機動戦士ガンダム 翼を広げて   作:キラトマト

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#21 アルテミス脱出

 何とかクルーゼ隊を撤退に追い込んだアークエンジェルはユーラシア連邦の所有する『アルテミス』へと寄港することとなった。しかし……。

 

「不当だな……」

 

 アルテミスの軍人たちは着艦早々にアークエンジェルのMSに対しデータの解析を急がせ、そして乗員をアルテミスの艦内に押し込んだのだ。

 

「こっちはティターンズですからね……殺されなかっただけマシですよ大尉」

 

 カミーユたちは食堂で待機命令を出されていた。それは元民間人のキラと、その友人も同様であった。

 

 ユーラシア連邦は同じティターンズ側の大西洋連邦と小競り合いをしているが故勘違いされやすいのだが、実は同じティターンズなのだ。

 

「はぁ……」

 

 一方グリュックはムウ、マリュー、ナタル、クワトロと共に別室で隔離されていた。

 

(どうしよっかなあのバーザム……見つかったら絶対バレるし……かと言って逃げるわけにもいかねぇしさ……)

 

「どうしたよ、ため息ばっか着いて。幸せ逃げんぞ〜?」

 

「ムウさん……だって心配じゃないですかキラ君」

 

「ダイジョブだって、機体にロック掛けとけとは言っといたからさ、酷いようにはされねぇと思うぜ?」

 

「だといいですけど……でもティターンズですよ? もしコーディネーターだって知られたら……」

 

「何? 今コーディネーターが何とかと聞こえたぞ?」

 

 すると外にいた兵士が扉の鍵を開けて彼らに銃を向けてきた。

 

(へぇ〜ラッキー)

 

 グリュックは勢いでその兵士を気絶させる。

 

「ちょっ……何やってるのあなた!!」

 

 ナタルが大声を抑えて問いかける。

 

「何って言われても……とりあえず外に出ますよ、ザフトはまだこっちを見張ってるんでしょ?」

 

「あぁ、多分な……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ###

 

 一方その頃、ストライクの機密ロックを外せないことにとうとう我慢の限界を迎えたアルテミスの上官ガルシアは待機中の乗員の元に向かった。

 

「ストライクのパイロットは誰かね?」

 

 立ち上がろうとするキラの肩を抑える整備のマードック。

 

「僕ですよ」

 

 カミーユが立ち上がり、軍人たちにそう抜かした。

 

「君がガンダムMk-2の強奪犯という報告は既に入っている。それの処分についてはおいおいするとして……ほぅ、まだ出てこないか」

 

 ガルシアは薄汚い笑みを浮かべ、ミリアリアの腕を掴みあげる。

 

「キャッ!!」

 

「女性がパイロットということも珍しいが……この艦の艦長も女性だからな、なくもないだろう」

 

「いい年した大人が何やってんです!」

 

 カミーユは突然激昂しガルシアに殴り掛かる。

 

「!?」

 

 その行動に軍人、民間人ともに驚愕の表情を浮かべる。そんな行動予想していなかったガルシアは顔面にクリーンヒット、そして殴られた勢いで飛ばされてしまう。

 

「貴様!! 上官に向かって!!」

 

「だいいち僕は軍人じゃない!!」

 

 そんなカミーユの抵抗虚しく、多勢に無勢、アルテミスの軍人に殴られ蹴られてしまう。

 

「ぼ、暴力はいけない……」

 

 そしてそんな言葉が彼の口をついて出た。そして先程まで何が起きているか分からなかったキラはようやく状況を把握し、立ち上がる。

 

「もうやめてください!! あれに乗ってるのは僕ですよ!!」

 

「君みたいな少年がか? 嘘は辞めろ、こいつみたいになりたいのか?」

 

 ガルシアはカミーユの方に目を向ける。しかしそれにフレイ加わる。

 

「本当よ!! この子があのMSのパイロットよ!! だってこの子、コーディネーターだもの!!」

 

「……ほぅ、連れて行け」

 

「おい!! 何言ってんだよフレイ!!」

 

「だって!!」

 

 いくらコーディネーターとはいえストライクのデータが取れるまではそう酷い扱いはされないだろうと思っていたキラだったが、連れていかれたのはMSデッキではなかった。

 

「ストライクは強奪前に自爆した、そうだな?」

 

 ガルシアは部下にそう問いかけると、キラに銃を向ける。両肩をガッチリと固定されたキラは身動きすることが出来ない。そう、いくらコーディネーターとはいえ訓練を積んできた軍人ふたりに抑えつけられればこうなってしまうのだ。しかしガルシアが引き金を引く瞬間、その部屋の扉が勢いよく開け放たれる。

 

「何ぃ!?」

 

 侵入者に銃を向け直す暇すら与えられず、ガルシアは飛び蹴りをかまされる。キラを抑えつけていた2人の軍人はムウとマリューが既に気絶させていた。

 

「キラ君!! 大丈夫か!」

 

「え? な、なんでグリュックさんが……」

 

「俺、耳いいんだよ、あのくらいなら普通に聞き取れる、それよりももうすぐザフトのMS……いやGが来る。何故かは分からないがアルテミスの傘*1も起動してないみたいだし早く逃げんぞ!!」

 

「は、はい!! で、でもまだ友達が!!」

 

「そっちにはクワトロ大尉が行ってくれてる!! 心配するな!!」

 

 彼らはアークエンジェルへと走った。クワトロたちもそれに着いた為、急いで乗り込み、モビルスーツデッキに向かう。

 

「キラ・ヤマト、ガンダム行きます!!」

 

 ソードパックを装備したストライクは襲撃してきたブリッツを撃退し、帰還する。

 

「おつか────」

 

「ありがとうキラ!!」

 

 グリュックがキラに労いの言葉を言おうとした瞬間、誰かがキラに抱きつく。そう、エレノアである。

 

「ちょ、デッキまで来るなんて何やってるの!! 君民間人でしょ!?」

 

 そんなグリュックに彼女はべーと、舌を出す。

 

(……)

 

「……まぁよろしくやっとけよ」

 

 最近はナナバに会えない日々が続いている為、そういった事情には人一倍敏感になってしまっているのだ。

 

「ねぇねぇ!! あの時一緒にいたから聞いてたよ!! 君コーディネーターなんでしょ!?」

 

「え……うん……」

 

「実は私もコーディネーターなの!! 言ってなかったけど!!」

 

「えっ……」

 

(もしかして……僕と同じ第一世代*2……?)

*1
アルテミスの要塞にのみ搭載されている全方位レーザー防御装置。レーザー、ビーム、実体弾全てを無効化するが、外部からの攻撃のみならずアルテミス内からの攻撃も通さないため万能では無い。周囲に敵の反応を感じないと傘は閉じ、無防備な状態になる。

*2
親がナチュラルであり、母体の遺伝子を改良して生まれたコーディネーター。コーディネーター同士の子供を第二世代と言う

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