劇場版風艦これ2 〜鉄底海峡の影〜    作:蒼海 輪斗

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三号作戦が開始される。そして十六夜たち艦娘を狙う、影の脅威が迫りつつあった…


第二部 影姫

 三号作戦は予定通り第七艦隊の先行から作戦通りに開始された。そのままガダルカナル島海域に到達、後続の海上自衛隊救出艦隊と航空自衛隊救出部隊が多国籍軍の救出を開始した。救出作戦は順調に進み、その日の日没にはほとんどの要救助者の救出に成功した。

 

出羽      「それではこれより、周辺海域の哨戒を開始します。」

 

十六夜     「は〜い。」

 

 日没後、出羽が旗艦を務める第七艦隊が、ガダルカナル島近海の哨戒を開始した。

 

大永      「対潜哨戒機も発艦させておくわね。」

 

出羽      「ええ、お願いします。」

 

馬見ヶ崎    「じゃあ…私も瑞雲を発艦させておきますね…。」

 

 馬見ヶ崎も対潜戦闘用に、爆雷を搭載させた瑞雲を発艦させた。 瑞雲が空を舞う。

 

曙       「これで少しは潜水艦に気を使う必要がなくなったわね。」

 

 曙がそう言った。すると十六夜が、

 

十六夜     「そういえば提督から影の艦隊の資料が渡されてたよ。これ。」

 

 と十六夜がある資料をみんなに見せた。

 

                   影の艦隊 主力艦艇

 

魚雷艇 甲型改/乙型改 (体力 25)

 

 全長が25mほどの大型の高速魚雷艇として建造された。武装は甲乙共通では10cm単装砲一門、魚雷であり、甲型改のみ魚雷を四発搭載可能。乙型改は二発のみ。またそれぞれ甲型改は25mm三連装機銃、乙型改は25mm連装機銃を装備している。

 艦娘との戦闘では、その高速性をいかして、奇襲攻撃や偵察などを主任務としている。

 

駆逐艦 十六型 (体力 35)

 

 全長が180m超えの大型の艦隊型防空駆逐艦。13cm砲と長10cm連装高角砲を装備し、対空、対潜、対艦能力は通常の駆逐艦を超越しており、その戦闘力は阿賀野型軽巡洋艦にも引けを取らない。また、試製六連装魚雷発射管を二基搭載し、強力な雷撃能力を誇る。

 艦娘との戦闘では、影の艦隊の主力駆逐艦として登場し、深海棲艦の駆逐艦たちをはるかに上回る攻撃力と防御力を駆使する万能型の駆逐艦として戦闘を行っている。

 

軽巡洋艦 二十型 (体力 65)

 

 全長が180mほどの、艦隊防空型軽巡洋艦。15cm三連装砲を装備し、対艦能力は重巡洋艦にも負けない高性能を発揮した。

 艦娘との戦闘では、影の艦隊の水雷戦隊の主力として登場、呉鎮守府の第六駆逐隊を追撃したり幅広い海域に確認されている。弱点は旋回性能が低いことと、対潜能力が低いこと。

 

重巡洋艦 二十一型 (体力 110)

 

 全長210mほどの、巡洋戦艦にも比肩するほどの性能をもつ重巡洋艦。25cm三連装砲を装備し、長大な航続力と火力をもち、影の艦隊で影姫以外で唯一、艦娘を影化させることができる影の砲弾を使用することができる。

 艦娘との戦闘では、影の砲弾を使用し、艦娘たちを夜戦などで苦しめている存在である。

 

戦艦 百十型  (体力 160)

 

 全長263m超えの世界最大の戦艦、大和型の改良型、”超大和型戦艦”として建造され51cm砲を搭載している。ビックセブンと言われた長門型四隻分の戦闘力を持っている。

 艦娘との戦闘では、その強大な火力、防御力を発揮し、影の艦隊の旗艦のような役割をしており、各鎮守府の提督を苦しめている。

 

戦艦 七十型 (体力 230)

 

