いずれお前もこうなるTS転生者   作:まさみゃ〜(柾雅)

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本日2話目です。


骸は納骨堂に眠るが彼らの理

 エデン条約の調印式当日。

 世話になった芝犬の親父さんに挨拶をして、街中の巨大モニターのある場所へと向かう。

 モニターにはクロノス校の下乳とメガネの2人の声が聞こえてくる。

 

「そろそろか……とりあえずトリニティの近くへ移動するかねぇ」

 

 時刻を確認し、ビルの屋上をウェストンくんで移動する。

 その時にカメラに映らないように気を付ける。

 

「地上じゃ何処にカメラあるか分からんからなぁ……っと」

 

 確か聖堂の辺りにいる筈だ。

 トリニティに近付けばビル同士の感覚が広くなってきて、更にその背は縮んでいる。

 

「流石にここが限界だね……。正実や風紀委員会の目が凄い」

 

 近くに何かないか見渡すと、丁度良くマンホールを見つけた。

 ウェストンくんのドリルアームを外して、その場で適当に作ったマンホールの蓋をあける為の道具を装着させる。

 彼が丁度蓋を持ち上げた頃、空を見上げると昼間にも関わらず、物騒な流れ星が見えた。

 

「ウェストンくん着地は任せた!!」

 

 そう声をかけると彼は蓋を捨てて真っ先にマンホールの穴に飛び込む。

 俺がそれに続いて穴へと飛び込むと、落下地点に彼は居る。

 彼は俺を抱きかかえるようにキャッチすると、すぐに侵入した穴から離れてくれた。

 

 数秒後、激しい振動と騒音が響いた。

 マンホールの蓋に勢い良く細かな瓦礫がぶつかる音が下水道内に響き渡る。

 

「ふぃ〜、間に合ったな。

 サンキューな、ウェストンくん」

 

 激しい揺れも音も収まり、混乱の声が上から響いている。

 スレ民からはミレニアムで何か動きは無いか聞かれたが、俺のスタンプ爆撃によるユウカからの鬼メッセージだけしか今のところ連絡はない。

 

「スタ爆返信して……っと。

 とりあえず今から地上を確認するからウェストンくんは距離が離れない程度に下水道内で待機してくれるか?」

 

 銃撃戦の音を聞きながらウェストンくんに指示を入れる。

 そしてさっき侵入に使った蓋のされていないマンホールから俺は外に出た。

 

 物陰に隠れるように移動していると、先程から聞こえてくる銃撃戦の音の正体が明らかになる。

 トリニティやゲヘナの生徒が聖徒会と撃ち合っていたり、聖徒会ではなくゾンビがトリニティやゲヘナの生徒を襲っていたり。そして聖徒会とゾンビ争い合っていると言う混沌とした景色が広がっていた。

 

「それでも聖徒会がゾンビとやりやってる意味がわからんのだが?」

 

 アレらは確かアリウスがトリニティとゲヘナを潰すよう命令を出している筈だ。

 けれど部外者であるはずのゾンビを撃っているところから原作と若干変化が生じているのかもしれない。

 

「とりあえず今は緑髪娘と先生の様子が先だな」

 

 俺は彼らに気付かれないようすぐにその場から離れた。

 

 

 結論としては緑髪娘と先生は無事だった。

 緑髪娘の方は運良く瓦礫と瓦礫で生まれた空間に彼女が丁度収まる場所にいたおかげで、気を失ってはいたが無事であることを確認した。

 そして体の一部が圧迫されていることもなく後遺症も安心できるだろう。

 続いて先生の方はと言うと、俺が様子を見た時には丁度ヒナタに救出されていた所だった。

 

「あとは接近できれば良いんだが……お?」

 

 丁度アリウスの生徒らが先生を仕留めに接近している。

 俺は彼女たちの最後尾へ接近して最後尾の生徒を物陰に引きずり込んだ。

 

「おっと、大人しくしてくれよ?

