- 最終回がコレかよ、とミサカは嘆息します。もうちょっとマシなものは書けなかったのかよ、という本音を胸にしまって、ミサカは深く嘆息します -
By 御坂妹『とある科学の超電磁砲』
さて、恥辱にまみれた水泳授業から1週間。忙しないゴールデンウィークを過ごしたあと・・・運命の日がやって来ました。
5月1日。私の予想が正しかったかどうかは、これから茶柱先生を見れば分かるはずです。というか、今朝のポイント残高がすでに答えなんですけど。
「お前たち、席に着け」
いつもどおりクールに登場した担任は、ゆっくりと私たちを見回しました。朝のざわめきがぴたりと止み、静寂に包まれる教室。
「なにか質問はあるか?ないな?では話を進めるぞ」
対するクラスメートたちはみんな、ぽか〜んとしています。そうです。今朝の茶柱佐枝(29)独身は、いつものスーツではなく、ゴスロリなメイド服にエプロンを付けた姿なのです。ギャップ萌え〜!!?
「さ、サエちゃん先生?な、なんかありました?」
勇敢にも、私を除くクラス全員の
あ、ちなみに先日、私は茶柱先生にポイントを支払って、あるお願いをしました。次回のポイント支給日、満足のいく結果だったらメイド服姿で登場して欲しい、と。半ばネタだったのですが、まさか年甲斐もなく本当にやるとは。茶柱の本気を見るのです!
『サエちゃん』って言うと『チエ』って言う。『なぜ』って言うと『答えられない』って言う。こだまでしょうか。いいえ、茶柱です。
「なにもないぞ。ところで諸君、これを見たまえ」
池君のツッコミを完璧にスルーして、模造紙を広げるサエちゃん。そこには、大きく数字が書き込まれていました。
クラスポイント一覧(5月1日時点)
Aクラス 0
Bクラス 650
Cクラス 490
Dクラス 900
ほぅ・・・そうなりましたか・・・w
「お前たちは実に優れた不良品だな」
そして、意味不明な言葉の後で明かされる、この学校の真実。クラスポイント、プライベートポイント、クラス間競争、Aクラスのみの進路斡旋特典、特別試験、そして退学処分・・・お父様ですら教えて下さらなかった、禁則事項の数々です。なるほど・・・こういうことだったのですね。
「ふははははっ!これは実に傑作だ!はじめの一手で王手とは、チートが過ぎるというものだねぇ、メイドティーチャー。有栖ガールの推測は大当たりだったというわけだ!」
高円寺君の高笑いと重なるように、他クラスからは阿鼻叫喚が漏れ聞こえてきます・・・
「遅刻欠席、授業中の私語にスマホいじり、居眠り、爪の手入れ、早弁、エスケープ、スカートめくり、万引き・・・そして星之宮教諭の下着窃盗未遂・・・」
ほほぅ・・・たぶん、大半はドラゴンボーイさんたちの所業だと思いますが、ひとつだけ明らかに、六助ボーイが混じっていますね。それと、男子小学生レベルの愚行を働いたおバカさんは誰なのでしょう?あと最後のは間違いなくチエの狂言です。(きっぱり)
「これらはこの1か月で、実際に各クラスが起こした問題行動だ。Aクラスは万引き行為が発覚し、すべてのクラスポイントを失った。一方、このDクラスは・・・まあ、そういうことだ。ゆえに、今日からお前たちがAクラスとなる」
あら、コンビニで見かけた神室さんって、Aクラスの方だったんですね・・・(他人事)
さて、取り敢えず初戦は勝ちました。これから私は前面に出て、クラスを引っ張ってゆくつもりです。生まれながらの天才である私と、ホワイトルームの最高傑作が協力すれば、これから3年間、どんな試験が来ても完勝間違いなし。自分が負ける姿を想像出来ません。尤も、物語としては全然面白味がありませんけど。(結論)
はっ?!そうです!卒業間近に私だけDクラスに移籍して、Aクラスを率いる本気の彼と対決する、というのはどうでしょう。我ながら妙案だと思うのですが・・・あれ?なぜかデジャヴ・・・(気のせい)
「やったぜ!俺ら、人生勝ち組だ!」
「これで買い物し放題じゃん!」
「夢のヲタク系YouTuberデビューが現実になるでござる!」
一方、周囲に溢れる喜びの声。やはりここはアホ揃いですね。卒業までは、あと3年弱ありますよ?この様子だと、来月にはDクラスへ逆戻りでしょう。あくまでも、学校がいまの仕組みのままならば、ですが・・・(意味深)
「Dクラスが入学後1か月でAに上がったのは、本校創立以来、初の快挙だ。このまま抜かりなく、卒業まで突っ走ってくれ」
嬉々として話すサエ。しかし・・・
茶柱先生の説明を聞きながら、私はすでに結論を出していました。これはダメです。こんな箱庭の中で電子マネーの獲り合いをしたところで、未来の日本を担う人材など育つはずもありません。お父様の気苦労が、透けて見えるようです。ならば、自らの手で変えてみると致しましょう。さて、そろそろかと・・・
「全校生徒にお知らせします。本日午後、体育館で臨時の生徒総会を開催致しますので、必ず参加して下さい」
生徒会による校内放送。橘書記の声ですね。今後、ヤンデレ鈴音さんとの修羅場が見ものです。(期待大)
「あら、
と、直ぐに反応する堀北さん。ほぅ、すでにお姉さん呼びですか。ずいぶん仲良くなられたのですね・・・えっ?!お
衝撃のひとことにツッコミすら忘れた私は、ゴールデンウィークの出来事を思い出していました・・・
~ 数日前 生徒会室 ~
「・・・以上2名が新たに執行部へ加わった。宜しく指導してやってくれ」
生徒会長の言葉に、私と綾小路君は改めて一礼しました。これで私たちは、晴れて生徒会のメンバーです。もちろん、わざわざゴールデンウィーク中に登校しているのは、顔見せのためだけではありません。
「では次に、早速だが坂柳から議題が提出されている。審議を始めようか」
淡々と話を進める堀北会長でしたが、南雲副会長が待ったをかけました。
「その前に会長・・・それは何ですか?」
彼が指差したのは、資料棚の上に置かれた物体です。
「ん?知らないのか?これはプリキュアシリーズのねんどろいどだ。しかもリペイント済みのな」
事も無げに説明する堀北君。どうやら吹っ切れ・・・いえ、ぶっ飛びましたね。恐るべし、堀北鈴音。あなた、兄さんに何をしたのです?
