Rocket Queen   作:酢味噌ニアン博物館

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第8話 Girl gone bad(後編)

シンセの音が鳴り止み、激しいタッピングのイントロの曲やらブルージーでロックなリフな曲も終わる頃

ドア越しに誰かが来る足音と気配がした。

 

すると、そのドアが開いて風呂上がりの濡髪になったリョウがそこに立っていて、さっきとは違い何か少しだけ妖艶さがあった。

 

リョウ「ジョー戻ったよ」

 

ジョー「おかえりやで」

 

リョウ「1984聞いてるの?渋いね」

 

ジョー「そうそう、一番好きなアルバムなんよね」

 

リョウ「いいね、私もそれ好き。確かそういう系なら

Appetite for distractionとかDr feel goodとかNever mindも探したらあると思うよ」

 

ジョー「これ聞き終わったら探してみるよ」

 

リョウ「でも今どき、ジョーみたいにそういう曲聞く人って珍しいよね」

「ジョーは何で80'sの音楽が好きになったの?」

 

とリョウが今どきLAメタルとかいう現代の音楽しか聞かない層からしたら白亜紀の化石扱いされるような曲を聞いてる事を凄く不思議がって俺にそれが好きな理由を聞いてきた。

 

ジョー「なんでって言われてもなぁ…う〜ん…」

 

リョウ「理由とかは別にない感じなの?」

 

ジョー「ちょっと今頑張って言語化してる(笑)」

 

リョウ「そっか、では3分間待ってやる」

 

とムスカみたいなことを言うリョウに3分だけ猶予をもらって

その理由を探してみた。

 

ジョー「OK、もう言語化できたから大丈夫」

 

リョウ「では、お聞かせ願おう」

 

ジョー「多分ね俺、単純にあんまり今流行りの曲が好きじゃないんだと思う」

 

リョウ「なんで好きじゃないの?」

 

「俺的な感想だけど、なんかどれも同じような恋愛ソングの歌詞と曲調だし、聞いてて面白くない。かつてキッズ俺に電撃を走らせてくれた

Rock n Rollの魂を感じない、つまりアーティストとしての個性を感じられないんだ」

 

「なるほど、でもなんかジョーの言いたいこと分かる気がする」

 

とリョウはベッドに腰掛けて腕を組んで頷く。

 

リョウ

「私さ、さっきラーメン食べてるときにも言ったけど

はむきたすの青臭い歌詞が好きだったんだ。」

 

リョウ

「でも最近その恋愛ソングとか失恋ソングみたいな

歌詞と曲ばっかり書くから

前みたいに、あの自分たちの不平不満とか率直な思いを乗せて頃は個性的だったと思うけど、今は聞いてたり見てたりしてても

売れ線というか売れる曲ばっかり作ることを意識しすぎてて、つまらなくなっちゃったんだ。」

 

「でも売れようとして努力するのは大事な事だから分かるんだけど、でもそれで大衆に向けて受けることしか言わないんじゃ

アーティストとしての個性は死んでるのと同じだし

社会で同調圧力に潰されてるのと同じなんだよ」

 

とリョウは改めて自分の思う事をさっきより詳しく言ってくれた

 

ジョー「なるほどね…スゲェ分かるそれ。そりゃつまらなくなるよ

反骨精神がなきゃロックじゃないもん」

 

リョウ

「そう、だから…」

 

「だから最近、バンド抜けようか迷ってるんだ」

 

と唐突に彼女のバンド、そして彼女自身の今後を左右するような事柄の問題をぶつけてきた。

俺はライブハウスで彼女がメンバーと打ち合わせしてたときから

何となく心のどこかで薄々気づいてはいたが、

やはり予想は当たっていたみたいだ。

 

ジョー「そっか…そうなのね」

 

リョウ「うん」

 

ジョー

「でもリョウのやりたい事とはむきたのやりたい事の方向が

違うならそうするべきなんじゃない?俺はそう思うよ」

 

「けど決めるならよく考えてから決めてほしい。選ぶなら今のリョウが考える最良の方法、悔いのない選択をしてくれ。

もしかしたらこれが君の一生を変える選択になるから」

 

リョウ「分かった…しばらく悩んでみる」

 

ジョー「頑張ってな、いつでも相談乗るからさ」

 

リョウ「うん、ジョーありがとう」

 

ジョー「いいんだよ、って泣くなよ…」

 

リョウ「ごめん、ちょっと肩の荷が降りて安心しちゃって」と

 

こんな重大な問題を抱えて眠ってたんだから疲れていたんだろう

きっと気持ちが楽になったから解放されて泣いてしまったのだろう。

 

ジョー「そっかそっか、泣きたかったら沢山泣きな」

 

リョウ「ごめん今日だけはジョーの胸貸して…」

 

ジョー「いいよ大丈夫だよ、お前も大変だったな。よく頑張ってるよ」

 

リョウ「ジョーありがとう…ごめんね迷惑ばっかりかけて」

 

ジョー「気にすんな友達だろ?いくらでも頼ってくれ」

 

リョウ「うん…頼らせてもらう」

 

と心身に疲れを抱えきれなくなって泣いてしまったリョウを腕の中に抱えて冬の寒くて長い夜を眠くなるまで過ごした。

 

それから腕の中で泣いてるリョウを抱えながら1時間ほど経って

ようやく眠くなってきた。

 

ジョー「なぁリョウ、そろそろ寝ようぜ もう2時過ぎてるし」

 

リョウ「はっ…いつの間にそんな時間経ってたなんて」

 

ジョー「俺そこの敷いてある布団で寝るからまた明日な」

 

リョウ「分かった私も一緒に寝る」

 

ジョー「えぇ…リョウはベッドで寝ろよ狭いだろ…」

 

リョウ「ジョー、お願いだから今日だけはもう一人にさせないで。」

 

ジョー「バンド抜けた後のこと考えたら怖くなるからか?」

 

リョウ「そう、ジョーの腕の中で泣いてるときに考えてて決めたんだ。けどそれは私の居場所を失うことになるから今居られる場所に、居てもいい場所に居たいんだ」

 

ジョー「しょうがねぇなぁ、俺寝相悪いからキレるなよ?」

 

リョウ「別に大丈夫。ジョーだし」

 

ジョー「じゃあいっか。先に布団で寝てるからな、おやすみ」

 

リョウ「え、(秒で寝た…)」

 

(私…今日だけでも良いからそんな優しい君だけの女に

なりたかったな…)

 

「今日はありがとね、おやすみジョー。」

 

 

#9へ続く

 

 

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