 そしたらすぐに解放してやるからさ」

 

 しかし彼女の答えは問答無用の発砲である。

 すぐに射線を逸らして彼女の鳩尾に2、3発撃ち込む。

 結構キツそうな声が出ていたが、まだ耐えるようだ。

 

「流石はと言うべきか……けど始めからこうする予定だったんだよね」

 

 注射器を取り出し彼女の肌が露出している箇所へ薬品を打ち込む。

 全身に薬が回るまで時間がかかるため興奮してくれると助かるのだが、彼女は自身に薬品が打たれたことをすぐに把握すると大人しくなった。

 

「何のつもりだ……!!」

「何をってしばらく眠る君には関係ないと思うぞ?」

 

 銃もナイフも取り上げたので彼女は抵抗できる手数が少ない。

 けれど油断せずに腰に跨り、そのガスマスクのゴーグル越しに見える目を見つめる。

 

「今回ミレニアムは関係ないだろ」

「コッチにも事情があるんだよ。それに俺、停学中だし?」

 

 だんだん薬品が回ってきたのか、彼女の抵抗する力が弱くなっている。

 やがて彼女の身体から力が完全に抜け落ちると、静かな寝息が聞こえ始めた。

 

「ようやく眠ったか……やっぱコ●ンの麻酔ってマジでヤベェ代物なんだな」

 

 彼女の装備を全て拝借し、本人は適当な瓦礫の陰に隠す。

 これでいざ他の部隊やゾンビが通っても見つかることはないだろう。

 

「……ちょっとガスマスクが臭いけど我慢するか」

 

 そして俺は先生を追い詰めたサオリの部隊にこっそり合流した。

 

 

 

 

 

 

 

「これでゲヘナの風紀委員も――誰だ!?」

 

 突如サオリが叫ぶ。

 彼女の向く先を見るとそこには知っている人影が居た。

 

「ハァイ、ちょっと探している人がいてね……お邪魔だったかしら?」

 

 継ぎ接ぎのエルフ耳の少女が陽気な声を出しながら歩み寄って来る。

 彼女の配下と思わせるほどに従順なゾンビらがその後ろに続く。

 これを隙と捉えたのだろう、先生がセナの乗る救護車に飛び込んだ。

 サオリは慌てて先生にめがけて発砲するが、すぐに救護車は小さくなって見えなくなった。

 

 まぁ念の為先生の端末に電話をかけておいたから脇腹を撃たれているのは分かったんだけどね。

 けれど、当たった感触がなかったのかサオリの表情はやや険しかった。

 

「さて、そろそろ出てきても良いんじゃないかなぁ……ヒカルちゃん?」

 

 ガスマスクで顔を隠していると言うのに、彼女……エルザの視線は真っ直ぐ俺に向いている。

 

「そう睨むなよ。あとちゃん付けは止めろ」

 

 ガスマスクを外しながらエルザの前まで歩み出る。

 そしてガスマスクを装着するのに邪魔だった眼鏡を取り出して掛け直した。

 俺が彼女に声をかけようとした時、突然彼女は俺に銃口を向ける。

 

「……貴女、誰かしら?」

「や、やだなぁ、西ヒカルに決まってるだろ?」

 

 いつのまにかアリウスからも銃口を向けられていた。

 けれど、邪魔するなと言わんばかりにゾンビが彼女たちに襲い掛かる。

 

「貴女はヒカルちゃんじゃない!!!! 私の愛がそう囁いているの!!!!」

 

 きっしょ! 何で分かんだよ。

 近距離ではあったが銃口がどこを向いているのかすぐに把握できていた為、放たれた銃弾は躱せた。

 しかし彼女の攻勢は緩まず、徒手格闘を交えながら俺に襲い掛かる。

 

「いや、マジで、どこで、そんな、動きを!?」

「喋り方やテンションはあの子と似てる……でも違う」

 

 彼女の銃口が頭部に当てられる。

 無理に避けると耳元で発砲されて鼓膜が破れた。

 

「うおっ!?」

 

 世界が回転し、姿勢が崩れる。

 そこにウェストンくんがドリルを使って地下から現れたのか、地面に頭をぶつけそうになった俺を支えてくれた。

 

「そのまま俺を運んで離脱!!」

「っ!? その子は!!」

 

 急に彼女からの殺気らしき物が途絶える。

 けれど代わりになのか大量のゾンビが追いかけてきていた。

 しかしそれに混じって数体ほど見たところ腐敗しておらず、また顔が認識できないのがいる。

 

「あぁん……? とりあえずもう一回下水道に避難だ、ウェストンくん」

 

 何故か蓋の無くなっていたマンホールに俺たちは逃げ込む。

 やはりと言うのか、下水道にもゾンビ達が配置されており、俺たちは彼らから逃げるように下水道を走った。

 その間にさっきエルザと対峙していた時に届いていた、ユウカとノアからのメッセージを確認する。

 どうやらエルザは俺を差し出さなければゾンビを送り込むつもりだったらしい。

 ミレニアムでは死んでいたはずのエルザからの手紙から本人の指紋が検出されて混乱が起きているとも言っていた。

 そして彼女の現在地が現在ミサイルによって混乱状態であるトリニティ周辺だった為に、復興支援という名目で人員を派遣したようだ。

 

