『ウィィィィィス!!どうもぉジャムでぇす!!』   作:ジャムキンTV

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大会中盤

「まさかこの十数日でジム巡ってスター団のアジトを制覇するとは……流石に驚嘆ちゃんだぜ」

「ジム巡りをメインにしてたアオイとアジト巡りをしてたネモ、この二人だけでも大変だったのにまさか他の生徒やら一般トレーナーまでスター団にバトル挑むとか……」

 

 ポケモンセンター近くのカフェでボタンとペパーがこれからについて話をしていた。例の二人がジムとスター団を回っていたが、それが大会直前とに終わってしまいマジボスの登場は延期となってしまった。

 ネモはともかくポケモンを貰ったばかりの初心者トレーナーであるアオイがここまでの急成長を遂げたのが予想外。本来の予定では大会後にジム巡りとスター団巡りが終わり、そこで登場するという算段であった。

 

「どうしてこうも上手く行かんの?どうして?ねぇ?」

「いや俺に詰め寄られても」

 

 二人は知らなかったがアオイは前に住んでいた地方でトレーナーをしていた。チャンピオンとバトルが出来る腕を持っており、パルデア地方では当時の手持ちポケモンはあまり出て来ていない。

 そんな情報を知らない二人の目にはアオイは急成長をし続けるヤバいバケモノに映っていた。

 

「……それだけだったらまだマシだったよ、それだけだったらね」

「……おう」

 

 二人の脳裏に浮かんだのは“二人以外”の事。謎の神父に始まり、生徒から一般トレーナーまで少なくない人数がスター団にバトルを挑む事案が立て続けに起こっていた。

 スター団アジトにまで凸してくる猛者はいなかったが、トレーナーがスター団員にポケモンバトルを挑んでおり、それが毎日十数回確認出来ており、各自アジトで「トレーナーに警戒する様に」というお達が出回ったくらいだ。

 

「でもその神父だっけ?そいつ以外は無理やり挑んでくる訳じゃないんだろ?それで被害も出てない訳だから、放置していいんじゃねぇか?」

「まぁ誰かが傷付いたとかなら色々動くけど、そこまでだからね……」

 

 ジャムの大会が始まり挑むトレーナーが消えたのも頭を悩ませていた。どう考えてもジャムの大会に参加する為の腕試しとして扱われていた。

 

「外部から無秩序に攻撃されると、あの子達……より閉じこもって、過激になってたと思う」

 

 ペパーの脳裏に、スター団のボス達の顔が浮かぶ。不器用で、頑固で、逃げ場を失えば意地を張り、でも仲間の為に頑張れる連中。

 しばし、沈黙が落ちる。二人の空気が、わずかに重くなった。

 

「……なあボタン」

 

 ペパーがぽつりと言う。

 

「俺たち、最初から協力して正解だったな」

 

 ボタンは少し驚いたように目を瞬かせ、それから小さく笑った。

 

「今さら?」

「いや、本当に。俺一人だったら、色々抱え込んで大変だったろうし。お前も一人だったら何しでかしてたか分かんねぇし」

「それは想像できる」

「おい」

 

 軽く睨むペパーを、ボタンは気にせず続ける。

 

「だから、ここからはもっと慎重に動く。ネモとアオイはこのままにする。他のトレーナーは……まぁこの人達は大会の為にやってただろうしもう来ないと思うけど、これは後々考えよう」

「そうだな」

 

 ペパーは頷き、拳を軽く握った。

 

「アオイもネモも真っ直ぐだ。ちゃんと話せば、絶対に理解してくれる」

「……うん」

 

 ボタンの声は柔らかな声で答える。

 

「だからこそ、今はまだ話さない」

 

 二人が見つめるスマホロトムのモニターに再び灯りが点る。スター団、ジムリーダー、アオイ、ネモ、そして名も無きトレーナー達の情報が載っている。それぞれが別々の理由で動き、世界は少しずつ予想外の方向へ進んでいる。

 

「ややこしくなってきたな」

「でも、面白いでしょ?」

「へぇボタちゃんも言う様になったなぁ。余裕ちゃんか?」

「ボタちゃん言うな!」

 

 飲み物を一口飲んだペパーが不敵に笑う。

 

「全部ひっくるめて、最後に“ちゃんとした形”にする。それが俺たちの役目だ」

 

 ボタンは小さく頷き、スマホの画面に指を伸ばす。

 

「うん。この計画が、誰かを追い詰めるだけのものにならない様に。みんなを救える様に」

 

静かな決意が、研究室に満ちていった。

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