今回は3000文字くらい短いです)^p^(
さて、他のフロアの探索を行う前にやるべきことがある。
観葉植物に近寄り、その葉の裏に手を伸ばす。
やはりと言うべきか、そこには小型の盗聴器があった。
そして次にキヴォトスの資料がファイリングされたものが仕舞われているカラーボックスに近寄る。
ここからはちょうど障害物はなく、綺麗に先生が見える位置。
そこから一つの奇妙な小さな穴の空いたカラーボックスを取り出すと、中からは小型のカメラが出てきた。
他にも今いる部屋からはそれぞれ5個ずつ発見された。
「ヤベーなキヴォトス……」
おそらく発見漏れがないことを確認し、俺は上のフロアへと向かった。
エレベーターの扉が開くと真っ先に見えるのは玄関だった。
一歩踏み出すと自動的に部屋……と言うよりかはフロアの照明が点く。
少し埃っぽいが、生活感を感じられる空間だ。
成人男性が横になれるくらいの大きさソファーと低い背のテーブル、しばらく使用された形跡のないテレビ。
白い空間に大きく四角に切り取られた先には日の沈んだキヴォトスの街並みが見える。
「……ソファーの上にはブランケットがてきとーに置かれてるし」
このフロアにリビング?の他に部屋はあるのか少し見て回り、俺は思わず溜息を零してしまった。
どの部屋も埃が溜まっているし、リビング以外の部屋にはそもそも使われているような痕跡がない。
つまり、なかなかこのフロアは使用されていないのだ。
その所為で埃が溜まっている事に先生は気付いていない。
いい加減鼻のむず痒さに苛立ちを覚え始めた俺は、このフロアの清掃を開始した。
こうして一部屋一部屋綺麗にしていると、いつの間にか時間が過ぎてしまった。
予測している先生が帰ってくる時刻は午後22時ぐらいで、現在はちょうど残り1時間。
「思ったより力が入っちゃった……」
次に探索する場所を決めている間に俺は掃除の時に見つけた一枚の名刺をエレベーターに向かいながら確認する。
黒いデザインの『GEMATRIA』とだけ書かれている表紙。
裏面には連絡先……ではなく連絡をとる方法と「我々は貴方様が此方へ来るのを心よりお待ち申し上げます 先生」という文章。
「ふーん……、とりあえず取っておこ」
名刺を適当に胸の内ポケットに仕舞い、降りるエレベーターの指し示す階を確認する。
結局ベッドの下は特に面白いのなかったなと考えていたらあと数秒で地下のフロアに着くようだ。
そして扉が開かれる。
一本の通路と、下り階段に別れたエレベーターホール。
おそらくまっすぐ進むとクラフトチェンバーのある部屋なのだろう。
けれど、使用されていない状態のため、辺りは薄暗く、辛うじて誘導灯のお陰で空間が把握できるぐらいしかわからない。
まずは階段ではなく同じ階にある部屋の確認なのだが、ゲームでも見覚えのある場所、つまりクラフトチェンバーのある部屋だった。
ただ、ここも照明は強くはないので足元には注意を払っておかなければならない。
「使用するには先生のIDカードが必要みたいなんだ……」
一通り、薄暗いこの部屋を見て回ったが、面白いものはなかった。
ただ、生成物の履歴を確認できたのでその履歴を見ると、プレゼントアイテムや家具っぽい名前がズラリと並び、たまに密造クレジットが紛れていた。
「次は……下の階、だな。地下のフロア全部とか面倒い……」
しかし安価は絶対。
エレベーターホールに戻り、今度は階段を降りる。
そこはあまり使われていない……と言うかそもそも人が立ち入った形跡がないフロアだった。
手前に並ぶのは簡易的な牢屋で、奥にはいくつか格子ですらない部屋……おそらく独房がある。
長らく使われていなかったようだが、メンテナンスはきちんと行なっているようで、空調や電灯はきちんと動作を行なっている。
「まーじであるとは思わなかったぜ……」
試しに独房の中に入ってみるが、案外ちょうどいい狭さだと感じる。
扉を閉めたら出られなくなりそうなので閉めないが、ベッドから机の距離、そして出口までの距離を体験してみると私室として使いたいと思えるほど良かった。
どうしよう、第三のハウスにするか?
一通り見て回ると時刻は22時を指す。
先生はもう帰ってきていると思うので、急いで先生のPCを見たときの反応を見るために戻る。
上昇するエレベーターの中で、その稼働音に耳を傾ける。
モニターにはクルクルとフロアの数字が上昇して、あっという間に仕事場のフロアに到着した。
「さてと、センセイはーッと……」
男の人がデスクトップの前で座りながら固まっている。
その人物は俺に気付いた様子は無いので、このまま彼の背後に回り込む。
そしてあたかも何も知らない風を装って、PCのモニターを見ながら彼の耳元で囁いた。
「へー、先生も男なんだな」
「ひ、ひひヒカル!?!?」
笑いを抑えられず、少し口端が釣り上がってしまったがまあ良いだろう。
いつの間にか背後にいた俺に驚いたのか、先生は慌てながら俺から離れるように驚いた。
そして何故か右肩を押さえながら前傾姿勢になって……あっ、なんかごめんね?
