「さあ皆さん。変身術の授業の前に、一つ皆さんに言っておかなければなりません。変身術は、ホグワーツで学ぶ魔法の中でも、もっとも複雑で、かつ危険なもののひとつです。いい加減な態度でわたくしの授業を受ける生徒は出て行ってもらいます。そして二度とクラスには入れません。初めから警告しておきます」
変身術の授業の担当、ミネルヴァ・マクゴナガル先生は、最初のクラスに生徒たちが着席するなり喋り始めた。
先生は杖を取り出し、目の前の机を豚に変えて見せた。そしてすぐに元の姿に戻した。
「このように変身術を扱えるようになるには、たゆまぬ修練と根気が必要です。このような事は、あなた方ではまだとてもできません。今日は最終的にマッチ棒を張りに変える授業をしますが、その前にまずはこの魔法の使い方の論理を学びましょう。さあ、ノートを開いて」
結論から言えば、この授業でマッチ棒を針に変える事ができたのは、ハーマイオニー・グレンジャーだけだった。彼女の持っていたマッチ棒だったものは、どこからどう見ても、鋭い銀色の針だった。先生は彼女のマッチ棒(針)をみんなに見せ、それをほめた。
他に少しでもマッチ棒を変形させられたのは、男だけだった。彼のマッチ棒は、触ると冷たく、曲げようとすると金属の硬さを感じられた。
「杖を持つのも慣れていない新入生としては、かなりの上出来です」
先生は男をそうやって褒めたが、『杖を持つのも慣れていない新入生』というのは絶対嘘だと、クラスのほとんど全員が思った。同時に、マクゴナガル先生は正気なのかとも思った。
金曜日、魔法薬学での授業はグリフィンドールとスリザリンの合同で行われた。担当教師はセブルス・スネイプだった。
授業は地下牢で行われた。部屋の壁の棚にはアルコール漬けの動物入りのガラス瓶が所狭しと置かれていた。
スネイプ先生は出席をとると、なぜかハリー・ポッターの名前を呼ぶところで「ああ、ハリー・ポッター。我らが新しいスターだね」と言った。男はスネイプ先生がハリーポッターの事を気に入っているのかと思った。
先生は魔法薬学について話した後、いきなり「ポッター!」と呼んだ。
「アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じた物を加えると、何になるか?」
ハリーは動揺して隣にいるロンをちらっと見たが、ロンはただ首を振った。しかしハーマイオニーだけが高々と手を挙げていた。
しかしスネイプはハーマイオニーを無視し、ポッターは「わかりません」と答えた。
「有名なだけではどうにもならんらしい」
スネイプは口元だけでせせら笑った。
ハーマイオニーは結局無視された。
「ではポッター。ベアゾール石を探すとき……」
スネイプはまたハリーに言った。
ハリーは答えられず、ハーマイオニーはまたピンと背と手を伸ばした。
マルフォイとグラップとゴイルが声を殺して笑っていた。
「わかりません」
スネイプはそういうハリーを冷たく見つめて皮肉を言った。
ハーマイオニーの手はプルプル震えていた。
「ポッター、モンクスフードとウルフスベーンとの違いは……」
ハーマイオニーはついに席から立って、天井に届きそうなほど手を伸ばした。
「わかりません。ハーマイオニーが分かっていると思いますから、彼女に質問してみたらどうでしょう」
ハリーがそう言うと、何人かの生徒は笑い声をあげた。スネイプは不快そうにハリーをにらんだ。
「座りなさい、グレンジャー」
スネイプはそれから、先ほど質問をしたことの答えを説明し始めた。
「アスフォデルとニガヨモギを合わせると眠り薬に。ベアゾールはヤギの胃から取り出す石で、解毒剤の材料に。モンクスフードとウルフスベーンは同じ植物だ。別名をアコナイト、とりかぶとの事だ。どうだね? しかし、なぜ諸君、今のをノートに書き取らんのだ?」
教室中に、いっせいに羽ペンと羊皮紙を取り出す音がした。スネイプは「ポッター、君の無礼な態度でグリフィンドールは一点減点」と言った。
スネイプは教室の後ろの方で、一人で座っている男に目を付けた。
「なぜ君はノートを出さんのだね?」
スネイプは彼に近づいた。
男は冷静にスネイプの目を見つめていた。
「またグリフィンドールに減点されたいのか? 特別生徒くん」
「ノートに書き取る必要がないからです」
スネイプは眉をぴくりと動かした。
「ほう? たいしたことを言うものだな。では、私が先ほど言ったことを全て、少しも間違えずにいう事ができるか?」
「できます」
「では言ってみよ」
「アスフォデルの球根の粉末とニガヨモギを煎じたものを合わせると強力な眠り薬になる。そのため別名『生ける屍の水薬』とも呼ばれる。ベアゾール石はヤギの胃から取り出す石。たいていの薬に対する解毒剤となる。モンクスフードとウルフスベーンは同じ植物であり、別名アコナイトともいう。とりかぶとのこと。以上が教科書に載っていたことです」
男はこれらを、しかも少しの捕捉を付け加えて一息で言った。ハーマイオニーは『私も言える』と思ったのか男の方を見て眉を寄せた。スネイプは少しの間硬直した。
「ふん……基本的な事は答えられるようだ。グリフィンドールの減点は見逃してやろう。そのためにグリフィンドールに一点加点」
それを聞いたハリーは胸をなでおろした。
次にスネイプは生徒を二人ずつ組みにして、おできを治す簡単な薬を調合する授業をした。男は奇数だったので一人で行った。
干しイラクサを測り、蛇の牙を砕く。そこまででクラスの殆どが注意を受けた。
スネイプがマルフォイが調合のための『角ナメクジ』を完璧にゆでたことをほめようとした瞬間、その背後で強烈な緑色の閃光がシューシューと音を立てて地下の教室に広がった。
