2日目の朝、テイオーたちは運営が用意したサンサードシティにある小さな宿の布団で目を覚ます。1日目の時点で脱落者が15人。このペースで脱落が出続けてしまえば全滅するかもしれない。
「ふわぁ…皆、起きてる?」
テイオーは両目を右手で軽く擦りながら近くで寝ている皆に起きてるかどうかを聞くが反応はない。寝ているようだ。
皆が起きるまでは暇なのでテイオーが宿の外に出てみるとそこにはスペとゴルシがいた。
「スペちゃんとゴルシも来てたんだね」
「マックイーンにこのゲームを勧められてなぁ…」
「マックイーンに?…肝心のマックイーンは?」
「どこ探してもいねぇんだよな…」
「へぇ…」
どうやらゴルシにこのゲームを勧めたのはマックイーンのようだ。テイオーは肝心のマックイーンがいないという部分が少し引っかかる様子。
「テイオーさんにゴールドシップさん!そこの屋台でサンサードせんべい買ってきたんですけど一緒に食べませんか〜?」
「いつの間に⁉︎…まぁ折角だし食べようかな」
テイオーは屋台の付近に設置された椅子に2人と一緒に座る。
「…で、2人は今はどんな感じなの?何のレイズバックル持ってるとか、どこまで進んだとか…」
「アタシとスペはもう一つ目のバッヂ持ってるぜ!あと、レイズバックルに関してもこんなのがあるぞ!」
どうやら2人は既に一つ目のバッヂを手に入れているようだ。他にもゴルシは持っているレイズバックルも見せてくれた。
座っている目の前にある円型のテーブルの上に出されたのは5つのレイズバックル。その中で大型レイズバックルは二つあった。サンダーショック(でんきショック)レイズバックルとドラゴンブレス(りゅうのいぶき)レイズバックルだ。
「こんなのもあるんだ…!」
「まぁまだ一度も使ってないんだけどな!」
「どういうこと?ジムはどうやって攻略したの?」
ゴルシとスペは大型レイズバックルを使用せずにサンサード(キキョウ)ジムのジムリーダーを倒したらしい。
「…実は私達がジムに入ったら建物のあちこちが火事に遭ったかのようにボロボロになっていまして…そのせいかジムの相手も弱くなっていたので勝つことができました」
「誰がそんな事を…⁉︎」
テイオーは"火事に遭ったかのよう"というワードに引っかかっている。誰がジムをボロボロにしたのかを推理したい…ところだがジムがボロボロで相手が弱くなっているなら今がチャンスだと思いせんべいをバリバリと早く食べて何も言わぬままスペとゴルシの前から去っていく。
「テイオーさんどうしたんでしょう…?」バリバリ
「ジムのNPCライダーたちが弱体化を受けてるうちに倒したいんだろうな……ってスペ!アタシのせんべいまで食べるな‼︎」
宿に戻ったテイオーは皆の肩を軽く揺すって起こす。ターボとタンホイザは起きないがイクノとネイチャは目を覚ました。
「テイオー…?どうかしたの?」
「ジムが誰かの仕業でボロボロになっててNPCライダーも弱体化してるらしいんだ!だから早く行かない?」
「別にいいけど…この2人を起こせる?」
ネイチャは目を優しく擦りながらテイオーにターボとタンホイザを起こすよう促す。テイオーは早速ターボとタンホイザを起こしにかかるのだがイクノやネイチャの時とは違い激しく揺さぶって2人を起こす。これには2人もすぐに目を覚ました。
「なんだよぉ…ターボまだ眠いのに」
「ジムに挑戦しに行くよ!」
「早すぎだぁ…」
テイオーはまだ眠くて気が乗らない2人を無理やり身支度させて数分後には宿を出てジムへと向かっていた。
その道中、ゴルシがスペがテイオーたちの前に現れて何かを渡してきた。それはエクストリームスピード(しんそく)レイズバックルとリーフブレードレイズバックルだ。メッキ仕様のなかなかお目にかかれない上位の大型レイズバックルだ。
「2人とも何で?…っていうかさっきこんなのなかったよね⁉︎」
「細けぇ事は気にすんな!とりあえず、ジム頑張れよっ‼︎って事でアタシ達からのプレゼントだ!」
先ほど、見せてもらった五つのレイズバックルの中になかったものを渡されたので何で持っているのかを聞こうとしたがゴルシがそれを遮る。
「まぁいいや…2人ともありがとうね!またどこかで!」
「おう!」
2人はテイオー達にレイズバックルを渡し、挨拶を済ませたあと次の街の方向へと向かっていった。そしてテイオー達は再びジムを目指す。
ジムの中へ入ると確かにゴルシが言っていた通り、中は焦げ臭くしかもボロボロだ。
「ゴルシが言ってた事は本当みたい…とりあえず、NPCライダーに…ってあれ⁉︎」
ゴルシからはNPCライダーが弱体化していると聞いていたが実際、テイオーが近づいてレベルを見てみるとNPCライダーは同じ14レベルでしかもジムがボロボロになった影響を受けていない様子だ。
「あれ…?なんで…」
「不具合は早期に修正されるのがゲームですから…まぁ元々はこのレベルなんですしあまり気にしない方がいいですよ」
「皆、本当にごめん…」
テイオーは皆を早く起こしてしまった挙句、ジムが攻略しやすい状態から直っていたのに挑戦しに行ってしまったのを頭を下げて謝る。
「…さてと、んじゃいっちょやったりますかねぇ」
ネイチャのその一言でテイオー以外の他の皆はドライバーを腰に装着してレイズバックルをドライバーの右スロットに装填する。
皆の様子を見たテイオーは遅れて皆と同じ手順を踏んで変身待機状態へと入る。
《SET!!!》
「「変身!!!」」
SPEED STAR!
