ヒキニート、高校生になる   作:ナカイユウ

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まだ大神兄の登校2日目までしか進んでないのに、世間はすっかり夏休みになってしまった・・・


ヒキニート、満点を取る

 “・・・よし、今日も誰からも止められない・・・”

 

 外見だけ17歳の身体に若返って8年ぶりに高校に通うという訳のわからない学校生活は2日目を迎え、俺は何だかんだで桜咲の制服を着ている自分の姿に慣れてきた。といってもさすがに門を通って学校の敷地内に入る瞬間は少しだけ緊張したけれど、本当は“25歳の大人”な俺のことをもう誰も止めないことをはっきりと信じれるようにもなれたから、この調子だと来週くらいにはとうとう何とも思わない領域(ところ)まで感覚が“麻痺”していることだろう。

 

 「・・・ふぁぁぁー・・・」

 

 本当に、“慣れ”というのはつくづく恐ろしい・・・と、まだ若干の眠気が残っている脳で気怠く痛感する。いや、もしかしたらこれは“飲んだら高校生に若返る”という研究所の薬を飲んだら本当に若返ったという初見のインパクトがあまりに強烈すぎたせいで制服を着て学校に通っているこの状況を“まだ普通だ”と頭が判断している、いわゆる“正常性バイアス”みたいな何かかもしれない・・・そんな常識(もの)、“リライフ”という現代科学を超越した実験を前にしたら通用なんてしないだろうけど。

 

 

 

 “『貴臣さんの“思うがまま”にリライフを送るのが一番なんじゃないですか?』”

 

 

 

 というか慣れとかそんなのは関係なく、俺は俺の“思うがまま”にこの場所(がっこう)にいる。

 

 “さて、今日は思い切って城野あたりともっと話してみるか・・・まぁ、何となくあの“銀髪ピアス”はこっちから話さなくても勝手に絡んで来るだろうな・・・”

 

 こんな具合で早速色々と思うがままに頭の中で色々と下らないことを浮かべながら、引きこもりには少しだけ“上り甲斐”のある階段を4階まで上がり、俺の席がある3年1組の教室へと足を進める。

 

 「おはよっす貴臣!」

 

 1組の教室に入ると早速、“ムードメーカー”の城野が満面の笑みと一緒に元気よく俺に声をかけてきた。

 

 「おはよ、城野くん。なんか朝からすごく元気だよね」

 「そうか?ま、元気じゃないよりは遥かにマシってところっしょ?」

 「ははっ、確かに」

 「・・・転校生が笑った」

 「転校生て分からないからって“金髪”って言ってきた誰かさんよりはマシだけど・・・)」

 

 そして自分の席にやや崩した姿勢で座って俺を出迎えた城野の机の上に座る恰好で、“バンドをやっている”宇島が朝から元気な城野に思わず笑みが浮かんだ俺を“転校生”呼ばわりをして何とも言えない表情で俺を見る。昨日から思っていたけど、宇島は雰囲気や振る舞いが独特だ。

 

 「転校生じゃなくて“貴臣”な?海音」

 「たか・・・ごめん、名字から教えてくれないと覚えられない」

 「まぁ、確かにまだちゃんと面と向かって自己紹介とかしてなかったからね・・・俺は大神貴臣。編入してきたばかりでまだ桜咲のことはよく分からないけど、改めてよろしく」

 「おおが、たかおみ・・・・・・うん、覚えた」

 「そっか。よかった(この子もこの子で独特だな・・・)」

 「ごめんな貴臣。海音ってちょっと変わったとこがあるけどコイツもすげぇ面白くて良い奴だから」

 「いやいや悪いなんてちっとも思ってないから大丈夫だよ。俺も人の名前を覚えるのどっちかっていうと苦手なほうだし」

 

 城野から軽く突っ込まれた宇島に、俺は赤間のときと同じようにもう一度自己紹介をする。まだ昨日会ったばかりだからこれとは決めつけられないけど、俺の名前を覚えていなかった宇島と“転校生”呼びされた俺をさり気なくフォローする城野の“こういうところ”は、ちゃんと優等生って感じがして純粋に好感が持てる。

 

 「じゃあ今日からよろしくね、“タカ”」

 「おぉ・・・いきなりあだ名(どっかの海崎さんもだけど)」

 「だって“貴臣”よりこっちのほうがおれの中だとしっくりくるからさ・・・あと、なんか“タカ”じゃないと覚えられる気がしない」

 「いやなぜ?

