蒼い炎と紫の魔女   作:星夜見流星

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EXPOお疲れ様でした!


とある日の出来事

「シオンと本気で戦って!!」

 

ここ、名門と呼ばれる魔界学校の廊下でやたらめったら大声で叫ぶこいつの名前は紫咲シオン。名門家系の紫咲家次期当主にしてこの学校の首席、成績優秀運動神経抜群のまさに天才と呼べる人物だ。

 

「首席様相手に手加減なんてしてるわけないだろ。あれが俺の本気だよ」

 

俺はシオンの叫びに素っ気なく返しやれやれと首を振って帰る為にシオンから背を向けて歩き出そうとする。下校時間をとっくに過ぎていることもあり廊下には誰もおらず俺達二人しかいない。

 

「シオンにはわかる!キミの実力はあの程度じゃないって事ぐらい!」

 

「過大評価しすぎだ。俺はお前と違って一般家庭育ちだz「そんなの実力とは関係ない!」

 

俺の否定を割り込んで否定し返してくるシオンに顔を向けると彼女の瞳は真剣に俺を捉えていた。

 

「関係あるよ。血筋には抗えない、それが魔界(ここ)での常識ってお前だってわかってるだろ」

 

「それでもシオンは!「しつこい!!」っ!」

 

俺が強めに言うとシオンは体がビクッと跳ねて喋るのをやめてしまう。

 

「何度でも言うぞ、あれが俺の本気だ。じゃあな」

 

歩き出した俺にシオンは両手を強く握り悔しそうな顔をして何を言わずただただ俺の背中を見続けていた。

 

 

 

 

 

「ただいま」

 

家に帰ると家の奥から母さんが歩いてきて出迎えてくれる。

 

「エンガおかえりって暗い顔してどうかしたの?」

 

「別になんでもないよ」

 

そんなに顔に出ていたか?と思いながら鞄を置く為自室に向かおうとする俺に母さんが問いかけてくる。

 

「な〜に〜?またシオンちゃんと喧嘩でもした?」

 

「喧嘩なんてしてないよ。ただ本気出せってしつこいから強めに言っただけ」

 

母さんの問いかけに答えて階段を上がり始めると途中で母さんが優しい声で呼び止める。

 

「ねえエンガ、一回だけ全力でシオンちゃんと戦ってあげたら?」

 

「え?」

 

「そうすればシオンちゃんも納得すると思うし。なによりこんなにあなたを気にかけてくれてる子なんてシオンちゃんだけでしょう?」

 

母さんの話を聞き少し考えてから何も言わずに階段を上がる。

自室の扉を開き鞄を放り投げてベッドにダイブし制服のポケットからスマホを取り出す。

画面を出せばそこには嫌な顔をしている俺の隣で最高の笑顔で笑っているシオンとのツーショットが映っていた。

別に俺がこの写真にしたわけじゃなく前にシオンが勝手にホーム画面を変えてから気づいたら自分でも気に入っていて変えるに変えれないでいた。本人には変えるのが面倒なだけといつも言っているのだがそれをネタにいじられるのにもだいぶ慣れてしまった。

この写真を見ていると帰る前に見たシオンの顔とさっき母さんに言われた言葉を思い出す。

 

(あんな顔したシオンは久しぶりに見たな…)

 

いつもはガキみたいに馬鹿にしてくるシオンだがああ見えて人一倍誰かを気にかけるのはあいつの良いところだ。そんなあいつが真剣に俺を説得させようとするなんて今までなかった。

最後に見たシオンの悔しそうで今にも泣き出しそうな顔が脳裏をよぎり

俺の指は自然とスマホを操作しメッセージを送っていた。

勿論送り先は紫咲シオン、内容は。

 

二十一練習場

 

たったこれだけの文を送り画面を消してベッドから起き上がる。部屋から出て下に降りると夕飯の準備をしている母さんがいた。

 

「少し出かけてくる」

 

そう言うと母さんは嬉しそうに「ご飯出来たら連絡する」と言ってくれる。本当に頼りになる母親だと思いながらとある場所に向かうのだった。

 

