マジカル戦国大名、謙信ちゃん【完】   作:ノイラーテム

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宅急道

 但馬は安定し、山名家が因幡に持つ分家へ支援を強めた。

これは輝虎が協力的である事や、周辺の大名が但馬を攻めようと様子を伺わなくなったことが影響している。山名本家も総力を挙げて分家の支援を始めたというところだ。

 

史実よりも押されて滅亡寸前だった山名家は勢力を盛り返しつつあった。

 

「何かあったと駆けつけてみれば……荷車に積んであるのは塩漬けの魚か?」

「左様です。手が空いた者の訓練も兼ねて増産を手伝い始めたのですが……」

「これまでの荷車が耐えられなくなったとか。古びておるわけでもないことに注目いたしまして」

「軍務に使う大荷駄ですが、この機に良き物をと思いました」

 暇を持て余した輝虎は、近くにある港の一つに駆けつけた。

大型化しつつある荷受け港ではなく、塩を作ったり魚を取って居る漁港側である。そこでは優良な塩ではないが、魚を漬けこ込む為にそれなりの塩を作っていたのだ。この時代の塩は延々と海水を一部の砂浜にぶっかけて、乾いて濃くなった砂を煮詰めて作る物なのだが……それに協力したのが手隙の予科生たちである。

 

この重労働で体を鍛えつつ、火系や水系の呪文を使える者が協力することで効率とコストを上昇させたという。いずれ彼らが去った後、どうするかは山名家次第であろう。

 

「私の許可を取るという事は、鋼でも使うのか?」

「それもありますが、まずは大きさの統一を図ろうかと思いまして」

「修理大夫様が棒銀の規格化とやらをされたのを参考にいたしました」

「大荷駄の大きさと、上に載せる荷を合わせれば楽になるかと思うたのです。輸送に関しても、いかほど倉に蓄えておるかも素早く計算できますので」

 今回の発案は事務方のトップである直江蔵人実綱である。

彼は小姓の中でも双璧である竹中半兵衛や真田源五郎らと相談して、日ごろにどんな話が飛び交っているとか、どのような相談事が起きているかを先に確認した。事務方のトップとはいえ大名同士の会話に必ずしも同席出来ないし、魔法学園などから色々な工夫が提案されて居ても、事務方の方まで滅多に回ってこないからだ。

 

そして輝虎は実力主義というか、身分に頓着の無い転生者だ。

良い提案ならば許可は出すが、その許可を何処かに持ち込んだりまでは協力したりはしない。それは提案を通した本人が努力すべきであると同時に、輝虎は面倒事が嫌いだからだ。越後時代どころか今でも政務の殆どを丸投げしているのに、必要も無いのに取次ぎなどをするはずも無かった。

 

「良かろう。上方や越後との話は請け負っても良い」

「ひとまず大荷駄用に荷車を何例か作り、大きさや形状を思案してみよ」

「ただ戦場に持ち込むことが多いのも確か。大街道のみを基にしてはいかんぞ」

「はっ。しかと承知しております」

 ちなみに荷物運びは小荷駄といって、人や駄馬が担いで移動する。

大荷駄は『小荷駄以上』という怪しい分類であり、荷車を使ったり大八車のような物を使ったりと特に基準は無い。実綱はこれに統一規格を持ち込むことで、運搬量を安定化させて発送量の把握を行おうとしたのである。この辺りは輝虎が精鋭のみを率いることで、幾らでも行軍する苦労に悩まされた末の思案であったという。

 

「おお、せっかくなので荷車以外に網代車か何かも頼む」

「と、言いますと? 誰ぞを運んで来る為ですかな?」

「そうだ。こちらを見学したいという将もおれば、研鑽したい本科生もおろう」

「牛ではなく馬で引く網代車があれば、輿に乗るよりもよほど早かろうよ。大名として参るならば格式も必要であろうが、秘かに会談を行うのであれば誰であるのか判らぬ方が良かろうて」

 要するに馬車が欲しいと輝虎は思い付きを述べた。

寝台列車や夜行バスの代わりに用意して置けば、寝ている間に京~但馬間を往復可能である。なんというか雨の時に濡れて移動するのが嫌なのと、本科生の中で有用な魔法……例えばマジカルエブタイドで水位を下げる魔法が欲しい時に呼んで来れるからだ。そうなれば架橋とか桟橋を作る時だけ居てくれれば、五日後には別の工事現場で働ける出張生活が可能である。移動だけに数日費やす日々を、ブラック労働と呼ぶかは不明と言っておこう。

 