 全長230mほどの空母殲滅型高速戦艦。巡洋戦艦型と航空戦艦型の二種類が存在している。長門型と同様に41cm砲を搭載しており、試製六連装魚雷発射管を四基搭載、航空戦艦型では影の瑞雲を25機ほど搭載している。

 艦娘との戦闘では、影の艦隊の司令官的存在で戦闘を行ったり、空母艦娘を積極的に攻撃し、各鎮守府の空母戦力を壊滅に追い込もうと企んでいる。

 

潜水空母 七百型  (体力 30)

 

 全長が150mほどの巨体を持つ、世界最大の潜水艦に航空機を搭載したのが潜水空母であり、武装は10cm単装砲、魚雷発射管八門を搭載しており、各艦載機を搭載することができる。

 艦娘との戦闘では、影の艦隊の潜水艦でありながら軽空母としても運用され、航空機による突然の空襲を主戦術として用いて艦娘たちを轟沈へと追い込もうとしている。しかし、防御力は駆逐艦よりも弱く、艦載機の発艦にも時間がかかるため意外と弱点は多い。

 

出羽      「これは…」

 

十六夜     「栗林さんがまとめたみたいです。戦闘に役立つかもしれないです!」

 

大永      「そうね。これなら少しは戦い易くなりますね。」

 

 大永は呟いた。以前の第二次い号作戦の成功により影の艦隊は大部分の航空戦力を喪失していた。よって現在艦娘へ攻撃ができる航空隊は富嶽爆撃隊程度だ。さらにその富嶽爆撃隊も飛行場からではないと出撃ができない。発進前に飛行場を無力化すれば自衛隊は救助中に爆撃隊の攻撃を受けることはない。

 

十六夜     「ん?なんですか。この”影化”って?」

  

 十六夜は資料に書いてあったことが気になったようだ。

 

出羽      「そうですね。なんでしょうか。」

 

大永      「そうね。私も気になったわ。」

 

 そう会話をしていた。すると

 

立春      「あ、あれは…」

 

十六夜     「?どうしたの、立春。」

 

 十六夜がそう聞くと、立春は空を指さした。そこには…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空を埋め尽くすほどの、影の富嶽が飛行していたのだ…

 

 

 

 

十六夜     「嘘っ!?もうこんなに!」

 

 十六夜が叫んだ。それにそれだけではない。ただでさえ多い富嶽にそれを上回る数の護衛機がついているのだ。影の橘花だ。

 

出羽      「そんな…。ツラギ島の飛行場なら第一艦隊と第二艦隊が艦砲射撃で無効化しているはずじゃ…。」

 

大永      「それにこの距離ならこの海域までだいぶ時間がかかるはずよ。…一体どうして…。」

 

 大永はいつものようにクールな表情を保っているが、内心焦っている。ツラギ島から離れたこの海域までは富嶽でも高速を誇る橘花でもだいぶ時間がかかる。なのに第七艦隊がいる海域から目視で確認できるのだ。まるでこちらの動きを知っているかのように…

 

曙       「もしかして…!」

 

馬見ヶ崎    「?どうしたんですか?」

 

曙       「情報が漏れてたんじゃ…」

 

全員      「!!?」

 

実は曙の思う通りに情報が漏れていたのだ。影の艦隊は呉鎮守府の暗号を解読、三号作戦の詳細を確認し、早めに富嶽爆撃隊を発進させていたのだ。

 

大永      「稼働機、発艦開始!!」

 

 大永が富嶽迎撃のために烈風を発艦させる。馬見ヶ崎も水戦強風を発艦させる。十六夜や出羽たちは対空戦闘の用意をする。ガダルカナル島への爆撃は阻止しなくてはならない。

 

出羽      「こちら第七艦隊旗艦出羽!我、敵爆撃隊の大編隊を確認す。これより対空戦闘に移行します!」

 

 ショートランド泊地の司令部に出羽は連絡をする。たった今、十六夜たち第七艦隊の戦闘が開始された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ショートランド泊地 司令部

 

 

大淀      「第七艦隊旗艦出羽より入電!我、敵爆撃隊の大編隊を確認す。これより対空戦闘に移行する、とのことです!」

 

