ヒキニート、高校生になる   作:ナカイユウ

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ヒキニート、JKと帰り道を歩く

 「この学校って・・・俺以外にも“被験者”として通っている生徒がいたりするんですか?

 

 笹原先生から聞かされた千鳥の一件とは別で、海崎さんにはどうしても聞いておきたいことがあった。それはただ単純に、この学校には自分たち以外にも被験者とその担当者が通っているんじゃないかという、シンプルな疑問だ。

 

 「・・・正直これに関しては僕からは何も言えませんが・・・・・・そんなに気になるなら直接聞けばいいんじゃないですか?

 

 俺からの問いかけに、一歩ほど歩き出していた海崎さんは爽やかな笑顔で振り返った。

 

 「リライフしてますか?

 「・・・・・・」

 「って」

 「そんなことしたら冗談抜きで実験終了ですよ何言ってんですか?

 「だってタカが俺ら以外にも通ってる人がいるとかどうとか言うから」

 「聞いた俺がバカでしたねスイマセン

 

 まぁ、言ってしまえば何となく振り向きざまに言った“前フリ”の時点で何を言われるのかは、ほぼ予想がついていた。どうやらこの学校の生徒の中にリライフの被験者がいるのか確かめるには、自分で直接本人に聞くしかないらしい。

 

 「・・・これってもし聞いた相手が“たまたま同じ被験者”だったとしたら、その相手のリライフも終わるってことですよね?」

 「おぉ~流石はオーガ兄、物分かりが早い(頭の回転が早すぎてオジサンついていけないわ・・・)」

 「“オーガ兄”って何なんですか?」

 「オーガ兄はオーガ兄ですよ。やっぱり“大神家”の遺伝子は弟も揃って優秀なんですね?」

 「何故だろう?褒められてる感じが1ミリも感じない・・・

 

 ただしその瞬間に自分のリライフは文字通り終わり、聞いた相手が被験者だった場合はその被験者(あいて)実験(リライフ)も終わってしまう。つまりそれは、結果的に自分か自分以外の誰かの人生を実験もろとも壊してしまうということ。

 

 「まぁ・・・総合的にまとめるとしたら、どうぞその探求心を自分のリライフに使ってみたらどうですか?・・・・・・ってところですね

 

 結局のところ、最終的に辿り着いた結論は“自分で考えろ”というとっくに分かり切った答えだった。

 

 「じゃあ明日からもよろしくな、タカ☆」

 「“中身”を知ってる人から見るとまあまあ痛々しいですからね今の海崎さん?」

 「それは“お互い様”じゃね?」

 「とりあえず城野くんみたいなノリで絡んでくるのはやめてください。やられるこっちが恥ずかしさで居たたまれなくなるんで

 

 そして最後に海崎さんから城野のような友達感覚(ノリ)で肩を叩かれ、俺と海崎さんはひとまず解散して互いが意図的に距離をとる形で昇降口から出て校門へ続く一本道を歩く。

 

 “シンプルに恥ずかしいとか思わないんかな・・・もういい歳なのに”

 

 しかしながら海崎さんは、外見こそちゃんと高校生に若返っているとは言いながら中身はアラサーの立派な大人。本来であれば笹原先生のようにある程度落ち着いているはずの年齢の人からあんなノリで絡まれたら、正体を知っている身からすればそれなり以上に共感性羞恥がすごい。

 

 “『今日のテスト、大神のおかげで助かった・・・ありがとな』”

 

 それを言ったら俺も俺で、相手が正体を知らないっていうだけでやっていることは何ら変わらないことに気付いてハッと冷静になる。言うまでもなく俺は本来であれば今“ここ”にいるはずがない、1年後には綺麗さっぱり忘れ去られてしまう“フィクション”も同然の存在だ。

 

 

 

 “『リライフとはあくまで貴臣さんのような“ニート”を更生させるための実験(プログラム)です・・・・・・それが“アスファルトを敷いた平らな道”を歩かせるような生ぬるいものだと、人生をやり直す意味はありませんので』”

 

 

 

 家族4人で行くはずだった海を眺めていたときに海崎さんが俺に忠告した言葉の意味が、不意に頭の中に浮かび上がって再び胸へと刺さる。リライフという社会実験(プログラム)は、海崎さんの言っていた通り生温いどころか、周りと同じように普通の生活を送る以上に難しいものなのかもしれない。