 暫くして輝虎はしがない漁村に呼びつけられた。

戦国屈指の大大名を呼びつけるとは良い度胸だが、機密事項だと言われては仕方がない。ひとまず今夜は海鮮鍋だと心に決めて、とある村を訪れたのだが……。

 

むくつけき男たちが巨大な歯車を回転させる地獄絵図が待っていたのだ。

 

「用水路で海の水を引き込むのは判る」

「水車を回して引き開けるのもな。……で、アレはなんだ?」

「小屋の上まで海水を引き上げる作業にございます。いずれ魔法で何とかしたいとのことで」

「中は非常に乾燥させており、通常の何倍もの速さで海水が乾きまする」

 最初は全部バケツリレーで、集めた砂も同様であったとか。

それらを短縮するためにこうなったというのが全ての顛末である。砂は全て小屋の中であり、煮込む作業も同時にそこで行っているとか。その炎も無駄にはできぬと、小屋を乾燥させることを思いついたそうな。海水の運搬と砂の運搬を大幅に短縮し、乾燥時間も短縮したので、これまで以上の塩の増産が可能に成った瞬間である。もちろんポンプなんか輝虎が覚えていないせいである。

 

「見せたい物は判った。荷車に関しても試作したのであろ?」

「だが、それだけではこの輝虎を呼びつけるとも思えぬ」

「他に見せたいモノがあり、何やら機密が関わると思うのじゃが……」

「はっ。まずはこの施設を考案した本科生の方をご紹介したいと思います」

 こういってはなんだが、暇であっても輝虎は正四位下の弾正大弼である。

一昔前は田舎マイナー大名であったとしても、呼びつけるには十分な理由があるはずなのだ。前回の様に暇をしているから、事故現場を見に来たと言う訳ではないのだから。

 

その事に恐縮しつつも、実綱が輝虎を呼んだのには当然意味があった。

そして魔法学園の学生に対して、『この方』と呼ぶのだから、そこにはある種の理由が付属するだろう。もちろんその人物が貴族を兼ねているならば呼びつける筈はないので、もう少し下の格ではあるのだろうが……。

 

「こちらの方が考案されたのですが……」

「御足労、並びに御目通り感謝申し上げます」

「間を省く為に、失礼を承知で要件を述べさせていただきますね。よろしいでしょうか?」

「面倒を避けるためならば致し方なし。いかなる女傑か、お教え願えれば幸いですな」

 紹介されたのは、いずこかの家中の女子であった。

この世界では加護や魔法の素質の問題で、史実の武将が死んだり、逆に女性でも武将になる事が出来る。そして何より、魔法学園は武芸よりも魔法で身を立てる者が入学したり、寺の代わりに文物を学ぶために訪れるのだ。何処か名門の子女が紛れ込んでいてもおかしくはない。

 

その上で、実綱が配慮するという事は京に関わる重要人物の子弟か、さもなければ北陸方面の誰かであろう。

 

「家門としては、能登畠山家の係累に属しております」

「御存じかどうかは判りませんが、能登では塩の銘品を扱っております」

「その縁もありまして、この度の本科生を呼ばれた件で、私が名乗りを上げたという流れになりましょうか」

「ああ、なるほど。そういう事でしたら『大枠』は納得できますな」

 北の塩を扱うのは能登商人たちである。

越後にも訪れて商いを行い、そこから枝別れする様に大街道を利用して売りさばいていた。特に信濃や上野への利が高いと聞いたことはある。能登畠山家に所属する者であれば塩の流通を知り、その増産に関心があっても不思議では無かった。そして機密が関わるというならば、ここで得た知見を機密として管理したいという事なのだろうと『一応』は納得したのである。

 

問題はその程度の要件であれば、実綱経由でも良いのだ。

実綱が何処かのタイミングで機密にすることを提案するか、急ぐ場合でも、源五郎なり半兵衛経由で囁かせれば済む話であろう。『他』に何かあるのか想像させるではないか。

 

「それで、輝虎は何をすればよろしいか?」

「……わたくし、何年かして家に戻り、家中のいずれか、あるいは……」

「なるほど。そのまま嫁入りするか、いったん養子として大名家に嫁ぐと?」

「左様です。ですが、法術師としてどこまでやれるかを知りたい、何かが為せるのではないかと思ってしまったのです」

 箔をつけると同時に、コネを結んだ誰かが気に入れば大名家に嫁がせる。

そのつもりで魔法学園に入学させられたという訳だ。他にも似たような女子は居るし、男子も含めた子弟の中にはそれ以外に役目を持って居ない者も多かったと言って良い。寺に預けるよりは、中央とつながりを作る方が良いと送り込まれたのだろう。