と言っても胸とか当てたつもりはないのだが、先生が右肩を押さえているってことは当たっていたのだろう。
スレ民にも散々煽られたが、あり得ない事象なので無視じゃ無視。
「ひ、ヒカルだよね……デスクトップ弄ったの……」
「さてなんの事やら……」
すると、急に先生が黙り込みこちらに向かって歩み寄ってくる。
何とも言い表せられない迫力に押され、いつの間にか俺は後退っていた。
「な、なんだよ……いっ!?」
急に伸びた手が俺の腕を強く掴む。
そしてその勢いで軽く壁に背中がぶつかった。
「そうだよ、ヒカル。
不意打ちで耳元で囁かれる。
心地よく感じる男性特有の低音が下腹部にある空間……
いや待て、今俺は何を考えた?
あり得ない。
一瞬で火照った身体が冷める。
「わ、悪かったって、先生。俺が悪かった。
だから離してくれ。いくら俺たちの身体が頑丈とは言え腕が痛い」
「あ、ご、ごめん。すぐ離すね」
急いで謝ると先生も正気に戻ったのか、慌てて俺の腕を掴んでいた手を離してくれた。
先生から少し焦りの雰囲気を感じる。
まだ少し、掴まれた箇所に熱が残っている。
そして俺は、無意識にその掴まれていた箇所に手で触れていた。
「あ、いや、流石に今のは俺がやり過ぎた。すまん、先生……」
空調は問題ないはずなのにやけに部屋が暑く感じる。
それに、やけに動悸が激しい。
精神が男のままであるため、そんなはずは無いと自分に言い聞かせる。
「と、とりあえずもう夜遅いし、シャワー浴びようか。ヒカルは場所知ってたっけ?」
「いんや、知らん」
顔を合わせずに答える。
少し落ち着いてきてはいるが、まだ先生のあの低い声が耳に残っていた。
シャワールームに案内されると、先生はすぐに出て行ってしまった。
空いている場所はまだあるのに何故だろうと思ったが、自分の体が女というのを忘れていた。
いや、忘れてはいない。
まだ囁かれた感触が残っていて、それから意識を逸らそうとしているだけ。
身体に残った熱をさっさと洗い流すために、身に纏っていた衣類をその場に脱ぎ捨てる。
タオルを戸に掛けて、頭から冷水を浴びる。
冷水が肌に触れた瞬間、一気に頭にかかったモヤが晴れるように、スッと心が落ち着いた。
それでもまだ、囁かれた感触が残ってはいるが、ASMRを聴いていた時の感覚になる。
「落ち着け……落ち着け……落ち着け……」
次第に冷水に慣れ始め、肌をつたって排水溝まで流れる水滴がぬるく感じてきた。
流石に身体を冷やしすぎるのはよく無いだろうと思い、温水に切り替える。
先ほどまで冷水を浴びていた所為で、痛く感じる。
「…………ヨシッ」
一緒に入ることはなかったが、アルちゃん社長に体の隅まで覚えさせられた髪の毛や肌のケアを行い……寝間着が無いので先生を呼ぶ。
先生がやってくるが、彼はすぐに顔を逸らす。
「先生、パジャマとか無い?」
「ご、ごめん。伝え忘れてた。
奥の方にサイズごとに分けられてるからそこから自由に使っちゃっていいよ」
そう言って先生は足早に去る。
バスタオルを身体に巻いているが、まぁ肌面積が多いから致し方無し。
それに、スモークガラス越しなので普通に身体のラインが見えるのだ。
「……ちょうどいいサイズがない」
仕方がないので大きめのを着るが、襟周りが広いので片方の肩が出そうになる。
かと言って前に余裕を持たせれば鎖骨がモロに出るし、背中出しにするとなんか首元が苦しい。
「寝る場所は仮眠室でいっか」
「あまり使ってない生活スペースあるからそこの寝室使って構わないよ」
「あー、あの埃が溜まってたとこか。流石にソファーで寝るのは良くないと思うぜ、先生」
下手したら体痛めるしね。
でも、使っていいと言うのならありがたく使わせてもらおう。
あ、ミルクアイスおいちぃ。
2日後、俺はシャーレの中でヴァルキューレ警察学校の生徒に銃口を突きつけられていた。
「あー、とりあえず書類整理したいんだが――」
「う、動かないで下さい!」
髪型はおかっぱっぽい。
記憶していた限りでは多分モブかな?
