尾張ホグワーツと魔法の世界   作:ケンタ〜

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組み分け回です。


ホグワーツ魔法魔術学校編
男と組み分け帽子


 「ようこそ一年生たち! 一年生は俺んとこについてこい! 行くぞ!」

 

 ハグリットという、巨人の血が半分入っているのではないかと言うくらいの大男が、低い声をプラットフォームに響き渡らせた。

 

 ハグリットに案内されるままに、新一年生たちは半ば不安げについて行った。唯一堂々と(視覚的にも)していたのは、男だけだった。

 

 角を曲がると、視界が開け、そこは巨大な黒い湖のほとりだった。

 その向こう、高い山の頂上に、大小さまざまな塔が聳え立つ、ホグワーツ城の堂々たる姿があった。何百と言うガラスの光がまるで星空のように、いつの間にか暗くなった空をバックにして輝いていた。

 

 「四人ずつボートに乗れ!」

 

 ハグリットの大きな声は、最後尾にいる男にもよく聞こえた。

 

 男は先ほど駅で出会った出っ歯でふさふさ髪の女の子と、ネビルと一緒にボートに乗った。男の体が大きかったために、三人しか乗ることができなかった。

 

 水晶のごとき美しい湖面を、ボートがひとりでに進みだした。みんな黙って美しいホグワーツの様相を見上げていたが、男だけは湖に映る星空や、それに広がるボートの波紋模様を眺めていた。

 

 向こう岸へとたどり着くのに時間はそれほどかからなかった。

 ネビルがボートから降りる際に躓きかけたため、男はネビルの頭が地面に打ち付けられる数センチの所で彼の襟をつかんだ。

 

 「ん?」

 

 男は何かに気が付き、ボートの方を振り返った。そこではハグリットがボートの中を調べているところだった。

 ハグリットがこちらに近づき、ネビルの前で手を差し出した。

 

 「これ、お前さんのカエルかい?」

 

 「トレバー!」

 

 ネビルは跳びあがって喜んだ。栗色のふさふさ髪の毛の女の子は微笑んでそれを見ていた。

 

 ハグリットについて石段を登り、巨大な樫の木の扉を開けた。

 そこには厳格な顔つきをした、エメラルド色のローブを着た背の高い黒髪の魔女が立っていた。

 

 ホグワーツ魔法魔術学校の副校長先生、ミネルヴァ・マクゴナガルだった。

 

 マクゴナガル先生は一瞬だけ男の方を見て目線を合わせた後、すぐにハグリットの方へ目を向けた。

 

 「マクゴナガル教授、一年生の皆さんです」

 

 「ご苦労様、ハグリッド。ここからはわたくしが預かりましょう」

 

 樫の木の扉が大きく開き、一年生の全員が楽に通れるようになった。

 

 そこを過ぎれば、更に広い玄関ホールに着いた。

 一般的な一戸建ての住宅が楽に入るほどの広さだった。

 

 地面にはカーペットが敷いてあったが、床、内壁は石でできており、そこには松明が照らされている。上を見上げると、松明の光も届かないようなはるか向こうに天井がある。

 

 生徒たちの正面には、これまた立派で壮大な大理石の階段が上へと続いている。

 

 マクゴナガル先生について、生徒たちはホールを横切って行った。

 右手の方から、何百人もいるようなざわめきが聞こえる。何らかの集会を行っているのだろう。

 

 しかし、そこへ行く前に、一年生たちは脇の小さな空き部屋に案内され、そこでマクゴナガル先生からの説明を受けた。

 

 そこでは、これから歓迎会が行われること、その前に寮の組み分けが行われること。

 

 そしてその寮は

 

 グリフィンドール

 ハッフルパフ

 レイブンクロー

 スリザリン

 

 の四つに分かれていること。

 

 そして個々人の立ち居振る舞いによって寮全体の成績が左右されていること、成績が最も優秀である寮にはそれを象徴する寮杯が与えられること、以上を生徒たちに伝えた。

 

