良ければ感想などいただけると嬉しいです。泣いて喜んだりしなかったりします。できるだけ返信します。
9月1日のキングズ・クロス駅、紺色の剣道着の上から黒いローブを羽織った背の高い男が電車を待っていた。
道行く人はみんな彼に気づかれないように振り返った。彼と目の合った人はみんな決まって目をそらした。
しかし男は何も気にするところはないようだった。
時刻は朝の10時だった。既に出勤や旅行、特に学校へ行く自分の子供たちを見送る家族連れでいっぱいだった。
男はただ駅のホームの柵、もしくは柱、もしくは壁の横に立ち、微動だにせずに列車を待っていた。
男はふと動き出した。近くに30分ほど前から立っていた黒い帽子をかぶったスーツの男が、びくりと体を揺らした。
男は懐から手紙を取り出した。男はそれを開いて、彼が唯一読める文字というか数字、『11』と『9³/₄』をじっと眺めて、おそらく『十一時』と『九番と十番の間の十番よりの方にある改札口』と判断し、また手紙を懐に仕舞った。
男はまた30分近く待った。するとカート――ミミズク、大きなトランク、その他奇妙の荷物もろもろが載せられている――を押している白髪の11歳ほどの男の子と、それに付き添うように歩く母のような人物、そしてその後ろを歩く、白髪の長髪の父親らしき人物が近づいてきた。
男の子は男に気が付くと、男の頭から足先までを数瞬かけて眺めまわした。
男の子の父らしき人物が前に出て、男に話しかけた。
「失礼。少々どいてもらえますかな?」
「失礼」
男は軽く頭を下げ、横へずれた。
「どうも」
男の子とその家族は、壁へと少しの抵抗もなく入って行った。
男はおそらく魔法使いのための線路があり、それが『9³/₄』番線で、それがここなのだと予想した。
「すみません」
一時間前から壁の近くで立っている帽子をかぶったスーツの男が、男へと話しかけた。
「魔法使いの方ですか?」
スーツの男は懐に手を突っ込みながら男へと話しかけていた。
「証明書はない。しかし、魔法使いのための、この9³/₄とある路線を探している」
男は手紙を取り出して見せて、落ち着いた様子で答えた。
「そうでしたか。失礼しました。魔法使いでないものに見られたら、忘却呪文をかける決まりでして。それでしたら、このままここを通ってください」
スーツの男は懐から手を放し、また元の場所へと戻った。
男は壁を振り返って少し眺めてから、大股で壁へと歩いた。
男は気づけば、紅色の蒸気機関車の止まっている、人のごった返しているプラットフォームに着いていた。振り返ると、そこには『9³/₄』と書かれている鉄のアーチがあった。
人の混み入るプラットフォームを縫うようにかき分け、男は列車の最後尾のコンパートメントの一室に腰を下ろした。
男はまた手紙を取り出し、それをしばらく眺めた後、懐に仕舞った。
列車の窓からプラットフォームを眺めると、そこに立っている時計は10時35分を指し示していた。やることは特に何もない。男は特に何もせず、腕を組んで座っていた。
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時計が10時55分を指し示し、最後尾の車両までもが殆ど満員になった。
列車の外では、子との別れを惜しむ親、急いで荷物を押し込んで乗り込む11歳ほどの子供、9³/₄の鉄のアーチから急いでカートを押して走ってくる5人家族などの様々な人たちで更ににぎやかになっている。
5人家族のそのうち3人の兄弟、双子、末っ子と見える子供たちが乗り、母親と一番下の妹らしき子が残るようだった。その妹は、別れを惜しんでいるのか、目元に涙を蓄えている。
双子は列車に荷物を載せるのを苦労している11歳ほどの黒髪で緑の目をした少年の荷物を載せるのを手伝っており、末っ子は母の傍にいて鼻を手ぬぐいで拭かれていた。
すると前列の方から、長男とみられる青年が歩いてきた。ローブには『P』の形をした飾りをつけている。この家族は6人家族であるようだった。
それから11時になり、列車が汽笛を鳴らした。
男の隣のコンパートメントには、先ほどの家族の末っ子(聞き間違えでなければ『ロン』と呼ばれていた)と、その双子に荷物を載せるのを手伝ってもらっていた男の子(ハリー・ポッターと呼ばれていた)が座っている。
いよいよ列車が動き出した。汽車がカーブを曲がると、窓の外をロンドンの景色が前から後ろへと飛ぶように過ぎて行った。高いビルや石の家々の立ち並ぶ、窮屈な場所とはおさらばだ。
男は訳の分からない発展を遂げる母国の景色に心底うんざりしていた。彼の故郷であった村の原型は既になかった。ロンドンのように昔の景色の面影を残す町並みならばまだ我慢は出来たが、田園風景の広がる美しかった尾張の地が、たった数十年の間に影も形もない謎のぎらぎらした世界になることは、彼は到底我慢できなかった。
しばらくすると、すぐに青い空と緑の芝生が窓に映った。男はその景色にため息をついた。なんと美しいものか。男は胸の底のわだかまりが、すうっと消えていく、心地よい感覚を感じていた。この地が永遠に続けば良いのに。この国の人々はきっと、早いうちに自然の大切さに気付いたのだろう、と男は思った。彼の母国とは大違いだった。
ああ、眠い。
美しい外の景色を眺めているうちに、男はあくびをした。母国との時間差は9時間近くある。
列車が到着するまでにはまだ数時間あるだろう。それまでひと眠りしよう。
男は腕を組んだまま、目を閉じた。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
がんばってだらだらしないように書いております。謎の空白はだらだらしてるかなー?と思ったものを透明修正してるものです。消すのももったいないし……。
気ままにやっていくのでこれからもよければお付き合いください。
男がホグワーツに入るとしたら、どんな寮がいいでしょう? 参考までにお願いします
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グリフィンドール
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ハッフルパフ
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スリザリン
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レイブンクロー