 

 

 

 

「……お待ちしておりました、西ヒカル様」

 

 行き着いた先にソレは居た。

 恐らくこいつがゾンビを統率していたのだろう。

 

「お初お目にかかります。私のことはホー、とでもお呼び下さい」

「……こんなとこまで誘導して何者なんだ、お前は」

 

 見るからに普通の人間。

 それもキヴォトスでは珍しい人型の男。

 動物の頭でも機械の頭でもない。

 そして、俺の問いかけに答えるように男は痛々しい音を立てながら姿を変えた。

 

「失礼、私は食屍鬼でございます。荒々しい招待となってしまいましたが、以後よろしくお願い致します」

「食屍鬼ぃ?」

 

 見るからに複数の動物が継ぎ接ぎで人型に模られただけの存在だが……。

 そんなことを考えているのを彼は察したのか、人に再び音を立てながら変身する。

 

「母上がハイエナの亡骸から私を産み出してくれたのでございます。本来の彼らから見れば私は似た性質を持つ悍ましき異物でしょうが、私は彼らと同じく人やハイエナに化けることが出来ますし、彼らと同じく屍肉を喰らいます。なので彼らが認めなくとも私はれっきとした食屍鬼なのです」

 

 その母上とやらは恐らくエルザなのだろう。

 そして彼はその彼女を親愛を越えて信仰しつつあるようだ。

 

 彼に案内されるまま下水道を進むと、突然景色が変わった。

 そこはカタコンベであり、下水道のコンクリートを無理矢理掘り進めて到達しているようだ。

 

「……なぁ、地上の方のゾンビって――」

「ご心配には及びません。彼らは既に地下へ撤退させております」

「そうか、それなら良い……のか?」

 

 そしてたどり着いた場所は奇妙な空間だった。

 奥の方には大きな奇妙な形の像が立っている。

 ただの一本道がその像へと向かっており、一本道から外れると見えるのは底が見えない闇が広かっていた。

 

「お気をつけ下さい。貴女は母上の大事な伴侶でございます。

 奈落へ落ちてしまったら母上が悲しみます」

「お、おう……」

 

 覗き込もうとした時、咄嗟に腕を掴まれる。

 先生とは違った男の手。

 その硬さはあまり違いは無いが、どこか気色の悪さを感じさせる。

 まだ先生の手の方が安心感がある。

 けれど片耳の鼓膜が破れている今、変に姿勢を崩したら落ちていただろうし、俺が悪いのか。

 

「あの像の下に母上は待っています。貴女には母上と共にこちらへ戻って来ていただきたく思います。

 戻る際は決して振り返らず、真っ直ぐ戻って来てくださいね?

 もし振り向こうとするならばその首をこの子が掻っ切りますから」

 

 そう言って彼は1匹のハイエナを案内人にして、気味の悪い像の下へ俺を向かわせた。

 

 

「さっきはごめんね、ヒカルちゃん。そして久しぶり」

 

 背筋を氷で撫でられたような感触。

 その声に返答出来ずにいると、彼女は俺の手を取り自身の元へ引き寄せる。

 そして俺の背後に回ると、そのまま彼女の手は這うように俺の身体を撫で始めた。

 布越しとはいえ撫でられる度に鳥肌が立つ。

 

「そ・れ・に……こ〜んなに大きく成長して……」

 

 とうとうその手は胸へと到達した。

 軽く揉まれたところで漸く身体を動かすことが出来、俺は彼女を突き飛ばす。

 

「ヒカルちゃん……?」

「す、すまん……突然だったから……。それとちゃん付けはやめてくれ……」

 

 胸が苦しい。

 汗が顎の下を伝い、いつのまにか汗をかいていたのか弱く当たる風がとても冷たい。

 耳の裏からは心臓の鼓動が激しく聞こえてきていた。

 

「……そう、ごめんね? それじゃそろそろ帰ろうか!

 聞いてると思うけど絶対に振り向かないでね?」

 

 俺の背後から彼女はそう言う。

 この時俺は、それにただ頷くしか答える事が出来なかった。

 

 帰り道、彼女から声をかけられることもなく、特に問題なくホーの居る地点へと辿り着く。

 

「お帰りなさいませ、母上。ご復活、おめでたく思います」

「ありがとう、ホー。それとヒカルちゃんもありがとう」

 

 早くこの場から離れたかった。

 だからだろう、彼女の不意打ちをモロに喰らった。

 

「なっ!?」

 

 右肩に深々とメスが刺さる。

 狙いは俺の大動脈だったのだろう。

 けれど長い髪で遮られていたために狙いが外れたようだ。

 いやそれよりもクソ痛ェ!!

