「あら〜? ここはザフトの船じゃないのですか?」
そう朗らかに艦内を舞う彼女に、マリューら船員は頭を抑える。
「ククク……ハハハハハッ!!!」
グリュックは笑いを抑えられずに爆笑してしまう。
「まぁさか、ザフトの歌姫が避難船にいたなんてな!!」
キラと肩を組み、そう彼に話しかける。
「えっ?」
もう、深く考えるのもバカバカしくなったのだろう、グリュックは考えを放棄して爆笑した。彼はキラを連れて
「どうも、地球連合所属、グリュック・シュバインだ。よろしくな、歌姫様」
「あら! 地球軍の軍人さんですの!? よろしくですわ♪」
(こりゃまぁ、無邪気な子だな)
ともかく、ザフトの人間を艦内で自由にさせておくのもどうかという観点から、ラクスは一時軟禁状態になった。そして彼女の処遇をどうするかといえば……。
「彼女は民間人です。ですから政治利用するのは如何なものかと……」
「しかし、ストライクのパイロットも子供ですよ? そこになんの違いが? それに彼女はあのシーゲル・クラインの娘だ。既に民間人では無いはずです」
「それは……」
ナタルの言葉にマリューはたじろぐ。
「しかし、あのような幼気な少女を利用するというのは、軍人以前に、人として失っては行けないものを犠牲にするのでは、ないのかな?」
「クワトロ大尉……」
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そして、お互いの出自を知ったキラとエレノアは自室であんなことやこんなことが……あるはずもなく。
「やだ!! 艦に残るの!!」
「もう無茶言わない……すみませんねぇ、キラ・ヤマトくん」
「え、あ、はい……」
「ほらぁ!! キラも残って欲しいんでしょ!?」
「いや……でも戦争に巻き込みたくないし」
「ほらこの子もそう言ってるじゃないの!」
「む〜」
エレノアは頬をぷく〜っと膨らませ抗議する。
「仕方ないよこればっかりは……」
「ごめんキラ……無茶言って」
「うん、また会おうよ、戦いが終わったらさ」
「うん! 絶対にね! 約束だよ!?」
そしてそれに聞き耳を立てていたグリュックは……。
「青春だな……」
「あらぁ? 盗み聞きですの?」
「ら、ら、ラクスさん!?」
そんな彼に声をかけたのは独房から抜け出したラクスであった。
「な、なんでここに!?」
鍵がかかってませんでしたの、と言った彼女の後ろから大量の、色紙を持った軍人たちが殺到する。
「わお」
「ファンです! サインお願いします!」
「CDも全部買ってて!! 握手お願いします!!」
と、矢継ぎ早にラクスは話しかけられる。
「どうしましょう?」
「どうしましょうって……そんな俺に……あ」
そういえば、と彼は一年戦争時のことを思い出す。マチルダ中尉がホワイトベースに寄港した際、写真を撮った事を。
「ちょうどいい、誰かカメラ持ってないか!!!」
「あ! あります!!」
何故か三脚も持っていたその男に借り、皆で写真を撮ったのであった。
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そして、アークエンジェルには厄介な者が寄港した。そう、ジョージ・アルスター、フレイの父であり、コーディネイターの排斥派ブルーコスモスの上層部である。
「よぉし、あれにバレねぇようにラクスをザフトに送り届けるんぞ。キラ、頑張れ!!」
「結局人任せですか!?」
「だってさー、バーザムのコクピット狭いし? それに比べたらストライクのコクピット広いしラクスと2人乗りも出来るじゃん?」
「そんなぁ……」
そうやって無事に彼女を送り届けたキラであった。