スネイプがばっと振り返ると、そこには溶けてねじれた大鍋と、地面にこぼれてあらゆるものを手当たり次第に溶かす薬の出来損ないがあった。生徒はこぞって椅子の上に避難した。
幸いなことに、その『おでき作り薬』の効果を知るものは誰もいなかった。薬をまともに浴びそうだった、その薬を作った犯人ネビルを、男がすんでのところで服の襟を引っ張って助けたのだ。ネビルはただ自分の服が少し溶けるだけの被害を被るだけで済んだ。
「バカ者!」
スネイプが怒鳴り、杖を振ってこぼれた薬を取り除いた。
「ロングボトム、貴様はおおかた、大鍋を火からおろさないうちに、山嵐の針を入れたんだな?」
スネイプは一呼吸おいてから男に目を向けた。
「親切な友達が助けてくれたから良かったものの……フィネガン、貴様もなぜ注意をしなかった? グリフィンドールは一点減点」
ネビルとそのペアのシェーマス・フィネガンは悲し気に顔を下に向けた。
「ふむ?」
しばらくして、スネイプは男の机の大鍋に目を向けた。そこには既にほとんど完成し、あとは冷まして容器に移すのを待つばかりのおでき治療薬があった。
「つくづく運が良いものだ」
スネイプは生徒たちを男の机の周りに集め、その出来栄えを遠回しに評価し、グリフィンドールにまた一点加点した。運が良いと言ったのはこのことである。
魔法薬学の授業が終わり、生徒たちは休みの時間になった。金曜日の午後には授業がない。
男はグリフィンドール寮に戻る途中の浮く階段で、かならず真ん中あたりで一段消える段を飛び越えながら、懐から取り出した手紙を読んでいた。
男は階段をのぼりながら手紙を仕舞って、杖を取り出し、その場で音もなく姿をくらました。それを見ていたハリー・ポッターとロン・ウィーズリーは目をぎょっとさせた。
男はハグリッドの小屋の数メートル手前で姿を現した。彼の読んでいた手紙には、少し丁寧に書こうとした形跡のある、結局下手な字で、こうあった。
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ナナシへ
金曜日の午後、良ければ三時ごろにわたしの小屋に来てほしい。そこで、おそらくは君もよく耳にしているだろうが、ハリ・ポッターを紹介したい。彼にも、君にもよい事となると思う。
返事はできればしてほしいが、忙しいならば結構だ。いい結果を待っている。
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男は中指の第二関節で小屋のドアを三回ノックした。するとすぐに、ハグリッドの巨体が現れた。
「おお、来てくれたか。さあ、入ってくれ」
一部屋しかない小屋の壁にかかった時計は、ちょうど三時を指し示していた。
ハグリッドはいそいそと、机に紅茶を用意した。
「ハリーもまもなく来るはずだ」
ハグリッドは少し興奮気味に言った。
「先ほど校舎内の階段にいた。なのでもうすぐで来ると思う」
「そうか……ん? ってことは、よ。お前さんと一緒にハリーがついて来ていないってことは、なんかの用があって遅れとるか、あんたが瞬間移動して来たか、ってことだな」
「姿現しをした」
男は紅茶のカップを口につけて飲んだ。
「やっぱりな。しかし、ここから校舎内はそうとう距離があるぞ。いくらお前さんでも、気を付けた方がいい。体が千切れんようにな」
「確か、免許が必要だと聞いた」
「それを知ってまだ使い続けるのか、お前さんは。そんなんだったか?」
ハグリッドはハリーのために新しいお湯を沸かしていた。
「必要性を感じなかった。安全のための免許であり、十分に確実に使えるものには免許は必要ないだろう。あれは、新しくそれを習得する者のための制度だと感じた」
「そうか、そんなだったな、お前さんは」
ハグリッドは笑いながら言った。
時計が三時十分を指し示した時、ハグリッドの小屋のドアを誰かがノックした。
暖炉の傍でおとなしくしていたファングが、ドアに飛び掛かってめちゃくちゃに引っ搔いた。
「退がれ、ファング、退がれ」
ハグリッドは大声でファングに言った。
ハグリッドはファングの首輪を抑えるのに苦労しながら、ドアを少し開いた。
「ハリー、来てくれたか。ちょうどお客さんも来とるんだ。その隣にいるのはウィーズリーの子か? ちょうどいい、みんな揃って紹介したかった」
ハグリッドがファングを離すと、ファングがドアをバーンと開き、外にいたロンに飛びついて耳をなめはじめた。
しばらくしてから、部屋にハリー・ポッターと顔の半分をびちゃびちゃにしたロン・ウィーズリーが入って来た。
二人は座っていた男に戸惑いながら、ハグリッドに勧められた椅子に腰かけた。机にはもう二人分の紅茶と、三人分のロックケーキが乗せられた。ロックケーキをまともにかじって食べられたのは男だけだった。
「ハリー、会えてうれしいよ。お二人とも、くつろいでくれや」
ハリーとロンは何をどういったものかと決めかねていた。
二人が何かを言う前に、男が自己紹介を始めた。
ようやく男とハリーが絡みます! これからどうなっていくでしょうか。良ければこれからもお付き合いください!
1500UV感謝!
男がホグワーツに入るとしたら、どんな寮がいいでしょう? 参考までにお願いします
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グリフィンドール
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ハッフルパフ
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スリザリン
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レイブンクロー