わたしはまだ生きていますし、これを書くつもりもあります!!!!
さわやかな風が吹いている、羊たちがゆっくりと草を食んでいる草原に、男はいた。時間は明朝であった。
男が見上げると、草原を上へ行った高地に集落があった。そこが男の目的地であった。
空には薄い雲まばらにが広がっており、これ以上申し分のない天気であった。
坂を上るにつれて、集落の様相が分かるようになってきた。
10つほどの木造建築の民家が点在する小規模な集落だった。羊の酪農を行っているのは、ここに住んでいる人たちであろう。
しかし、男は酪農を行う人々に興味があって尋ねたわけではない。かれは、この集落のどこかの家に住んでいる夫婦一家を尋ねるつもりであった。
坂を上り切り、男は集落に足を踏み入れる。
家から出て、外へ仕事の用意でもしようとしているのだろうか、男から一番近い家から、一人の茶髪の女性が出てくるところであった。
「すみません。少しよろしいでしょうか?」
男は女性に近づいて尋ねた。とても穏やかな口調であった。男の顔はまた、微笑んでいた。
女性は男に気が付くと、まずは動きを止めた。恐らくは、男の恰好と、腰に下げている剣らしきものに気が付いたのであろう。
「ど、どなたですか?」
女性は男を警戒しながらも、その穏やかさに気を留めて、彼に言葉を返した。
「私はナナシと言うものです。異国からはるばる訪ねてきたのです」
男は胸に手を当てて軽く礼をした。この国に合った、イングランド式の礼であった。
それを見て、女性は大いに気を良くしたのか、男にまた言った。
「どなたを尋ねているのですか?」
「ニコラス・フラメルと言う人です。ご存じでしょうか? よければ、彼の住んでいる場所を教えてもらいたいのですが」
「あら、フラメルさんですか?」
女性は口に手を当てて驚いた。
「このようなご友人がいたとは、知りませんでした」
ニコラス・フラメルとは、魔法界においては賢者と呼ばれる偉人である。しかし、この世界では、わざわざ訪ねる人がいるわけではないような、一般的な人として生きているようだ。
と、男はそう思った。
「いえ、友人ではありません」
男は答えた。
「では、何の御用で?」
「私の業界において、彼はある程度に有名な方なのです。今回は、彼に一目お会いしたいと思い、うかがっている次第です」
「まあ、そうでしたの」
女性はまた、口に手を当てて驚いた。
「フラメルさんであれば、この町の中心の、少し大きなお屋敷に住んでいます」
女性は町の奥の方を指さして言った。
「ほら、向こうに見えるでしょう?」
集落の家々の間に、確かに、頭半つ分ほど高い程度の、お屋敷と呼べるほどの家があった。
「あそこに住んでいますが、でも、体が弱いようですし、最近はほどんど家から外出なさらないみたいです」
女性は頬に手を当てて言った。
男はその理由にある程度の心当たりがあった。
「ありがとうございます」
男はまた、イングランド式の礼をした。
「では、これで」
男は家の方へ歩いて行った。
女は男の目的や、その正体が気になったのか、暫く男の背中を見つめていた。
二階建てのお屋敷で、かなり古い、由緒正しい家と言った所だった。
少しの庭もあり、正門から石畳を少し歩いた所に玄関があった。
男は玄関のベルを鳴らした。
しばらくして、がちゃりとドアの鍵が開き、「どなたですか?」という声が聞こえた。
「ナナシと言うものです。ニコラス・フラメルさんのお宅でしょうか?」
するとドアが少し開き、その人の顔の半分がちらりと見えた。
ふさふさとした白髪、黒い瞳、しわの多い白い顔の老人の顔があった。しかし、その背筋はすっとまっすぐに伸びている。
男は、その瞳を見た瞬間に、この老人が『ニコラス・フラメル』であるという事を確信した。彼は、ニコラス・フラメルの瞳の奥底にある、確かな命の灯が、強く、しっかりと燃えているのを見たからである。
「私に何の用でしょうか?」
「ホグワーツ魔法魔術学校から来ました。あなたに、賢者の石の事についてお聞きしたく――」
「待ってください。まずは入ってください」
ニコラスは囁くような声で、ドアを開けた。
ニコラスは白い服を着ていた。
部屋の中は、明らかに何らかの魔法がかけられているように広かった。庭も合わせた家の敷地ほどの広さが中には納まっていた。
また、明らかに魔法道具であろう物品、霧がかかった水晶、水銀のように表面が流動しているペンダント、光を上へと放つ金色の壺など、目のくらむほどの品々がそこには存在していた。
