ゲーム開始まで残り2分……ネイチャはいまだに不安な表情を浮かべながら部屋の隅で体育座りで座っている。テイオーは"立ち回り方"を考えてく上で必要となる他の参加者達についての現段階での情報を述べる。
「とりあえず、ルール説明の中でボクが見かけた知り合いのウマ娘は10人…カレンチャン、シンコウウインディ、エアシャカール、ゴルシ、チヨノオー、ヤエノムテキ、スペちゃん………」
「どうしたの…?あと3人は誰なの?」
「聞いても取り乱さないでね?……イクノ、ツインターボ、タンホイザ」
「……‼︎」
ネイチャは驚きのあまり両手で口を覆い隠す。テイオーも言うか言わないか迷ったがあとで知るよりも今知った方がいいと思い、今3人の名前を出した。
「なんで皆が…!」
「……いずれ分かる事だから今はあまり気にしないで………」
テイオーが言葉を言い切ろうとした瞬間、民家の扉が開いて誰かが中へ入ってきた。
「あの…作戦を練るなら私達も混ぜてもらえないでしょうか?」
中に入ってきたのはイクノ、ターボ、タンホイザの3人だった。ネイチャは3人に駆け寄って腕を大きく広げて抱きつく。
「ネイチャも来てたんだ‼︎チーム・カノープス勢揃いだね!」
「ターボ……」
こんな状況下に置かれてもいつもと変わらずにいられるターボをある意味羨ましく思うネイチャ。テイオーは手を叩いて4人の感動的な再会を打ち切って"立ち回り"について話を始める。
「まずは序盤の立ち回りから話すね」
「うん」
「ポケモンは知っての通りレベルの概念がある。敗北しないためにもレベルを10を目標に上げていこう!」
「10か……ちなみに最初はどこを目指せばいいの?」
「このゲームのマップはジョウト地方を基に作られてるみたいだからこのショサイタウンがワカバタウンだとすると目指すのは最初のジムバトルになるキキョウシティ………いや、サンサードシティだ!」
「ふむふむ……そんじゃサンサードシティを目指す上でまずはショサイタウンを出たところにある29番道路の草むらで少しレベル上げしなきゃだね!」
ネイチャはチーム・カノープスの仲間との再会もあってかさっきより明るくなっており、この絶望的状況下でも前向きな事を言えるようになっていた。
そうしているうちにUMAネストバトルの開始時間となった。この場にいる全員が開始と共に何が起こるのかドクドクと心臓の鼓動を鳴らしていると
ENTRY!
という電子音声と共に全員が"仮面ライダー"のような姿に強制的に変身させられた。
「なっ、何ですかコレは…⁉︎」
「多分、ビコーが言ってた"仮面ライダー"ってやつだよ」
「なるほど……どうやら私はMawile…仮面ライダーマワイルのようですね」
イクノの驚いてから冷静になるまでの早さが尋常じゃないくらい早かったのでテイオーは心の中で"驚いてから冷静になるの早っ!"とイクノにツッコミをいれていた。
イクノが自分のライダー名を確認した事で他の皆も自分のライダー名を確認し始める。
「私はヨテリー、ターボはコーマみたいだね…ネイチャとテイオーは?」
「アタシがエトルナでテイオーがブイズ!」
ライダー名には最初に選んだポケモンかまだポケモンを選んでいない者にはその者にあったポケモンのイメージというのが反映されているようだ。
「ボクが思うにイクノは"クチート"タンホイザは"ヨーテリー"ツインターボは"ヤヤコマ"ネイチャは"ナエトル"ボクは"イーブイ"の力が宿ってる」
「そうなんだ……ってか忘れてた!もうUMAネストバトル始まってるんじゃん!皆、遅れ取らないよう計画通りにレベル上げしに行かなきゃ‼︎」
ネイチャの一言で皆は1番重要な事を思い出し慌てて29番道路へ向かう。
テイオー達がショサイタウンの外に出た瞬間、ログインボーナスという表示が各自目の前に現れ、1日目のボーナスをもらう。ログインボーナスの内容は人それぞれの様だがどれも戦闘をするのに役立つものだ。いざログインボーナスのアイテムを手に取るとそれは瞬く間にベルトの2つのスロットに装填できそうな"レイズバックル"というものに形状が変化する。
「プラスパワー……レイズバックル?」
テイオーは戦闘中にプラスパワーの効果を得ることができるレイズバックルを手に入れた様だ。テイオー、ネイチャ、イクノが小型のレイズバックルなのに対してターボとタンホイザのレイズバックルは大型だ。
「ターボは……あくろばっと?って英語で書かれたやつを手に入れた‼︎」
ターボはメニュー画面で自分が手に入れたレイズバックルのアルファベットの方の名前を読む。
「私はアトラクト?レイズバックルだって!」
タンホイザもハートの形をしたパーツを内側に押し込むタイプのレイズバックルを手に入れたが名前が英語訳にしたもので書かれているため効果がイマイチわからない様子。
「強化アイテムが手に入ったし先に進もう!」
テイオーの言葉と共に一行は29番道路をヨシノシティ方面へ進んでいく。だが、ポッポのような姿をした怪人が複数体でテイオー達の行手を阻む。
「早速バトルみたいですね……というか敵の名前は何でしたっけ?」
「ユーマだよ!この敵達はポッポ・ユーマ‼︎群れをなしてプレイヤーを襲撃する怪人」
「ふむふむ…私が行きます!」
SET!!
