ようこそ愛に満ち溢れた教室へ   作:鴨の加茂

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2話

クラス発表のボードまで駆けてきた私は自分のクラスがDクラスである事を確認して教室へと向かう。

教室の教卓側に設置された扉を開けて中に入ると既に何名かの生徒が居る。

 

えーっと、私の席は…?窓側の後ろから2席目なのね。そこそこの当たりの席になると思われるその席に荷物を置き、ある人物に話し掛けてみる。

 

「やぁ、プリティーガール。どうしたんだい?」

 

「私の名前は久遠 瞳。是非ヒトミって呼んで欲しいな?高円寺くん」

 

「自己紹介は不要なみたいだね。ヒトミ」

 

そう、相手はバスの中でOL風女性を虐めていた高円寺くんなのだ。

 

「ねぇねぇ、折角だし連絡先交換しない?」

 

そんな提案をするとキザっぽい台詞で了承をくれたので連絡先を交換する。

その後も何人かの生徒と自己紹介、連絡先交換を行なって席に戻ると私の後ろの席に綾小路くんが座っていた。

 

「やっほ、さっきぶりだね」

 

「ああ、そうだな」

 

ん?綾小路くんは隠そうとしてるけど少しソワソワしているのが伝わって来る。私が色んな人と積極的に連絡先を交換しているのを見てもしかして期待をしている?

 

「連絡先、交換する?」

 

「いいのか?」

 

私の勘は的中したらしく、少し嬉しそう。

 

「あ、でも初めて女子の連絡先ゲットとか思うのはキモいから辞めた方がいいよ?」

 

「……そんなに分かりやすかったか?」

 

そりゃもう、とっても。敢えて言葉にせず目線で伝える。

綾小路くんはマジか…って表情。もしかして綾小路くんって面白い子?

 

そんな事を考えていると、始業のベルが鳴る。ほぼ同時にスーツの女性が教室へと入って来る。

 

「えー新入生諸君。私はDクラスを担当することになった茶柱 佐枝だ。普段は日本史を担当している。この学校には学年ごとのクラス替えは存在しない。卒業までの3年間、私が担任としてお前たち全員と学ぶことになると思う。よろしく。今から1時間後に入学式が体育館で行われるが、その前にこの学校の特殊なルールについて書かれた資料を配らせてもらう。以前入学案内と一緒に配布はしてあるがな」

 

前の席から以前見た記憶のある資料が回って来る。

 

「今から配る学生証カード。それを使い、敷地内にあるすべての施設を利用したりら売店などで商品を購入することが出来るようになっている。クレジットカードのようなものだな。ただし、ポイントを消費することになるので注意が必要だ。学校内においてこのポイントで買えないものはない。学校の敷地内にあるものなら、何でも購入可能だ」

 

何でも、ねぇ?ふーん。

 

「施設では機械にこの学生証を通すか、提示することで使用可能だ。使い方はシンプルだから迷うことはないだろう。それからポイントは毎月1日に自動的に振り込まれることになっている。お前たち全員、平等に10万ポイントが既に支給されているはずだ。なお、1ポイントにつき1円の価値がある。それ以上の説明は不要だろう」

 

佐枝ちゃん先生の説明を聞いた教室中がざわついた。

 

「ポイントの支給額が多いことに驚いたか?この学校は実力で生徒を測る。入学を果たしたお前たちには、それだけの価値と可能性がある。そのことに対する評価みたいなものだ。遠慮することなく使え。ただし、このポイントは卒業後には全て学校側が回収することになっている。現金化したりなんてことは出来ないから、ポイントを貯めても得は無いぞ。振り込まれた後、ポイントをどう使おうがお前たちの自由だ。好きに使ってくれ。仮にポイントを使う必要が無いと思った者は誰かに譲渡しても構わない。だが、無理やりカツアゲするような真似だけはするなよ?学校はいじめ問題にだけは敏感だからな」

 

なんだ、カツアゲは駄目なのね。少し残念に思いつつも今の説明には不可解な点が多い。

 

「質問は無いようだな。では良い学生ライフを送ってくれたまえ」

 

そう言って佐枝ちゃん先生は教室を後にした。

 

先生が居なくなり更に騒がしくなった教室の中、1人の好青年がスッと手を挙げた。

 

「皆、少し話を聞いて貰ってもいいかな?」

 

