『ウィィィィィス!!どうもぉジャムでぇす!!』   作:ジャムキンTV

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強くてニューゲーム第三話「ネガイ×ト×チカイ」

「──であり、全てを生み出したという伝承が残っている。神と呼ばれるポケモンは各地に存在しているが、それらと比べればその力と信仰地域の広さは凄いものだ。しかし、アルセウス自体分かっている事は少なく、ポケモンであるか否かすら未だ分かっていない。『神であってポケモンではない』『神でありポケモンだ』と学者間でも意見は別れており、神学やら宗教学でも未だに解釈の違いで議論になっている。まぁ曖昧な物を何も分かっていないのに定義付けするのが可笑しいのだが。そもそもポケモンの定義からして──」

 

 レホール先生の授業はよく脱線して別の方向に話が進む事があるが、面白い話が聞けるので好きだ。今も歴史の話から宗教の話に移り、どんどん逸れていっている。

 

「さっきも話したが、アルセウス教と言ってもその種類は多い。三大宗派にしても地域によって細分化されているし、同じ宗派なのに伝承や教えが全く違う場合もある」

 

 ガラルでもパルデアでも各地に教会が建っているし、自分の家にも十字架や燭台があるくらいだ。よく見れば日常の色々な所に存在している。

 

「まぁポケモンかどうか知りたければボールを投げてみればいい、ボールに入ればポケモンだな」

 

 レホール先生は最終的に投げやりな感じに終わらせてしまった。アルセウス……いつかバトルしてみたいな。どんなタイプなのか、どんな技を使うのか気になる。

 

「これで授業は終わるが、この後はホームルームだ。今年度の宝探しについての話がある。キチンと話を聞く様に」

「ねぇ!宝探しだけどどこから回るの?」

 

 チャイムが鳴り先生が教室から出ていくと早速ネモが声を掛けてきた。どこから回る?とは?

 

「アオイは宝探しでジム回るでしょ?どこから行くのかなって」

「え?宝探しってジム回っても良いの?」

「そうだよ。いつもは授業があって休みの日くらいしか行けないけど、宝探し期間は自由だからバッジが欲しい子はみんなこの時期に行くの」

 

 そもそもその宝探しについてもよく分からないのだけれど、何をすれば良いのだろうか。

 そう考えているとジニア先生が教室に入ってきた。チャイムが鳴りみんなが席に着くのを見て話し始める。授業の話や行事の話、後は細々とした話をした後に宝探しについて始まった。

 

「えぇ皆さん、もうすぐ“宝探し”の時期になります。アオイさんは初めてだと思いますが、気負い過ぎない様に。宝探しとは自分だけの“宝となるモノ”を見つける事、皆さん個人個人の宝を見つける事が大切です。みんな違ってみんな良いのです。ですがキチンと宝物を見つけてきてください。一応自由参加型の授業もやっていますので宝探しの合間に受講出来ます。何かあれば先生の所に来てくださいね」

 

 自分だけの宝を探すとは随分と曖昧な表現だと思ったがそれが分かっていたらしく、去年生徒が見つけた宝や過去の宝を例に出してこれを元にして自分なりの答えを出せば良いと言ってくれた。

 宝探しの期間は二ヶ月、この期間の間に色々な事に挑戦するも良し、一つの事に取り組むも良し。私はどうしようかな。

 

「私の宝……宝かぁ……何も思いつかない」

 

 私はバトルが好きで、もっと色々な人達とバトルがしたい。そう考えるとネモが言ってくれたジム巡りが合っているのかもしれない。でもそれを宝探しと言って良いのだろうか?

 

「やっぱりジムを回るんでしょ!?なら一番近くのセルクルジムがおすすめ!その後はベイクジムが近いけど崖の上にあるから、洞窟を通って上に行かなきゃいけないし迷いやすいから注意。それからそれから──」

「ちょ、ちょっとネモ。早口で途中から何言ってるか分からなかったから」

「あ!大会には参加するの?丁度宝探しの時期にやるけど抽選に外れてると参加出来ないから。ポケモンリーグも関わってて凄いトレーナーがいっぱい来ると思うから楽しみ!」

「だから圧が凄いって!」

「私は抽選当たってたから参加するんだけど!最後まで勝ち残ってジャムとバトルするんだ!」

「ジャムさん!?今ジャムさんって言ったよね!?ネモもあの大会に参加するの!?」

「やっぱりアオイも参加するんだ!!!!!」

 

 ネモとジャムさんの大会に参加する話で盛り上がり過ぎてしまい、教室の外から校長先生が「もう少し声を抑えてください」と言いに来られた。今更ながら気付いたが周りから向けられる視線の多さに驚き、二人で私の部屋にそそくさと向かう事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「流石にリーグにハッキング掛けるのはマズイだろ!」

「まだバレてないから!大丈夫だから!」

「いつバレるか分からねぇからもうやめとけ!」

 

 物で溢れた部屋に二人の男女の声が響く。パソコンに向き合いながら片手でサンドイッチを食べるボタンとゴミを分別するペパーは手を動かしながらも言葉を交わす。

 