ARMED MIRACLE SEED!
FAIRY WIND!
ACROBAT!
ATTRACT!
《READY FIGHT‼︎》
変身した5人は各自でジムの攻略をしていく。とはいえ皆、キキョウ…いや、サンサードジムの1人目のNPCライダーに挑んでいる。
大型レイズバックルを持つ4人は難なく1人目を倒して2人目へ挑んでいくが未だ大型レイズバックルを持たないネイチャは一人遅れている。
「アタシも皆みたいなレイズバックル欲しいなぁ…そうすればもっと楽に攻略できるのに」
ネイチャはそう呟きながら必殺技をNPCライダーに決めて戦いに勝つがその頃、皆は既に2人目のNPCライダーを追い込んでいる状況だった。
「追いつきたいし裏側回ってNPCライダー無視していこうかなぁ…でも、経験値がなぁ…」
と、迷うネイチャだったが自分以外の皆が2人目のNPCライダーを倒しているのを見て自分も負けていられないと思い自分も2人目のNPCライダーに挑んでいく。
苦戦するわけでもないが火力が足りないせいかNPCライダーが中々倒れてくれない。それでもネイチャは守りを捨てた猛攻撃で2人目のNPCライダーを倒す。体力は3分の1くらい削られたがこれならなんとか次も勝てそうだと思い回復は使わずにジムリーダーへと挑んでいく。
ここのジムリーダーでありNPCライダーの男の名はハヤトだ。ハヤトはピジョンを彷彿とさせるデザインをしたNPCライダーに変身した。
「攻略がだいぶ遅れちゃいそうだなぁ…まぁ皆にはあとで謝ろう…」
そんなことを小さな声で呟きながらハヤトへ向かっていくネイチャだが、距離を十分に詰めたところでハヤトは姿を捉えさせぬほど素早く動き出してネイチャを翻弄していく。
「あれ…⁉︎このライダーこんなに動きが速かったの…?ヤバい、見失っちゃった…」
ネイチャが懸命に四方八方を見渡してハヤトを探すが見つけられない。そんなネイチャの隙だらけの背中に素早い動きの中でガスト(かぜおこし)フォームにチェンジしたハヤトが迫る。
「あっ…やばっ‼︎」
気づいた時には手遅れでネイチャは自分に効果抜群であるひこうタイプの技を受けてしまう。ネイチャの体力は1桁まで減ってしまった。
「うっ…回復…しておけば…よかっ…た」
ハヤトはうつ伏せに倒れてるネイチャへゆっくりと近づいていってトドメをさそうとしている。ハヤトの右手からは強力なひこうタイプの力を纏った風が生成され、右手をネイチャの真上でかざす。
「ここ…までか…」
ネイチャは死を覚悟して目を瞑るのだった……
・参加者達の現在のレベル(pickup)
テイオー/ブイズ Lv13
ネイチャ/エトルナ Lv16
イクノ/マワイル Lv14
ターボ/コーマ Lv16
タンホイザ/ ヨテリー Lv14
ヤエノ/ブレイザー Lv19
スペ/ライピス Lv13
ゴルシ/ガブル Lv14
カレン/カリオル Lv18