 

 そんなムードメーカーのフォローなどお構いなしに、城野の机に腰掛ける“自由人”は気怠げな感じでマイペースに話を進める。初対面の人を“名前を覚えられない”という理由でいきなりあだ名で呼び始めたり、空気を読まないで我が道を行くところはありそうだけど、ほんの少し話しただけで“絶対に悪い奴じゃない”っていうのは何となく分かった。まぁ、黒崎も“桜咲は進学校だから不良みたいな悪い人はいない”って言っていたから、それもこのクラスや学校の雰囲気からして本当なんだろう。

 

 「・・・もしかしてそういうのってタカは嫌?

 

 にしても、海崎さん以外からその“あだ名(なまえ)”で呼ばれるのはいつぶりになるんだろう・・・

 

 

 

 

 

 

 “『わざわざバド部辞めなきゃいけないほどのことなら俺たちにも教えてくれよ?タカ?』”

 

 

 

 

 

 

 「ううん・・・ちっとも嫌じゃないし、何なら前にいた学校でも“タカ”って呼ばれてたから、逆に嬉しいかも

 

 “タカ”と呼ばれたのが海崎さん以外だと実に高校以来だということを悟られないように、当たり障りのない言葉を並べて俺は誤魔化す。

 

 「あ~確かに貴臣って普段から“タカ”って呼ばれてそうだよな?」

 「基本あだ名で呼ばれるとしたら“タカ”だったからね俺」

 

 さすがに銀髪のツーブロックの下に隠された優秀生徒の地頭を持ってしてもまさか俺の言っていることが少なくとも8年以上は前のことだと気付くことはできず、城野は得意げな様子で俺に笑いかける。ていうか、気付かれてしまったらその瞬間にリライフが終わってしまうから“絶対にバレてはいけない”のだけど。

 

 「何だか楽しそーにたむろってるけどなに盛り上がってるのー?」

 

 なんてあだ名のことで軽く盛り上がりながら自分の席に座ると、教室の後ろのほうから風邪が完治していかにもご機嫌そうな声が聞こえた。

 

 「って大神くんもいるじゃん、おはよっ」

 「おはよ」

 

 声のするほうへ視線を向けて昨日の帰り道と同じような調子で挨拶をしてきた黒崎に、俺もそれに合わせて反射的に挨拶する。思えばこんなふうに人とラフな感じに“おはよ”と挨拶するのも久しぶりだ。社会人になったら“おはようございます”が当たり前になって、ヒキニートになってからは“おはよう”どころかカズや親父ともロクに口を聞かなくなった時期が続いていたから、当たり前だ。

 

 「・・・行橋さんだっけ?」

 

 一方でラフに明るく俺に声をかけてきた黒崎の隣には、“黒髪美人”の行橋が落ち着いていそうな見た目を裏切らないクールな表情で俺を見ながら立っていた。

 

 「大神貴臣です。まだこの学校に来たばかりで分からないこともあるから迷惑かけるかもだけど、これからよろしく」

 

 もちろん名前は知っているけど話すのはこれが初めてだから、俺は一旦席から立ち上がって改めて行橋に自己紹介をする。

 

 「うん、名前はもう昨日で覚えたから大丈夫」

 「そっか。名前覚えてもらえてよかった」

 「・・・ありがと」

 

 すると行橋は自己紹介をした俺に昨日のようなクールで淡々とした感じではなく、どちらかというとほんの少しだけ気恥ずかしいような感じで言葉を返すと、すっと視線を俺から逸らした。

 

 “なるほど・・・素はこんな感じなんだ・・・”

 

 控えめな声量と恥ずかしさと緊張を紛らわすように視線を逸らす仕草からして、きっと行橋は黙っていればクールっぽいけど実は人見知りで緊張しいなところがあるのだろう。

 

