なんでも実況P   作:じゅに

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20××年の記録。


花粉も酷いしキルクスタウンのバトル映像でも見ようず

 

 

 

 

息を吸うごとに、胸が高鳴った。

 初めてのジム戦。

 初めてのバッジ。

 負ければそこで、挑戦は終わる。

 

 ガラルのジムに、再戦の制度はない。

 ────でも、それでいい。

 もともと負けるつもりはないんだから。

 

 頬を膨らませ、勢いよく吐き出した。

 

「緊張してるかい?」

 

 目の前の相手────メロンが言う。

 雪のように白い美貌に、好戦的な笑みが浮かんでいる。

 

「はい」

 

 若き挑戦者が素直に頷くと、彼女は朗らかに笑った。

 

「正直じゃないか!」

「ウソはつけないんです」

「いいね。あんたみたいな子は好きさ。ウチの子も嘘が下手なんだよ」

 

 青い瞳が観戦席を向く。彼女によく似た子供が、手すりを握りしめ、声を枯らして応援していた。

 

「ママー! 頑張れー!」

 

 笑顔で手を振り、メロンが「さて、と」と呟いた。

 

「そろそろ、始めようかね」

「よろしくお願いします」

 

 二人同時にモンスターボールを握り、振りかぶって投げた。

 

「行きな! コオリッポッ!」

「頼んだぞ、サイホーン!」

 

 一体目が大地に降り立つ。片や氷のキューブを頂く鳥に、片や堅牢な皮膚をもつ四足獣が向かい合った。

 

 メロンの片眉がぴくりと動く。

 

「サイホーン……氷が弱点ということはわかった上での選出だろうね?」

 

 問いかけに、チャレンジャーは沈黙をもって返した。無論知っているというサインである。メロンは口元を緩め、指を突きつけた。

 

「なら、情けも容赦もかけないよ! コオリッポ、凍える風!」

 

 研ぎ澄まされた寒気がサイホーンに殺到する。喰らえば足は鈍り、致命傷にもなりうるだろう。少年が拳を握り、短く吠えた。

 

「巻き上げろ! 砂嵐っ!」

 

 サイホーンを中心に砂嵐が巻き起こる。コオリッポの技は掻き乱され、サイホーンに届くことなく消し飛んだ。

 

 フィールドに砂塵が吹き荒れる。

 いわ・じめんタイプのサイホーンにとっては有利であり、コオリッポに────ひいてはメロンにとって不利な環境である。

 

 少年がさらに命じた。

 

「ステルスロックだ!」

 

 大地から剥がれた岩片が、メロン側のフィールドに浮かび、透明な膜を纏って見えなくなった。

 

「ほう。いい技の冴えだ。よく鍛えてあるね」

 

 メロンは手放しで褒めたたえた。生まれて初めて挑戦するジムバトルで、相性不利なポケモンを先発に出す胆力も然ることながら、天候技でこちらの攻撃を捩じ伏せるとは。

 おまけにステロまで撒いてきた。これで、安易な交換も封じられた形である。

 

 実に────素晴らしい。

 

(これは中々の逸材だね)

 

 砂嵐に弄ばれる前髪を振り払い、メロンが次の指示を飛ばした。

 

「なにもかも蹴散らしな! 吹雪!」

 

 全身に力を溜めたコオリッポが、雄叫びを上げて双翼を振りかざすと、凄まじい吹雪が発生した。

 

 フィールドの全てを白銀の刃が埋めつくしていく。頼みの綱の砂嵐はもちろん、ステルスロックまであっさり吹き飛ばされてしまった。

 

 少年はむきだしの両腕を眼前で交差させ、必死に視界を確保する。身体中の皮膚が、突如襲いきた冷気に粟立った。

 

「く……!」

 

 じり、と後ずさる。氷タイプを極めし者が繰り出す氷雪攻撃とは、こんなにも無慈悲で恐ろしいものなのか。

 

 寒いなんてもんじゃない。

 痛くて涙が出そうだった。

 

(でも……)

 

 強ばって動かしづらい唇で、それでも少年は笑みを作った。

 

(だからこそ、勝ちたい!)