提督      「富嶽爆撃隊か!なぜだ…。今頃ツラギ島は第一艦隊と第二艦隊の艦砲射撃で無効化にしているはず…」

 

栗林      「確かにたったさっき第一、二艦隊から飛行場制圧の入電があるました。しかし、恐らくこの富嶽爆撃隊は艦砲射撃が開始される前に発進してきたものだと思われます。」

 

長門      「まさか、我々の動きが読まれていた…?」

 

栗林      「十中八九そうだと思います。」

 

提督      「栗林が言うことはだいたいあっている。まずいな。」

 

栗林      「無事だといいですね。」

 

提督      「ああ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出羽      「主砲五式弾装填!主砲斉射、てっーーーーーーーーーー!!」

 

 出羽が三式弾の改良型対空砲弾”五式弾”を発射する。発射された五式弾はちょうど富嶽爆撃隊の編隊の上空で炸裂した。炸裂した五式弾の弾片が影の富嶽に降り注ぐ。

 

出羽      「敵爆撃隊炎上!数機撃墜確認!」

 

 しかし、まだまだ富嶽はかなりの数がいる。そして馬見ヶ崎は気づいた。

 

馬見ヶ崎    「あの…あれって、雷撃機じゃないですか…?」

 

 そうなのだ。富嶽はすべてが爆装ではない。半機程が雷装機なのである。雷装機は航空魚雷を二十本搭載可能であり、反復攻撃が可能である。艦隊にとって大きな脅威だ。

 

十六夜     「降下してきてる〜!」

 

曙       「早く落とさないと!」

 

 

 降下してくる富嶽に大永が先程発艦させた烈風が襲いかかった。しかし、富嶽もやられてばかりではない。防護用に搭載されている12.7mm連装機銃で迎撃を開始した。上空に弾幕が張り巡らされる。それでも果敢に烈風は影の富嶽に突撃していく。

 

 果敢な烈風隊の攻撃により多くの富嶽を撃墜した。しかし、残りはまっすぐと雷撃高度をとりながら接近してくる。

 

影の富嶽    「我、雷撃ヲ開始スル…」

 

立春      「魚雷がきます!」

 

影の富嶽    「ッテ!!」

 

 次々と魚雷が投下されていく。何十本もの魚雷が雷跡を描きながら第七艦隊へと接近してくる。

 

出羽      「各艦、回避行動をとってください!」

 

 十六夜たち駆逐艦は難なく魚雷を回避していった。空母である大永も重巡である馬見ヶ崎も魚雷の回避に成功した。

 

 しかし、出羽は魚雷二本を被雷してしまった。

 

出羽      「くっ…」

 

十六夜     「出羽さん!大丈夫ですか!」

 

出羽      「大丈夫。戦艦は簡単に沈みません。」

 

 なんとか富嶽爆雷撃隊の攻撃をしのぎきった。しかし、すでに飛行場は制圧済みであるため、反復攻撃を仕掛けることはできない。

 

大永      「これでなんとか富嶽の攻撃はしのぎきりましたね。」

 

 すでに護衛の橘花も富嶽の空襲の終了とともに離脱している。どちらにしろ富嶽と橘花が帰るべき飛行場はすでにない。

 

ツーツー

 

 無線連絡がきた。出羽がでる。

 

出羽      「はい、こちら第七艦隊旗艦出羽です。」

 

栗林      「出羽さん、そちらの被害は大丈夫ですか?」

 

出羽      「はい、私は被雷しましたけど戦闘に支障はありませんし皆さんも無事です。」

 

栗林      「そうですか。たったさっき第一艦隊と第二艦隊から飛行場を制圧したと入電がありました。もう富嶽爆撃隊の攻撃を受けることはないと思います。」

 

出羽      「分かりました。こちらも富嶽と橘花は撃退したのでこのまま護衛作戦を続行します。」

 

栗林      「…橘花ですか?」

 

出羽      「?はい。どうしたんですか?」

 

栗林      「飛行場から富嶽が発進したのは確認しましたが、橘花は偵察機の情報によると飛行場には配備されていないんです…」

 