 「まもなく全校列席の前で組み分けの儀式が始まります。待っている間、できるだけ身なりを整えておきなさい」

 

 マクゴナガル先生が部屋を出ると、生徒たちは身だしなみを整えたり、寮が一体どのように決まるのか話し合ったり、ざわざわとし始めた。

 

 男は袴の横の穴から手を突っ込んで中から胴着を引っ張って整えた。隣にいた褐色肌の女生徒はそれを不思議そうに眺めていた。

 

 マクゴナガル先生が戻って来て、生徒たちを案内した先は、大広間であった。

 生徒たちはそこに入るなり、口々に感嘆の声を漏らした。

 

 空中には何千と言うろうそくが浮かび、その下には四つの長テーブルが照らされている。上座にはもう一つの長テーブルが横にあり、そこには先生たちが座っていた。

 

 天井には、魔法によるものか、星々のちりばめられた夜空が広がっている。まるでこの大広間が天空に向かって開いているかのように感ぜられた。

 

 四つの長テーブルには、何百と言う生徒たちが、にぎやかに新一年生たちを歓迎していた。テーブルには金色の皿やゴブレットが置いてあり、組み分けの儀式が終わった後に食事が運び込まれるものと見れた。

 

 マクゴナガル先生は一年生を上座のテーブルの所へ一年生を引率した。

 

 先生はそこに四本足のスツール(背なしの椅子)を置いた。その上には使い古されたような三角帽が置かれ、生徒たちは何が始まるのかと静かにざわめいた。

 

 ざわめきが収まり、水を打ったように広間が静かになったとき、帽子がまるで生き物のようにピクピクと動いた。

 

 帽子の破れ目が、まるで口のように動き、歌を歌いだした。

 

 

私はきれいじゃないけれど

 

人は見かけによらぬもの

 

私をしのぐ賢い帽子

 

あるなら私は身を引こう

 

山高帽子はまっくろだ

 

シルクハットはスラリと高い

 

私はホグワーツ組み分け帽子

 

私は彼らの上を行く

 

君の頭に隠れたものを

 

組み分け帽子はお見通し

 

被れば君に教えよう

 

君が行くべき寮の名を

 

 

グリフィンドールに行くならば

勇気あるものが住まう寮

勇猛果敢な騎士道で

他とは違うグリフィンドール

 

ハッフルパフに行くならば

君は正しく忠実で

忍耐強く真実で

苦労を苦労と思わない

 

古き賢きレイブンクロー

君に意欲があるならば

既知と学びの友人を

ここで必ず得るだろう

 

スリザリンではもしかして

君はまことの友を得る

どんな手段を使っても

目的遂げる狡猾さ

 

 

かぶってごらん! 恐れずに!

 

興奮せずに、お任せを!

 

君を私の手にゆだね(私は手なんかないけれど)

 

だって私は考える帽子!

 

 

 

 歌が歌い終わると、広間はあっという間に拍手の音に包まれた。

 帽子は四つのテーブルにお辞儀して、そのまま静かになった。普通の三角帽にしか見えない。

 

 「ABC順で名前を呼びます。帽子をかぶって椅子に座り、組み分けを受けてください。アボット、ハンナ!」

 

 ピンクのほほをした、金髪のおさげの少女が、最初に前に出た。

 

 組み分けが始まった。マクゴナガル先生が帽子をかぶせると、帽子は『ハッフルパフ』と叫び、女の子は拍手を受けてハッフルパフのテーブルへと走った。

 

 「ボーンズ、スーザン!」 「ハッフルパフ!」

 

 「ブート、テリー!」 「レイブンクロー!」

 

 「ブロストロード、ミリセント!」 「スリザリン!」

 

 「グレンジャー、ハーマイオニー!」 「グリフィンドール!」

 

 このような具合で、それぞれの寮が決まって行った。

 列車の中で見たマルフォイとクラップ、ゴイルはスリザリン、ハリー・ポッターとロン・ウィーズリーはグリフィンドールだった。

 

 ハリー・ポッターの名前が呼ばれたとき、広間は少しざわついていたが、男はその理由が分からなかった。有名人なのだろうか?

