翌日の班ミーティング。今日も相変わらず自由時間だ。
アカデミー時代からの毎日の付き合いとなれば自ずと会話も減る……事も無く、特に戸部、次いで由比ヶ浜と三浦を中心に毎日の様にお喋りに盛り上がる。
「そかそう言やさ、昨日渋谷行ってたんだけど臭い話聞いたんだよね」
徐に戸部が語り出す。毎日の様に夜遊びに出ている戸部に、班員達は少し呆れ気味な様子。
「なんか俺ら世代?高校生から大学生、あと若い社会人?の男?」
「とりあえず若い男だな」
本題の要領を得ない戸部に、葉山が横から突っ込み気味に口を挟む。
「ここ数年、異様に行方不明とか喰種の被害にある人が多いんだって!イケメン限定で!」
「昨日話した女狐か」
「そうそう!んで隼人くん、臭うのはこっから先よ。昨日ふと思ったんだけど、そう言えば半年前くらいから渋谷の箱中心にスゲェ噂になってんのよ。面喰い女つって!」
「それはどんな噂なんだ?」
「めっちゃ可愛いベージュ髪の女の子がいてさ、もうイケメンばっか狙って逆ナンしてくるって。んで、可愛すぎるもんでみんな乗っちゃうんだけど、その子に捕まったら最後そのイケメンは二度と現れない!これ今思えば女狐じゃね?」
「ほぼ確定じゃ無いか」
平塚班の中でもダントツで頭が悪い戸部の有益情報に、全員が驚愕する。
「戸部……どうした貴様、悪い物でも食ったのか⁉︎」
「むしろ彼に限って言えば普段の食生活が悪いのでは無いかしら。断食するべきね」
「トベっち実は有能……⁉︎」
「戸部君がいつもその調子なら助かるのに」
「戸部……アンタ天才?」
若干一名、完全に馬鹿にしているが、班員たちの大袈裟な反応に戸部は満更でも無く嬉しそうにする。葉山は戸部を少し憐れむ様に苦笑い。
「よし、葉山。早速今夜渋谷に行け」
「え、何で隼人君?」
「アンタじゃ一生待っても女狐に声かけられないでしょ」
「あー、そういう事ね!……酷くね?」
CCGが駆除する喰種の大半は、Bレート以下の小物だ。それでも十分な治安貢献なのだが、Sレート超え特定指定喰種の駆除は全ての捜査官にとって名誉であり目標であり、この職における誇りである。
自分たちが江戸川区管轄であることを棚に上げて女狐の捜査に燃える平塚班の面々。
「平塚先生、やる気なのは良いと思いますがそもそも女狐はAレートですよ。比企谷君の読みには私も共感しますが……Sレート超えは仮定でしか無いです」
「なぁに、研究室でRc細胞値のデータを出してもらいそれでレート査定を更新する。Sレートなんて捜査官人生において何度駆除に携わる事ができるか。滅多に無いぞ。……ボーナスが出るしな」
ボソッと最後に吐く平塚。
特定指定喰種を駆除すれば相応のボーナスが出るのだ。昇進にも大きく響く。
卑しくニヤニヤする平塚を見て、雪ノ下はため息を吐く。
「最後の一言が全てでしょう……。しつこい様ですが、女狐がSレートと言うのはあくまで家庭でしか無いでしょう」
先ほどまでの腑抜けた表情から一転、平塚が真面目な表情に変わった。
「いいや、私の感がSはあると言っている。比企谷の考察を受けて昨晩、女狐の情報に目を通したのだが、やはり異様だ。女狐は赫子痕すら一度も残していない」
「……赫子を一切使わずに獲物を確実に狩る程の力を持つか、赫子痕を隠す必要がある喰種」
「御名答。どちらにしても、Aレート如きでは無いのは確かだろう。私はそう思うが、お前はどうだ?雪ノ下」
「……同感です」
赫子は喰種にとって最も優れた攻撃手段、詰まるところ狩猟能力だ。それを一切使わずに何年も狩りを成功させているとなると、余程頭がキレるか、もしくは素手で確実に、人間に逃げる間も声を上げる間すらも与えずに屠る強さを持つことを意味するどちらにしても危険である事に変わり無い。
「Sレート駆除の実績を上げれば昇進は間違いないだろうなぁ。雪ノ下と比企谷に関してはもしかしたら上等に昇進するかもなぁ!」
あからさまに昇進というワードを強調する平塚。ミーティング中は座ったままの昼寝を日課とする比企谷だが、少し迷ってから不服そうに起き上がった。
「やりましょう、女狐」
「なんだ、お前が班の方針に意欲的だなんて珍しいな?良い事だ」
こうして平塚班は女狐捜査に取り掛かる。
ーー
葉山隼人
二等捜査官 178cm 19歳
クインケ
量産型クインケ 刀剣型 Bレート
性格 爽やかイケメン
好物 ブラックコーヒー、ロック
三浦優美子
三等捜査官 162cm 19歳
クインケ
量産型クインケ 小銃型 Bレート
性格 高飛車(ガラスのハート)
好物 ネイル、派手髪
海老名姫菜
三等捜査官 155cm 19歳
クインケ
量産型クインケ 小銃型 Bレート
性格 現実的傍観者
好物 イラスト、BL
戸部翔
三等捜査官 179cm 19歳
クインケ
量産型クインケ 刀剣型 Bレート
性格 典型的お調子者
好物 クラブ、酒