 「意外でしょ?黙ってたらいかにも高嶺の花って感じに見えるけど実は結構な人見知りなんだよね~凉って」

 「ちょっ、恥ずかしいからそういうのあんまり言わないでよ愛火」

 「ハハッ、マジで凉って初めましてのヤツが相手だとシャイになるよな?」

 「・・・もう、真太郎もすぐそういうこという」

 

 初対面の編入生を目の前に人見知りが発動している行橋に、多分普段から仲の良い黒崎が俺に笑いかけながらちょっかいを出すと、それにまた城野が微笑ましい様子で話に乗っかって行橋は呆れ半分でムードメーカーからのちょっかいにツッコむ。何だか昨日までの印象だとサラッとしたロングの黒髪に女優と見紛うほど整った容姿で“高嶺の花”のように勝手に思っていたけれど、こうやって気の合う友達たちと普通に話しているところを見ると本当にどこにでもいそうな女子って感じがして、何となく安心する。

 

 “うん、普通に可愛いわこの子”

 

 ついでに余計なことを付け足すと、こんな感じでいかにもクールそうな“美人”が弱いところとか隙を見せてくるような見た目と中身にギャップがあるパターンに、俺的には何となく“そそる”ものを覚える。俗に言う“ギャップ萌え”ってやつだ・・・

 

 「・・・大神くん?

 

 なんて具合に誰しもが持っている“本能”で頭の中が支配されていた意識に、何故かやや困惑気味な行橋の視線と声が入った。

 

 「?なに行橋さん?」

 「あぁ、えっと・・・もしかして私の髪の毛にゴミとかついてたりする?」

 「(やべぇ・・・)・・・いや、何もついてないよ?」

 「そう・・・ならよかった」

 

 とりあえずその場しのぎの言葉でどうにか濁したけど、はっきりと分かっていることは不覚にもいい大人な年齢の分際で現役の女子高生の可愛さについ見惚れていたということ・・・我ながら最低の極みだ。

 

 「・・・まあ凉ってほんとに美人で可愛いから、見惚れちゃう気持ちは分かるよ

 「いや、ホントにそういうのじゃないから(半分以上はホントだけど・・・)

 

 案の定、同じく女子の黒崎からは察せられて周りにギリギリ聞こえないくらいの声量で要らぬ同情をされた。言うまでもなく、これは俺が悪い。

 

 “はぁ・・・何やってんだ俺は・・・”

 

 “本能”に支配されかけていたことを反省して、俺はまた冷静になる。にしても、例え心に傷を負ってヒキニートになろうとも、“人の好み”だけはずっと変わらないみたいだ。当然、こんな気持ちの悪いことを口にしたら今度こそ間違いなくドン引かれるから心の中に封印しておくけど。

 

 「あれ?そういえばタカ以外にも編入生ってもう一人いたよね?」

 

 こうして俺がちょうど人知れず冷静さを取り戻すのとほぼ同時に、“自由人”の宇島が半ば話の流れをぶった切って“じゃない方”の編入生、もとい海崎さんの話を振った。確かに言われてみれば海崎さんはまだ教室に来ていない。

 

 「あ、来た来た」

 

 なんて言った傍から黒崎がそう呟くと、ちょうどベストなタイミングで海崎さんが1組の教室に入ってきた。

 

 「おはよっす新太」

 「おはよう」

 「桜咲(ここ)までの道はちゃんと覚えたか?」

 「うん、もうバッチリだよ」

 

 恐らく海崎さんはタイミングを図ってこの教室に入ってきたなんてことを考えているのは、間違いなく俺ぐらいだ。

 

 「“あらた”・・・って言うんだ、きみの名前?」

 「えっ?うん、そうそう。フルネームだと海崎新太」

 「かいざき・・・あらた?」

 「ったく、海音はホント人の名前覚えるの苦手だよな~」

 「あはは、確かに編入生の名前を初日で覚えるのは難しいよね?」

 

 だからまさか編入生が2人揃って実は薬を飲んで若返っただけの大人だということに気付く術もないみんなは、普通に転校してきたクラスメイトとして俺と海崎さんに“タメ”の感覚で話してくる。ていうかこの際もう一度言うが、“絶対にバレてはいけない”のだけれど。

