いずれお前もこうなるTS転生者   作:まさみゃ〜(柾雅)

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二話投稿じゃ
次でエデン条約の2章終わってバニーイベじゃ


逃亡生活:補習授業部編-解放-

 ゾンビ状態のネズミの襲撃で血と腐肉で汚れてしまったウェストンくんを抱えながら、シャワールームへと向かう。

 先導するのは正義実現委員会のモブ生徒。

 ちんまりとしてて可愛い。

 似たような容姿の子が多く存在するし1人ぐらい連れてってもバレへんやろ……などと考えつつ、付着した血液や肉片から漂う腐臭から意識を逸らす。

 

「こ、こちらです。私は外でお待ちしておりますのでどうぞ」

「臭いのに案内させてすまんね。すぐに臭いとか落としてくるわ。

 あ、着替えは借りても?」

「ナギサ様から許可は下りてます!」

 

 汚れた衣類を脱いだ後まとめて置く。

 幸い汚れたのはスカートとワイシャツ、それとソックスと白衣だけでそこまで大きく汚してはいなかった。

 そのかわりウェストンくんが汚れているのだが。

 

 ウェストンくんの電源を落とし、洗浄しやすくするために軽く分解する。

 やはりドリルの回転軸に肉片が巻き込まれていた。

 ほかのパーツにも似たように調べながら洗うべきパーツとそうで無いパーツを分類する。

 そして一通り分類が終わったら自分もシャワーを浴びながらパーツの洗浄作業に入った。

 

 掲示板の民はやはり紳士で画像のうpを求められたが、俺は賢いので肖像権を使って黙らせる。

 なんか記憶にない事を責められているが気の所為だろう。

 ぶ、ブーメラン投げたつもりなんてないし……ね。

 

 洗浄を終えて、脱衣所に分解したウェストンくんを運ぶ。

 そしてドライヤーで洗ったパーツを乾かし再び組み立てる。

 髪の毛は自然乾燥……と行きたいところだったが、濡れたままだと重いし、それに乾いた後の水分を含んだカチカチ状態が面倒なので組み立てが終わった後にすぐに乾かした。

 

「待たせちまってわりぃな」

「いえ、お気になさらず。

 あ、洗濯する衣類はこちらでまとめて洗いますので」

「そこまでして貰えるんだ」

「ナギサ様を守っていただきましたから」

 

 俺だけが狙われて襲われただけだったのだが、まぁ折角の厚意に甘えよう。

 しかし……やっぱり白衣が無いのは落ち着かない。

 再び独房に入るのだが、その間も妙に物足りなくてシャワールームへ連れて行ってくれた正実のモブには気を遣わせてしまった。

 

「おそらく第二回の試験が終わり次第解放されると思うのでそれまではどうかこちらで大人しくしていただけると……」

「分かってるよ。

 ただ、あの白衣が無いとちょっと落ち着かんだけだから気を遣わせてすまんね」

 

 とりあえず先生が来たら背広を剥ぎ取ろうかと考えつつ大人しくベッドに腰掛ける。

 それと同時に来訪者。

 どうやら先生がやって来たようだ。

 先生の第一声はやはり俺を心配するものだった。

 それに対して少しだけだが嬉しさを覚える。

 

「いやーまさかネズミとはいえゾンビパニックが起きるとは思わなかったぜ……」

「それでまた制服を借りたんだ」

 

 剥ぎ取った先生の背広を羽織りながら駄弁る。

 結構大きいため若干萌え袖になっているが、この大きさで露出が減ることで衣類に抱擁されている感覚が心を落ち着かせてくれる。

 それに、背広から香る匂いもどこか心地いい。

 

「それにしても落ち着く匂いだなこれ……」

「ごめんヒカル。やっぱ返してくれるかな?」

 

 何故か先生は恥ずかしそうにしているが、上に何かないと落ち着かないので断る。

 しばらくこのままの状態で先生から補習授業部の現状を聞いたりしてから先生は彼女たちの所へ戻って行った。

 

「……誰も来なさそうだしスレ徘徊するか」

 

 少し部屋が寂しいが、ウェストンくんがいる。

 俺は彼を抱えながらベッドに腰掛け、そして瞼を閉じた。

 

 

― ◆― ―◆― ―◆ ―

 

 

 あれから数日経った。

 ゾンビになった動物が襲撃してくるといった事はあれだけだった。

 それ以降は朝から晩までただ独房の中にいるだけ。

 たまに誰かが来ては雑談をしていた。

 頻度が多いのはやっぱり緑髪娘。

 勉強の話や、最近読んだ本など話題を色々と用意してくれる。

 

「……それでシスターフッドが俺に何か用でも?」

 

 夜遅く、目の前には聖職者と思えるような装いの少女が椅子に腰をかけている。

 銀の髪色で、長さは……肩甲骨あたりかな?