 

 

 

 

「ここか…」

 

スカートのポケットからスマホを取り出して画面を見る。画面には六文字の漢字が書かれていて普通の人じゃなんのことかわからないだろうけどシオンにはわかる。

 

『二十一時に学校の練習場で待ってる』

 

練習場の入り口に入り耐魔力素材で出来た床を歩きながらフィールドに出ると中央に彼の背中が見える。

 

「エンガ…」

 

シオンが来たことに気づいているはずなのに何も言わずにただ黙って立っている。

 

「その…さっきはごめん。シオンが言い過ぎちゃったから…」

 

下を向いて弱々しく言うと目の前にパサッというなにか軽いものが落ちる音がして音がした方を見ると黒の手袋が落ちている。

それを見た瞬間勢いよく顔を上げるとエンガは真剣な表情でこちらを見ていた。

手袋を投げるという行為がなんなのかは魔法を使う者なら誰でも知っている。

 

「紫咲シオン、俺はお前に決闘を申し込む」

 

「ちょっ!?人が謝りに来たのに急になにを言い出して」

 

「本気の俺と戦いたいんだろ?」

 

たった一言、本気という言葉だけでシオンの心が昂り始める。

望んでいた戦い、知りたかった彼の実力、自分に全力を出してくれるという喜び、それだけでここに来た意味があった。

 

「やってやろうじゃん」

 

落ちた手袋を拾って投げ返すと受け取ったエンガは手袋を付け直して目を瞑りはっきりと答えた。

 

「言っとくけど、お前が負けを認めるまでやめないからな」

 

目を開けるとエンガの瞳の色が真紅に染まっていて一瞬背筋が凍るような感覚に襲われ反射的に後ろに飛び退く。すると直前まで自分が立っていた場所にはどこからともなく蒼炎の火柱が出現する。

 

「よく避けれたな」

 

「天才だからね…」

 

強気に答えたが思ってた以上に余裕がなくなってしまった。実際に今までに誓った経験で避けれはしたがあと数秒でも回避が遅れていたらアレに呑み込まれていただろう。魔法出力も今まで授業で見てきたものより桁違いで高い。

そしてあの冷たい視線を向けてくる瞳。恐らくあれは魔眼の一種であれがエンガの魔法出力をあげているんだと思う。

予備動作なしの攻撃に桁違いの出力。

 

(本当に本気でシオンのことを潰しに来てるんだ…)

 

シオンは手の内がばれているけどシオンはエンガがなにをしてくるかわからない。こっちから攻めるには圧倒的に情報が足りていない、ましてや守りに徹したとしてもあっちが何をしてくるかわからないから崩されたら即死は免れない。

 

(とにかく今は少しでも情報を引き出さないと勝負にならない!)

 

右手を翳し愛用している杖を出してそれを掴む。まずやる事は攻め過ぎず守り過ぎずの攻防一体の動きでエンガの力を見極める事。

杖を前に突き出し杖の先に巨大な魔法陣を出現させる。

 

「シオンも手加減しないから」

 

宣言を言うと同時にエンガに向けて魔法陣からビームを放つ。

ビームは火柱を掻き消し直進するがエンガは動く気配がなくビームがエンガに直撃すると爆破音と共に煙と爆風が発生する。爆風でまともに見れないが間違いなく当たったはずだ。

 

(致命傷にはならないだろうけどダメージは与えられたはず)

 

爆風がおさまってきて正面を見ると煙の中から人影が現れる。

 

「嘘でしょ…」

 

「安心しろ。手加減なんてしてる暇はあたえねぇよ」

 

信じたくはなかったけど現れたエンガは無傷だった。




初めての方は初めまして本編を読んでくださってる方はご無沙汰してます作者です。
EXPOが終わっていい時期だなと思ったので複数書いていた中で一番筆が進んでいたこの作品をあげさせて頂きました。
気まぐれ更新に変わりはないですが今後も読んでいただければ幸いです。
今更ですが作者は配信は観れる時に観ていますが塩っ子までは行っていないのでキャラブレがある可能性がありますごめんなさい。
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