イクノはそう言って歩きながら自分が手に入れたレイズバックルをベルトの右のスロットへ装填し、パーツ部分を押してフォームチェンジする。
ARMED PIXIE PLATE!
READY FIGHT‼︎
ピクシープレートはせいれいプレートの事でせいれいプレートのレイズバックルを使ったイクノは"フェアリータイプの技の威力が上がる"という効果を得て攻撃と特攻ステータスに1.2倍のバフがかかる。
「いきます…!」
「あっ、ターボも戦う!」
イクノが先陣を切ってポッポユーマの群れに突っ込んでいく。ターボもレイズバックルをセットし、フォームチェンジしながらイクノの後に続く。
SET!
ターボがレイズバックルの羽根パーツを左右に引っ張るとスピード感のある音声と共にフォームチェンジ音が鳴る。
ACROBAT!
READY FIGHT‼︎
ターボは無防備な上半身に俊敏な動きを表す様な黒いエフェクトが刻まれた空色基調のアーマーを纏う。
イクノは自分の攻撃系の能力が上がっているのを利用してポッポユーマ2体に強烈な正拳突きをくらわせる。そこへアクロバットフォームのターボが素早い動きをしながらやって来て追い打ちをかける。
「倒せましたかね…?」
「倒したよ‼︎」
イクノはポッポユーマ2体を倒せているか不安げな様子だったがターボの"倒したよ‼︎"という言葉と共にイクノとターボ2人のレベルが初期値の5から6に上がったという表示が自分の正面斜め上辺りに現れる。
「ターボさんが言った通り倒せましたね!証拠にレベルが上がったみたいですし……こんな感じで残りも…!」
と、イクノが残りのポッポユーマに攻撃を仕掛けようとした瞬間、どこからか他のプレイヤーが乱入してきてポッポユーマを一回の蹴りで倒した。
「武力があれば何とかなりますね…このゲームは」
「この声はヤエノムテキさん…⁉︎」
「その通り…けど今は仮面ライダーブレイザー」
乱入してきたのはヤエノムテキこと仮面ライダーブレイザーだった。ヤエノムテキは武力さえあれば立ち回りを考えなくてもこのゲームで生き残れると思っているらしい。
「ヤエノムテキさんあなたは武力さえあれば…なんて言いますが実際は違います。本当に必要なのは考えて動く事…つまりは知力です」
「なるほど……イクノさんなりの考え方があるのは良い事です。ですが、結局は武力なんですよ」
「ふむ…ならばどちらが正しいのか戦いで決めませんか?」
イクノはヤエノの意見を受け入れられない様でどちらが正しいのかを決めるためにヤエノとバトルをするらしい。
「イクノ!やめときなって‼︎今はそんな事で争ってる場合じゃ……」
「皆さんは私が戦っている間にレベル上げでもしておいてください」
テイオーがバトルを始めようとする気満々のイクノを止めようとするがイクノは聞く耳を持たずバトルを始める体勢をとる。
「いきます‼︎」
「イクノさん、お覚悟を…‼︎」
こうして2人の戦いが始まってしまうのだった……