 

「急な来訪でごめんなさい西(カワチ)ヒカルさん。

 私は歌住サクラコと言います」

 

 名前を聞いて「あ、覚悟の人だ」と言いそうになるのを我慢する。

 そしてどうやら彼女は俺の事を知っているようだ。

 どうして知ってるのか訊いてみると、緑髪娘がサクラコとの会話によく俺の話題を出すらしい。

 

「勉学以外でも良くしてもらえているようでよく話してくれるんです」

「……まぁ俺は今暇だしな。緑g、ウツロとの時間は楽しいし。

 ただ、それでも俺は他校の生徒ではあるからある程度警戒はしてほしいわ」

「それは……確かにそうですね。

 ……ところでその……先程から腰をかけている機械は何でしょうか?」

 

 椅子にもなれるように改造したウェストンくんがどうやら気になっていたようだ。

 どおりで会話の節々で足元に視線を感じていたのか。

 

 サクラコにウェストンくんがいかに素晴らしくロマンに溢れているのか講説をしたのだが、この部屋のものを使って作ったと言ったら説教が始まってしまった。

 非常識だとは言われたが、天啓だから仕方ないだろと思うし、それにゾンビネズミの大群を捌いた一番の功績者はウェストンくんなのだから許されるべきだと思う。

 親バカ? 結果論?

 否定はしない。

 

「ま、まぁ、反省はしてるって」

「それが本当ならいいのですが……。

 さて、そろそろ本題に移りましょうか」

「……はい?」

 

 緑髪娘の件が本題だと思っていたら違っていたらしい。

 他に何かあるかと考えていると、そのまま彼女は続けて言う。

 

「ヒカルさんは現在シャーレに所属している形と認識しているのですが、合っていますか?」

「ああ、シャーレが捕縛して身柄を預けてる形でな」

「つかぬ事をお聞きしたいのですが……先生はどう言った女性が好みなのでしょうか?」

 

 ……もしかして貴女もですかシスターサクラコ。

 とりあえず試しにウェストンくんに目を輝かせている先生の写真を見せてみる。

 彼女は写真に食い入る様に見ていた。

 

「こ、これは……」

 

 そして何故か今度は彼女がテーブルに先生の写真を並べ始める。

 構図の違いは何となくわかるが、写真でも人間の顔が認識できないのでどれがどう言った写真なのかはわからない。

 しかし、話を聞いている限りでは多分盗撮だろうと思う。

 ま、まぁ本当は声をかけたかったけど勇気が出なかったから写真を撮って満足しちゃったんだろう。

 そう考えたらちょっとだけ可愛く思えて来た……きた……うん、きた。

 

「……そうだ。なぁ、ちょっとばかし俺の暇潰しに付き合ってくれません?」

「暇潰し……ですか?」

 

 ふといい機会だと思ったのでサクラコにとある賭け事を提案する。

 利用するゲームはブラックジャック。

 内容は1ゲームにサクラコさんが一つディーラー役の俺に質問をして、彼女が勝ったら俺は質問に正直に答え、逆に俺が勝ったら嘘かもしれない情報を答えると言うもの。

 また、数合わせとしてウェストンくんを2体に分けて参加させ、彼らが勝った場合も俺は正直に質問に答える。

 ちなみにゲームの進行中、降りた場合は引いたカードの段階までの情報を俺は彼女に話すというルールも定めた為、完全に俺が暇をつぶすためだけのゲームになっている。

 

「……本当にその様なルールでよろしいのですか?