 

 「ごめん海崎くん、あたしも名前出てこなかった」

 「あぁ、確かに話してないしねまだ」

 「完全に“大神くんじゃないほう”って覚えてた」

 「“じゃないほう”って・・・俺はコンビ芸人の片割れか?)」

 

 ちなみに海崎さんは担当者として編入するために明らかに自分のキャラクターを作り込んで来たらしく、本来のお人好しで揶揄い好きな“S”なところをひた隠してあくまで目立ち過ぎないように“じゃないほう”っぽく振る舞っている。さすが、こういう“営業先”へ向かったときの建前の巧さだけは単純に考えて仮に大学院卒を踏まえても3年以上は社会に揉まれてきているであろう“先輩”なだけはある。

 

 「(あ、赤間だ)」

 

 こうしてある意味で“大人の対応”でクラスメイトと当たり障りなく接する海崎さんを横目に何気なく入り口へと視線を向けると、ちょうど陸上部の赤間が教室に入ってくるところだった。

 

 「よっす衛士!」

 「・・・っす」

 

 教室に入った赤間の姿を確認するやさっそく城野は俺のときみたいに元気よく声をかけるが、赤間は“うっせぇな”と言いたげな視線を城野に向けて送り返しながら通り過ぎざまに小さく反応して、そのまま自分の席に座る。

 

 「・・・なぁ、そういや貴臣と新太って前の学校も同じだったりすんの?」

 「ううん、海崎くんとは初めましてだよ。だよね海崎くん?(一応初対面っていう“てい”だしね?)」

 「そうそう」

 

 だが城野たちにとってはそんな一匹狼の“塩対応”はいつものことなのか、1人寂しく自分の席に座ってスマートフォン片手にイヤホンで音楽を聴き始めた赤間を一瞬だけ気に掛けると、すぐに話の続きを始めた。

 

 “まぁ、あの照れ隠しみたいな反応の仕方とか昨日の感じからして城野との仲はやっぱり悪いわけじゃないな・・・黒崎と話さないのも彼女を思ってのことみたいだし・・・”

 

 とりあえずはっきりとしているのは、赤間は文字通りの一匹狼というだけで孤立しているわけではないということ。このシチュエーションだと説得力はまるで皆無だけど。

 

 

 

 “『2人にも“同じクラスの生徒”として“千鳥”のことは把握しておいて欲しいんだ』”

 

 

 

 そして赤間の席から一番遠い後ろの扉側にある少し不自然に空いたスペースに、本来だったら千鳥の座る席がある。きっと、というか笹原先生が言っていたことが正しかったら

いまこうやって楽しく話している城野たちは確実に事情を知っている。

 

 “知ってるのは分かってるけど・・・・・・だからって俺が聞いて変に気まずい空気になるのは嫌だな・・・”

 

 「てか唐突に今回のテストどうよみんな?」

 

 千鳥のために空けられたスペースに何となく視線と意識を向けた俺をよそに、城野はテストの話をし始める。何だかみんなが事情を知っていることを知ってしまったら、逆に千鳥のことを聞きづらくなってしまった気がする。

 

 「おれは普通かな」

 「海音は何だかんだ勉強できるしな」

 「・・・あたしは特に数学がヤバめかも」

 「“マナティ”は基本全部じゃね?」

 「もーヒドイなぁ宇島くんはさぁ、言っとくけど英語は凉に大事なとこをちょこっと教えてもらったおかげでまあまあ自信あるから」

 「といっても大したことなかったじゃん今までも」

 「うっわ最ッ低、ねぇ凉この“正論マシン”になんか言ってやって?」

 「ごめん、私もどっちかっていうと不安が勝ってる」

 「ちょっと凉も冷たい~!」

 

 そんな難しい事情(こと)よりも、今日は何を隠そうテスト返しの日だ。誰かが100点をとればみんながざわつき、点数が怪しい科目がある人はそわそわしながら盛り上がる。これこそまさに、高校まででしか味わえない特権の1つだ。

 

