Rocket Queen   作:酢味噌ニアン博物館

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これはまだ俺が駆け出しのバンドマンで
ガキだった頃だ。


そう、今じゃ気が遠くなる程の昔話。


青いラインの入った快速急行に1時間ほど
揺られて着くその街は、

一度ステージに出てしまえばガキの頃憧れていた
クレイジーなギターヒーローや
ロックスターの如く何者にでもなれるし、

ある程度名声を得れば欲しい物は大体手に入る
まるで80'sのアメリカのSunset stripのような
金と欲望に塗れたジャングルのような街だった。

その名も「下北沢」。

俺は17にしてギターを肩に担ぎ
地下二階の駅のホームへ
降り、イヤホンから流れる甲高い
おどろおどろしいハイトーンの曲と共に
キャリーバッグを引きジャングルの奥へと
足を踏み入れた。



出会い
第1話 Welcome to the jungle


 

この日俺がここに来た理由_

 

それは下北沢にあるライブハウスで開催される

全国津々浦々の実力派の高校生バンド達の

即SOLDOUTするような大きめの

対バンイベントに出る為で

俺たちのバンドはその顔ぶれの中では

一番の新参者だった。

 

そして持ってる武器は手数の多い凄腕ドラマーと

自分のギターテクニックを信じるのと個人的に傑作といえるような自信作の曲でくんだセットリストくらいで

 

そんな僅かな武器を手に2番目の出演枠で出る

予定だった俺たちのバンドは

出演者の顔合わせの時を待っていた

 

すると俺はあることに気づいた

「財布がない_。」

 

そのときキャリーバッグから機材を出したりと準備をしていた俺はしまっておいたはずの財布が無いことに気づく。

 

「とりあえず来た道を戻って交番に財布あるか聞いてみよう。」

 

そして元来た道を戻り探したものの見つからなかったので駅前の交番に行くことにした。

 

そして交番につくと先に来ていた二人組の同い年くらいの女子が中にいて何やら警官と話しているみたいだった。

 

話を聞いていると、ライブに行く途中にどうやら"財布"を拾ったらしい。

 

俺はハッとなってそこにいた青い髪の彼女と黄色のサイドテールの彼女らに「すいません。その財布って茶色の財布ですか?」と聞いた。

 

するとサイドテールの彼女が

「そう!ひょっとして君のだったりした?」と言ってきたので、「多分そうかもしれない」と

答えて、警官に名前など諸々の情報を言い、

中身の身分証を確認してもらったところ

やはり自分のだったので、彼女らに礼を言い

先に用事があるそうなので行ってもらうことにした。

 

そうして紛失したものに関する書類を書き終え

一難あったものの、顔合わせの時間には間に合わなかったが、俺はなんとかして

ライブハウスに戻ることが出来た。

 

戻る頃にはイベントがすでに始まっていて1組目のライブが始まる前だった。

 

「ドラム全体でください」

PAの人の声とともに地鳴りのようなドラムの音が鳴り響き、次の演者である俺らが準備している間に前に出てるバンドのリハーサルが始まる。

そうしている内に一通りドラム、ベース、ギターの音量調整を終えたのだろう。

 

4カウントと共に演奏が始まったのが

ステージ裏の控え室にも聞こえた。

 

ドア越しに聞こえるバンドの演奏と観客の声で

相当盛り上がっているのは見なくても理解るほどだったし

 

そんな客を盛り上げれるようなバンドの次に新参者の俺たちが出るとかいうまるで初めて戦に出る初陣の若武者のような不安感と高揚感に駆られていた。

 

そして前のバンドの出番が終わり彼らに

控え室で互いの健闘を称えねぎらいの言葉をかけ

とうとう俺たちの出番が回ってきてしまった。

 

多分今、客はステージが暗転したライブハウスの中で闇と少しだけ香る壁に染み付いたタバコと香水のあまりに官能的な匂いに包まているのだろう。

 

そんな不安を紛らわせる為に

しょうもない思考を巡らせてつつ

ステージに上がり事務的にリハーサルを熟して、

一旦控え室に戻りステージが再び暗転するのを待った。

 

その刹那、ステージの照明が点灯し"スモーク"という名の狼煙が上がる。

いよいよ俺たちのバンド scream of revolverの

戦いが幕を開けた。

 

ギターのタッピングとドラムのかき回しが爆音で

とんでもないインパクトのあるサウンドを怪獣の鳴き声のように鳴らしまくった。

 

そしてカバー曲の一曲目から始まり

最後の曲の手前、セットリストでギターソロとなっている。

 

ドラムのフィルイン、そして鳴り響く歪に歪んた5弦7Fの

ビブラート。

 