 

 “・・・って、薬飲んで若返った25歳が高校生やってる時点で普通じゃないっつの・・・”

 

 こんな感じで本末転倒なことを考えていたら、いつの間にか門の目の前まで歩いていた。

 

 “こうして普通に通り過ぎてみるとどおってことないな・・・”

 

 今日の朝はあれだけ覚悟を決めて門をくぐったというのに、たった一日のテストをただ終えただけの俺はすんなりと校門を通り過ぎて、何食わぬ顔で二車線の道の歩道を西口の方角へと歩く。

 

 ただ、小学校に上がるか上がらないかぐらいのときに誰からともなく教わった“家に帰るまでが遠足”という魔法の言葉があるように、色々とあったものの転校初日を無事に乗り越えて帰り道を歩いているときに限って、何かは起こる。

 

 “とりあえず今日は久しぶりに色々あって疲れたから、このまま帰ってだらっと”

 

 「大神くん・・・だよね?

 「?」

 

 なんてすっかり油断していたら、背後から俺の名前を呼ぶ女子の声が突然と聞こえてきたから心の中で驚きながらゆっくりと振り返る。

 

 「・・・えーっと、“漫研の黒崎”さん?」

 「正解」

 

 振り返った視線の先には青っぽいショートヘアの髪をした同じ学校に通う女子、もとい始業式に咳を連鎖させた張本人でもある漫画研究部の黒崎が立っていた。まぁ、咳のことについて俺は全く気にしていないけれど。

 

 「どうしたの?何か俺に用でも?(まさか漫研への勧誘?)」

 「ううん、特に何もないよ?ただちょっと野暮用で立ち寄ってた近くの図書館から帰る途中でたまたま大神くんが門から出てくるのが見えたから声をかけたってだけで」

 「あぁ、なるほど・・・」

 

 突然と背後から編入生の俺に声をかけてきた黒崎。それにしても声をかけられたタイミングがあまりにも“如何にも”すぎたから思わず漫研の勧誘かと思ったが、どうやら本当に偶然タイミングが重なっただけだったみたいだ。

 

 「大神くんは何してたの?」

 「俺?俺はついさっきまで海崎って人と一緒に笹原先生の面談受けてた」

 「アレでしょ?“桜咲の雰囲気はどう?”みたいな感じのこと聞かれたりだとか?」

 

 “『こういう話を転校初日からしなければいけないことは、先生として本当に申し訳なく思う・・・でも、これから言うことはどうか理解して欲しい』”

 

 笹原先生が言っていた“3年生の生徒はみんな知っている”ということが紛れもなく本当のことだとすれば、きっと黒崎は千鳥の事情について何かしら知っている。もちろんそれは今日話した赤間や城野だって同じ。

 

 「まぁ、そんな感じだったわ」

 

 とはいえさすがにそのことをいきなり聞く気にはなれず、俺は適当に面談の中身を濁して一言に纏めた。当たり前のことだけど、二度目の高校生活を送っている俺とは違い、今この桜咲(がっこう)に通うみんなの高校生活はたった一度しかない。

 

 

 

 そんなたった一度の“青春”が“存在してはいけない存在(1人の被験者)”によって余計なものまでを背負わされてしまうことは、絶対にあってはならない。

 

 

 

 「正直さ、そんなの聞かれたって今日転校してきたばかりだから分かんねぇよって話だよね?」

 「うーん、確かに今日だけじゃクラスがまだどんな感じかはぶっちゃけ分かんないかな・・・でも、1組の雰囲気は普通に良かったよ」

 「まぁ桜咲は都内有数の進学校だから不良みたいな悪い人はいないからね。てかさ、大神くんさっそく城野くんに絡まれてたよね?」

 「あ~、あの“銀髪にピアス”のでっかい人か」

 「そうそう。でも城野くんってああ見えてめちゃくちゃ頭良くてさ、1,2年と連続で“優秀生徒”に選ばれてるんだよね。ほら、左胸元(ここ)のポケットに紋章が付いてたでしょ?」

 「確か卒業式の日に学年ごとの男女で1人ずつ表彰されるってやつだよね?」

 「よくぞご存じで」

 「学校のホームページに載ってたからね」

 