 

「いまだ、サイホーン!」

 

 吹雪が止む直前、少年は叫んだ。

 不意に、コオリッポの足元が盛り上がる。

 

「突き上げろ!!」

 

 硬さでは他に引けを取らないサイホーンの角が、コオリッポの尻を()()()()()

 

「ピギィイイイイイイイッ!?」

 

 天高く放りあげられたコオリッポが泣き叫ぶ。思わぬところからの思わぬ一撃が急所に当たったらしい。

 手痛い衝撃に、頭を覆うアイスキューブが砕け散った。

 

「こ、コオリッポ!」

 

 焦るメロンより先に挑戦者の指令が飛ぶ。

 

「ロックブラストッ!!」

 

()()()()()()()()()()()()()が口から岩の弾丸を飛ばし、空中で身動きの取れないコオリッポを撃ち抜いた。

 

 落ちてきたコオリッポはすっかり目を回し、声もなく気絶している。

 メロンは苦笑しながらコオリッポをひっこめた。

 

「すまなかったねコオリッポ。あたしの指示が遅かった。……にしても、まさかあの吹雪を地面に潜って避けるとはねえ」

「あらかじめ教えてあったんです。デカい技が来そうな時は潜れって」

 

 少年がはにかみながら言う。メロンは頷き、2体目のボールを手に取った。

 

「あんたは強い。これからどんどん強くなるだろう。あたしが保証するよ。────もっとも…………」

 

メロンの瞳がきらりと光った。

 

「この子を倒せたらの話だが」

 

 少年が真顔で身構えた。

 

 くる。

 例の、彼女の切り札が。

 

「ジムリーダーとして、一介のトレーナーとして……手強い壁になってやろうかね。いっておいで、ラプラス」

 

 ボールが弾け、美しい水棲ポケモン・ラプラスが姿を現した。

 

 控えめな眼差しが少年を見据える。

 

「サイホーン! すなあら」

 

 し、と言いかけた少年の目が見開いた。いつの間にか、無数の氷の弾幕がサイホーンに迫っていた。

 

(そんな、いつの間に!?)

 

 誓って言うが、メロンはなにも指示していないし聴き逃したわけでもない。

 なのに攻撃は開始された。

 

 その圧倒的迅さの前に、サイホーンの回避はあまりにも遅かった。

 

 

ドガガガガガガンッ

 

 

「っサイホーン!」

 

 少年が駆け寄る。ほぼ全弾命中したサイホーンは、倒れることも出来ぬまま気絶していた。

 

「────あたしもね、あらかじめ言い含めてあるのさ」

 

 メロンが静かな声で語る。

 

「フィールドに出たらひとまず氷の礫を撃つように……ってね」

「…………!」

 

 少年の頬を、一筋の汗が伝う。

 完璧に予定を狂わされた。

 本当は、もう一度砂嵐かステルスロックを撒いておきたかった。そうすることで相手の行動や視界を制限したかったのに。

 

(さすがはジムリーダー……一筋なわじゃいかないぜ……!)

 

 サイホーンを戻し、2体目を握る。

 

 今日のバトルは2vs2。

 負ければ終わりだ。

 戦いも、ジムチャレンジも。

 

 

 だから。

 

 

 こいつに、全てを賭ける。

 

 

 

「頼んだぜ! リザードッ!」

 

 裂帛の気合を込めて、相棒を繰り出した。

 

 赤い鱗に鋭い爪を持つ火蜥蜴が、雄々しく吠え猛る。

 

 相変わらずの相性不利。なれどメロンに油断はない。

 

 いきなりラプラスをボールに戻した。

 

「そろそろ魅せようかね。あたしたちの本気の姿を」

 

 メロンの手首に嵌められたダイマックスバンドが光り輝き、ボールが何倍もの大きさに膨れ上がった。

 

 すかさず少年もリザードを戻す。

 

「「ダイマックス!!」」

 

 雲を衝く巨体が二つ、フィールドに君臨した。

 

 ラプラスの周りを音符の浮かんだ五線譜が取り巻いている。ただのダイマックスではない。鍛え抜いたラプラスのみが辿り着く境地────キョダイマックス・ラプラスだ。

 

 テレビや雑誌で何度となくみた光景だが、実際に目の当たりにすると受けるインパクトはまるで違う。

 

「綺麗だな……」

 

 お世辞でなく心からそう思った。

 

「さあ、まずはこの攻撃をどう凌ぐ!? ラプラス、ダイストリーム!」

 

 大量の水が一条の槍となってリザードに迫る。少年の命令は間一髪間に合った。

 

「ダイロックッ!」

 