全身全霊でやったギターソロを奏で終え客席の方を見る。

 

すると彼らは狂ったように歓声をあげ始め会場の

ボルテージは最高潮に達した。

 

でもそんな観客たちと自分は違うんだと言わんばかりに

"青い髪で琥珀色の目をしたクールな女"がギターソロを終えた自分の方をマジマジと見ていた。

 

俺はそんな彼女と目線が合い「たしかさっきの…」と俺の脳裏によぎるが、最後の曲を演奏するため今は気にしないことにした。

 

最後の曲が終わり、思いのほかライブ自体が上手くいき、

観客たちは盛大な拍手で出番を終えた俺たちを送り出してくれ、まだバンドを初めて日にちが浅いとはいえ

いい感触でスタートを切ることができた。

 

 

無事初めてのライブを終え、フロントにあるドリンクスペースのカウンター椅子に腰を掛けさっきのギターソロのときのことをふと思い出した。

 

すると丁度さっきの琥珀色の目をした青い髪染めたの彼女が隣に座ってきて

「君、さっきのバンドのギターの人だよね。すごい上手かったよ。」とシルクのような心地の良い声で話しかけてきた。

 

「ありがとう。君の名前は?」

褒めてくれた礼と気になったので彼女の名前について

俺は問いかけた。

 

すると彼女は

「人に名前聞くときは自分から言うものでしょ?」と

ごもっともな返しをされた。

 

「あぁごめんね。俺の名前は北条明也。scream of revolverでギターやってるよ。そっちは?」

 

「私は山田リョウ。はむきたすでベーシストやってる。」

と教えてくれた。

 

はむきたす、もとい

"ざ・はむきたす"といえば同じイベントにトリで出演する結構注目度の高いバンドで、彼女はそこのバンドのベースだった。

 

まさか名前自体は聞いていたがこの目の前にいる琥珀色の目をしたクールな女が山田リョウだったとは思いもしなかった。そしてこれが俺と彼女の出会いだった。

 

「北条って言いにくいからさ、ジョーって呼んでもいい?」と言ってきた。

 

「別にいいよ。そっちはなんて呼べばいい?」

 

「リョウでいいよ。ジョーは普段何聞くの?洋楽?」

 

「そうだよ。結構洋楽聞くよ。60'sのロックからLAメタルやらプログレやらサイケ、ブリティッシュPOPも聞くし他にもテクノポップとかサウジアラビアの民族音楽とか色んなやつ幅広く聞いてる。」

 

どうやら彼女も同じような音楽ジャンルが好きらしく意気投合し、このカウンターで彼女の出番が来るまで普段聞く

音楽や音楽を始めたきっかけとか作曲のインスピレーション元とか色々一緒に語りあった。

 

しばらくしてそんな他愛もない会話をしていたら

すごい琥珀色の目をした彼女とは対象的な明るい元気な声で

「リョウ〜!探したよ!ここにいたんだ!」と

 

交番でリョウの隣りにいたサイドテールの彼女が

 

「そういえば君さっき交番に居た如何にもにもバンドやってそうな人だよね!すごい話し込んでたけど、リョウと知り合いだったの?」と聞いてきた。

 

するとリョウは

 

「いや、さっき知り合ったばっかり。でも凄くギターが上手いし音楽の趣味とか色々似てるから」

 

とサイドテールの彼女に淡々と説明していた。

 

そして納得したのかその向日葵みたいな彼女も

「はじめまして!私、伊知地虹夏!下北沢高校1年でリョウとは同じクラスで友達だよ!よろしくね!虹夏って呼んでいいよ!」と丁寧に自己紹介してくれた。

 

流石に自分からも名乗らないのは礼儀に欠けるので

さっきと同じように紹介した。

 

すると虹夏は「でも珍しいねぇ。リョウが初対面の人とこんな意気投合するなんて滅多にないよ?ひょっとして君も中々の変人…?」というとリョウは

 

「嬉しくないし//」と何故か微妙に照れつつ喜んでた。

やっぱリョウは変人なのかもしれないしそんな彼女と意気投合している自分もそうなのかもしれないと色々怪しくなってきた…

 

それから数時間彼女らとカウンターでドリンクを飲んでは

喋り、タイムラインでは、はむきたすの出番はまだ全然先なので下北沢のカレー屋に昼を食べに行ったりと会って数時間なのにとても過ごしやすく心地いい時間だった。

 

日が暮れはじめて、街頭の明かりがつく頃

はむきたすの出番が近いのでライブハウスに戻ってきた。

 

するとリョウが

「私達のライブ良かったらだけどジョーも見てて」というので

俺は虹夏と客席側に行き片手にオレンジジュースを持ちライブを最前列で見ることにした。

 

#2へ続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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