Rocket Queen   作:酢味噌ニアン博物館

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あの日、私は
はむきたす のライブのために
地元である下北沢のライブハウスに出向いていた。
家からは数十分でつくような近場だ。

今日はライブを見に来てくれている友人の虹夏と
駅前で待ち合わせをしてから線路跡の
この見慣れた街を歩いていると、ふと
ある一つの茶色い財布が落ちているのが見えた。

この一つの拾い物がこれからの私の人生に大きく影響を与えた
偉大な友、そして私の唯一愛した男との出会いだった。



第2話 Welcome to the jungle… リョウ編

 

 

「ねぇ虹夏、あの財布さ」

 

「リョウ!中身盗っちゃ駄目だからね!」

 

「盗らないけど、どうする?交番に届ける?」

 

こういう風に困ったときは虹夏に聞くのが言いと古事記にも書いてあるのだ_

 

「届けたほうがいいとは思うけど…リョウの方はライブの時間は大丈夫なの?」

 

「バンドのみんなにロインで財布を交番に届けてくるから遅れるって連絡してみる。」

 

「まぁ大丈夫そうならまあいいか…」

 

と言うふうにちょっとした会議して駅前の交番に届けに行くことにした。

 

「すいません、落とし物なんですけど…」と

駐在していた警官さんに財布を渡し諸々の書類を書いて

交番をあとにしようとしたその時、

 

「すいません!財布の落とし物探してるんですけど…!」と

後ろから男の声が聞こえた。

 

振り返るとそこには、いかにもバンドマンというような

格好の同い年くらいの男がいた。そう彼だ。

北条 明也_。

これが彼との最初の出会いだった。

 

すると、その彼がちょうど私達の会話をたまたま聞き入れてたのか

「すいません。その財布って茶色の財布でしたか?」と聞いてきた。

 

 それに反応した虹夏が

「そう!ひょっとして君のだったりした?」と聞き返し「多分そうかもしれない」と彼は答えた

 

とりあえず彼には警官と住所などの身の上の情報を確かめてもらい、私達はライブ会場へ行くために交番を後にした。

 

そうして、そんな一難もありつつ

なんとか集合時間前にライブ会場に辿り着けたので、

私達のバンドが無事時間通りに集まることができた。

一方虹夏はここから近い自宅に荷物を起きに行ってから

後でOPENする時間になったら来るとのことだそうな。

 

「ダー山!遅かったから心配したよ!無事届けれた?」と

うちのメンバーが聞いてきたので

「ごめん遅くなった、ちゃんとパクって来てないから安心して」

「いやそういうのじゃなくて…(笑)」

 

とちょっとした駄弁を1Fのバーカウンターの前でしていたら

このイベントに出る各バンドの顔合わせ兼打ち合わせが始まった。

私は、この見ず知らずの人と顔合わせをする時間が

少しだけ苦手だった。

 

それからしばらくして、1組目のバンドがリハーサルを始める頃

1階の受付の前の入り口のドアが空いた。

 

「遅れてすまん!」とさっき聞いた覚えのある声が聞こえた。

 

そして、なんとそこに立って居たのはさっきの彼だった。

 

そんな彼は彼のバンドメンバーに遅れた事を侘びていた。

 

そして次が出番なのか、そんな事は気にすんなと自分がやったことなのに、そそくさと地下にあるステージへ向かう階段を降りていった。

 

そんな様子を見ていた私は、その彼の不思議なキャラクター性に

惹かれて、興味本位で彼のライブを見ることにした。

 

しばらくして、一組目のバンドの出番が終わり

彼らのリハーサルが始まった。

 

「ドラム全体でください」

 

PAの人の声とともに地鳴りのようなドラムの音が鳴り響き、彼のバンドのリハーサルが始まる。

 

そうしている内に一通りドラム、ベース、ギターの音量調整を終え、4カウントと共に彼ら演奏が始まった。

 

私はその刹那、今まで感じ得なかった衝撃が走り、

体に電撃を受けたが如くその繰り出される音に夢中になった。

 

ロック式トレモロのブリッジを活かしたアーミングを

駆使したスクウィール、アームダウン。

両手の指先から編み出させれる繊細で高速に動く

魔法のハンマーのようなタッピング。

日本人離れした洋楽的かつブルージーなフレーズのアプローチ。

 

私には、そんな個性的な音を超絶な技でステージの上から

私達客にギターソロを降り注がせる彼は

今はもう死んでいるに等しかった私の好きなRockみたいな

オールドなジャンルたちの新しい息吹のように私の目には写っていたのだった。

 

「す…凄い、ホンモノの"ギターヒーロー"だ…」

 

私は思わず普段言わないような言葉を驚きのあまり

口に出してしまった。

 

自分で言うのもあれかもだけど

はむきたすだって高校生バンドの中じゃ上澄みの方なのに

彼初めてのライブってMCで言ってたのにこの完成度と

盛り上がり具合…

 

