『ウィィィィィス!!どうもぉジャムでぇす!!』 作:ジャムキンTV
「……君の話は分かりましたよぉ?相棒のポケモンさんを助けたい。でもポケモンセンターでは治らず、道具は意味を為さなかった。んん、で。その為にそのぉ、オカルト本に載っているスパイスを探している、と」
「うーん、申し訳ない。バトルやポケモンの育成にならね、手を貸せるんだけどぉ……んん、その“5種類のスパイス”の場所は分かりませんねぇ。ポケモンさんの怪我を治す方法も、道具も持ち合わせてないわ……あ、伝説のポケモンさんは止めた方が良いですよ?対価で何を背負う事になるのか分からないですから」
話をした。その結果オレの心を占めたのは落胆。期待は消え去りただ空虚な心、喪失感があった。
期待していなかったと言えば嘘になる。でもそんなに期待してた訳じゃねぇ。オレだって調べたんだ、あいつの灯台の研究所の資料をひっくり返す事もした。
だけど、見つからなかった。だから、この大会に参加したんだ。最近人気なこいつに聞けば何か分かるかもって。
「……いや、大丈夫。……医者も治せない怪我を治せたり、あるのかすら分からねぇ物の場所を知ってたり。流石にそんな事ある訳ねぇよな……。でも、このトーナメントに出れて良かったわ。久しぶりにバトル出来たしな」
でもあいつと一緒にバトルしたかった。失いそうになった者を元に戻したい、それだけを願った。探し回った。期待をすればする程、叶わなかった反動は大きく、オレの心を削っていった。
今回もそうだ。返ってきた答えを聞いた瞬間、数秒思考が止まった。考えられず、ただ茫然と立ち尽くしてしまった。
「……うーん、大穴に行くのは危険ですしぃ、地上に持ってきた分は、ポケモンさんに食べられてしまったと、書かれていると。可能性は少ないですがぁ、まだ地上にね、残っている可能性があるのでは?種子が風で飛び、別の場所で育っている、かも」
「野生のポケモンさんで強い個体、たまにいますが……もしかしたら、もしかしたらね、その子がこのヌシポケモンさんと同じ存在で、スパイスを食べているのかもしれへんわ。未だに自生している、そのスパイスを食べているのかも……」
こいつは、そんなオレを気遣い色々と話をしてくれた。オレはずっとパルデア中を探していたけれど、完璧に探せた訳じゃない。レベルの高いポケモンが居る場所はあまり探せていなかった。
もしかしたら、今もどこかに存在していて、ヌシポケモンとかいう奴らが守っているのかもしれない。
希望も何も無くなった心に火が灯った気がした。
この本はアイツが大切にしていた物だ。一応博士なんて呼ばれてる奴が、嘘が書かれた本を持ってる訳がねぇ!大穴で研究してたんだから、この秘伝スパイスも存在している可能性は十分にあるだろ!
「ありがとう!えぇっと……ジャムさん、アンタのおかげでもうちょっと頑張ってみようかなって」
「……無理はしないでくださいよぉ?また何かあれば」
今日は一旦帰って休もう。明日からまた、パルデア中を探して回るんだ!オレの心から弱気は消え去った、あるのは希望だ!
「あいつは強かったけど、ホシガリスは最近捕まえたばかりだからなぁ。また、ジャムの動画を見て勉強し直すか。勉強ってあんまり好きじゃねぇけど、あいつの為にって思えば何でもやれる。やる気満々ちゃんだぜ」
ヌシなんていう奴らを相手にするんだ、仲間が必要だ。手持ちを増やして、最強になって挑まなきゃな。でも手持ちは道具じゃねぇ、ジャムが大切にするもんだって前に言ってた事は忘れねぇように。
そういえば、トーナメントに生徒会長がいたけど、あいつくらい強くなりてぇ。そうすれば、またあいつとバトルが出来る日が帰ってくる!