機動戦士ガンダム 翼を広げて   作:キラトマト

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#03 ガンダム、大地に立つ!!

 宇宙世紀0079年、平和になった世界に再び戦火が広がることとなってはや9ヶ月、地球連邦軍の軍人グリュックはかつての戦友のいるサイド7へ、ホワイトベースとともに入港する。それは連邦の新型モビルスーツ開発計画、『V作戦』を開始するためであった。グリュックは友に会うため、少しの間ホワイトベースを離れたのであった。

 

「よっ、久しぶり」

 

 軍服をコートで隠して皆のいる寮のようなところに帰ったグリュック。

 

「!!」

 

「お前……!」

 

 全員彼の方を一斉に振り向く。真っ先に飛び出したのはナナバであった。

 

「もうっ! 帰ってこないかと思ったじゃないか!!」

 

「なっ、ナナバさん……。だって約束したじゃないですか。……それにナナバさんに会いたかったですし」

 

「もうっ……よく言うよ6ヶ月も放っておいたくせに」

 

「ずーっと想ってましたよ!!」

 

「……オイどうすんだよこの空気を」

 

「知らねぇよ俺に聞くな」

 

 ジャンがエレンにコソコソ話をする。2人がイチャイチャしている中、突然外から轟音が鳴り響く。

 

「なんだ!?」

 

「!?」

 

(もしかしてジオンに嗅ぎ付けられたのか……!?)

 

「クソッ! ジャン! お前が先導して逃げるんだ!! 近くにホワイトベースって新型艦がある! そこへ行けば助かる!」

 

「は、は!? お前はどうすんだよ! グリュック! おいグリュック!!!」

 

 グリュックはなんとかする、と叫んで自らの搭乗機であるTINコッドへと走っていく。

 

「クソッ、制御系の設定も済んでいないというのに!!」

 

 ザクマシンガンを放ち、破壊の限りを尽くすジオンの新型モビルスーツ『ザクII』。

 

「人が住んでいるんだぞ!? なんとも思わないのかよっ!!」

 

 居住区でミサイルを使う訳にもいかず、機関銃でなんとか応戦するグリュック。

 

「巨人の相手はっ、慣れてんだよ!!」

 

 ヒートホークをギリギリで避け、ザクの背後に陣取り、ランドセルを照準に捉える。しかし。

 

(なんで!? こんなところに民間人が!? しかも子供か!?)

 

 何かしらのファイルを抱えた子供が連邦の新型モビルスーツ『RX-78-2 ガンダム』に向かっていくのが見えたグリュック。

 

「ちっ! なら余計ここで倒す訳には行かないな!」

 

 爆発を起こすわけにはいかない、そう思い仕方なく機体を旋回し、彼はザクから距離をとる。

 

「な、なんだ!? 何故連邦の戦闘機はモビルスーツに対抗できる!?」

 

「で、デニム曹長! 連邦の新型が!」

 

 ザクのパイロット、デニム、ジーンはコクピットの中で狼狽える。

 

「なんで動いてんだよ! ガンダムは未だテスト機じゃなかったのか!?」

 

 "それ"が動いたことに対してのリアクションは、グリュックも同じであった。

 

「こいつ……動くぞ……!」

 

 V作戦のファイルを偶然拾ったアムロ・レイ少年は初搭乗にして動かしたのだ、連邦の新型モビルスーツを。頭部に備えられたバルカンを残弾がゼロになるまでザクに撃ち込むアムロ。

 

(なんだよあの戦い方!! ……もしかしてあの少年が……?)

 

「へへっ、こいつビビってやがるぜ!!」

 

 ジーンは自分より階級が上であるはずのデニムの命令を無視し、ガンダムに近寄る。

 

「う、うあああぁぁああああ!!!」

 

 ザクマシンガンを何発も打ち込まれても無傷なガンダムの装甲。しかし衝撃はコクピットに伝わっており、アムロは恐怖のまま操縦桿を思い切り引く。

 

「な、なんだぁぁああああ!?」

 

 頭部の動力パイプを引きちぎり、視界を奪うガンダム。

 

「ジーン!! クソッ、スレンダーが待っているところまで逃げられるか?!」

 

「は、はい! 補助カメラが使えますから!」

 

 デニムのザクに庇われながら、空中に退避するジーンのザク。

 

「逃がすものかぁぁああああ!!!」

 

「うああああああ!!!」

 

 ランドセルに備えられたビームサーベルを引き抜き、ザクを一刀両断。

 

(あいつ……まずいっ!!)

 

 機首を地面に刺さるように不時着させ機体を爆風避けにし、更に自分は緊急脱出したグリュックは避難民たちをホワイトベースに案内する。

 

「サイド7の地表に穴が……! 今度爆発させれば……サイド7の空気が無くなっちゃう……コクピットだけを狙えるのか……?」

 

「よ……よくもジーンを……! 殺してやる……殺してやるぞ……!!」

 

 肉弾戦に持ち込もうと飛びかかるザク、そのコクピットに寸分違わずビームサーベルを突き刺すガンダム。

 

「はぁ……はぁ……」

 

「大丈夫ですか!? ほら、急ぎましょう!!」

 

 こんなことを想定し、連邦軍のノーマルスーツには簡易式の呼吸器が数個ある。グリュックは避難民にそれを付けさせ、ホワイトベースへと辿り着いたのだった。

 

「なに……? まだ民間人が?」

 

 士官候補生であるブライト・ノアに報告するグリュック。

 

「はっ!」

 

「君にも手伝ってもらおう、今は正規のクルーがほとんどいなくなってしまったのでな」

 

「そ、そうですか……まさかパオロ艦長も……ですか?」

 

「いいや、怪我をおってはいるが一命は取り留めている」

 

 ほっと胸を撫で下ろすグリュック。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ###

 

 そして、ジオン公国、シャアの指揮するムサイは……。

 

「スレンダーは」

 

 シャアは艦艇で部下に問う。

 

「はっ、今サイド7を脱出し本艦へ向かっているようです」

 

「……認めたくないものだな、自分自身の……若さ故の過ちというものを」




久方ぶりにサイド7へと帰ってきたグリュック、彼は旧友と共に一時の安息を楽しむ。そして訪れる運命の日、連邦の新型モビルスーツが動く時、サイド7に悲劇が訪れる。
次回 『ガンダム、大地に立つ!!』
運命の鎖を断て、ガンダム!
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