 ヒカルさんには利がないように思えるのですが……」

「俺は先生が帰ってくるまで時間が潰せられれば良いんで何も問題ないですよ」

「そ、それなら大丈夫……なのでしょうね」

 

 と言うわけでゲーム開始である。

 プレイヤーの並びは俺から見てサクラコさんの右隣に分裂させたウェストンくんらを配置した形だ。

 

「まずはカード配りますね」

 

 そして1枚ずつカードを配る。

 

サクラコ
ウェストンA
ウェストンB
♣5+♠7
♥7+♠A
♠3+♣A
(♦4)+♦8

 

「追加する前に質問をば」

「では、まずはじめに先生の趣味を……」

「りょーかいっと。

 あーそうそう、ダブル・ダウンで勝ったらまだ他の生徒にも知られていない先生の秘密も追加で答えるぜ?」

「そうですか……ヒット」

 

サクラコ
ウェストンA
ウェストンB
♣5+♠7+♣2=14
♥7+♠A=18
♠3+♣A+♣6=10
♦4+♦8+♣5=17

 

 というわけで俺の負け。

 だから彼女の質問に正直に答える。

 

「先生の趣味か……。

 以前PC漁った時によく音声作品とか買ってましたねぇ……。

 あとこう言うウェストンくんみたいなロボ系も」

「なるほどロボット系ですか……」

 

 続いて第2ゲーム。

 ちょっとだけ小細工シャッフルしてるのにいまいち自分の引きが悪い気がするな。

 

サクラコ
ウェストンA
ウェストンB
♥2+♣Q
♥A+♣4
♦9+♦7
(♥9)+♠6

 

「まずは質問を」

「では今度は……――でお願いします」

 

サクラコ
ウェストンA
ウェストンB
♥2+♣Q+♥4+♥J=Bust
♥A+♣4+♦Q+♦3=18
♦9+♦7=16
(♥9)+♠6+♠9=Bust

 

 ディーラーは17以上になるまで引かなければならないので15では止まれず負け。

 

「マジかよ……君たち親に厳しくない?」

 

 生みの親の敗北に何故か身振り手振りで喜びを表現するウェストンくんA。

 約束通り彼女の質問に答える。

 まだ夜は始まったばかりだ。

 その間なら何度か俺も勝てるだろう。

 

 

 

 

 

 何回目かのゲーム。

 始めてから結構時間が経っており、夜も更けてきた。

 

サクラコ
ウェストンA
ウェストンB
♥J+♠2
♠10+♦6
♥3+♥8
(♦10)+♣5

 

「そういえば先生の私生活を聞いていませんでしたね……ヒット」

 

サクラコ
ウェストンA
ウェストンB
♥J+♠2+♦J=Bust
♠10+♦6+♠5=21
♥3+♥8
(♦10)+♣5+♦︎Q=Bust

 

「おっと、ウェストンくんがブラックジャックか。

 まぁあの人基本夜遅くまで事務作業やってたり、モモトークの通知が来た生徒の様子を見に行ったりしてる感じだからな。

 だから生活スペースは結構質素ですよ。

 ああ、それと最近までは寝室のベッドじゃなくてソファで寝てるみたいでしたし」

 

サクラコ
ウェストンA
ウェストンB
♦3+♠7
♣8+♦4
♠8+♣9
(♦8)+♣A

 

 結構続いているなと思う。

 俺はもう惰性で続けていたために、油断していた。

 

「ヒカルさんと先生との隠し事でお願いします」

「え、ガチで知りたいんです?」

「ええ。なので……ダブル・ダウン」

 

サクラコ
ウェストンA
ウェストンB
♦3+♠7+♠A=21
♣8+♦4
♠8+♣9
(♦8)+♣A+♦︎9=18

 

「なっ!?」

 

 よりによって際どい質問にダウン・ダウンを切って、しかもブラックジャックである。

 しかし自分で定めたルールなので致し方なし。

 

「教えるも何も隠し事なんて無いんですけどねぇ……」

「いえ、あるんでしょう? だって、ヒカルさんは先生の秘密を知っているのですから」

 

 やっべ、調子に乗ってダブル・ダウンで勝ったら先生の秘密ばらすとか言わなきゃよかったわ。

 完全に墓穴を掘ってたな俺。

 

 目の前にいる人物の雰囲気がちょっと恐ろしく思えてくる。

 最近……と言っても補習部の件が始まる前の話なのだが、まだスレ民にも報告してなかった話を腹を括ってしよう。

 

「先生、下戸みたいなんですよ。ここに来る前に一度、酒を久し振りに飲んだみたいで――」

「ヒカル……? ってなんで寝てないの!?」

「せ、せんせい!?」

「あれ? 先生帰ってたんだ」

 

 扉が開く音と共に先生が入って来る。

 何か少し火薬の臭いが微かにするな。

 だがナイスタイミングだ先生。

 おかげで先生が酔って俺が寝ていたベッドで寝ていた話をしないで済んだ。

 いや〜……本当になぁなぁになって話さずに済んで良かった。

 

「えっと君は……」

「お、お初にお目にかかります。私はシフターフッドの歌住サクラコと申します」

「はじめまして……で合ってるっけ?

