってまぁいい)
「これはまだ試作機なのだがね、これを発展させた『コア・ファイター』というものを今、開発中なんだ」
「コア・ファイター?」
「あぁ、この機体はV作戦『RX計画』の文字通り核となる機体でね、コアブロックシステムというものを採用している」
「へぇ……あ、その写真、もしかして息子さんですか?」
「お、あ、あぁ、アムロと言ってね、サイド7に住んでいる。……あいつが成長する頃には、こんな戦争は終わらせたいものだがね」
「そう……ですよね」
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一方、その技術力と探究心を買われたアルミン・アルレルト及びハンジ・ゾエは兵器開発の為、オーガスタ研究所に研究員として入所したのであった。