『ウィィィィィス!!どうもぉジャムでぇす!!』   作:ジャムキンTV

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大会序盤(アオイ)

「バトル開始の宣言をしろ!!審判ん!」

 

 バッと審判の方へ腕を振るい対戦相手がそう叫べば、ドキィ⭐︎と体を震わせ驚きながらも「バトル開始ィィィ」と審判が叫んだ。

 突然のやり取りに思わずビックリしてしまった。緊張しながらも楽しみにしていた大会、その記念すべき第一試合がこんな始まり方で良いのかと思ってしまう。

 

「行くぞ!!」

 

 背景に「ドドド」という擬音が出ていそうな凄みを見せる相手に合わせてボールをフィールドに投げる。

 

「行って、サーナイト」

「行けぇ!セグレイブ!!」

 

 それにしても声が大きいし一つ一つの動作が煩い。普段よりも周りの目が多くて緊張するのに、キャラが濃過ぎる相手とバトルするのは更にストレスが掛かる。

 

「ふぅん、初手はタイプ不利か……しかし!俺のセグレイブにはそんな相性屁でもないわ!“つららばり”グォレンダァ!!」

「サーナイト!避けながら“ムーンフォース”!」

 

 セグレイブの口から放たれた氷柱を横に転がり避けるサーナイトは二発目を避けた所で溜めたエネルギーを光球として飛ばす。しかし三発四発と氷柱を破壊したが、五発目を破壊した所で消え去ってしまった。

 砕けた氷がキラキラと輝き風に流されていく。その様子を見ながら腕を組んだ相手トレーナーが笑い出した。

 

「ふははは──!スゴイぞーカッコいいぞー!!更につららばり!」

「“マジカルフレイム”で全て溶かして!」

 

 セグレイブはドラゴン氷、それなら炎タイプの技も効く筈とサーナイトに炎技を指示。氷には炎、これで少しはダメージが入れば良いし火傷状態になれば更に良し。

 だけど、その考えは間違っていたとすぐに気付く事となった。

 

「甘いぞ!小娘ぇ!セグレイブの特性発動!“ねつこうかん”!!」

 

 すっかり忘れていた、セグレイブの特性は炎タイプの技を受けると強くなる事を。ジャムさんの配信で解説をしていたのにそれをすっかり忘れてしまうとは……ファン失格だ。

 サーナイトの掌から放たれた炎は氷柱によって小さくなりながらもセグレイブにダメージを与えたが、それ以上に更なる力を漲らせてしまう。

 

「セグレイブ!“きょけんとつげき”!!」

「!?」

 

 きょけんとつげきはドラゴンタイプの技。フェアリータイプのサーナイトには効果がない、そんな技を何故使うのかと驚き動きが止まってしまう。

 背中を向け口からエネルギーを吐き出しその勢いで相手にぶつかる技だが、セグレイブは地面に向けてエネルギーを吐き出し始めた。

 

「今……行くぞ……ジャム!!」

「何をするのか分からないけど、サーナイト!ムーンフォース!」

 

 空に向かって飛び立ったセグレイブ。ムーンフォースは真っ直ぐに向かったが噴射されるエネルギーに阻まれ、当たる前に爆発してしまった。

 

「食らえっ!フェアリーへの対策の為に作り上げた“竜”のテクニックをなぁぁぁ!!」

 

 ビルの高さを超えたセグレイブは向きを変えそのままの勢いで地上に降ってくる。口を開き今までとは比べ物にならない大きさの氷柱を生み出して、地上のサーナイトに向け吐き出した。

 

「撃ち砕けぇ!“つららおとし”!!」

「ムーンフォース!」

 

 落下する速さを上乗せした氷柱とムーンフォースがぶつかる。しかしぶつかり合いは一瞬、ピンクの光球は一瞬の内に弾け飛び、少し砕けながらも形を保っていた氷の塊がサーナイトを直撃してしまった。

 かなりのダメージを受けてふらつくサーナイトにその場を離れる指示を出せば、先程までサーナイトがいた場所にセグレイブが降り立つ。

 

「つららばり!ゴレンダァ!」

「サーナイト!ムーンフォース!」

 

 氷柱を避けながら放たれたムーンフォースは氷柱を砕きセグレイブに命中、かなりのダメージを与え動きが止める。

 

「ここしかない!ムーンフォース!」

 

 動きが止まっている今しかないと更にムーンフォースの指示を出す。

 

「さ、サナァ!」

「え!?どうして……」

 

 エネルギーを溜めいざ放とうとした瞬間、かなりの速さで氷の塊が飛んできた。それを全身に浴びたサーナイトが倒れる。

 

「“こおりのつぶて”。ダメージは少なかったが今のサーナイトならこの程度で倒せる。サーナイト、撃破!!」

 

 氷技3つにドラゴン技が1つ。まさか、攻撃技オンリーで3つもタイプを被らせているとは……。

 

「ありがとう、休んでいてサーナイト」

「ふぅん、この俺のセグレイブにこれ程のダメージを負わすとは……大した物だ」

 

 セグレイブがボールに戻される。かなりのダメージを受けた為、これ以上戦えないという判断なのだろう。しかし、まだ体力が残っている為油断は出来ない。

 

「貴方かなり強い……でもチャンピオンクラスのトレーナーの中に貴方の名前は無かった」

「チャンピオンクラス……そんな他人が決めた枠組みに大人しく収まる俺ではないわッ!」

 

 ワーハッハッと高らかに笑う姿には絶対的な自信が窺える。しかし、この人高笑いが様になっている。普通の人はそんな風に笑おうとすれば、咽せるし喉を痛める。

 バトルが強い人はどうしてこうキャラクターが濃いのだろう。

 

「でも強い人とのバトルは大好きだよ」

「お前の強さ、それすら俺は糧として踏み越える!」

 

 互いにボールを手に取り二匹目のポケモンをフィールドに出す。まだ大会は始まったばかりだけど、こんな相手と戦えるとは……参加して本当に良かった。

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