そうしてライブイベントも終わり、出演者同士の交流も終わり
約束?通りリョウにラーメンを奢ってあげた
結局あの後、虹夏はどうなったかのかと言うと
「お姉ちゃんがそろそろ仕事が終わる頃なので
夕飯を作らなきゃ行けないから先に帰るね!またね〜!」
との事らしいので結局リョウと二人で行くことになった。
暖簾を潜り食券機で二人分の食券を買い、
カウントの内側にいるラーメン屋の大将らしき人に券を渡して
テーブル席で待つことにした。
しばらくして二人分のラーメンが出来て大将が
「へい、お待ちどおさま」とご丁寧にテーブルまで
持ってきてくれた
出来たてのラーメンは熱々でリョウは猫舌気味なのか
少し食べづらい様子で、口元まで運び「ふぅー」と吐息で
必死に冷ましていた。
ホントに腹減らしてたのか黙々とラーメンを啜るリョウに
俺は
「なぁ、さっきメンバーと話してたときのことだけどさ」
リョウは「んっ?」と麺をモグモグも口に含みながら反応する
「あれリョウの本心なんかじゃなかっただろ多分」と
俺はガラにもなくリョウに聞いてしまった。
「そうだけど…でもなんでそう思ったの?」とリョウは俺に質問を返してきた
「いや…なんでって言われてもなぁ」
「でも強いて理由をつけるなら、一番最後の曲あっただろ?」
「あれ、一番客のノリが良かったし他のメンバーもノリノリでやってたけど、リョウはあんまり楽しくなさそうだったからそう思った。」
するとリョウは図星だったのか少し驚いた表情を見せた。
「そうだよ。よく分かったね」
「実は私、あの曲好きじゃないんだ。」
「私、あのバンドの書く真っ直ぐな青臭い詩が好きなんだけど」
「それが最近急に売れ線ばっかり意識し始めて
私の好きだったバンドの個性的な部分が消えかけてるんだ」
「まるで時代の移り変わりに飲まれて消えてゆく昔のスピリットみたいにさ」
「だからあの曲は私が産んでしまった忌み子みたいなものだよ」
とリョウは真剣な面持ちで答えて
それから何か考えをまとめているのか
少しだけ言葉の間を開けて
「そういえばジョーの所の、このバンドは洋楽みたいでさ、英語で酒と金とSEXについて歌ってる事が多かったでしょ」
「でもそんな君のバンドは今の時代普通なら書かないしやらないようなことたくさん書いてたからさ」
「そんな個性的な"音楽"をするジョーのバンドを見て私さ、
少しだけ悔しかったし」
「君のバンドの曲と歌詞とか君の個性的なフレージングをするギタープレイとか見てて
格好良くてシびれたんだ」と
そういうふうにリョウは抱えていた劣等感と自分に対する憧憬を嬉しそうな反面なんだか悲しそうに、そして寂しそうな目をしながら語ってくれた。
そうして彼女の話を聞きながらラーメンを食べ終え
「ごちそうさまでした」と大将に礼をいい店を後にした。
#6へ続く