「センセー、どうしたらいいー?」
「しゃ、シャーレの先生を呼ぶんですか!? 卑怯ですよ!!」
大人しく両手を上げて先生が来るのを待つ。
そして到着した彼の説得で警察学校の生徒……面倒いからポリ子と呼ぼう、ポリ子が銃をおろしてくれた。
「サンキューな、先生。
あ、書類整理しなきゃ」
とある日は先生に連れられて再びトリニティの地へ赴いた。
目的は補習授業部の勉強面のサポート。
今回は先生に同行する形なのでお茶会との接触は嬉しいことに今のところは無かった。
阿慈谷ヒフミ、下江コハル、視線が合った途端に先生に抱き付いてきた白洲アズサ、そして浦和ハナコと自己紹介を交わす。
ただ、浦和ハナコ、この人物と顔が合った時妙に背中がムズムズした。
「わからない問題とか合ったら、気軽にヒカルに聞いてね」
先生がそう言うが、なんか黒い羽と制服の……コハルだっけか、彼女から妙に怖れの視線を感じる。
まぁ俺の見た目、完全にガラが悪いからしょうがないけどさぁ……。
「あー、別に分からないからって怒鳴ったり手ェ挙げたりはしないからな?
えっと…………下江コハル……サン」
「べ、べべ別に怖いとか全然思ってないわよ!」
そう言えば顔を認識できないから名前が出るのが遅いこと伝え忘れてた。
まぁ、すぐに顔以外の特徴で覚えられるし問題ないか。
それからポリ子や補習授業部の人との交流が続き、次第に打ち解けることができた。
そのおかげで彼女たちの先生に対する想いも知ることが出来て良か……良くないんだよなぁ……。
まず白洲アズサ。
彼女は実は先生に抱き付くと同時にとある事をやっていた。
それは先生の匂いをチェック、そして自分の香りを擦り付ける、以上の二つである。
普段はその行為を短い時間で行っているようだが、他の女の匂いがしたら自分の匂いで上書きが完了するまで離れない。
続いて下江コハル。
ツッコミ要員かと思ってたらドが付く脳内ピンク娘。
まさか先生×自分(コハル)の夢小説を書くまで至ったか……。
普段は真面目に勉強して正実に戻ろうとしているから好感を持てるんだが、その分のコレなので正直トリニティが怖い。
次に阿慈谷ヒフミ。
テスト当日を推しに捧げたと聞いた時は正直引いた。
別に推し活は個々の自由だから口を挟んだりするつもりはないけど、ペロロ様への愛が尋常じゃないほどなので話題に出さないようにしている。
そんな彼女なのだが、どうして先生の事を好んでいるのか分からない。
いや、一応話は聞いたんだ。
けれど何故か脳がその内容を理解出来ず拒絶してしまい、結果記憶に残ってない。
でも何故か、孤独で巨大な白いsilhouetteは覚えてた。
最後、浦和ハナコ……さん。
確信犯だろと思う。
ワザと下ネタに聞こえるように言い回すのは思春期男子みたいな子がいるからやめてくれ……。
そんな彼女は、何度か先生と2人きりになった時にアプローチをしていたらしい。
しかし先生はそれをのらりくらりと躱していて、今のところ言質が取れていないそうだ。
なので最近は録音した音声を繋ぎ合わせて自分の欲しい言葉を完成させる為に四苦八苦している。
本当にこのキヴォトスは怖い。
絶対、宇宙外的何かが要因でこんなことになってるだろと考えたくなる。
「お、カンナさんオヒサ〜。今日はカンナさんが当番ですかい」
「お久しぶりですね。西ヒカル……いえ、ヒカルさん。
その……先生の要求に関して何かお困り事があれば遠慮なく私に相談してくださいね」
多分神妙な面持ちで彼女は言う。
けれど何のことか分からないので適当に頷いておいた。
先生の要求って一体なんなんだ……?
「そうですか……。ですが無理はなさらないで下さいね」
「大丈夫大丈夫、俺は無理するとか嫌いな方だから」
無理して身体壊したりしたら後の調整が面倒だからね。
だからカンナさん、アンタも少しは休め(強制イベント発生)。
「ちょ、な、何を――」
「ハイハイ、アンタも最近働き過ぎっすよ〜」
そんなこんなであっという間に時間は流れ、気が付いたら知らない場所にいた。
「あら、先生〜ヒカルさんが起きましたよ〜」
目の前には双丘……?
それに優しい柔軟剤の香りがする。
「ヒカル、寝てる間に連れて来ちゃってごめん。私1人じゃ手が回りそうがなくて……」
先生の説明では、本来はもっと早く伝えるべきだったが、仕事に追われ過ぎて伝達が出来ず、急遽俺が寝ている間に運んだらしい。
一応起こそうとしたが、まるで糸が切れた人形のように全く動かず、起きない様だったので、補習授業部の方々に頼んで運んでもらった様だ。
「……下手したら誘拐みたいなもんだからなコレ。まぁしょうがねぇか」
掲示板に報告しておく。
そしたら急にバニー衣装だとか盛り上がり始めやがったので、諦めて次のスレッドを立てた。
……………………参加することになったらカジノで金策すっか。
完全に本編に突入すると文字数増えるだろうなぁ……(トオイメ
ブクマ、感想、ここすきありがとうございます!!
誤字脱字は執筆中や投稿前に見つけ次第すぐに修正していますがなかなか駆除漏れが減らないので誤字脱字報告してくださる方々にはいつも助かっております……
主人公には掲示板を利用したカードカウンティング(イカサマ)とかをやらせたいのでカジノイベへの合流も一応考えてます
一応この主人公ミレニアム所属だし(停学中)