出羽      「…それじゃあ、あの橘花は一体どこから…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツラギ島近海

 

金剛      「ふ〜、なんとか飛行場は制圧できましたネ〜。」

 

比叡      「そうですね、金剛お姉さま!」

 

 金剛たち第二艦隊は飛行場射撃を終了し、ガダルカナル島近海の第七艦隊と合流し、ともに哨戒任務をするために航行していた。

 

霧島      「…静かすぎますね…。」

 

 そのとおりだ。影の艦隊の潜伏海域にしては静かすぎる。潜水艦が潜んでいる可能性も否定はできないが、対潜電探には感はない。よってこの海域には潜水艦はいない。

 

榛名      「金剛お姉さま。第七艦隊が現在飛行場から発進してきた富嶽爆雷撃隊の攻撃をしのぎきったと連絡がきました。」

 

金剛      「そうですカー!!それは良かったデース!」

 

霧島      「………」

 

金剛      「?霧島、どうしたデース?」

 

霧島      「あっ、いえ。すこし考え事をしていただけです。」

 

金剛      「そうデスカー。」

 

 霧島はとある可能性を懸念していた。先程制圧した飛行場には整備されていない橘花が第七艦隊に空襲を行ったことだ。もしかしたら潜水空母七百型よりも隠密性に優れており、同時に航空機搭載機数が多い影の艦隊がいるのでは?

 

 それが霧島の抱いた懸念だ。それに今朝、作戦が始まる前に栗林からこのようなことを言われていた。

 

回想

 

栗林      「昨晩、詳細不明の影の艦隊を偵察機が発見しました。」

 

霧島      「詳細不明…ですか?」

 

栗林      「はい。蒼永、大永さんの艦上偵察機”彩雲”の報告によりますと大型の人形の艦であると分かっています。さらに両腕に飛行甲板らしきものも装備していたことが分かりました。」

 

霧島      「空母…でしょうか?」

 

栗林      「そうかもしれません。しかし、詳しいことはまだはっきり分かっていないので慎重に作戦にあたってください。」

 

霧島      「…はい。」

 

回想終了

 

霧島      「(飛行場にはないはずの橘花…。間違いない。栗林補佐官の言っていた影の艦隊から出撃してきたものに違いない。)」

 

 霧島がそう確信した。

 

 

 

 

 

 その時

 

 

 

 

 

 

 

 

比叡      「右舷!雷跡多数!!」

 

金剛      「!?」

 

 なんと電探に反応が無いにも関わらず、複数の魚雷が接近してきたのだ。慌てて金剛たちは回避行動をとる。

 

榛名      「電探に反応がないのにどこから…!」

 

 榛名の言う通り、電探には今だに反応がない。しかし、この海域になにかがいるのは確かだ。

 

 しかし、実際に魚雷が接近してきているのだ。それにかなり大型の魚雷だ。

 

 比叡が一発の魚雷を回避した。その時、信じられないことが起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 避けたはずの魚雷が弧を描くように旋回し、再び比叡に接近してきたのだ。

 

比叡      「えっ!?」

 

 油断していた比叡に魚雷は容赦なく突っ込んでいった。

 

比叡      「ひえええええええええええええええええええええええ!!」

 

 比叡が被雷。急所に命中こそしなかったものの中破した。

 

金剛      「比叡!!大丈夫デスカー!!」

 

比叡      「お姉さま、なんとか大丈夫です…」

 

霧島      「魚雷が曲がった…!」

 

 霧島は魚雷が曲がったことに衝撃を受けている。その時

 

榛名      「で、電探に反応あり!敵艦隊です!」

 

全員      「!!」

 

 とうとう影の艦隊が姿を現したようだ。電探には複数の艦影が映し出されている。

 

金剛      「遂に来たデスネ…」

 

 遂に遠方から影の艦隊が現れた。五隻の編成のようだ。中央に大型の艦がおり、その周りを潜母700型が守るように航行している。

 

金剛      「敵艦発見!砲撃開始デース!!」

 

妹たち     「はい!お姉さま!」

 