 

それはそれとして、女子でも名を挙げられる世界である。

そして自らに才能やら才覚があると知ってしまった以上は、ただの嫁入り道具として魔法を覚えるのが惜しいというのも確かであろう。もし男子であれば剣術一本で食おうと飛び出す者も居るくらいなのだ。遠慮しているのもあくまで『嫁入りを前提』として大事に扱われた影響だろう。

 

「よろしい。いずれ常備軍の第三軍に席を用意しよう」

「柳生の様に剣で名前を挙げて士官する国人の子弟も居る」

「そなたが法術で名前を挙げても悪くは無かろうて」

「そうさな。現時点で百貫文、他にも案があり向上できるならば二百貫を最低でも保証する。もちろんその知見を何処かに伝える際には、そなたに相談することにしよう」

 働く女子に憧れる者は何時の時代でも居る者だ。

これが武芸や軍略で兵の命を扱うならば止めるところだが、これから魔法学園を担う秀才と言うのであれば留め置いて問題ないだろう。ダイナミックな青田刈りであるが、魔法学園が動き出して初年度から雇うと決めれば、奮起して彼女に続く者も出来やもしれない。

 

「そこまでいたさば、芽が相当にあると思うであろう」

「あるいはこの輝虎や周りの者と縁が繋げるやもしれぬ」

「そう思うて畠山殿も配慮致すであろうし、少なくともそなたの方が選べるであろうよ」

「ありがとうございます! この上は、更なる案を練り上げて貢献いたしますね!」

 なお、この提案が良かったのか彼女は更なる奮起をする事になった。

同じ乾燥させるならば、伐ったばかりの薪も乾燥させようとそちらでも魔法を使用する為の小屋を作っている途中の事。薪を竹に出来ないかとか、そもそも竹細工の出来損ないを砂の代わりに用いて、ソレをに詰めることで砂よりも早く乾かす方法を思いついたそうである。

 

もっとも思い付きが全て利用できたという訳でもない。輝虎が以前に忍者に尋ねた『水を操り、水上歩行で城壁を越えられるか?』というアイデアを聞いたことで、水を操る魔法を使えば男たちの労働が減るのではないかと考案したのだが……人員の貴重さ的に、労働力の方が安価だと却下されてガッカリきたという顛末が記されることになるとか。知識チートを狙う現代人にありがちなことは、現地人でもありえるという教訓であろう。

 

 陽が少しずつ陰っていくが、塩作りの話はあくまで前置きに過ぎない。

戦国大名としての輝虎の見分は、むしろここからであろう。一同の前に馬で引き出されて来たのは網代車と荷車二台になる。網代車の中には敷物が多層に成っており、荷車の上には軽鎧と食料がそれぞれ積んであった。

 

網代車の方が大きくほぼ木製、荷車は車軸に鋼が使っているがやや小さめになっているというところか?

 

「御支持の通り網代車の方は仰臥位または側臥位して移動が可能です」

「脇息と枕を下に置き、その上からさらに布を敷いております」

「これらの面で貴人の方を長距離運んでも全く問題ない造りになっておるかと」

「問題点としてはあくまで一人一台、護衛は御者を兼ねた者が一人しか同乗できませぬ」

 輝虎の要望により網代車の方はリクライニングした寝台車である。

本来ならば女房やら舎人こみで数人が乗る場所に、エライ人が寝ながら移動するという贅沢な造りだ。強引な力技を用いることによりサスペンションなしで揺れを治めるという造りになっていたと言えよう。なお、この車の登場に最も喜んだのは将軍である足利義輝ではなく……フットワークの軽い関白の近衛晴嗣であったとか。

 

後にこの車は金を積んで更なる加工が施される。

中国から輸入した木綿の布を敷き詰め、専用に煙が出難くなった炭を火鉢に入れて暖房を兼ね備えた旅行用になったという事である。

 

「荷車の方は大街道でなくともすれ違える大きさに揃えました」

「戦場での狭い道ではすれ違う場所すらない所もございます」

「代わりに車軸に許可を得ました鋼鉄を併用。滅多な事では折れませぬ」

「積載量も旗持ちや国人たちが着用する軽めの鎧を基準に計算しております。御下知があれば、いつどこなりと攻め入る事が出来るだけの物資を輸送できるでしょう」

 網代車が輝虎の我儘であるならば、この荷車は文官たちの希望である。

面倒くさい後方業務を円滑にするには、これらの大荷駄隊の拡充は必須であった。もちろん戦場では大荷駄ではなく、足軽が背負って運ぶ小荷駄の方が主力となるのだが……。まあ、それは何処の軍隊でも同じなので、特に語ったりはしていない。