 「大神くんと海崎くんはこんなデリカシーのない男になっちゃダメだよ?」

 「あぁ・・・俺は黒崎さんを応援するけどね?(“うん”って言っちゃうと失礼だし・・・)」

 「やっぱり大神くん優しい~」

 「あんま言うなって」

 「愛火?オレにはなんか聞かねぇの?」

 「だって城野くんはどうせ今回も1位でしょ?」

 「ハハハッ・・・ま、オレが狙うは当然1位のみだしな」

 「おぉ、さすが“優秀生徒”・・・」

 

 キーンコーンカーンコーン_

 

 「はいみんなホームルーム始めるから席ついてー

 

 朝のチャイムを合図に笹原先生が教室に入り、俺はみんなと同じく自分の席についた。

 

 

 

 

 

 

 「では、今から小テストの結果を返していきます」

 

 4月8日。今日は昨日の始業式後にやった3教科の小テストの結果が返される。ちなみに俺が通っていた青葉は進学校と言えど生徒によってばらつきがあった。このクラスはどうなのかはまだ確信はできないけど、城野と黒崎の様子から察するに似たようなものなんだろう。というか、テストを返される前のこの何とも言えないドキドキ感は、やっぱり何だか懐かしい・・・なんて、海崎さん以外のみんなは1ミリも思ってなんかいないけど。

 

 “あぁもう、やっぱみんな若いわ・・・”

 

 「最初に言っておきますが・・・・・・今回のテストで3教科全て満点だった人が1人います

 

 と、在りし日の懐かしさを思い出して自分が大人になってしまったことを人知れず勝手に痛感していたら、笹原先生のまさかの発言でクラス全体がざわつき始めた。そうそう、青葉でも100点満点をとった生徒が現れたら進学校と言えど普通にざわついた。

 

 

 

 

 

 

 “『おめでとう大神君。今学期も君が学級委員だよ』”

 

 

 

 

 

 

 まあ、自慢じゃないけどそれがかつての俺だ。

 

 「アレ?ひょっとして城野じゃね?」

 「マジで?3年のスタートも満点でいっちゃう??」

 

 誰かからの煽てに、ムードメーカーの城野は上機嫌に乗る。これは果たして“優秀生徒”ゆえの余裕か、もしくはただふざけているだけか・・・・・・うん、こいつの場合はどっちもあり得るな。

 

 「ちなみに城野じゃないぞ?」

 「ええっ!?ちょっアッキ~、オレじゃないにしてもせめてもうちょいみんなを余韻に浸らすのがテスト返しの“ベター”ってやつっしょ~」

 「そんな“ベター”なんか知らないよ」

 「・・・ハイハイ」

 

 なんて予想していたら、笹原先生が容赦なく丁寧な口調でドキドキをぶち壊した。城野も城野で結構ガチで驚いてたから、きっとそれなり以上に今回は自信があったんだろう。

 

 「じゃあ、変にためても仕方がないので発表します」

 

 “・・・さてと・・・これで城野がいなくなったということは・・・

 

 「大神貴臣。前へ

 

 きっとそうだろうなとは薄々思ってた。だって、普通に全部満点の手応えしかなかったから。

 

 「えっ?大神くん?

 「マジかよあの城野にテストで勝つとかバケモンかよあの編入生

 「とんでもねぇのが来たなオイ

 

 後ろのほうからひそひそと俺のことを噂している声が聞こえてくるなか、俺は席を立って笹原先生の前へと歩く。

 

 「おめでとう。いきなり3教科満点を取るなんて、僕も正直驚いたよ

 「・・・ありがとうございます

 

 爽やかな笑みを浮かべる笹原先生から労いの言葉と一緒に3教科分のテストを渡されて振り返ると、クラスのみんなが満点をとった俺に注目していた。

 

 

 

 

 

 

 “『みんなも大神を見習って、より一層この会社や社会に貢献できる人間になれるよう、日々精進するように・・・』”

 

 

 

 

 

 

 こんなふうに注目されるのは、何だか俺的にはあんまり気分が良くない。




【人物紹介】

・行橋凉(ゆくはしすず)
 11月10日生まれ A型 17歳(第21話時点)
 身長:167cm 髪色:黒 一人称:私
 イメージCV:種﨑敦美
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