 

 そしてついに、最後、男の番になった。

 

 「ナナシ!」

 

 男は彼の偽名を呼ばれ、スツールへと歩いて行った。

 その間、先ほどまで騒がしかった広間は静まり返った。人々は静かに耳打ちし合い、男の存在を訝しんでいた。

 

 男がスツールに座ると、マクゴナガル先生は帽子をかぶせる前に、広間にいる生徒に向かって大きな声で言った。

 

 「この方は、特別生徒としてホグワーツに来ています。皆さんと同じ、学生としてです」

 

 そう言って、マクゴナガル先生は男に帽子をかぶせた。

 

 「ほう。11歳ではないとは、珍しい」

 

 低い声が、暗闇の中、男の耳に響いた。

 

 「しかし、面白い。勇気、騎士道もある。勤勉さもある。知恵も、探求心も。目的のためならば、命のやり取りも厭わない。さて、どうしたものか」

 

 どうやらこの帽子は性格を読むことができるらしい。それによってかぶったものの寮を決めるようだ。

 

 「性格だけではないぞ。思考も読み取ることができる」

 

 そうなのか、と男は興味を持った。果たして一体、どのような魔法を使って作られているのか。もしかしたら、何かの魔法生物なのか。

 

 組み分け帽子はそれを読んで、ほっほっほと低く笑った。

 

 「その気質は、レイブンクローにぴったり」

 「ハッフルパフではない。勤勉さはあり、忠実さもあるが、正しくはないだろう。それにハッフルパフに収まる器ではないだろう」

 

 では、スリザリンは? と男は頭の中で帽子に聞いた。

 

 「確かに野心がある。目的のための多くの手段をとるという意思がある。しかし、狡猾ではない。まっすぐと言っていい」

 「グリフィンドールか、レイブンクローか」

 

 組み分け帽は少し、低くうなった。

 

 「その素晴らしい探求心、そして騎士道……いや、武士道精神? 君ならば、この寮で上手くやって行けるだろう……」

 

 組み分け帽子は、少しの間の後、その寮の名を叫んだ。

 

 「グリフィンドール!!」

 

 男の帽子が取られ、視界が開けた。

 

 グリフィンドールの生徒たちは、おそらく今日の中で最も小さな拍手をした。顔に嬉しさが伴っていたのは、男が駅で見た、ロン・ウィーズリーの双子の兄たちだけだった。

 

 「パーシー・ウィーズリーです。よろしく」

 

 監督性であるパーシー・ウィーズリーが、戸惑い顔に笑顔を取り繕い、机に来た男に手を差し出した。男はそれを握り、握手をした。

 

 男は席に座って、グリフィンドール寮の全員の顔を眺めた。

 

 マクゴナガル先生は、一年生の名が記されてある巻紙をくるくると仕舞い、帽子をスツールを片付けた。

 

 「おめでとう! ホグワーツの新入生、おめでとう!」

 

 校長先生のアルバス・ダンブルドアが立ち上がった。

 

 「歓迎会を始める前に、二言、三言、言わせていただきたい。では、いきますぞ。そーれ! わっしょい! こらしょい! どっこらしょい! 以上!」

 

 広間は再び歓声に包まれた。

 

 男の隣にいたロン・ウィーズリーは眉根を寄せて男をただ眺めていた。




読んでくださりありがとうございました。組み分け回、大分長くなってしまいましたが、お楽しみいただけたでしょうか。

これからも気ままにやっていくので、良ければよろしくおねがいします。

いちおうアンケートはそのまま取っておきます(投稿日現在)。「本当はこいつグリフィンドールじゃねえんじゃねえの?」って思った人は投票してみてください。

それではまた次回、よければよろしくおねがいします。

感想もどうぞおねがいします!

男がホグワーツに入るとしたら、どんな寮がいいでしょう? 参考までにお願いします

  • グリフィンドール
  • ハッフルパフ
  • スリザリン
  • レイブンクロー
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