 金剛たち第二艦隊が一斉に砲撃を開始した。砲撃に気がついたのか、中央の大型艦が回避行動をとる。それに従い潜母700型たちも回避行動を行う。

 

 初弾が着弾した。命中弾はなかったが、夾叉弾が確認された。

 

霧島      「初弾夾叉…。次はいけます!」

 

比叡      「気合い入れて、撃ちます!」

 

 さらに第二斉射を行う。対する影の艦隊は少しずつではあるが第二艦隊に近づいていく。

 

 

 

 

潜母700型  「〜〜様!コレ以上近ヅクト、被弾ノ可能性ガ高マリマス!」

 

???     「関係ない。十分近づいてから魚雷を放射状に放て。そのあと航空攻撃でとどめを刺す。」

 

潜母700型  「了解シマシタ!」

 

 

 

 

 

 

榛名      「ちょこまか動いて当たりません!」

 

金剛      「視界も悪くなってきたデース!」

 

 戦闘を続ける内に夜になってしまったようだ。敵艦隊の補足が難しくなった。

 

 そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???     「魚雷発射。」

 

 ???の指令で四隻の潜母700型から魚雷が発射された。暗闇の中、高速で魚雷が進んでいく。

 

金剛      「榛名!右舷から魚雷接近デース!!」

 

榛名      「分かっています!」

 

 放たれた魚雷を回避すべく榛名は回避を行う。

 

 

 

 

 

 

 

潜母700型  「!?魚雷全弾カワサレマシタ!」

 

???     「…分かった。夜戦攻撃用意。」

 

 ???がそう命令を出す。すると潜母700型たちに異変が起きた。全身に赤く光る線が浮かび上がったのだ。一本だけではない。体に四本ほどの赤く光る線を発現させたのだ。

 

 その様子を金剛たちは見ていた。

 

金剛      「な、なんですかアレは…」

 

霧島      「赤く、光っている…?」

 

潜母700型  「があああああああああああああああああああああああ!!」

 

 潜母700型が咆哮を上げる。そして口内からカタパルトを出現させた。

 

比叡      「艦載機を発艦させる気!?」

 

霧島      「そのようね。早く攻撃を…」

 

 すると一隻の潜母700型が口を開いた。

 

潜母700型  「オマエ達艦娘如キニ、コノ”潜水空母影姫”様に勝テル訳ガナイ…」

 

金剛      「潜水空母…」

 

霧島      「影姫…」

 

比叡      「(何…影姫って…。そんな艦艇が影の艦隊にいるなんて。)」

 

 比叡が思考を巡らす。おそらく深海棲艦で言う鬼級や姫級のようなものだろうと解釈した。

 

 

 

潜水空母影姫  「この海域は、誰も通さない…。そのまま…鉄底海峡に沈みなさい…。」

 

 言うが早いか、潜水空母影姫の装備する飛行甲板から大量の艦載機が発艦してきた。影の橘花だ。

 

霧島      「橘花!やっぱり第七艦隊を空襲したのは…」

 

潜母700型  「フフフ、ヨクゾ気ガツイタナ…。オマエ達ハ誰ニモ気ガツカレナイママ、沈ンデイクノダ…」

 

 影の橘花が第二艦隊へと突撃していく。榛名が三式弾を装填し、対空射撃を行う。しかし、ジェット戦闘機である橘花はその高速性能を生かして、いともたやすく回避していく。

 

榛名      「くっ…」

 

 遂に影の橘花が第二艦隊に向け、爆弾を投下する。

 

比叡・霧島   「きゃああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

 切り離された爆弾は、比叡と霧島を狙って投下された。爆弾が二人に直撃し、二人が悲鳴を上げる。

 

金剛      「っ!よくもやってくれましたネ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

 

 金剛が潜水空母影姫を狙って砲撃する。放たれた砲弾は潜水空母影姫に命中するかに見えたが、なんと一隻の潜母700型が砲弾を受けたのだ。

 

潜母700型  「があああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 潜母700型が叫び声を上げながら撃沈された。

 

潜水空母影姫  「……」

 