「うちはやらなきゃいけない事があるの。それをやり遂げる為なら何でもする!」

「だからそれを手伝わせてくれって言ってるだろ!」

「ポケモンバトル苦手って言ってるペパーには無理だよ」

「う、確かにそうだけど……いや俺お前とのバトル25戦15勝だから!そこそこ強いだろ!」

 

 二人の出会いは某大物TraiTube“r”の放送。偶然出会い共通の話題で少しずつ仲良くなった二人だが、こうして意見の対立でぶつかる事がしばしばあった。

 一人で抱え込もうとするボタン、協力したいペパー。しかし、何度も巻き起こったぶつかり合いによって二人は顔見知りから友達へと進化してきた。

 

「うぅ……ペパーのそういう所父親みたいでキッショい!」

「後掃除するから飯は後にしようって言ったよな!」

「そこは母親みたい……折角作って持ってきてくれたのに出来たてを後回しにするとかマジないから」

 

 ボタンがやり遂げたいと思っている事、それはスター団の解散と団員の学業復帰。

 スター団は結成初期からその数を増やし続けた。その結果、色々と問題を起こしてきた。授業の放棄、学校備品の持ち出し、空き地をアジトに改造、強引な勧誘。その他諸々によってアカデミーは迷惑行為を辞めさせようと退学の勧告を何度も行ったが逆にスター団は意固地になり改善しなかった。

 近隣住民からの訴えもあり退学処分をそろそろ行う事が議論されてしまっている。そう校長から話を聞いたボタンは動き出した。

 

「でもそれで本当に解決するのか?」

「……スター団には“掟”があるんよ」

「掟?」

「うちと他5人のリーダー達の間で作られた絶対視されてる大切な物」

「……」

「内容は2つ、『ボスは売られた喧嘩は必ず買う』『ボスが挑戦者に負けた時、ボスの座から降りる』」

「……一昔前の不良漫画みたいだな」

「……」

 

 色々と模索して来た結果ボタンが辿り着いたのは“スター団リーダーの掟”を利用する事。

 ポケモンバトルによってリーダー5人を倒す事でリーダーの座から降ろす。スター団は統率者を失い自然と無くなっていくだろうとボタンは考えた。

 

「でもそう簡単にいかないと思うぞ、どっかの悪の組織みたいに再興したり新しい組織が出来るだけかもしれない」

「……そうなんだよね。それにうちが5人を倒す案もあったけど、うちが表立ってスター団と関わるのはちょっとね……」

 

 ボタンがバトルで5人に勝ったとして5人はボタンをリーダーとして支持しようとするだろう。そうなってはスター団が残ってしまう。自分が解散させようとしても元リーダーや他の団員が納得してくれるとも思えない。

 ボタンは自身が矢面に立って解決出来るならそうしていた、しかしそうでないのならばマジボスである自身は動くべきではないとも考えていた。

 それに加えて『勝手に皆から離れた自分が今更会いにいけない』とも思っていた。

 

「じゃあ俺が5人倒して解散させるってのはどうだ?」

「無理」

「ちょ、即答かよ。俺だってそこそこお前とバトル出来てるだろ?」

「みんな前よりずっとバトル強くなってるみたいなんだよね。他の団員も強くなってるって話。だからペパーが一人で乗り込んでもやられちゃうよ」

「強くなった?何か理由があるのか?」

「あの人のせいらしい」

「あの人?」

「……ジャムさん」

「あ?あぁ……なるほど」

 

 スター団と関係のないトレーナーが勝つ必要がある。ボタンはペパーに倒させようとも一瞬考えたが、新しく出来た友達を利用する様な事はしたくないとその考えを即切り捨てていた。スター団も大切だがペパーも大切に思っている。

 しかしポケモンバトルが強かったリーダー5人が更に強くなり、他の団員も強くなったスター団をどうにか出来るレベルのトレーナーに知り合いはいない。質も量もあるスター団を相手取れるトレーナーはパルデア中を探してもジムリーダーや四天王、チャンピオンクラスしかいない。

 

「……」

「前にも言ったけど、チャンピオンの生徒会長はどうだ?良く一緒にいるあの三つ編みの子も強いし、二人に頼むしかねぇんじゃねぇか?」

「……それしかないかな?」

「じゃあ俺がやるぞ?」

「それは、ダメ」

「それじゃあ決まりだな!あのバトルジャンキーちゃん達に頼む!」

 

 こうして方針は決まった。ボタンはポケモンリーグと学園にハッキングを仕掛け情報とリーグペイを得る。それを利用して二人に交渉を持ち掛ける。

 スター団の解体を目指す謎の人物カシオペアを演じながらその協力者として近くで監視をする予定であったが、ペパーからの協力の申し出によって補給係兼監視はペパーが行う事となった。

 

「これで一安心ちゃんだな」

「……ねえ」

「ん?どうした」

「これから宝探しの期間になるけど、何する?」

「……あ!?お前の手伝いする事ばっかり考えてたから何も考えてない!?」

「まぁうちも何するか決めてないし、二人で考えよう」

「おう!」

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