テイオーはネイチャ達が戦い終わった後もまだ劣勢のまま戦い続けていた。
「ボクが12でこの敵が26。流石にレベル差がありすぎる…せめてこの状況を打開できるほどのレイズバックルがあれば…!」
テイオーはそう言いながら1階、2階で敵を倒してMVP報酬として手に入れた二つの小型レイズバックルを見ている。
「最初に手に入れたプラスパワー、そしてMVP報酬のチョイスバンド(こだわりはちまき)、キングスロック(おうじゃのしるし)レイズバックルだけか…どれもこの状況を打開するのに最適とは言えない代物ばかり…」
そうこうしているうちにまた新たな挑戦者が3階へと上ってくる。挑戦者が自分と同じ3階へ来るたびに思うのは皆を待たせてしまっているという申し訳なさだ。今のテイオーはその申し訳なさから生まれた焦りによっていつもの様な動きができていない。
「…まずい、何かないかな…?」
テイオーが辺りを見回すと少し離れた場所に何故かバイトレイズバックルがあった。実はテイオーが拾おうとしているレイズバックルはイクノが攻撃を受けた際に落としてしまったレイズバックルだ。
「何でこんなところに落ちてるんだ…?…まぁいいや。使わせてもらうよ!」
バイトレイズバックルを拾ったテイオーは早速、プラスパワーレイズバックルと交換でドライバーにレイズバックルを装填し、パーツを噛む動作のように上とした両方から中央に押し込んでフォームチェンジする。
SET!!
BITE!
READY FIGHT‼︎
フォームチェンジ後、テイオーはイクノとは違い内側から攻撃するのではなくそのまま外側から攻撃を仕掛ける。ウツドン・ユーマの眉間のあたりに抱きついて鋭い牙を食いこませる。ウツドン・ユーマはテイオーを払いのけようと自分の眉間あたりを二つの葉の形をした手で叩くがテイオーがうまく避けたせいで払いのけようとしたはずの攻撃が全て自傷ダメージとなってしまう。
「これで少しは敵を追い込んでいけるかな?」
ある程度自傷ダメージを負わせたところでウツドン・ユーマから飛び降りて距離をとってからウツドン・ユーマの様子を見る。先ほどよりは体力が減っているイメージがあるがまだ残りの体力は多そうだ。
と、様子を見ているテイオーの背後から密かにウツドン・ユーマのツルが忍び寄っていた。
「ん?…何か足に絡みついたような……しまった‼︎」
テイオーは足に何かが絡みつく感触を感じて足を見てみるとウツドン・ユーマのツルが絡まっていた。拘束されたテイオーはウツドン・ユーマに振り回されて壁に投げつけられる。
「うぐっ…‼︎」
更にウツドン・ユーマはテイオーの腹回りにツルを絡ませて再度拘束して地面へ思い切り叩きつける。
「ぐはぁ…‼︎」
テイオーは2度に渡って身体を打ち付けるような攻撃を受けてしまい意識が朦朧としていた。
朦朧とした意識の中でテイオーは今、目に映る光景以外にもう一つ何かが見えてくる。
「…あれは、マック…イーン?」
テイオーが見たのは1人ターフで走っているマックイーンの姿だった。その姿を見てテイオーに闘志が宿る。
「こ……こで…負ける訳には…いかないッ‼︎」
倒れていたテイオーはゆっくりとその場に再び立ち上がる。それと同時に一つのレイズバックルがテイオーの元へ来る。
「あー‼︎それはウインディちゃんのレイズバックルなのだ!」
「…なら代わりにこのレイズバックルあげるからこれはボクに譲って」
「…分かったのだ」
テイオーはスピードスターレイズバックルを貰う代わりにバイトレイズバックルをシンコウウインディに渡す。
テイオーはスピードスターレイズバックルをドライバーに装填し、スピードスターレイズバックルの星の形をしたパーツを回転させてフォームチェンジする。
SET!
SPEED STAR!
READY FIGHT‼︎
スピードスターフォームにフォームチェンジしたテイオーの上半身は両肩に星の形をした肩アーマー、胸部に黄色い星が五つ描かれた藍色の装甲を纏う。そして右手にスピードスターシューターという機関銃が現れる。
「刮目せよ…天才のスーパープレーを‼︎」
テイオーはそう言いながらスピードスターシューターで自分の前方の地面を打ちまくって砂煙を立ててウツドン・ユーマに動きを悟られない様にする。その後、素早くウツドン・ユーマの背後に回り、キングスロックレイズバックルをスピードスターシューターに装填して必殺技を発動させ、レイズバックルをのパーツを捻ってから引き金を引いて必殺技を発動させる。
KING'S ROCK!
KING'S ROCK!TACTICAL BLAST‼︎
スピードスターシューターから放たれた星の形をした多くの弾丸は王者の印の効果を纏いながらウツドン・ユーマへと向かっていく。
命中した弾丸がウツドン・ユーマを怯ませる。テイオーはスピードスターレイズバックルのパーツを回転させて今度はドライバーでの必殺技を発動させる。
SPEED STAR!STRIKE‼︎
テイオーは右手に巨大な星を生成し、それを纏いながら怯んでいるウツドン・ユーマに渾身のパンチを浴びせた。ウツドン・ユーマはこの一撃で後方の壁まで吹っ飛ばされていき、同時に爆発して消滅していった。
「……絶対はボクだ」
テイオーはそう言い残すとともに皆が待つ塔の外へと転送されていく。
転送後、目の前には4人の仲間たちがいた。皆、テイオーが帰ってくるのを待っていた。
「テイオー⁉︎勝てたの?」
「当たり前だよ!何たってボクは天才ゲーマーだからね!」
「ふ〜ん…"天才ゲーマー"って自分で言うくらいだから苦戦もしてないんだよねぇ?」
「ネイチャ‼︎余計な事は言わない‼︎」
テイオーはネイチャにそう強く言いながらも表情は明るかった。
5人はこれで最初のジムへ挑む権利を得た。5人の"ゲーム"はまだ始まったばかりだ………
一方、現実世界での某所ではゲーム内のテイオーや他の参加者たちの様子を見ているものが2人いた。
「現時点で消滅したのは15人。意外と生き残りが多い…仕方ない、ロケット団…いや、このゲーム用に構成したセントレ団に関するイベントを起こすこととしよう」
「…それで私はいつこのゲームに参加すればいいんです?」
「もう少ししたらだ……あともう少し」
セントレ団とゲームにいつか参加するであろう人物……どうやらテイオーたちがこのゲームの真相に近づくまでにはまだまだ時間がかかるようだ…