 目の前で仲間が撃沈されたのにも関わらず、潜水空母影姫は顔色一つ変えずに立っていた。

 

潜母700型  「影姫様ヲ守ルノガ、elite(エリート)デアル我々ノ任務ダ。影姫様ニハ指一本触レサセナイ…」

 

金剛      「くっ…」

 

潜水空母影姫  「もうこないのか?ならこちらからいかせてもらうぞ…」

 

 潜水空母影姫がそう言うと、すでに大破している比叡と霧島に複数の砲を向けた。おそらく10cm単装砲だ。

 

潜水空母影姫  「ここで沈んでいきなさい。…私のように…」

 

 潜水空母影姫が引き金を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ショートランド泊地 

 

司令部

 

大淀      「第二艦隊からの通信が途絶えました!」

 

提督      「なんだと!」

 

 大淀からの報告に提督は声を上げた。通信が途絶えたということは無線機がやられたということだ。無線機がやられたと言うことは、中破以上の損傷を負っているということだ。

 

栗林      「夜になっています。影の艦隊に夜戦を仕掛けるのはそうとうまずいですね。」

 

響       「どうしてですか、栗林さん。」

 

 予備艦として待機していた響が栗林に聞く。

 

栗林      「影の艦隊について調べて色々なことが分かったんです。もともと日本海軍は夜戦が得意でした。」

 

提督      「それはだいたいは分かっているな。」

 

栗林      「さらに影の艦隊は夜戦にさらに特化した艦艇が揃っていたのです。」

 

響       「つまりさらに夜戦時に、攻撃力が上がったりするのかい?」

 

栗林      「まあ、そういうかんじですね。」

 

提督      「無事に帰ってきてくれればいいが…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガダルカナル島 近海

 

暁       「敵艦隊発見!!」

 

 暁が探照灯を影の艦隊に照射する。探照灯の光に照らされた影の艦隊の駆逐十六型が、光源に向けて集中砲火を浴びせる。

 

暁       「きゃあああああああああああああああああ!!」

 

 被弾した暁が悲鳴を上げる。

 

夕立      「ぽい〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」

 

 夕立が光に照らされた駆逐十六型に砲撃する。

 

駆逐十六型   「がああああああああああああああああああああああ!?」

 

 二隻の駆逐十六型が咆哮を上げて轟沈する。

 

重巡二十一型  「この程度で我々を沈めることはできない…」

 

 重巡二十一型が口を開く。そのまま砲撃を行う。

 

吹雪      「くっ…」

 

 重巡二十一型の放った砲弾を、吹雪は回避する。

 

重巡二十一型  「くっ、ちょこまかと…。」

 

 重巡二十一型は高速で回避行動を行う駆逐艦娘を捉えきれないようだ。しかし、軽巡になれば話は別だ。

 

軽巡二十型   「喰ラウガイイ!!」

 

 軽巡二十型が15cm三連装砲を放つ。重巡二十一型より弾道の初速が速いため、回避行動を行っていた吹雪に直撃した。

 

吹雪      「きゃああああああああああああああああああああああ!!」

 

 吹雪が悲鳴を上げる。

 

夕立      「吹雪ちゃん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

 

 夕立が叫ぶ。その時、

 

重巡二十一型  「その間、もらったぞ…」

 

 夕立に向かって重巡二十一型が砲撃する。

 

夕立      「!!」

 

 とっさに夕立は回避したが、夾叉弾の影響により速度が落ちてしまった。

 

重巡二十一型  「ふっ、避けたか。やるじゃない。でも、次は確実に仕留める…」

 

 重巡二十一型が不敵な笑みを浮かべる。

 

夕立      「かなりまずいっぽいっ…」

 

 もはやこの艦隊で無傷な駆逐艦は夕立くらいだ。先の重巡二十一型や軽巡二十型の砲撃、駆逐十六型の雷撃によりほとんどが深刻な損傷を負っている。

 

綾波      「(昼間戦闘に比べて赤い線が浮いて攻撃力が高くなってる…。特に駆逐艦や軽巡、重巡も…。)」

 