 転校してきたばかりの編入生の隣に歩み寄って、まるでずっと前から友達だったかのようにフレンドリーに笑いながら話を弾ませる黒崎。たった一度しかない“青春”という大事な時間の殆どを無駄にしてきた25歳のヒキニートとしては、やっぱり暗い話題を詮索するよりはこうして笑い合いながら馬鹿みたいな話を出来るだけ長い間、“リアルな高校生”のみんなにはしてもらいたいと思ってしまう。

 

 「ところでさ、大神くんってここに来るときは池袋で降りてる感じ?」

 「うん、そうだけど」

 「だったら駅まであたしと一緒に帰らない?」

 「どうして?」

 「あたしも最寄り駅が池袋だからさ、せっかくクラスメイトがすぐ隣にいるのに1人で帰るのもなんか寂しくない?」

 

 そういや、こんな感じでクラスメイトと一緒に帰り道を歩くのは久しぶりだ・・・って、青葉を卒業したのがもう7年も前だからそれも当たり前の話だ・・・

 

 “ん?ちょっと待てよこれって・・・

 

 「あれ?もしかして嫌な感じ?」

 

 “冷静に考えてみたらまあまあ”ヤバい“んじゃね?この状況?

 

 「えっ?いや全然」

 

 “いやいやいやいや・・・いまの俺は心の中だけ25歳なだけで、桜咲高校に通う正真正銘のれっきとした男子高校生。そしていま俺の隣を歩いているのは、クラスメイトの黒崎。だから、そう。全く問題はない

 

 「てことはこれで決まりだね、大神くん?

 

 “これはあれだ・・・・・・女子高生と合法でお近づきになれる、言わば“合法JK”ってやつだ

 

 「・・・おう

 

 “うん・・・多分だけどいまの俺、今まで生きてきた中で一番馬鹿になってる自信しかないわ・・・

 

 

 

 “『一緒に帰ろ、貴臣?』”

 

 

 

 “まぁ、それを言うなら昔の俺も大概か・・・

 

 「じゃあぼちぼち帰りますか、大神くん」

 

 こうして色んな“成り行き”が重なった俺は、登校初日からいきなり“JK”・・・もとい、黒崎と最寄り駅まで一緒に帰ることになった。

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、数十メートル後方にて_

 

 “・・・まさか初日からごく自然な流れでいきなり“合法JK”にこぎ着けるとは・・・・・・さすがは腐ってもイケメン秀才エリートなだけあるわオーガ兄・・・

 

 「・・・へくしっ!(やべっ、もしかして黒崎さんの風邪が移ったか??)」

 

 

 

 

 

 

 「ていうかテスト直前に風邪引くとかほんっと最悪だよもう・・・数学とか絶対赤点だわ今回」

 「きっと大丈夫だよ。だいたいテストっていうのはロクでもないって思い込んでる時に限って、案外良い点が取れたりするもんだからさ」

 「うわぁ〜大神くん超優しい・・・」

 「まぁ、言っても気休めぐらいにしかならないけどね」

 「・・・気遣いの神」

 「それは言い過ぎでしょ」

 

 成り行きが重なって黒崎と一緒に駅まで歩くことになった俺だったが、気が付くと25歳のヒキニート(※心だけ)と現役の女子高生(※言うまでもなく身も心も)が横並びで歩いているという色んな意味でカオスな状況下にあることにも慣れて、普通に左隣を歩く黒崎との会話を楽しんでいた。つい数分前に心の中で“合法JK”とかわけわからないことをほざいていた自分が、本当に馬鹿みたいだ。

 

 というか、さっきから何を俺はちゃっかりリライフを満喫しているんだ?

 

 “・・・にしてもこの会話も海崎さんには全部筒抜けなんだよな・・・・・・あぁもう、絶対どこかの“死角”でニヤニヤしてるよあのオッサン・・・

 

 「・・・どうしたの大神くん?急にボーっとして」

 「ん?あぁちょっとさ、桜咲来るの今日が初めてだから道とか目印になる建物とか覚えとこうかなって。それでちょっと見渡してた」

 

 不意に被験者を観察する関係で盗聴器が仕掛けられていることに気付き、我に戻った動揺をそれっぽい理由で誤魔化す。ほんと、こういう事情がなかったら本当に普通の高校生活なんだけどな、リライフって・・・・・・とにかく今は、海崎さんは存在しない設定(てい)で行こう。

 

