『ウィィィィィス!!どうもぉジャムでぇす!!』   作:ジャムキンTV

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大会序盤(終)

『いやぁ〜本当にすみませんねぇ。こっちの都合で棄権する事になって。こっちとしては出たいのは山々なんですが、本当に出たかったんだけど……まぁご縁が無かった、という事で』

 

 夕暮れ時、大会運営に一本の電話が来た。相手は本戦出場者の一人。3位突破という好成績を残しかなりの腕があると注目されていたが、その本人より棄権の旨が伝えられた。大会側は何とか本戦に出場してもらえないかと伝えたが、ここで更なる電話が来た。

 アルセウス教パルデア支部。世界で最も信徒のいる宗教はパルデアにも存在しており、その支部からタイミング良く掛かってきていた。話の内容は「3位の者の棄権を認めていただきたい」との事。有無を言わせぬ威圧感のある言葉にポケモンリーグは簡単に従い、3位の参加者は棄権となった。

 それに留まらず、上層部は該当者のバトル映像からインタビュー映像まで瞬時に消し去り“無かった事”にしてしまった。

 

「“触らぬ神に裁きなし”ちゅう事ですか?」

「えぇ、私達は上の決定に従うだけですが……残念ですね、あれ程の逸材を逃してしまうのは」

「まぁた始まりましたわ、トップの人材発掘が」

「いつもの発作ですね。“発作出てますよ”というやつですか」

「お、そのネタ知っとるって事はアオキさんもジャムの放送見るんですか?」

「分かるという事は貴方も?」

 

 大会本部でテーブルを挟んで対面するオモダカ、チリ、アオキ。三人は大会の進行状況から各地で起きた問題などについて話をしていたが、その話が終われば少し前に起きた出来事について話が変わった。

 無名でありながら、3位で突破した実力者。そんな存在をオモダカが放っておく訳がない。しかしリーグ上層部によって「関わるべからず」というお達しが入り、オモダカはトレーナーを取り逃がしてしまった。

 

「チリ」

「いや、無理ですからね?お上からダメ言われてるのに探しになんて。チリちゃんまだリーグで高給取りしてますさかい」

「アオキ」

「……」

 

 オモダカはチャンピオンの一人であり“トップ”の地位を与えられているが、それはあくまでチャンピオンクラスのトップであり、ポケモンリーグのトップではない。かなりの地位に座ってはいるが、他の部署や上層部といった存在がいる。

 役職が上の人物から抑えられてはオモダカも簡単に行動出来ない。しかも、リーグに出資しているアルセウス教に逆らう事など不可能。

 

「“雨降ってすいすい”とはいかんくても、忘れて次に行きましょうよ。ねぇアオキさん」

「“逃したポケモンが色違い”とは──」

「──だぁらっしゃい!どうしてアオキさんはそう……」

 

 どう足掻いても無理だと、一旦忘れて次に行こうと会議を進めようとするチリ。それに余計な一言を言うアオキ。諦めきれないオモダカ。

 話し合いは三つに分かれ、混迷を極めていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ!?はい、はい……うーん、まぁ事情があるなら……しょうがないですねぇ……折角良い成績で突破してくれたのに、非常に、非常に残念ですねぇ……」

 

 参加者が一人減ったという話は主催者である大物TraiTube“r”ジャムにも届いていた。連絡を受けた時ジャムはスタッフ達と打ち合わせをしており、話を聞き終えたジャムは何も言わずに天を見上げた。

 その姿を見たスタッフは「あのいつも妙なテンションを維持してるジャムさんがあんなにも落ち込むなんて」「3位という良い成績を残したトレーナーがいなくなってショックを受けているんだ」と驚き声を掛けれずただ見ているしかなかった。

 

「……いや、あの人なんか怪しい感じしたし……妙に馴れ馴れしかったし……まぁいいか」

 

 しかしジャムは落ち込んではいなかった。驚いていたのは事実だが最近自分に関わってくる変人達の傾向を見て「離れてくれるのは逆に良かったのでは?」とすら考えていた。

 たまに配信に乗り込む最強チャンプに向こうからやってきてはくどくどと言ってくるトップ、その他諸々を見て「自分から寄ってくるのは相手にしない方が良い」と思うようになってしまっていた。

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