エロゲの悪役に転生した俺、勃起中はステータス爆上がりのスキルで破滅を回避する。童貞だけど   作:ゼフィガルド

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第18話:決戦の最終フロアへ

 

 いつも通りの光景。散らかった部屋で『迷宮エレクチオン』をプレイしていた。CGもイベントもコンプした。他にも色々とエロゲはインストールしていたが立ち上げる気さえ起きなかった。

 ドアノブに紐を括りつけていた。もう片方に作った輪に頭を通した。体重を預ける、体が宙に浮く、首が締まる、意識が遠のく。

 

~~

 

「っは!?」

 

 目を覚ました。呼吸は荒いが、気管が詰まった様子はない。

 ダンジョンの攻略は順調だったが、それ以外にトラブルが多すぎた。溜め込んだストレスに反応するような形で、この世界に来る前の俺が何をしていたかを思い出した。

 

「そうか、俺は」

 

 ライトノベルやアニメでも見られる『転生』と言う奴だろうか。俺の体がどうなったのかという疑問の答えが最悪の形で得られてしまった。戻るべき肉体など、既に存在していないのだ。

 本当を言うと、僅かな可能性に賭けていた。魔王を倒せば、自分は元の世界に戻れるんじゃないかと。そして、今までの旅路は良き思い出になるのだと。

 

「そんなエンディングは用意されていないか」

 

俺は、エレクとしてこの世界を生きていく外ないのか。

残すは12階のフロアボス、すなわち魔王のみとなっていると言うのに。だからこそ、ルーカスの姿を借りて現れたのだろうが。

 

「(現時点で破滅を回避することはできる)」

 

 俺を脅かす存在は失脚している。後は魔王を倒せば良いだけだ、覚悟を決める時間位はあっても良いだろうと考えていたが、異変に気付いた。直ぐに布団を捲った。

 

「え?」

 

 朝を告げる様に立っていた股間のモノが萎えていた。日常生活ならば元気が無いで済むだろうが、エレクにとっては重大な出来事だった。

 直ぐにケイローとセレンを呼んで事情を説明した。ダンジョンの最深部の攻略を前に、スキルの発動が困難になっているということを。

 

「でしたら、回復するまで攻略の時期をずらしますか?」

「いや、そうは行かない理由があるんだ」

 

 迷宮エレクチオンの終盤。最終フロアの近くまで進んでいくと、ダンジョンから魔物が解き放たれるというイベントが発生するのだ。

 物語のクライマックスということもあり、今までの仲間も駆けつけるという胸熱展開ではあるが、今の状態を鑑みれば非常に状況が悪い。

 

「モタモタしていられない。ということですな?」

「幸い、今はまだイベントが発生していないが、何時現実になるかもわからない。だから、攻略を止める訳には行かない」

「そんな! 無茶ですよ!?」

 

 セレンが抗議の声を上げた。だが、残された時間は多くないはずだ。

 幸いにして、今までのダンジョン攻略のお陰で適正レベルはあるし、武装は良い物が揃っている。……ただし、適正レベルと言うのはあくまでルーカスの成長率で語った上での話ではあるが。

 

「原作において。エレク様が魔王を倒すというルートは存在しているのですか?」

「いや。そもそも、エレクの乱入を許してばかりいると途中でバッドエンディングになるんだ。物語が途中で終わる」

 

 だから、エレクと魔王が直接対峙するという描写は無い。ただ、好色の魔王と言うだけにあって、性関係に関して強い【勃起無双】なら有利に立ち回れると考えていた。……手前に、コレである。

 

「じゃあ、今回ばかりは勝つかも分からないんですね」

「あぁ。だから、何とかして立たせないといけないんだ」

「セレン様」

 

 ケイローに促され、セレンはマントを脱いだ。体のラインが浮かび上がったセクシーな水着姿ではあるが、スキルの反応は無かった。

 

「みぎゃ?」

「そうだ! 直接刺激すれば」

 

 天雅を纏わせて何時もの様に扱くがまるで立つ気配が無い。他にもキスをしたり、胸を触ってみたり、色々と試してみたが何の反応も無かったので途中で辞めた。

 

「もういい。止めてくれ。自分が惨めになってくる」

「そんな……」

 

 これだけ奉仕されて立ちもしないとなれば、セレンに恥を掻かせるし俺も情けない気分になって来る。俺達2人の様子を見ながら、ケイローが厳しく指摘をして来た。

 

「スキルありきの立ち回りをしている二人が、今決戦に挑むのは無謀と言う外ありません。おやめください」

「いや、行かない訳には行かない」

「どうしてですか!?」

 

 街には、イアス商会の人達やセレンの母親。そして、裏路地で今も必死に生きようとしている彼女達がいる。

 

「もう、この街を見捨てられない位に沢山の人達との思い出があるんだ」

 

 終盤のイベントで街中に魔物が溢れるイベントは、作中では描写されていなかった物の犠牲者も出ていたハズで。既に、彼らはテキストのフレーバーとして処理されても良い人達ではなくなっていた。

 セレンも俺と同じ様に覚悟を決めていた。ケイローもまた、止めることは出来ないと悟ったのか。静かに言った。

 

