ようこそ坂柳有栖のDクラスへ   作:いろはす@

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第7話:スクール水着でごきげんよう

- 真実は残酷だというのなら、きっと嘘はもっと残酷なのだろう -

 

By 比企谷八幡『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはようございます。皆さん、何をしていらっしゃるのですか?」

 

 

4月も下旬に差し掛かったある日。始業前から例のおバカさんたちが、タブレットを囲んで何やら盛り上がっていました。なぜか女子からは総スカン状態です・・・

 

 

「ん?おはよう坂柳ちゃん。そりゃ、今日プールの授業だろ?だからDクラス女子の胸の大きさを賭けているんだよ・・・あっ!?」

 

 

興奮のあまり、口を滑らせる山内君。やはりバカですね。

 

 

「なるほど・・・では現在、わたくしの順位はどれくらいなのでしょうか」

 

 

「え?!そ、それは・・・」

 

 

「ちょっとお借りしますね」

 

 

タブレット画面にずらりと並んだ女子の名前。長谷部さんと佐倉さんがダントツ人気で、櫛田さんが僅差で続いています。わたくしの名前は・・・おや、選択肢にすらありませんね。ふふふ・・・彼らには一度、痛い思いをして頂きましょう。

 

 

私は何度か画面をタップしてから、タブレットをお返ししました。

 

 

「山内君のお名前で、わたくしに1票入れておきました」

 

 

「えぇ?!そんなの、はじめから賭けにならないじゃん・・・」

 

 

今日の私は、危うくハイキックを我慢しました。そうです、人間とは、教訓に学ぶ生き物なのです。

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

「さっきの池君たち、最悪じゃない?」

 

 

「ほんとキモいよ!私、今日の体育、休むから!」

 

 

「わ、私も・・・見学しようかな・・・」

 

 

男子が更衣室へ移動し、女子だけになったDクラスの教室。変態どもが待ち構えるプールから逃れようと、ズル休みを宣言する佐倉さんや長谷部さんでしたが、許すわけにはいきません。

 

 

「皆さん、お気持ちはよくわかりますが、大量の見学者を出すのはクラス査定に影響する可能性が高いです。つまり、来月のポイント支給額に響くかと・・・」

 

 

「そ、そっか!」

 

 

「で、でも・・・」

 

 

まだ踏ん切りがつかない彼女たちに、私はとっておきのひとことをぶつけました。

 

 

「よくお考え下さい。わたくしも水着で参加するのですよ?」

 

 

「あ・・・ごめん」

 

 

なぜか非常に腹立たしいものがありますが・・・初めに申し上げた通り、学業、武術ともに完成された私。身体的にも、まだまだ伸びしろがあるはずです・・・たぶん、Maybe・・・

 

 

そして誰ひとりとして欠けることなく、重装歩兵の長谷部、佐倉、櫛田三銃士を先頭に、私たちDクラス女子軍団は屋内プールへ進攻を開始しました。

 

 

「うおおおおぉ!!」

 

 

迎え撃つのは、辺りの空気を震わせる、思春期男子の雄叫び。もの凄い圧力です。あのリビドーを正しい方角に向ければ、日本が抱える諸問題なんて一発で解決することでしょう。

 

 

「水泳の授業、楽しみだねっ!池君?」

 

 

おっと?水着姿を晒して羞恥心が麻痺してしまったのでしょうか。堕天使櫛田さんが、見事な先制攻撃です。彼女を間近で見た男子諸君は、なぜか次々と礼儀正しく体育座りをし始めました。おそらく、勃っていられないのでしょう。(誤字)

 

 

「ふふふ・・・男子の皆さんもごきげんよう」

 

 

私が歩み寄ると、ギラついた欲望塗れの目をしていた山内君や池君が、一転して父親が愛娘に向けるような生暖かい眼差しになりました。

 

 

「た、助かったぜ坂柳ちゃん。俺、もう限界だったんだ」

 

 

「マジ天使だわ坂柳」

 

 

「つるぺたは正義。はっきりわかるのでござる」

 

 

どうやら私の水着姿で、彼らは正気を取り戻したようです。許すまじ。

 

 

さて、綾小路君は・・・やっぱり、端っこのほうで所在なく佇んでいました。さすが、細身ながら素晴らしい肉体です・・・

 

 

は???

 

 

なんと!堀北さんが彼にちょっかいを出しているではありませんか?!あ!お腹をつんつんした?!まだ私も触ったことないのに!羨まけしからん!それは私の役回りです!

 

 

それにしても・・・入学式当日のヤンデレ騒動以来、堀北さんは明らかに変わりました。何か、全身から溢れ出るものがあるのです。お兄さんとの間に、何があったのでしょうか。これは是非とも、確かめておく必要がありそうですね。

 

 

「こんにちは。わたくしも混ぜて下さいな、デレ北さん」

 

 

「その言い方はやめて」

 

 

おや、まだまだツンが抜けてはいないようです。

 

 

「おお、坂柳か。助かった・・・もう少しで、初めての敗北を知るところだった」

 

 

ていうか清隆君、あなたもですか?!

 

 

「ところで堀北さん。先日の一件は、その後どうなりました?」

 

 

ここは敢えてド直球を。不意をついて本音を聞き出す作戦です。

 

 

「私、兄さんの背中を追うことはやめたの。だからあの日、兄さんがずっと大切に守り続けていたものを無理やり奪ってやったのよ。ふふふ・・・あんな兄さんを見たのは、生まれて初めてだったわ」

 

 

「なっ?!」

 

 

お兄さんの初めてを・・・?これはいけません。至急、作品タグを変更・・・じゃなかった。とにかく一度、落ち着きましょう・・・でも、まさかあの堅物兄妹が、ふたりっきりのお部屋であんなことやこんなことを・・・

 

 

(脳内妄想劇場開始)

 

 

「ほぅ・・・完璧だ。よく似合っているな、鈴音」

 

 

「に、兄さん・・・本当にこれで、私はAクラスに上がれるのでしょうか?そもそも、この制服はいったい・・・大洗女子学園?」

 

 

「気にするな。じゃあ次は、この咽喉マイクを付けてみろ」

 

 

「ま、待って下さい・・・いくらなんでもスカートが短すぎます」

 

 

「そんなことに気をとられていたら、いつまで経っても俺の背中には追い付けないぞ?」

 

 

「で、ですが・・・」

 

 

「股を開け」

 

 

「に、兄さん♥️」

 

 

(脳内妄想劇場おわり)

 

 

・・・ひゃん♥️私も体育座りをしなければ、色々漏らしてしまいそうです・・・ヘナヘナ(腰砕け)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ side堀北鈴音 ~

 

 

え?!坂柳さん、急にどうしたのかしら?私は単に、兄さんの部屋にあった変なお人形や女子学生用の制服を不燃ゴミに出しただけなのに。でも、あの時の絶望に染まった兄さんの顔、本当に見ものだったわ・・・

 

 

突然、腰を抜かしてしゃがみこんだあと、凄まじい勢いでプールへ飛び込んだ坂柳有栖の姿に、首を傾げるばかりの堀北鈴音なのであった。(委細省略)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふぅ・・・危ないところでした。木は森に隠せ、びしょ濡れはずぶ濡れで隠せ。なんとか間に合いましたね。ボソッ




次回最終話『そして始まりの終わり』

5月1日になりました・・・
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