 前にも会った様な気がするんだけど……」

 

 そのまま2人が話し始める。

 俺を省いて。

 だからなのか、少し物寂しさを覚える。

 いや、今俺は何を考えた!?

 落ち着け……落ち着け……。

 俺は精神的に彼女達よりも歳上だ。

 そして心は男、だから先生に構って貰えなくて癇癪を起こす様なガキでも女でもない。

 だからこの物寂しさは気の所為だ。

 

 

 

 

 

 

 

 ― †┏┛+┗┓† ― 

 

 

 同刻、ミレニアムサイエンススクールの管理する地域のとある区画。

 そこは他の区画よりも治安が比較的に悪く、怪しげな商品の流通の場となっている。

 そんな区画にある1つの研究室。

 そこには乱雑にレポートの紙束が積まれた研究テーブルや、埃を被ったエレキギターがある。

 しかし、普段と変わってその研究室に1つの動く影があった。

 

「もう……私がいなかったからってこんなに散らかしちゃって。

 それに埃もいっぱい溜まってる」

 

 通気口からファンに切られながら差し込む日差しを少々疎ましく思いながらも、その影は部屋の清掃を行う。

 しかし床はどこからか溢れ出ている冷気でやや白い雲のようなものが這ってよく見えない。

 それでもその影は気にせずに研究室の清掃を行っている。

 

「……っと、貴方達もご苦労様。でも一部は手こずっているみたいね。

 まぁ良いわ、出来れば近くに置きたかっただけだから」

 

 それでも諦めはしないけれどね、と影は腐った肉の身体の犬の頭を撫でる。

 いや、犬の他にも居る。

 鳥類や齧歯類、霊長の類も影に……耳の長い全裸の少女に従っている。

 そこに骨が向き出た鴉がとある薬品を咥えて少女のもとに現れた。

 

「あら、あの子に内緒で作ったお薬もう見つけてくれたの? ありがとうね〜♡」

 

 鴉の頭を撫でてその薬品を少女は受け取ると、なんの躊躇いもなく自分に投与する。

 急激な激痛と発汗、そして空腹に少女は笑い声を零す。

 

「ウフフッ……ウフフフフッウフフフフッハハッアハハハハハッ!!ハハハハハッ!!

 ――――――――…………アハッ♡」

 

 愛する者の為ならば、この飢えや痛みさえ己の糧にする。

 けれどまだ自分の出番では無い、そう自分に言い聞かせ己が計画する再会の為に、少女はかつて己が所属していた組織(学校)の制服に身を包めて闇に消えた。




ブクマ、感想、ここすき、評価、誤字脱字報告圧倒的感謝……!!
タグに不定期更新とありますが、ここまで遅れた理由を説明させて下さい
・サポカだけど推しの水着が二枚も登場して尊死してしかも爆死
・遊戯王MDやリンクスでカードを回してた
・ブラックジャックを1人寂しくリアルでシミュレーションしてた
・西ヒカルのメモロビの絵コンテの構想を練ってた
・トウカイテイオーを描いてた
・アルバイトのイラスト描いてた
・ノートPCの画面が壊れた
以上が理由です
本当にすまんかった

-補足説明-
セイアの入院が本編よりも2年もズレた理由
1つ、本編よりも早く先生が着任してた
2つ、セイアも襲撃犯も先生にホの字だった為予知も完全にズレた
3つ、原作には存在しない乱数(現西ヒカル)の登場による影響

蝶が軽くはばたいて生まれた風によりほかの地に嵐が生まれたように、小さな異変が後に何かを生みます。
これも全ては西ヒカルが悪いんだ

2023/08/10 00:03 追記
サクラコさんの髪色ピンク系統の色と勘違いしてました
サクラコさん推しの方には大変申し訳ない(ハラキリの構え)

2023/08/11 11:28 追記
誤字の修正を行いました
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