 冷静に綾波は分析しているが、自身もすでに先程戦艦百十型の砲撃を受け、中破の損傷を受けている。

 

軽巡二十型   「ソンナニヨソ見ヲシテイテ大丈夫ナノカ?」

 

綾波      「!?」

 

 突然、軽巡二十型が背後に回り込み、魚雷を放った。

 

綾波      「くっ…」

 

 直撃こそしなかったものの損傷は激しい。なぜなら駆逐艦に魚雷だ。直撃しなくてもかなりの損傷になる。

 

吹雪      「(このままじゃ、作戦どころじゃ…)」

 

 吹雪たち第一艦隊も飛行場制圧後、影の艦隊の偵察機に発見され現在のような状況に陥っている。多数の影の艦隊の駆逐艦、軽巡洋艦、重巡洋艦、さらには戦艦までもいる。

 

重巡二十一型  「フフフ、喰らいなさい!」

 

 重巡二十一型が被弾し、速度が落ち、攻撃もままならない状況の吹雪に向かって主砲を撃つ。放たれた砲弾は影の力を秘めながら、吹雪に直撃した。

 

吹雪      「きゃあああああああああああああああああああああ!!!」

 

 吹雪が悲鳴を上げる。すると異変が起き始めた。

 

吹雪      「(なにこれ…。全然体が動かない…。手に力が入らない…。どうして…)」

 

重巡二十一型  「次はお前だ!!」

 

 そう言って、重巡二十一型は回避行動を続ける夕立に砲撃を行う。今までの砲弾とは全然違う影の砲弾が夕立に襲いかかる。

 

夕立      「ぽいぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜^!!?」

 

 遂に夕立も被弾した。

 

 

 

 

 

 

 

 影の砲弾は、史実では命中させた敵艦の艦内で炸裂するように設計された対水上戦闘用の”三式弾”であった。艦内で炸裂するため、弾薬庫に被弾した場合、瞬く間に爆沈させるほどの威力を誇っている。

 

夕立      「うう…、手に力が入らないっぽいっ…」

 

 まるでソロモン海の戦いのように次々と艦娘たちが戦闘不能の状況に陥っている。

 

 

 

 

 

 

 さらに水中からなにかが現れた。なんと先程まで第二艦隊を攻撃していたあの潜水空母影姫である。

 

潜水空母影姫  「どうだ?」

 

 潜水空母影姫が、重巡二十一型に声をかける。

 

重巡二十一型  「はい。ほとんどの駆逐艦を大破状態にさせました。」

 

潜水空母影姫  「分かった。とどめを刺す。」

 

 潜水空母影姫が全主砲を大破した艦娘たちに向ける。重巡二十一型も軽巡二十型も砲を艦娘たちに向ける。

 

綾波       「(このままじゃ…)」

 

夕立       「(どうしようもないっぽい…)」

 

吹雪       「(もうだめ…)」

 

 吹雪たちが死を覚悟した。

 

 

 

 

 

 その時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 軽巡二十型が次々と沈んでいった。

 

重巡二十一型  「!!?」

 

潜水空母影姫  「なにごとだ?」

 

???     「これ以上はやらせない!!」

 

 一人の艦娘がそう叫んだ。

 

吹雪      「いっ、十六夜ちゃん!!」

 

 そうだ。十六夜だったのだ。当然第七艦隊もいる。

 

大永      「私達がいない間に随分好き勝手してくれたみたいね。」

 

曙       「これ以上は勝手はさせないわ!」

 

出羽      「そのとおりです!」

 

馬見ヶ崎    「…はい。」

 

十六夜     「ここからは、私達の出番よ!!」

 

 反撃が始まる。

 

 

 

 

 

 

                   我、夜戦に突入す

 

 




 影の艦隊の元ネタは八八艦隊計画です。もし米国と戦争が始まり本土に追い詰められる程に戦局が悪化したら?ということにより計画が始まり、同盟国でもあったドイツからも技術的援助を受け作られた本土防衛用の艦隊…。という設定にしました。
 あと蒼焔の機影と並行して執筆していたので、投稿が遅くなり大変申し訳ありませんでした!
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