 

「よろしい。最後に例の者供は?」

「……現在、陰者を動員して余計な者がおらぬか確認しております」

「問題が無ければ、三番隊の中でも選りすぐりの百名が駆けつけましょうぞ」

「完了次第で良い。輝虎の都合に構う事は無いぞ」

 最後に用意されたのは『背負い子』であり、案内して来た者がクルリと後ろを向いた。

これは荷物を運搬するための装備だが、小荷駄用の物と違って頑丈かつ軽量に出来ている。乾燥させた木など高価な素材を吟味して作り上げた、L字の装備だ。リュックサックを補助して荷物を山ほど載せても疲れない道具と言った所か。

 

やがて夕日が沈む頃、哨戒活動を終えたのか、彼方から色の付いた明かりが灯る。

狼煙と同じような物だが、煙と違って遠距離からでは判らないのが難点か。それを補うために、数kmずつ離れた位置に同様の明かりが灯るではないか。

 

「ほう……この配置。街道を通らぬのじゃな」

「今回はあくまで戦場を意識したもの」

「距離を測るのであれば、江戸から但馬まで駆けて見せましょうが」

「さて、始まりますぞ」

 夜中にポツポツと灯る灯火は、まるで航空機のガイドビーコンの様だ。

実際には夜目に慣れた精鋭たちが赴くので不要だが、見分している輝虎たちには明かりがあった方が良かろう。そして目の前にいる作業者が背負い子に松明をホールドすると、彼方の方でも同様の動きがあった。

 

俄に明かりが増え、気が付いたらそれらは動き出していたのだ。

最初は一人・二人、三人・四人……五人……いや、十人か! 一塊になった明かりはそのまま夜の道を疾走していく。時々に上下左右に動くのは、飛び越えたり難しい場所を迂回したりするのだろう。

 

「退屈ではありませんかな?」

「我らが真骨頂はこれから」

「夜盗組……改め、目付方の脅威。とくと御覧あれ」

「おお!」

 彼らは当然ながら戦闘用の部隊ではない。

先行して敵偵察部隊を蹴散らし、あるいは浸透突破して敵後方地帯を狙う影の軍団であった。全員が韋駄天や猿飛に身体強化といった、初歩ながら有用な術を身に着けている。派手さはないが百名全員が可能という点で恐ろしい集団であると言えるだろう。

 

そしてこちらから合図を送ると、松明の動きが変化し始める。

先ほどまでは地形に合わせた移動であったが、ここからはデモンストレーション。夜間でも十分な指示と共に動けることを念頭に、十隊が右と左に別れ、そこから七対三であったり四対六など指示通りに変化する。そして最後にはバラバラになって交差したはずなのに、再び十人の集団が十組出来上がるという有様であった。

 

(ヒャー! まるで日体大の行進見てるみたい)

(戦国の東大は武田で、日体大は上杉とかゲームネタで見たことあったかも)

(あ、色が変化した。花火の要領かな……スゴーイ!)

(ん……もしかしてあの人たちが背負ってるのは土嚢かな? てっきり兵糧かと思っちゃった)

 輝虎が大人しく見ている間に、光のイルミネーションは最終段階を迎えた。

指示通りの行進を終えた後は、背負い子に載せた袋を次々に一か所で下ろし始めたのだ。乱雑に見えて規則正しく、そしてうず高く積み上がっていくではないか。

 

「はい!」

「「ハイ! ハイ!」」

「「「はいはいはい!」」」

 土嚢が山に成り、その脇で十人ほどが組体操。

十人の空になった背負い子の上に、五人が乗った。五人の上に三人が、三人の上に一人が乗っていく。最後の一人が登り切って終りかと思えば、一段目の十人の前に五人が並び、上に三人、一人と階段を作り上げていく。もちろん五人の前には三人が乗ったのだ。

 

そして今度は残りの者が土嚢を手渡し、先ほどの土嚢の上に綺麗に積み上げていったという。

 

「頭上から御無礼を申し上げます」

「おお、そなたか玄蕃。もしやそこから飛べるのか?」

「カカカ! 無論の事! でなければこのように綺麗には並べませぬわ」

「ですが弟子共も含めて、この程度の高さは問題ありませぬ」

 これが攻城戦に対する忍者たちの回答例であった。

城攻めに対して魔法を使った愉快な力攻めはないのかと尋ねたら、『そんな都合の良い物は無い』と返すのが当然である。だが『では全員が恵まれた環境で術を覚えたらどうだ?』と言われて、『そうか我らは陰でなくとも良いのか』と、表芸の範疇で考え抜いた攻城戦である。