「どうぞ、こちらへ」
フラメルは、部屋の窓辺の、机の方に男を案内した。
フラメルが杖を振ると、そこにあったお茶のポットとコップがひとりでに動き、そこに紅茶を注ぎ始めた。
男が席に座ると、フラメルもその向かい側に座った。
「急に中に入らせてしまい、申し訳ない。しかし、あのこととなると、他の誰かに聞かれると都合が悪いのです」
フラメルは机の上に手を組んでから、喋りはじめた。
「こちらこそ、急にお尋ねしてしまい、申し訳ない。事情があって、今すぐにでもお聞きしなければならないことがあるのです」
男は紅茶に手をかけて、口元に運んだ。
「賢者の石の事ですか? 確かに、私はそれを作ったニコラス・フラメルですが、そもそもなぜあなたは……そのことを知っているのですか? いえ、私がそれを作ったというのは隠していることではありませんが、その……ああ、まずはあなたがどこまで知っているのか、私には分からない」
フラメルの手は、ただでさえしわがれて小刻みに震えていたが、ここに来て更に動揺も相まっていた。
「『例のあの人』。例のあの人から、あなた、いえ、あなた方はそれ、賢者の石を隠している。それを私は確かめに来ました。それを狙いに来たわけではありません」
男は紅茶を一口飲み、それを小皿に置いた。
「ええ、分かっています」
フラメルは男の目をしっかりと見据えた。
「あなたが悪の者ではないという事は。でなければ、私はあなたの来訪にすら答えなかったでしょう。そして、それはあなたの目を見ても分かる。あなたは長く生きた、そして賢明なお方だ。あなたのような目を見るのは……いえ、失礼。お急ぎなのでしたね」
「はい。ホグワーツ魔法魔術学校の生徒として、特別に授業を受けているのです。まもなく授業が始まる。今日中にあなたに会えてよかった……。では、お聞きします。あの人から隠しているのは賢者の石。そうですか?」
「はい。そうです。それを誰から聞いたのですか?」
「私の推理です。そしてそれを護っている人にも確かめました。次にお聞きしたいのは、それは今あなたの手元にない。そうですか?」
「はい。そうです。それはどこにあるのか、知りたいですか?」
「はい。恐らくは、ホグワーツにあるでしょうが」
「その通りです。ホグワーツのとある一室、そこに隠されていると聞きました。しかし、そこからは私は分かりません。私は、ダンブルドアに依頼をして、その石を隠してもらったのです。『あの者』が狙っているであろう、という事を危惧して。どこに、どう隠されているかは、私はわかりません」
「……ありがとう。あなたをお訪ねできて、本当に良かった……」
男は紅茶を口に運び、そこですべてを飲み干した。
「残念ですが、私はもう行かなければなりません。そろそろホグワーツでは朝食の時間です」
「ええ。私こそ、あなたに出会えてよかった」
フラメルは、男に向けて微笑んだ。
「また、お会いできることを楽しみにしています」
フラメルは席を立ち、男に手を差し出した。
男は席を立って、フラメルの手を取った。
「こちらこそ」
男が軽く手を振ろうとすると、ポキリ、と軽い音がして、フラメルの手首の関節が外れた。
「ああ。気にしないでください」
フラメルがもう片方の手で、それを、ポキリ、と元に戻した。
「詳しいことは分かりませんが、あなたの行いに、善多からんことを」
フラメルは、男に向けて微笑んだ。
「あなたにも。それでは」
男は懐からマンティコアの杖を、サッと取り出し、音もなくその場からかき消えた。
フラメルは、その現象に一瞬目を見開いたが、すぐに穏やかな笑みを、その顔に浮かべた。
「賢明な方だ」
フラメルは杖を一振りし、ポットとコップを片付けた。
男はフラメルの家を探すために、放課後からこの時間までずっと探し続けていました。ストイックだね、男!
男がホグワーツに入るとしたら、どんな寮がいいでしょう? 参考までにお願いします
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グリフィンドール
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ハッフルパフ
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スリザリン
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レイブンクロー