「……よかったぁ」
グリュックは心から安堵する。
「ここの地表が壊れちまう前にホワイトベースに乗れたのは運が良かったぜ。ったくお前も無茶するよな」
「え?」
「中から見てたんだよ、お前が戦闘機盾にして逃げてる人守ってるの」
コニーがジャンの肩からひょこっと顔を出す。
「お前にしては上出来だ」
「兵長……!」
「チッ、今の俺は兵長じゃねぇ、ただのリヴァイだ」
「やっぱ兵長っすよ兵長は」
ジャンがそうおどけた口調で言い放った。
「それよりもアルミンとハンジさんは?」
「それがだな……なんだっけ、おーがすた研究所? ってとこに行ったんだよ」
エレンが頭を掻きながら答える。
「生きていく以上働くのは当然……でも少し寂しい」
ミカサが少し暗い表情になる。
「ま、まぁ無事ってこったな。……てか機体失っちまったし……こりゃ始末書じゃすまねぇな」
「ん……? どうしたの?」
「い、いや……ちょっと……やらかしちゃってですねナナバさん」
「またか……」
「さっき言ってたけど機体ごと盾にして守ったって言ったじゃん? ……それでさ、あれ最新機だったんだよね」
「ふふ、そんなことかい」
「そんなことってっ! 軍って結構厳しんですよ……?」
そうやって旧知の仲とだべっていると警報が鳴り響く。
「侵入者だって!?」
グリュックは急いでカタパルトデッキに向かう。
「なんだあの派手な赤い軍服……」
ヘルメットにデカイ角のようなものをつけた赤いジオンの軍服、そう、赤い彗星のシャア・アズナブルである。
「とりあえずあれが侵入者なんだよな?」
グリュックは他の民間人や軍人とともにシャアを撃つが全く当たらない。
「クソッ! 逃げられたか……」
「出航するぞ!」
ブライトがそう叫び、ホワイトベース並びにガンダムはカタパルトから出撃する。グリュックはモビルスーツデッキへと向かう。
「すみません! 今出られる機体はありますか!?」
「今出られるものとなると……これしか」
今整備が完了しているのはコア・ファイターが2機のみ。
「今、リュウ・ホセイパイロット候補生がその1機に乗って出たところですが……」
「なら俺もコア・ファイターで出ます、お願いします!」
「……了解した。カタパルトデッキ! コア・ファイターの発進準備を!!」
彼はコクピットに乗り込み、コア・ファイターの操縦桿を握る。
「君は戦闘経験はあるのか?」
艦艇にいるブライトからそう問いかけられるグリュック。
「ありますよ。グリュック・シュバイン、コア・ファイター、出ますっ!」
虚空の戦場に飛び立つグリュック。相手は赤のザクが1機と緑のザクが2機。
「相手がザクなら人間じゃないんだ……人じゃない……!」
シャアの乗るザクに狙いを定めるガンダムだったが、寸前で避けられてしまう。
「クソぉぉおお!!」
何度も何度も避けられてしまうビームライフル。
「スレンダー、クサカ、援護をしろ!!」
「し、しかし少佐! 自分はあの武器を見ていません!」
「当たらなければどうということはない、援護しろ!」
モビルスーツ用の携行型ビーム兵器などというものはこれまでジオンには存在しなかったため、狼狽えるスレンダーにシャアが喝を入れる。
「後ろががら空きだぞ少年!」
「!?」
背後のザクのマシンガンが直撃しても傷1つつかないガンダム。
「こ、こいつ……!」
スレンダーのザクに狙いを定め、コクピットに直撃させるガンダム。
「やりやがった……よくやったな君!」
リュウのコア・ファイターも駆け付け、ようやくジオンのモビルスーツ部隊は撤退していったのだった。