 

誰よりも情報を重視し、誰よりも準備を重視し、兵が居なくなった城へと百名で駆けつける。そして百名で即席の梯子を作り、ゆうゆうと壁を登って場内に進入するのである。

 

「さて。この始末は兵の方々にしていただきましょうぞ」

「代わりに玄蕃は別の物を戴いて行きまする!」

「では、雇用の教授料! 確かに頂きましたぞ!」

「なんと! 兵糧が……何時の間に!」

 組体操を終えて土嚢だけが積み上がっていた。

代わりに荷車に載せていた兵糧が消え去り、鎧の方はともかくもう一つの方がガランとして寂しげに見えた。おそらくはド派手な組体操に夢中になっている間に、残らず持ち去ったのであろう。

 

そしてこの事は何種類の作戦へと波及を思案できるということだ。

自分達の食料を持ち込めば、何処まででも浸透突破で抜けていける。敵の兵糧を持ち去り、あるいは火を点ければ籠城戦どころか通常の戦いも出来なくなるだろう。百名全員が薪やら油を持ち込めば、城下であろうと城門であろうと焼き払えるであろう。

 

「あっぱれ! 見事、これほどの武を練り上げた!」

「いえ。これも御屋形様が彼ら忍びを優遇したからですぞ」

「他所から赤子を買い上げ、あるいは才ある子を攫って育てておる里もあったとか」

「しかし高額の俸給で雇い入れ、法術師の学び舎で教授できる環境が整ったからこそであります」

 NINJYA! に妙な幻想を抱いて居る輝虎に転生した女は彼らを平等に扱った。

あくまで常備兵の一部として雇い入れ、国人の子弟たちと同じようの高額の報酬を払ったのである。そして漫画の様に忍者にも学校に通う事を許したことで、誰もが学べば最低限の事は身に付くと、常備兵の一環として活躍する未来を見せたのだ。ならば彼らが環境に合わせて行くのも当然であっただろう。

 

こうして夜盗と呼ばれた彼らは、いつしか周囲を見張る目付方と呼ばれるようになったという。




 超人墓場とか漢塾名物的なノリで塩を作成。とはいえ生産チートしないので丸投げ……。
そんな流れが見えたので、過信が気を利かせて畠山の縁者を呼んだ感じ。
この女性は輝虎の愛人(?)と誤解されつつ、後に北条高広に嫁ぎます。

『乾燥』
 火ではなく水の呪文。肉体から脱水して攻撃する呪文の派生形。
周辺の蒸気が減り易い空間を作り、その空間に数分間留まった場合はダメージを受ける。
しかし、今回は塩を作り、薪を作るために大活躍する。

『網代車EX』
 ガッシリした造りになったほか、絨毯方式で敷物を利用する。
このことでサスペンションとか板バネとか無しでもエライ人が利用可能。
なお、この時代の木綿は輸入の高級品なので、一台に御金がむっちゃ掛かる。

『大荷駄/雄型荷車・雌型荷車』
 軍隊用の大荷駄としてガッシリした共通規格が誕生した。
この事により輝虎は欲しいだけの兵糧を申請し、旅程を決めれば何処までも行けるようになった。
ちなみに一般販売したものの、より大型で安価な雌型の方がベストセラーになったそうな。解せぬ。

『背負い子Hardタイプ』
 軍隊の蛮用に耐える他、忍者が攻城用の道具としても使えるようになっている。
後にスコップが第二軍で発明されると、この背負い子を立てにしてスコップで戦うツワモノが登場するそうな。

『夜盗組改め、目付方』
 初歩の魔法のみながら全員が共通して習得している。
「城を簡単に落とす方なーい?」と聞かれたので「ねーよ!」と答えたら
「じゃあ学校で色々覚えて見ない?」と言われて「忍者如きが学校に行ける!?」と一念発起したそうな。
自転車並みの移動力で敵地へ進軍し、シャッター付きランタンの開閉で連絡を取り合い、隙だらけの後方へ侵入。
後にルイス・フロイスが「一度の戦いの裏で十の城を落とした」と真実を記述したのだが、ガスパル・ヴィレラ以上に信用のおけない彼の事、ただの誤字だとみなされて本国からは無視されたそうな。
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