「分かりました。エレク様の決意は固い様です。ならば、私も出来る限りのことをさせて頂きます。セレン様、天雅様。どうか、ご無事で!」

「はい!」

「みぎゅ!!」

「ありがとう。ケイロー、俺がこの世界に来て初めて会った人間がお前だったこと。本当に嬉しく思う」

「勿体なきお言葉。どうか、これを持って行って下さい」

 

 今まで瀟洒な様子を崩さなかった彼が、感極まって涙を浮かべていた。彼に差し出された護符を受け取った。見た所、気休め位の効果しかなさそうだが嬉しかった。

 昨日の内に用意された荷物を馬車に運び、ダンジョンへと向かう。これが最後になるかもしれないと思うと、感慨深い物だった。

 

「あぁ! エレク様だ! 英雄の癒し手であるセレン様も一緒だ!」

「どうか! この国と王女をお救い下さい!」

 

 今や期待の声で溢れていた。彼らの声援を受けながらダンジョンの入り口に立つ。門番が誇らしそうな顔をしていた。

 

「今でも信じられませんよ。貴方がこの国を救う英雄になるなんて」

「俺もだ。それじゃあ、行って来るよ」

「はい。お気をつけて」

 

 門番に見送られてダンジョンを潜って行く。転送陣を用いて、最終フロア一歩手前の休息所まで出た。イアスとミーディも見送りに来てくれていた。

 

「エレク様。とうとう、ここまで来ましたね」

 

 最奥部手前ということもあり、確保した安全が盤石な物とは限らない。だからこそ、彼らの様な実力者が直接来ているのだろう。

 いつもは商人然としたイアスも鎧を着こんで、エンチャントが付与された武具を身にまとっていた。

 

「何かあったら、直ぐに撤退して来て下さい。私達が必ずここを守ります」

 

 ミーディが言う。背後にはボス達に囚われていた女冒険者や彼女達の仲間が詰めかけていた。俺のスキルの余波も考えて、後詰めに徹してくれるらしい。

 

「皆。頼んだぞ」

 

 全員から応! と返事された。彼らにも見送られた長く続く1本道を進む。道中でもセレンが懸命に奉仕してくれたが、やはり立つ気配が無かった。

 

「もしかして、私じゃ飽きて」

 

 現実世界の俺がどうなったか。街中で見たエレクの罪の形とこれから。

 過去と未来の両方に落とされた影が、俺の中で想像以上のストレスとなって膨らんでいるのかもしれない。

 

「そう言う訳じゃない。今更言うのも気恥ずかしいが、一緒にするならお前とが良い。お前とじゃないと嫌だ」

「それって……」

 

 お互いの顔が赤くなった。散々、ボスの肛門を掘って来て純情ぶるのもおかしな話だが、生涯を添い遂げるなら彼女以外に考えられなかった。

 この戦いが終わったら。と言いかけたが、止めておいた。死亡フラグになってしまうかもしれないからだ。

 

「行くぞ」

「いよいよですね」

 

 広いフロアに出た。俺達が来るのが分かっていたのか、魔王は玉座で悠々と待ち受けていた。背後にはルーカスと王女の二人が吊るされていた。

 

「まさか、勇者ではなくお前達が来るとはな」

 

 聞いているだけで背筋がゾクゾクとするようだった。

 自身の体こそが一番美しいと言わんばかりに一糸まとわぬ姿で現れ、妖艶な笑みを浮かべていた。

 

「お前が魔王か」

「如何にも。余が魔を束ねる王『ヘラ』である。退屈しのぎに地上に出て来たが、いやはや。お前らは何を起こすか分からない。実に面白い」

 

 一瞬で姿が消え、気づけば目の前に居た。剣を振るうが肌には傷一つ付かない。軽く手を当てられただけで、刀身は砕けて散った。

 

「バカな!?」

「こんな玩具が余に通じるとでも思っているのか。本気を出して貰わねばな」

 

 白く美しい手が、俺の股間を撫でた、脳髄に痺れんばかりの快感が迸った。俺のスキルを知っているなら、こんな行為は利敵行為でしかないはずなのに。

 

「エレク様に何を!」

「下がっていろ、小娘。それから、これも邪魔だな」

「ミ”ッ!!」

 

 手を翳しただけでセレンが吹っ飛ばされた。股間に張り付いていた天雅も剥がされて、壁に叩き付けられていた。

 

「セレン! 天雅!!」

「人のことを気にしている場合か?」

 

 エンチャントを施したローブが溶かされ全裸になっていた。ヘラが聞き慣れない言語を発すると体の自由は奪われたのに対し、股間は信じられない程に脈動していた。

 

「(スキルが発動しているってのに!)」

 

 強制的にスキルを発動させられたと言うのに、体の自由がまるで聞かない。

 ヘラに押し倒され、跨られた。この世界に来て、人型との始めてになるのか。全身が快楽に侵され、カリドーンの時とは比べ物にならない程の全身に痛みが走る。スキルが暴走を超えて暴走している。

 

「余の眷属達とは別格だろう。お前は面白い。あの2匹と一緒に飼ってやろう」

 

 視界が明滅する。快楽を前に意識を保っていられない。やがて、体に走る痛みも快楽もぶつんと途切れて、全身から力が失われた。

 

「(あ、死んだ)」

 

 全てが閉ざされて行く。首を傾けることも能わず、俺と言う存在が暗闇の中に沈んでいく。

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