 そり立つ壁が奔流を受け止め、粉々に弾け飛ぶ。リザードにも飛沫が飛んだが、なんとかダメージを抑えることができた。

 

 雨が降り、ついで砂煙が舞い上がる。

 次に動いたのは少年の方だった。

 

「ダイアタックだ!」

「ダイウォール!」

 

 白い光が肉薄するも、ラプラスには届かなかった。見えない盾が攻撃を完璧に防いだからだ。

 

 少年の顔が歪んだ。あわよくばダイアタックの副次効果────対象の鈍足化(すばやさダウン)を狙っていたのだろう。

 現時点で2体の素早さは五分五分。どちらが先に動けるかは、結局のところ運次第だ。

 

 メロンは無神論者だった。ゆえに神だのみを嫌う。

 いいことも悪いことも、全ては本人の働きにかかっている。

 だからいつでも全力で、最善を尽くすべきなのだ。

 

 ジムリーダーは掌を天に翳し、朗々と命じた。

 

「貫け! ダイストリーム!!」

「負けるなよ! ダイアタックッ!」

 

 水の槍と白き光弾が衝突する!

互いのエネルギーを削りあいながら双方の敵へとひた(はし)り────今度は、直撃した!

 

ドォオオオオオオオンッ!!!!

 

 爆音。瞬間、ダイマックスが終わる。

 豪雨が降り注ぐ中、メロンは敵影に目を凝らした。

 

 どこだ。

 どこから来る。

 

 いまの攻撃で倒せたとは思っちゃいない。

 あのトレーナーが育てたポケモンなら、必ず耐えているはずだ。

 

 そのとき、ラプラスの背後に動くものを見た。

 

「後ろだラプラス!」

 

 ラプラスは即座に応じた。

振り向きざま神速の礫を放つ。

 

ドガギィッ

 

 鈍い着弾音が響き、メロンがにやりと笑った。

 

 ────とった! 

 

 一人と一匹が勝利を確信したその刹那。

 無防備に伸びたラプラスの首を、リザードの爪が深々と切り裂いていた。

 

 

 

 

 

 

 

「……いやあ、まさか岩石封じで落とした岩を囮にするとはね」

 

 ラプラスの傷を癒してやりながら、メロンは感嘆の吐息を漏らした。

 少年もまた、頑張ってくれたポケモンたちのケガの具合を見ながら、敬慕の念も露わにメロンを讃えた。

 

「ほんとうに、ギリギリでした。ダイストリームを耐えられるかどうか、運任せでしたから」

 

 本来の作戦ではダイマックスターン最後の攻撃で再びダイロックを打ち、フィールドを砂嵐にするはずだった。

 そのための前段階としてダイアタックで動きを鈍らせたかったのだが、それが防がれてしまったために一か八かの賭けに出ざるを得なかったのである。

 

 メロンが囮につられなかったら。

 あるいは、リザードの気配に気づかれたら。

 そもそも、フルパワーダイストリームが少しも弱まることなく直撃していたら。

 負けていたのは、少年の方だったのだ。

 

「勝負に”もしも”も”たられば”もありゃしないよ。あるのは純然たる結果だけさ。あたしは負けて、あんたが勝った。素晴らしい試合だったね」

 

 メロンはにっこりして、右手を差し出した。少年も笑い返し、熱い握手を交わした。

 

「さ、バッジをあげようね。ええと、あんたの名前は……」

 

 少年は誇らしげに名乗った。

 

 

 

「ダンデ。ハロンタウンの、ダンデです」

 

 

 


 

 

 

 

 

59:野生のトレーナー ID:Yx86DmsBd

かっっっっっっこヨ

 

60:野生のトレーナー ID:kdp+74cUH

やっぱいつ見てもかっけぇわダンデ

 

61:野生のトレーナー ID:9bKEQVrfQ

これがデビュー戦ってマ?

 

62:野生のトレーナー ID:bu3a+nVsW

人生2周目やろどう考えても

 

63:野生のトレーナー ID:wpR/SHD5j

そもそも氷ジムにサイホーンとリザードって舐めプでは?