 「ふ~ん。別にそれぐらいのことはスマホのマップで検索でもすれば分かると思うけど」

 「あぁ・・なるほど(意外にもズバッと言うなこの子も・・・)」

 「もしかして大神くんって機械オンチ?」

 「いや、むしろそこそこ得意なほうだけど(まぁ、自分で一からゲームを作るくらいのことなら)」

 「ホントに?」

 「ほんとだよ」

 

 そもそもの話、こんな“目的からズレた”ことをずっと考えて生活しているようじゃ、リライフなんて上手く行かない。サポート課の海崎さんには海崎さんの仕事があるように、サポート課の担当者は被験者のリライフを時にサポートしつつも干渉し過ぎない距離感で常に観察して、それを実験結果として会社に報告する必要がある。

 

 「まー確かに、大神くんからは何となく“頭良さそう”ってオーラを感じるし」

 「城野くんからも似たようなこと言われたよ・・・」

 「さっき話してた優秀生徒のことだって、案外あーいうところをちゃんとチェックしてない編入生も少なくないからね」

 「へぇ~、そうなんだ」

 

 だからこうして何食わぬ顔をして普通の高校生として普通にクラスメイトと会話したり一緒に帰ったりすることは、ある意味で被験者に課せられた任務(しごと)のようなものだ。そう考えてみると、ちゃんと割り切ること自体はできる。

 

 “まぁ・・・だとしてもあの海崎さんのことだから、どっかで笑いをこらえながら俺のことを見てんだろうな・・・

 

 

 

 

 

 

 数十メートル後方にて_

 

 “やっぱいいねぇ・・・・・・青春” ←※これでもちゃんと観察はしています

 

 

 

 

 

 

 「あと、さっきはありがとね」

 「えっ?何が?」

 「衛士にペンと消しゴム貸してくれて」

 

 学校から駅の西口までのちょうど中間あたりにある大通りと交差する十字路まで歩いたところで、黒崎は俺に3限目のテストで赤間に筆記用具を貸したことへの感謝を言ってきた。

 

 「・・・あぁ、ひょっとしてテストのこと?」

 「ひょっとしなくても」

 

 ただ急に言われたものだからほんの僅かばかり反応が遅れて曖昧なリアクションをした俺を見て、黒崎はどこか揶揄うような表情を見せて微笑む。ここまで一緒に帰り道を歩きながら話して分かったことは、穏やかで親しみやすいけれど所々でズバッと言ってくるような、どことなく海崎さんにも通ずるところがあるようなないような・・・極端に例えるとしたら海崎さんをそのまま女子高生に・・・いやそれは黒崎にも海崎さんにも失礼だし、現に想像しただけで頭がやられそうだからやめておこう。

 

 「ていうかごめんね、迷惑だったでしょテスト中で?」

 「ううん、全然」

 「次になんかやられたらガチで怒っていいからね?ああ見えて意外と小心者だから衛士って」

 「いやまぁ、今日のはどっちかというと事故だったから」

 「あぁもうほんっと衛士って不器用なくせに変にプライドが高いからさぁ、困ってても人に頼らないで全部自分で抱え込んじゃって自分1人でどうにかしちゃおうとするから心配なんだよ“クラスメイト”として」

 「まぁ、話してみてプライドが高そうな感じはしたかな俺も」

 「それでどうにかなればまだいいけど・・・結果がアレじゃん。現に今日だって大神くんがいなかったら洒落になってなかったよ絶対」

 

 かと思ったら、今度は筆記用具を忘れてきた赤間のことを黒崎はそれなりの声量と少し荒くなった口癖で愚痴り始める。何というか、愚痴が始まると声のボリュームとトーンが1つ分ぐらい上がるところとか、いつもより早口になって止まらなくなるところとかが、偏見になるけれど如何にも“女子”って感じがする。(※あくまで貴臣の主観です)

 

 「でもわざと忘れたわけじゃなかったみたいだし、ちゃんと俺の目を真っ直ぐ見てお礼も言ってきたからちょっとだけぶっきらぼうだけど、本当は周りのことを大切にできる優しい人だって俺は思ったよ(その代わり融通は全く利かなそうだけど・・・)」

 「ほんとそれ!もっと自分の殻に入らないで素直になったら“一匹狼”みたいな感じでみんなから誤解されて距離置かれたり恐がられたりなんかしないのに・・・ただその前に頭の中にある選択肢が0か100のどっちかしかないところだけは“ちょっとだけ”でいいから何とかしてほしいけど」