 

「ありゃ? 外しちゃった?」

「外しちゃったじゃねぇよ!! 何しやがる!!」

 

 次のメスが飛んでくる。

 ウェストンくんに掴まりながら俺はカタコンベの方へ移動する。

 

「何でって……ヒカルちゃんが欲しいからだよ?

 昔のヒカルちゃんはちっちゃくて可愛かったけど絶対今の方が好みだからこのままのヒカルちゃんにするの。

 絶対に腐らないように大事に大事に愛してあげるから安心して?」

「1ミリも安心できねぇって!!」

 

 1度死んだ身とはいえ、やっぱり死ぬのは嫌なんだよ!!

 しかし彼女から飛んでくる死は急に止む。

 それどころか、カタコンベへの道を邪魔していたゾンビらが急に糸が切れたようにその場に崩れた。

 ホーもこの状況に混乱しているようだが、それ以上にエルザの様子がおかしい。

 

 その姿は先ほどとは変わって、顔の上半分を覆うバイザーに腕の拘束する様な装備。下半身は脚を1つに統一させて、芋虫の体節を思わせるフォルムの脚部パーツ。背中からは4対の虫の翅のようなユニットが備わっている。

 そしてこれらの装備には見覚えがあった。

 

「マジかよさっきのへんな像ってこう言う用途があったのかよ!!」

 

 ヘイローはエルザのものと同じ形をしていることから、この怪物は彼女で間違いない。

 ウェストンくんの多脚で走る速度ではすぐに追いつかれてしまうだろう。

 だから彼の多脚パーツの仕込みを起動させる。

 脚のローラが露わになった途端、彼の背中からロケットエンジンが火を噴く。

 必死に彼に掴まり、カタコンベの来た道を引き返した。

 確か時間が経過すると構造が変化するらしいが、ドリルの生み出す螺旋の前では全てが無意味なのだ!

 

 ようやくカタコンベを突破して、下水道に辿り着く。

 

「流石にこんな狭いところまでは追って来まい……」

 

 背後が少々騒がしいが、気にせず進む。

 けれど騒音が激しくなるばかりで、振り返ると奴はいた。

 

『?……siguf ruc』

 

 ……何を言ってるのかさっぱり分からん!!

 とりあえず彼女をスマホのカメラで撮影してヒマリ先輩にモモトークで送信する。

 

「えーと、え、る、ざ、だ、い、に、け、い、た……い、っと」

 

 『エルザ第2形態』と言うメッセージに彼女からはやや古さを感じさせる、驚く白い丸頭のキャラクターのスタンプが返ってくる。

 そしてその間にも彼女との距離は縮まるので彼女とすれ違う事にした。

 その為にも蓋のないマンホールの出入り口を探しているのだが……あった。

 

「ウェストンくん跳べっ!!」

 

 俺の掛け声と同時に彼は大きく跳躍する。

 しかし俺が姿勢を崩してしまった為、彼は上手く脱出できたが俺が梯子に掴まり垂れ下がる状態になってしまった。

 急いで上がるが、彼女の接近によって大きく揺れて上手く登れない。

 やっと片足を梯子に掛けられた頃にはエルザはすぐそこまで迫っていた。

 

「やばっ!?」

 

 残りの片足を慌てて梯子に乗せて急いで駆け上がる。

 その数秒後、梯子の一番下、つまり下水道の天井を彼女は抉るように通過して行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後俺がなんとかトリニティの敷地から離れる間に、どうやら事件は無事収束へと向かったらしい。

 そして仮定としてだが暴走したエルザは地下から現れなかった。

 恐らくだが、エデン条約が再び1つとなった為安定したのだろう。

 だから彼女から手紙が届いた。

 3.11の謎の数字の封蝋に普通の日本語での謝罪。

 そしてまた逢おうねの一言を添えて。

 正直彼女とはもう二度と会いたくない。

 けれど、どうせ彼女から俺の前に現れるのだろう。

 

「……ま、その辺りはベアおばの件が終わり次第本格的に、だな」

 

 俺はユウカからさっきから送られてくる鬼のような量のメッセージにスタンプ爆撃で返信した。




セイアの夢
先生を引き留めてずっと一緒にいよ?夢の中なら辛い事なんてないよ?してた
でも先生は彼女を諭して原作通り目覚めた

次はベアおば……

2024/01/05 追記
R-18ですが男性化生徒と女先生のお話をチラシの裏に投稿しました
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