 

64:野生のトレーナー ID:yED+ZW6gx

最初に貰ったポケモンとワイルドエリアで捕まえたポケモンで挑んでるんや

微笑ましいンゴね

 

65:野生のトレーナー ID:LaTxXh29p

微笑ましい(ステロ砂嵐の起点作成)

 

66:野生のトレーナー ID:JlMJdBr15

微笑ましい(岩を囮にして奇襲)

 

67:野生のトレーナー ID:rTNIMuuDK

微笑ましい(急所への切り裂く攻撃)

 

68:野生のトレーナー ID:ptpbip9ed

こいつは強くなる

ワイには分かるで

 

69:野生のトレーナー ID:N/Qfcc5Pm

誰でもわかる定期

 

70:野生のトレーナー ID:Gta+oQvUs

世界チャンプ(10年無敗)やぞ

 

71:野生のトレーナー ID:LWPXtdPqd

もうその片鱗バリバリで草なんだ

 

72:野生のトレーナー ID:G9nRL1YeF

10歳の肝っ玉じゃねえだろ

 

73:野生のトレーナー ID:EuYKOgNNz

そらローズも惚れるわ

 

74:野生のトレーナー ID:HfcauratA

マクロコスモスビール腹おじさんの目は正しかったんやね

 

75:野生のトレーナー ID:WWP1kDnSX

こいつの同期これと比べられたんやろ?ホンマ可哀想

 

76:野生のトレーナー ID:EfohhHgUe

そいつらにはもう1年ジムチャレさせるべきやった

 

77:野生のトレーナー ID:u5yJvz0b1

ダンデさえいなきゃチャンプになれたかもしれないと思うと涙がで、でますよ

 

78:野生のトレーナー ID:yTNh1qWFN

どうせ次の年に落とされる定期

 

79:野生のトレーナー ID:G9L/1Rra3

やめたげてよォ!

 

80:野生のトレーナー ID:+VkI1ORxX

このときのチャンプってピオニー?マスタード?

 

81:野生のトレーナー ID:NnhU0dw0s

マスタードやで

 

82:野生のトレーナー ID:psarwsz/i

おじいちゃんを引退に追いこんだ大戦犯や

 

83:野生のトレーナー ID:/ZnI50K8K

あれも見事な試合やったな

ふつう防衛失敗ってどーしても湿った空気になりがちやけど、負けた本人がニッコニコでダンデ褒めるから明るいまま終わったし

 

84:野生のトレーナー ID:joRlPdFEV

おじいちゃん今何してんの?

 

85:野生のトレーナー ID:yQtOZ3rip

片田舎に引っ込んで悠々自適生活やで

 

86:野生のトレーナー ID:eSgiwIzUA

奥さん若くてクッソ美人なんよな

 

87:野生のトレーナー ID:W8ijDedBI

ミツバさんな

【ミツバとマスタードが腕を組んで歩いている画像】

 

88:野生のトレーナー ID:qk2uPViva

こーれは……

 

89:野生のトレーナー ID:fK/J/RcD4

遺産目当てやな

 

90:野生のトレーナー ID:lZn6c6Sd/

あからさますぎて草

 

91:野生のトレーナー ID:OD5rKG0c1

今も昔も見てるこっちが恥ずかしくなるぐらいのアツアツ夫婦やぞ

 

92:野生のトレーナー ID:E78Zkz+k4

好みのタイプは?って質問に秒で互いを指さすんやぞ

 

93:野生のトレーナー ID:GBcbBaz3f

嫉妬や

これだけはわかる

 

94:野生のトレーナー ID:4QOhE3jzx

ダンデはいつ結婚するんやろな

 

95:野生のトレーナー ID:HAfPIFp7U

バトル以外目がないジャンキーやからな……

 

96:野生のトレーナー ID:x4V9hh9AE

ローズが生きてりゃテキトーにテキトーな嫁あてがってたんやろうけどなあ

 

97:野生のトレーナー ID:it9kDg40C

死んでない定期

 

98:野生のトレーナー ID:ChMZQT4ll

チャンプのうちは眼中にないやろね

 

99:野生のトレーナー ID:5x/1kzmuR

どっかに可愛くてバトル強くてダンデ負かす子おらんかな

 

100:野生のトレーナー ID:VleuYLhoi

ミュウ捕まえる方が簡単で草wwwwww

 

 

 

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というわけでダンデの記念すべきデビュー戦捏造してみました。
当時はキルクスが最初のジムだったということで。
メロンさんかわいいよメロンさん。

ちなこの数日後に我らがユウリがジムチャレンジを始めます。
スレがダンデの嫁候補キタ!と盛り上がったとか盛り上がらなかったとか。
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