 「あはは・・・(確かに“ぽい”よなぁあの感じからして)」

 

 だけど彼女の口から発せられる愚痴に“嫌い”の二文字が一切ないことは、直して欲しいところを“ちょっと”だけで済ませる“放っておけない”という保護者のような世話焼きの感情が口ぶりから溢れ出ていてすぐに分かった。

 

 「・・・でも何か、そういう“真っ直ぐ”なところが赤間くんの良さなんだろうなって、今日話してみて俺は感じたよ・・・って、転校してきたばっかの編入生が何様だって話だけど」

 

 もちろん、彼女が赤間のことを下の名前で呼べるくらいには“親しい関係”にいるということも。

 

 「そんなことないよ。むしろ衛士のことを誤解しないでちゃんと仲良くしてくれそうな大神くんには本当に感謝してる・・・

 

 

 

 “『こうやって家族以外の人から本気で“ありがとう”って言われるのが、本当に久々でさ・・・シンプルに嬉しいわ・・・』”

 

 

 

 「・・・黒崎さんってさ、赤間くんと仲良いの?

 

 テスト終わりに赤間につい言ってしまった本音(こと)を思い出して動揺しかけた気持ちを隠して、俺は話の続きを繋げる。

 

 「うん。だって衛士とは中学からの腐れ縁だし」

 

 何となく赤間のことを愚痴るときの空気で感じ取ったことを伝えた俺に、黒崎は少しだけはにかみながらも今日一番の笑顔で答えた。

 

 「中学からか・・・それはまた仲が良さそうなことで」

 「けど衛士が“学校でもずっと一緒にいたりするとお前に“変な噂”が立つだろが”ってうるさいから、学校の中にいるときはあんまり話さないんだけどね」

 「あ~、なんか赤間くんなら言いそうな感じするわ~(自分よりも他人の心配をするところとか)」

 「でしょ?別に付き合ってるわけじゃないからそんなこと気にする必要ないのに・・・ったくあの女々しい“一匹狼”は

 「思いっきり赤間くんのことを一匹狼って言ってますよ黒崎さん・・・

 

 そして黒崎はまた、赤間の口癖を真似るわ“一匹狼って誤解されている”と自分で庇っておきながら手のひらを返して自分も一匹狼呼ばわりするわとやりたい放題に1人で“愚痴大会”の続きを始める。

 

 「良いのよ。だって衛士は初めて会ったときから基本的にあんな感じだったし」

 「なるほど、それはまた大変な・・・(うん、確かに中1からあの感じだともう立派な“一匹狼”だわ・・・)」

 

 にしても彼女の愚痴(それ)は単なる悪口というより、ずっと付き合っている彼氏への不平不満を“好き”の裏返しで仲の良い友達にぶちまけているような微笑ましさを覚える。

 

 ただし、その相手は友達ではなく今日知り合ったばかりの編入生なのだけれど。

 

 「ってごめん、さっきからあたしずっと大神くんに愚痴ばっかり・・・ほんとにごめんね今日が初めましてなのにこんなめんどくさい話しちゃって」

 

 

 

 

 

 

 “『またどっかで夏休みのデートの続きしようよ・・・絶対』”

 

 

 

 

 

 

 「ううん、俺は全然めんどくさいだなんて思ってないし、むしろ黒崎さんが赤間くんのことを本当に大切に思ってるのがこっちにも伝わってきて・・・何か見ていて微笑ましかった

 

 そんな黒崎から感じる“親しみやすいけれど意外と自分本位でどこか抜けていて危うそうな雰囲気”に何とも言えない“既視感(デジャブ)”を感じた俺は、つい雰囲気に流されてらしくないことを口走った。

 

 「・・・そりゃもちろん大切だよ、衛士のことは。だって“好き”だから

 「・・・・・・え?

 

 そして何の前触れもなく明かされたあまりにも突然のカミングアウトと左隣からの真っ直ぐな視線に、俺は思わず言葉を失った。




【人物紹介】

・黒崎愛火(くろさきまなか)
 12月24日生まれ B型 17歳(第17話時点)
 身長:154cm 髪色:薄めの青 一人称:あたし
 イメージCV:鈴代紗弓
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