「いや、そう言うことじゃなくて・・・では、後ろのそれは?」
今度は、壁にハンガーで吊るされたセーラー服です。もちろん、本校のものではありません。あれは確かに私も気になっていました。
「あぁ、あれか。吹雪型の制服だ。しかも改二バージョンのレア物だぞ?」
「・・・わかりました」
なぜか遠い目で引き下がる南雲副会長。書記を務める橘さんも、何かを諦めたような素振りで会長の方を窺っています。そうです。歴代最高と称される堀北生徒会長は、自らの趣味を全面に押し出す決意を固めたようなのです。(一大事)本来なら、これを真っ先に審議すべきですよね。
「話を戻すぞ。坂柳、始めてくれ」
「はい。では皆さん、こちらをご覧下さい」
私は耳あてを付けると、自分の端末をポイント表示画面に切り替えて、周囲に翳しました。
「え・・・??ええええええぇ?!?」
突然、合唱コンクールを始める先輩方。素晴らしいハーモニー・・・というより爆音です。やはり、耳当てを用意したのは正解でした。綾小路君も、絶妙なタイミングで耳を塞いでいましたし。
「マジか?!」
「な、なんだよそれ?」
「信じられません・・・」
上から順番に、南雲副会長、庶務の桐山先輩、橘書記です。って、私は誰に何を説明しているのでしょうか?
「さすがに予想の斜め上を行く額だな。それだけあれば、自主制作の萌えアニメを作れるぞ・・・」
そして、ピントがズレっぱなしの堀北お義兄さん・・・あ、間違えてしまいました。テヘペロ。
「はい。皆さんのリアクション通り、たとえ電子マネーとはいえ、高校1年生が気安く手に出来る金額ではありません。実はこの半月ほど、私と綾小路君は各部活をめぐり、賭け試合を行っておりました」
実際には彼の独断場でしたが。まぁ、そこらへんの一般人が天才に勝てるはずがありません。
囲碁将棋にオセロ、チェス、トランプ、ウノ、萌えゲー、空手、柔道、合気道、弓道、野球、サッカー、テニスにバスケ、バレー、バドミントン、卓球、囲碁将棋・・・あれ?1周まわって最初に戻ってしまいました。
とにかく、勝ちまくった結果が、手元に残るこの法外な額のプライベートポイントなのです。
「ふっ・・・早速、暗黒面に堕ちたか、坂柳」
「普通に犯罪だって分かってるよね?ふたりとも」
ふぅ・・・取り敢えず、まともな先輩方で助かりました。入学早々、賭博行為でポイントを荒稼ぎしようだなんて、どこぞのオリ主共や自称捻デレぼっちに・・・ケーホケホ!(二次小説の読みすぎ)
「もちろんです」
橘お義姉さん・・・じゃなくて、書記の言葉に答えてから、私は持論を展開しました。
「プライベートポイントなどと横文字で誤魔化してはいますが、その実態はご覧の通り、いくらでも水増し可能な、単なる子供騙しの電子決済システムです。だからこそ、わたくしは学校改革案を作成致しました。綾小路君」
私の言葉を受けて、皆さんにプリントを配る清隆君。ふふふ・・・最高傑作を顎で使えるとは、なんと言う贅沢なのでしょうか。
「なっ?!こ、これは・・・」
受け取った内容に驚愕するお兄さんでしたが、直ぐに眼鏡を押さえて笑い始めました。
「ふははっ・・・いいだろう。橘、臨時の生徒総会をセッティングしてくれ」
「え?!いきなりこの時期にですか?!」
「ああ、偽りの実力至上主義を打破するチャンスだ。坂柳有栖、お前の本気を見せてみろ」
そして・・・生徒総会が始まりました。堀北会長以下、生徒会役員共の紹介が続き、ちょっとだけ本気を見せた綾小路君も、無難に挨拶を終えました。やはり、やれば出来るじゃありませんか。さぁ、最後は私の出番です。
壇上に上がると、私は暫し居並ぶ生徒たちを眺めました。そのまま10秒、20秒、30秒・・・やがて、水を打ったように静まり返る体育館。完全に部活動説明会での会長を猿真似しただけですが、結構効きますね。
十分に場の雰囲気を作り上げると、私はゆっくり口を開きました。
「皆さん、はじめまして。この度、本校の生徒会副会長を拝命しました、元1年Dクラスの坂柳有栖と申します。ふふふっ・・・」
おわり
最後までお読み頂き、有り難うございました。
次回は、大量のアンチ成分を含むwクロスオーバーストーリー『1年Dクラス、比企谷HACHIMAN』を投稿予定です。