「ひょっとして物凄い相手と戦うことになるのか…?」

と再び口走ってしまった。

 

 

そうして彼のギターソロが終わり、その音に聞き惚れていた

私は彼の方をずっと見ていた。すると、ふと彼と目線が合ってしまいお互いに驚いた表情をしてしまった。向こうも私を気づいたのだろう。

 

そして軽く最後の曲の紹介を終えた彼のバンドのボーカルが合図を出し4カウントで再び曲が始まった。

 

最後の曲は海外の有名バンドの名曲をカバーで

観客たちはとても大盛り上がりでボルテージは最高潮で

最初のライブなのに大成功と言える終わり方だったと

感じてしまった。

 

そうして最後の曲が終わり客たちは盛大な拍手で彼らを送り出していた。

 

私は思わず感動してしまったので平然を装いつつも

声をかけて見ることにした。

 

無事初めてのライブを終えた彼らは、フロントにあるドリンクスペースに溜まっていたが肝心の彼はというと

カウンター椅子に腰を掛けていたので隣に座り

 

「君、さっきのバンドのギターの人だよね。すごい上手かったよ。」と話しかけた。

 

 すると彼はニコッと笑い

 

「ありがとう!君の名前は?」

 

と言われたものの男の人と話すのは慣れないから

なぜか照れくさく感じてしまい

 

「人に名前聞くときは自分から言うものでしょ?」と

 

感じ悪い答え方をしてしまった。

 

すると彼再びニコッと笑い

 

 「あぁごめんね。俺の名前は北条明也。scream of revolverでギターやってるよ。そっちは?」

 

と素直に受け入れてくれたので

私も名乗らないのは気が引けるから 

 

「私は山田リョウ。はむきたすでベーシストやってる。」と

 

しっかり答えた

 

 私はそんな素直になれない私を素直に受け入れてくれている彼をもっと知りたくなって

 

また柄にもなく

 

「北条って言いにくいからさ、ジョーって呼んでもいい?」と

彼に質問した。

 

 すると彼は

 

「別にいいよ。そっちはなんて呼べばいい?」と

いうので私は自分の名前を教え、好きな音楽について聞いてみることした。

 

「リョウでいいよ。ジョーは普段何聞くの?洋楽?」

 

 

 

「そうだよ。結構洋楽聞くよ。60'sのロックからLAメタルやらプログレやらサイケ、ブリティッシュPOPも聞くし他にもテクノポップとかサウジアラビアの民族音楽とか色んなやつ幅広く聞いてる。」

 

 

 

どうやら彼も同じような音楽ジャンルが好きらしく完全に意気投合したので、

このカウンターで私の出番が来るまで普段聞く

音楽や音楽を始めたきっかけとか作曲のインスピレーション元とか色々一緒に語りあった。

 

 

 

しばらくしてそんな他愛もない会話をしていたら

 

すごい琥珀色の目をした彼女とは対象的な明るい元気な声で

 

「リョウ〜!探したよ!ここにいたんだ!」と

 

 

 

交番で財布を届けてから後で合流すると約束していた虹夏が

いつの間にか来ていた。

 

すると虹夏は彼に

 

 

「そういえば君さっき交番に居た如何にもにもバンドやってそうな人だよね!すごい話し込んでたけど、リョウと知り合いだったの?」と

 

彼聞いていたので

 

 

 「いや、さっき知り合ったばっかり。でも凄くギターが上手いし音楽の趣味とか色々似てるから」と

 

補足説明をしていた。

 

そして納得したのか虹夏までも

 

「はじめまして!私、伊知地虹夏!下北沢高校1年でリョウとは同じクラスで友達だよ!よろしくね!虹夏って呼んでいいよ!」と丁寧に自己紹介を始めた。

 

それからしばらく話していると虹夏が

 

「でも珍しいねぇ。リョウが初対面の人とこんな意気投合するなんて滅多にないよ?ひょっとして君も中々の変人…?」

 

 「嬉しくないし//」といつもの癖で照れつつ喜んでしまった。

 

 

 それから数時間彼と虹夏とカウンターでドリンクを飲んでは

喋り、タイムラインでは、はむきたすの出番はまだ全然先なので下北沢のカレー屋に昼を食べに行ったりと会って数時間なのにとても過ごしやすく心地いい時間だった。

 

 

 

日が暮れはじめて、街頭の明かりがつく頃

 

はむきたすの出番が近いのでライブハウスに戻ってきた。

 

 

私はそんな秘めたる才能を持った彼に今の私の最大の力を見てもらいたいのとライバルとして挑戦をしたくなり

 

「よかったライブ見てよ」とお願いした。

 

するとまた彼はニコッと笑って

 

「良いよ。ちゃんと見とく」と言って

地下への階段を再び降りていった

 

 

#4へ続く

 

 

 

 

 

 

 

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