クラス中が彼の話に耳を傾ける。尚、高円寺くんは除く物とする。

 

「僕らは今日から同じクラスで過ごすことになる。だから今から自発的に自己紹介を行なって、1日も早く皆が友達になれたらと思うんだ。入学式まで時間もあるし、どうかな?」

 

おぉ、私は彼を勇敢な戦士だと誉め讃えたい。そんな事はしないけど。

 

「賛成ー!私たち、まだみんなの名前とか、全然分からないし」

 

イケメン君が提案した事によって(主に女子)が後に続いて賛成を示す。

 

「僕の名前は平田 洋介。中学では普通に洋介って呼ばれることが多かったから、気軽に下の名前で呼んで欲しい。趣味はスポーツ全般だけど、特にサッカーが好きで、この学校でもサッカーをするつもりなんだ。よろしく」

 

最初に提案者という事もあり、平田くんが先陣を切る。

 

「私は、井の頭……心と言います。えと、趣味は裁縫とか、編み物が得意です。よ、よろしくお願いします」

 

最初の方こそ不安だったけど周り(主に櫛田さん)の声援もあり途中からは大分喋れていた。よかったね。

 

「俺は山内 春樹。小学生の時は卓球で全国に、中学時代は野球部でエースで背番号は4番だった。けどインターハイで怪我をして今はリハビリ中だ。よろしくう」

 

なwにwこwれw

 

「私は櫛田 桔梗と言います、中学からの友達は1人もこの学校には進学してないので1人ぼっちです。だから早く顔と名前を覚えて、友達になりたいって思ってます。私の目標として、ここにいる全員と仲良くなりたいです。皆の自己紹介が終わったら、是非私と連絡先を交換してください。それから放課後や休日は色んな人と沢山遊んで、沢山思い出を作りたいので、どんどん誘ってください。ちょっと長くなりましたが、以上で自己紹介を終わりますっ」

 

そう言って櫛田さんは可愛らしく一礼する。間違い無くクラス中、いや学年中で人気の出るタイプ。

 

その後、平田君が次の生徒(赤い髪の生徒)へ自己紹介を促すとその生徒を含めた数人の生徒が教室から出て行ってしまった。

 

それでも大多数の人間は教室に残っていたからそのまま自己紹介は続く。

 

「俺は池 寛治。好きなものは女の子で、嫌いなものはイケメンだ。彼女は随時募集中なんで、よろしくっ!もちろん可愛い子か美人を期待!」

 

彼はそう言ったけど、クラスの中を見回すと可愛い子しか居ない。確かに見劣りする子はいるけれど、それはあくまでクラスの平均が高過ぎるだけに思える。

 

「あの、自己紹介をお願いできるかな————?」

 

長めの前髪を手鏡で確認しながら、クシを使い整えていた高円寺くんの番になった。

 

「フッ。いいだろう」

 

そう言うと足を机に乗せてそのまま自己紹介を始める。高円寺くん、それはドン引き必須な行動だよ?

 

「私の名前は高円寺 六助。高円寺コンツェルンの1人息子にして、いずれはこの日本社会を背負って立つ人間となる男だ。以後お見知りおきを、小さなレディーたち」

 

え、この流れで次は私なの?嫌だなぁ…。

 

「私の名前は九条 瞳です。夢はとりあえず世界平和かな?これから3年間よろしくお願いします!」

 

そんな当たり障りも無い自己紹介をして一礼をし、着席する。

 

次は私の後ろ、綾小路くんの番だね。

 

「えー……えっと、綾小路 清隆です。その、えー……得意なことは特にありませんが皆と仲良くなれるよう頑張りますので、えー、よろしくお願いします」

 

悲しい事に、精一杯頑張ったと予想される綾小路くんの自己紹介にはクラスの中でも優しい人達がパチパチと数人拍手をしている程度だった。私?私は勿論しない。

 

「よろしくね綾小路くん。仲良くなりたいのは僕らも同じだ、一緒に頑張ろう」

 

そんな優しい人達の中でも特に優しい平田くんはフォローを出している。流石はイケメン。綾小路くんもどこか嬉しそうにしているね。

 

さてさて、そんな自己紹介も終わり、入学式は偉い人からの有難く無い御言葉、敷地内の説明が終わって解散になったので私は1人の生徒を遊びに誘う。

 

「ねぇねぇ、山内くん!この後って暇かな?」

 

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